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巨大な消費社会と対峙する「山野」を支え、新しい関係を結びなおすために――無駄だと断じられたものの本来の価値や機能に思いをめぐらせてみることで全くちがう風景が見えてくる。農耕によるバイオマスの増加、商品作物の変容と代替、外来樹の侵入と共存……残しながら使い作りながら使うために、「利用」を根本から考え直す。
伊谷樹一 (いたに じゅいち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター教授.京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『地域水力を考える―日本とアフリカの農村から』(共編著,昭和堂,2021年)などがある.
大久保悟 (おおくぼ さとる)
国立研究開発機構農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門グループ長補佐.東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了,博士(農学).主な著作に,「なぜ里山の生物多様性を守るのか?―地域生態学から捉える」(古田元夫監・卯田宗平編『アジアの環境研究入門―東京大学で学ぶ15講』東京大学出版会,2014年),Muhamad D, Okubo S, Harashina K, Parikesit, Gunawan B, Takeuchi K. 2014. “Living close to forests enhances people’s perception of ecosystem services in a forest–agricultural landscape of West Java, Indonesia.” Ecosyst Serv 8: 197–206.などがある.
徳岡良則 (とくおか よしのり)
国立研究開発機構農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門上級研究員.広島大学大学院国際協力研究科博士課程修了,博士(学術).主な著作に,Tokuoka Y, Kimura K, Oka M. 2022. “Anthropogenic legacies shaping the present composition of demarcation trees in a temperate upland field landscape in Japan.” J Ethnobiol Ethnomed 18: 45. Tokuoka Y, Ohigashi K, Nakagoshi N. 2011. “Limitations on tree seedling establishment across ecotones between abandoned fields and adjacent broad-leaved forests in eastern Japan.” Plant Ecol 212: 923-944.などがある.
野田健太郎 (のだ けんたろう)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学.主な著作に,「炭を食べるサル―ザンジバルアカコロブスの採食行動」(『アジア・アフリカ地域研究』19(2),2020年),「『毒ザル』と呼ばれたサル―タンザニアのザンジバルアカコロブス」(『ビオストーリー』37,2022年)などがある.
安髙雄治 (あたか ゆうじ)
関西学院大学総合政策学部教授.東京大学大学院医学系研究科博士課程修了,博士(保健学).主な著作に,Ataka, Y. and Ohtsuka, R. 2006. “Migration and fertility of a small island population in Manus: a long-term analysis of its sedentes and migrants.” In: Stanley J. Ulijaszek (ed.) Population, Reproduction and Fertility in Melanesia, pp. 90-109. Oxford: Berghahn Books. Ataka, Y. and Ohtsuka, R. 2000. “Resource use of a fishing community on Baluan Island, Papua New Guinea: Comparison with a neighboring horticultural-fishing community.” People and Culture in Oceania 16: 123-134.などがある.
牛久晴香 (うしく はるか)
北海学園大学経済学部准教授.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂.2020年),「ガーナ北東部の輸出向け手工芸品取引における契約履行―仲介業者と生産者の契約的関係に着目して」(『アジア・アフリカ地域研究』16(1),2016年)などがある.
小坂康之 (こさか やすゆき)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).主な著作に,「東ヒマラヤの植生に刻まれた歴史」(安藤和雄編『東ヒマラヤ―都市なき豊かさの文明』京都大学学術出版会,2020年),「ドメスティケーションの実験場としての水田―水田植物の採集と栽培の事例から」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年)などがある.
平野 亮 (ひらの りょう)
株式会社キャピタリアン代表取締役.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修士号取得退学.
浅田静香 (あさだ しずか)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).主な著作に,「調理用エネルギー源の選択における食文化の影響―ウガンダ・カンパラ首都圏における調理方法と木炭の需要」(『生活学論叢』31,2017年),「ウガンダ・カンパラにおける食文化の維持と新しい調理用燃料の導入―料理用バナナの調理方法に着目して」(『農耕の技術と文化』30,2021年)などがある.
