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文字通り権力の象徴であり,産業化の中軸だった鉄道.強力な王権を維持しながら,列強の植民地となることなく,したたかに工業化・近代化を遂げたタイこそ,鉄道と近現代の関わりを知る最高の舞台である.自らタイの鉄道網を乗り尽くした研究者が,豊富な資料を駆使しながら描く鉄道の歴史と今後の展望.歴史ファン、鉄道ファン必見の東南アジア紀行としても楽しい好著.
柿崎 一郎(かきざき いちろう)
横浜市立大学国際総合科学部准教授
1971年生まれ。1999年、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。
横浜市立大学国際文化学部専任講師、同助教授を経て、2005年より現職。博士(学術)。
『タイ経済と鉄道 1885〜1935年』(下記)で、第17回大平正芳記念賞を受賞。
主要著書
『タイ経済と鉄道 1885〜1935年』(日本経済評論社、2000年)、Laying the Tracks: The Thai Economy and its Railways, 1885-1935(Kyoto University Press (京都大学学術出版会)、2005年)、『物語 タイの歴史』(中公新書、2007年)、『鉄道と道路の政治経済学 —タイの交通政策と商品流通 1935〜1975年—』(京都大学学術出版会、2009年)など。
横浜市立大学国際総合科学部准教授
1971年生まれ。1999年、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。
横浜市立大学国際文化学部専任講師、同助教授を経て、2005年より現職。博士(学術)。
『タイ経済と鉄道 1885〜1935年』(下記)で、第17回大平正芳記念賞を受賞。
主要著書
『タイ経済と鉄道 1885〜1935年』(日本経済評論社、2000年)、Laying the Tracks: The Thai Economy and its Railways, 1885-1935(Kyoto University Press (京都大学学術出版会)、2005年)、『物語 タイの歴史』(中公新書、2007年)、『鉄道と道路の政治経済学 —タイの交通政策と商品流通 1935〜1975年—』(京都大学学術出版会、2009年)など。
口絵
はじめに──タイ鉄道史への誘い
第1章 繋明期の鉄道──一八八〇〜一九一0年代
1 鉄道導入前夜
伝統的な交通手段──水運と陸上輸送
東南アジアでの鉄道の出現
タイと鉄道との関わり
英仏の鉄道計画
ホー征伐
2 鉄道建設の推進
パンチャード調査とベートゲ調査
コーラート線の建設
チャオプラヤー川流域への鉄道
マレー半島縦貫線
急速な鉄道網の拡大
3 官営鉄道主義の確定
官営鉄道と民営鉄道
初期の民営鉄道
民営鉄道への警戒
民営鉄道の制限
鉄道建設計画の策定
4 「政治鉄道」の意義
「政治鉄道」のレッテル
鉄道建設の目的
輸送条件の改善
新たな商品流通の発生
変わらぬ伝統的な輸送
コラム01 バンコクの中央駅フアラムポーン
第2章 「政治鉄道」からの脱却──一九二〇〜一九三0年代
1 鉄道網の統一と拡張
カムペーンペット親王の総裁就任
東方への路線拡大
軌聞の統一とラーマ六世橋建設
道路との連携
肩を並べた鉄道網
2 国際鉄道網構想の出現
カムペーンペット親王の「掌」
マラヤ連絡鉄道の役割
バンコク〜サイゴン間鉄道の推進
ラオスへの鉄道計画
ビルマとの連絡鉄道
3 立憲革命と鉄道
鉄道輸送の停滞──世界恐慌と自動車との競合
鉄道優先政策の終駕
全国道路整備計画の策定
冷遇される鉄道
鉄道の復活
4 鉄道輸送の役割
旅客輸送の特徴──短距離の手荷物輸送
都市鉄道化の模索と限界
貨物輸送の特徴──外港への農産物輸送
東南アジア各国の輸送品目
外港〜後背地関係の再編
コラム02 ワーコーのディーゼル機関車
第3章 戦争と復興──一九四〇〜一九五〇年代
1 国際鉄道網の構築
「失地回復」と鉄道
日本の軍用列車
深刻化する車両不足
泰緬鉄道とクラ地峡横断鉄道
つかの間の国際鉄道網
2 戦争の傷跡
寸断された路線網
車両や施設の疲弊
輸送量の変化
米による復興
鉄道局から国鉄へ
3 輸送力の増強
車両の増備
牽引力の向上
レールの交換
急増する輸送量
輸送品目の多様化
4 鉄道網の拡張と限界
道路整備の状況
泰緬鉄道のその後
新線建設の再開
軍事鉄道計画の浮上
停滞する新線建設
コラム03 旧泰緬鉄道の観光列車
第4章 鉄道の転換期──一九六〇〜一九八〇年代
1 フレンドシップ・ハイウェーのインパクト
高規格道路の時代の到来
急速なモータリゼーション
自動車輸送への転移
バンコク市内の鉄道廃止
バンコクターミナルの移設問題
2 鉄道側の対応
ディーゼル化の推進
旅客輸送のスピードアップ
長距離夜行列車の強化
貨物輸送の競争力拡大
専用車両による輸送の奨励
3 停滞する新線建設
量的拡大から質的向上へ
新線建設の続行
新線建設の中止
工業開発のための鉄道
4 鉄道輸送の変化
増加する輸送量
伝統的な「旅客」輸送の終焉
長距離旅客の出現
貨物輸送品目の変化
貨物輸送の長距離化
コラム04 乗りにくいローカル線
第5章 鉄道の復権──新たな役割を担って 一九九〇年代〜
1 在来線の状況
苦戦する旅客輸送
好調な貨物輸送
進まぬ新線建設
悪化する経営状況
中古車両の導入
2 都市鉄道の登場
在来線の都市鉄道化
先行する都市
バンコクの都市鉄道計画の始まり
三つの都市鉄道計画の出現
混迷する都市鉄道拡張計画
3 国際鉄道網の構築
東南アジア縦貫鉄道構想の出現
カンボジアのミッシングリンク
ラオス初の鉄道開通
中国との連絡鉄道構想
泰緬鉄道の復活?
