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近代市民社会の成立を原典から読む新シリーズ
近代社会思想コレクション
刊行にあたって 体裁:四六判 上製 配本間隔:不定期
今後の配本
12月 フィヒテ『ドイツ国民への講話』
シリーズ既刊
刊行にあたって
わが国は明治以来ヨーロッパのさまざまな文物の移入に努めてきました。近代社会・経済思想と言えども例外ではなく、翻訳あるいは研究書の類も爾来、陸続として刊行されてきたわけです。ところが、そうした「翻訳の輸入」には、一つの重要な欠落がありました。すなわち、近代思想を育んだ歴史過程を軽視し、ひとまず「完成した」思想のみ翻訳してきた、ということです。
21世紀を迎えた今日、西洋列強の圧力の中で急速な近代化を強いられた時期はとうに過ぎ、しかも、経済・政治の混乱と社会規範の変化という形で、近代の枠組そのものが揺らいでいるなかで、「そもそも近代とは何だったのか?」という問い直しをしようとするとき、その形成過程、すなわち「歴史」を知らずには、的確な答えを導くことはできません。
現代の市民社会がますます錯綜を極めているなかで必要とされるのは、近代思想とは何であったのかをあらためてその源泉に遡って確認し、混迷する社会状況を切り開いていくための新たな指針を打ち出すことにある——当会では、そのように考え、10年来続けてきたギリシャ・ローマの古典紹介(『西洋古典叢書』)の取り組みに加え、この度、近代社会思想を彩った巨人たち、すなわち、グロティウス、ベイコン、ホッブズ、ロック、プーフェンドルフ、ハチスン、ヒューム、ベンサム、ミル等といった人々の足跡を、直接に原典を通じてたどるシリーズ、“近代社会思想コレクション”を刊行することにいたしました。
コレクションの中には「本邦初訳」のものをなるべく多く取り入れ、また、専門研究者の要望にも応えるべく、いまだ充分に研究されていない著作家の紹介にも配慮しました。このような意味からも本書の翻訳刊行には十分に意義があると信じます。わが国には近代思想に興味をもつ読者は多く、江湖において歓迎されることを願い、年に数冊ずつ刊行する予定であります。