多良竜太郎 (たら りゅうたろう)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学.主な著作に,「都市近郊の炭焼きが山林の生態環境に及ぼす影響―タンザニア半乾燥地の事例」(修士論文,2017年)などがある.
京都大学アフリカ地域研究資料センター教授.京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『地域水力を考える―日本とアフリカの農村から』(共編著,昭和堂,2021年)などがある.
大久保悟 (おおくぼ さとる)
国立研究開発機構農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門グループ長補佐.東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了,博士(農学).主な著作に,「なぜ里山の生物多様性を守るのか?―地域生態学から捉える」(古田元夫監・卯田宗平編『アジアの環境研究入門―東京大学で学ぶ15講』東京大学出版会,2014年),Muhamad D, Okubo S, Harashina K, Parikesit, Gunawan B, Takeuchi K. 2014. “Living close to forests enhances people’s perception of ecosystem services in a forest–agricultural landscape of West Java, Indonesia.” Ecosyst Serv 8: 197–206.などがある.
徳岡良則 (とくおか よしのり)
国立研究開発機構農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)農業環境研究部門上級研究員.広島大学大学院国際協力研究科博士課程修了,博士(学術).主な著作に,Tokuoka Y, Kimura K, Oka M. 2022. “Anthropogenic legacies shaping the present composition of demarcation trees in a temperate upland field landscape in Japan.” J Ethnobiol Ethnomed 18: 45. Tokuoka Y, Ohigashi K, Nakagoshi N. 2011. “Limitations on tree seedling establishment across ecotones between abandoned fields and adjacent broad-leaved forests in eastern Japan.” Plant Ecol 212: 923-944.などがある.
野田健太郎 (のだ けんたろう)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学.主な著作に,「炭を食べるサル―ザンジバルアカコロブスの採食行動」(『アジア・アフリカ地域研究』19(2),2020年),「『毒ザル』と呼ばれたサル―タンザニアのザンジバルアカコロブス」(『ビオストーリー』37,2022年)などがある.
安髙雄治 (あたか ゆうじ)
関西学院大学総合政策学部教授.東京大学大学院医学系研究科博士課程修了,博士(保健学).主な著作に,Ataka, Y. and Ohtsuka, R. 2006. “Migration and fertility of a small island population in Manus: a long-term analysis of its sedentes and migrants.” In: Stanley J. Ulijaszek (ed.) Population, Reproduction and Fertility in Melanesia, pp. 90-109. Oxford: Berghahn Books. Ataka, Y. and Ohtsuka, R. 2000. “Resource use of a fishing community on Baluan Island, Papua New Guinea: Comparison with a neighboring horticultural-fishing community.” People and Culture in Oceania 16: 123-134.などがある.
牛久晴香 (うしく はるか)
北海学園大学経済学部准教授.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,『かごバッグの村―ガーナの地場産業と世界とのつながり』(昭和堂.2020年),「ガーナ北東部の輸出向け手工芸品取引における契約履行―仲介業者と生産者の契約的関係に着目して」(『アジア・アフリカ地域研究』16(1),2016年)などがある.
小坂康之 (こさか やすゆき)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).主な著作に,「東ヒマラヤの植生に刻まれた歴史」(安藤和雄編『東ヒマラヤ―都市なき豊かさの文明』京都大学学術出版会,2020年),「ドメスティケーションの実験場としての水田―水田植物の採集と栽培の事例から」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年)などがある.
平野 亮 (ひらの りょう)
株式会社キャピタリアン代表取締役.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修士号取得退学.
浅田静香 (あさだ しずか)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了,博士(地域研究).主な著作に,「調理用エネルギー源の選択における食文化の影響―ウガンダ・カンパラ首都圏における調理方法と木炭の需要」(『生活学論叢』31,2017年),「ウガンダ・カンパラにおける食文化の維持と新しい調理用燃料の導入―料理用バナナの調理方法に着目して」(『農耕の技術と文化』30,2021年)などがある.
