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生態人類学は挑む
大澤真幸氏・山極寿一氏 推薦 | 配本間隔:隔月
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人新世の中のコロナ禍、そして破局を予感させる気候変動。これらの危機を克服できるかは、私たちがほんとうの意味で〈新しい日常〉を確立できるかにかかっている。以前の日常へと復帰するのではなく、真に新しい日常を創造すること。
そのために必要なのは、〈人間〉という概念の総点検である。人間とは何か。人間にはどんなポテンシャルがあるのか。人間には何ができるのか。人間の変わらぬ本質とは何か。人間にはどのような可塑性があるのか。
こうした問いにストレートに答えてくれる学問がある。生態人類学だ。自然環境の中を生きる動物としての人間とそれぞれの文化の中で特定の生活様式を営む存在としての人間、これら両面をともに視野に入れた学問だ。
大澤真幸(社会学者)
情報通信テクノロジーとグローバル化による世界の一元化は人間に幸福をもたらすのか。そんな問いが広がる中、確かな答えを与えてくれるのが生態人類学の視座である。50年以上前に日本で産声を上げたこの学問は、地球の多様な自然に息づく人間の生きざまと智慧を若き研究者たちの新鮮な体験によって綴ってきた。
その蓄積は、人間が動き、集まり、対話することで作ってきた社会の本質を教えてくれる。私たちが抱える現代の混迷と未来の課題が今明らかになる。
山極寿一(京都大学名誉教授・総合地球環境学研究所所長)