4 「新たな鉄道」を目指して
都市交通の主役
高速鉄道への期待
「ロジスティックス」の追い風
標準軌とメートル軌
変わる鉄道・変わらぬ鉄道
コラム05 メコン川を渡る国際列車
あとがき
参考資料・文献
索引
はじめに──タイ鉄道史への誘い
第1章 繋明期の鉄道──一八八〇〜一九一0年代
1 鉄道導入前夜
伝統的な交通手段──水運と陸上輸送
東南アジアでの鉄道の出現
タイと鉄道との関わり
英仏の鉄道計画
ホー征伐
2 鉄道建設の推進
パンチャード調査とベートゲ調査
コーラート線の建設
チャオプラヤー川流域への鉄道
マレー半島縦貫線
急速な鉄道網の拡大
3 官営鉄道主義の確定
官営鉄道と民営鉄道
初期の民営鉄道
民営鉄道への警戒
民営鉄道の制限
鉄道建設計画の策定
4 「政治鉄道」の意義
「政治鉄道」のレッテル
鉄道建設の目的
輸送条件の改善
新たな商品流通の発生
変わらぬ伝統的な輸送
コラム01 バンコクの中央駅フアラムポーン
第2章 「政治鉄道」からの脱却──一九二〇〜一九三0年代
1 鉄道網の統一と拡張
カムペーンペット親王の総裁就任
東方への路線拡大
軌聞の統一とラーマ六世橋建設
道路との連携
肩を並べた鉄道網
2 国際鉄道網構想の出現
カムペーンペット親王の「掌」
マラヤ連絡鉄道の役割
バンコク〜サイゴン間鉄道の推進
ラオスへの鉄道計画
ビルマとの連絡鉄道
3 立憲革命と鉄道
鉄道輸送の停滞──世界恐慌と自動車との競合
鉄道優先政策の終駕
全国道路整備計画の策定
冷遇される鉄道
鉄道の復活
4 鉄道輸送の役割
旅客輸送の特徴──短距離の手荷物輸送
都市鉄道化の模索と限界
貨物輸送の特徴──外港への農産物輸送
東南アジア各国の輸送品目
外港〜後背地関係の再編
コラム02 ワーコーのディーゼル機関車
第3章 戦争と復興──一九四〇〜一九五〇年代
1 国際鉄道網の構築
「失地回復」と鉄道
日本の軍用列車
深刻化する車両不足
泰緬鉄道とクラ地峡横断鉄道
つかの間の国際鉄道網
2 戦争の傷跡
寸断された路線網
車両や施設の疲弊
輸送量の変化
米による復興
鉄道局から国鉄へ
3 輸送力の増強
車両の増備
牽引力の向上
レールの交換
急増する輸送量
輸送品目の多様化
4 鉄道網の拡張と限界
道路整備の状況
泰緬鉄道のその後
新線建設の再開
軍事鉄道計画の浮上
停滞する新線建設
コラム03 旧泰緬鉄道の観光列車
第4章 鉄道の転換期──一九六〇〜一九八〇年代
1 フレンドシップ・ハイウェーのインパクト
高規格道路の時代の到来
急速なモータリゼーション
自動車輸送への転移
バンコク市内の鉄道廃止
バンコクターミナルの移設問題
2 鉄道側の対応
ディーゼル化の推進
旅客輸送のスピードアップ
長距離夜行列車の強化
貨物輸送の競争力拡大
専用車両による輸送の奨励
3 停滞する新線建設
量的拡大から質的向上へ
新線建設の続行
新線建設の中止
工業開発のための鉄道
4 鉄道輸送の変化
増加する輸送量
伝統的な「旅客」輸送の終焉
長距離旅客の出現
貨物輸送品目の変化
貨物輸送の長距離化
コラム04 乗りにくいローカル線
第5章 鉄道の復権──新たな役割を担って 一九九〇年代〜
1 在来線の状況
苦戦する旅客輸送
好調な貨物輸送
進まぬ新線建設
悪化する経営状況
中古車両の導入
2 都市鉄道の登場
在来線の都市鉄道化
先行する都市
バンコクの都市鉄道計画の始まり
三つの都市鉄道計画の出現
混迷する都市鉄道拡張計画
3 国際鉄道網の構築
東南アジア縦貫鉄道構想の出現
カンボジアのミッシングリンク
ラオス初の鉄道開通
中国との連絡鉄道構想
泰緬鉄道の復活?
4 「新たな鉄道」を目指して
都市交通の主役
高速鉄道への期待
「ロジスティックス」の追い風
標準軌とメートル軌
変わる鉄道・変わらぬ鉄道
コラム05 メコン川を渡る国際列車
あとがき
参考資料・文献
索引