多良竜太郎 (たら りゅうたろう)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員.京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学.主な著作に,「都市近郊の炭焼きが山林の生態環境に及ぼす影響―タンザニア半乾燥地の事例」(修士論文,2017年)などがある.
序 [伊谷樹一]
第Ⅰ部 つかう
第1章 畑地利用のローカル戦略—樹木のある畑地景観のつくり方・つかい方[大久保悟,徳岡良則]
1 畑地利用の知恵から学ぶことは
2 集約化した焼畑―スンダ人の知恵
3 沿岸山地斜面の段畑農業にみられる工夫
4 農地のなかの樹木
5 価値と技術の喪失とそれから
第2章 人とザンジバルアカコロブスの関係を考える—国立公園の設置をめぐって[野田健太郎]
1 炭を食べるサル
2 国立公園の設立
3 木が枯れる
4 なぜ炭を食べるのか
5 人が入れ替わる
6 炭を食べる場所
7 動態としての共存
第3章 出作りによる乾燥林の焼畑—マダガスカル南西部における無主地の利用[安髙雄治]
1 無主地を使う
2 タナラナの社会
3 出作りによる乾燥林の焼畑
4 焼畑耕作の実態
5 なぜ出作りで焼畑を行うのか
6 自然保護の規制強化による焼畑の中断
7 南西部のこれから―取り巻く状況の変化の中で
第Ⅱ部 置き換える
第4章 雑草の資源化—ボルガバスケット産業における材料の転換[牛久晴香]
1 材料が「置き換わる」ときにみえてくること
2 ボルガタンガの草編み技術とボルガバスケット
3 ガーナの南部と北部
4 「資源化」前夜―1980年代のガーナの激動
5 ギニアグラスの大繁殖
6 キンカアシ流通ビジネスの成立
7 新しい材料がもたらした変化
8 「置き換わり」のダイナミズム―「資源」の動員と刷新
第5章 つかい,つくられるラオスの在来野菜[小坂康之]
1 日本語の「野菜」とラオス語の「パック」
2 家庭料理「タケノコスープ」にみる地産地消
3 自然環境と住民生業
4 市場で販売される野菜
5 ホームガーデンの役割
6 「生きた文化財」としての在来野菜
第6章 新しい生態系をつくる[伊谷樹一]
1 開発と環境保全のはざま
2 鳥が森をつくる
3 外来樹の導入と商業林の拡大
4 地域社会に内部化した外来樹
5 トーナという外来樹
6 新しい生態系をつくる
第Ⅲ部 つくる
第7章 「つくる」と「つかう」の循環をうみだす—タンザニアにおける籾殻コンロの開発実践をとおして[平野 亮]
1 なぜ,「今,ここ」に「それ」がないのか
2 籾殻コンロの概要
3 MTSの開発
4 ぬか釜の開発
5 「使う側」と「作る側」をつなぐ「仲介者」の役割
第8章 食文化を支える再生可能燃料—ウガンダ・首都カンパラにおけるバナナの調理方法とバイオマス・ブリケットの活用から[浅田静香]
1 バナナの文化的価値と木質燃料への高い依存
2 主食作物と燃料消費の動向
3 料理とマトケの調理方法
4 燃源の使い分け
5 新たな燃料であるブリケット
6 燃源の選択とマトケの調理
7 バナナ食文化を支える調理用燃料
第9章 消えない炭と林の関係[多良竜太郎]
1 木炭をめぐる矛盾
2 木炭について―日本の事例から
3 タンザニアにおける「よい炭」とは?
4 タンザニアの炭焼き方法「伏せ焼き」
5 樹種と木炭の関係
6 炭焼きと生態環境
7 環境とエネルギー問題
終 章 資源をつかう,つくる[伊谷樹一]
1 移ろう自然と人の関係
2 資源をつかう
3 資源を置き換える
4 エネルギーをつくる
5 生態人類学は挑む
索 引
執筆者紹介
第Ⅰ部 つかう
第1章 畑地利用のローカル戦略—樹木のある畑地景観のつくり方・つかい方[大久保悟,徳岡良則]
1 畑地利用の知恵から学ぶことは
2 集約化した焼畑―スンダ人の知恵
3 沿岸山地斜面の段畑農業にみられる工夫
4 農地のなかの樹木
5 価値と技術の喪失とそれから
第2章 人とザンジバルアカコロブスの関係を考える—国立公園の設置をめぐって[野田健太郎]
1 炭を食べるサル
2 国立公園の設立
3 木が枯れる
4 なぜ炭を食べるのか
5 人が入れ替わる
6 炭を食べる場所
7 動態としての共存
第3章 出作りによる乾燥林の焼畑—マダガスカル南西部における無主地の利用[安髙雄治]
1 無主地を使う
2 タナラナの社会
3 出作りによる乾燥林の焼畑
4 焼畑耕作の実態
5 なぜ出作りで焼畑を行うのか
6 自然保護の規制強化による焼畑の中断
7 南西部のこれから―取り巻く状況の変化の中で
第Ⅱ部 置き換える
第4章 雑草の資源化—ボルガバスケット産業における材料の転換[牛久晴香]
1 材料が「置き換わる」ときにみえてくること
2 ボルガタンガの草編み技術とボルガバスケット
3 ガーナの南部と北部
4 「資源化」前夜―1980年代のガーナの激動
5 ギニアグラスの大繁殖
6 キンカアシ流通ビジネスの成立
7 新しい材料がもたらした変化
8 「置き換わり」のダイナミズム―「資源」の動員と刷新
第5章 つかい,つくられるラオスの在来野菜[小坂康之]
1 日本語の「野菜」とラオス語の「パック」
2 家庭料理「タケノコスープ」にみる地産地消
3 自然環境と住民生業
4 市場で販売される野菜
5 ホームガーデンの役割
6 「生きた文化財」としての在来野菜
第6章 新しい生態系をつくる[伊谷樹一]
1 開発と環境保全のはざま
2 鳥が森をつくる
3 外来樹の導入と商業林の拡大
4 地域社会に内部化した外来樹
5 トーナという外来樹
6 新しい生態系をつくる
第Ⅲ部 つくる
第7章 「つくる」と「つかう」の循環をうみだす—タンザニアにおける籾殻コンロの開発実践をとおして[平野 亮]
1 なぜ,「今,ここ」に「それ」がないのか
2 籾殻コンロの概要
3 MTSの開発
4 ぬか釜の開発
5 「使う側」と「作る側」をつなぐ「仲介者」の役割
第8章 食文化を支える再生可能燃料—ウガンダ・首都カンパラにおけるバナナの調理方法とバイオマス・ブリケットの活用から[浅田静香]
1 バナナの文化的価値と木質燃料への高い依存
2 主食作物と燃料消費の動向
3 料理とマトケの調理方法
4 燃源の使い分け
5 新たな燃料であるブリケット
6 燃源の選択とマトケの調理
7 バナナ食文化を支える調理用燃料
第9章 消えない炭と林の関係[多良竜太郎]
1 木炭をめぐる矛盾
2 木炭について―日本の事例から
3 タンザニアにおける「よい炭」とは?
4 タンザニアの炭焼き方法「伏せ焼き」
5 樹種と木炭の関係
6 炭焼きと生態環境
7 環境とエネルギー問題
終 章 資源をつかう,つくる[伊谷樹一]
1 移ろう自然と人の関係
2 資源をつかう
3 資源を置き換える
4 エネルギーをつくる
5 生態人類学は挑む
索 引
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