ホーム > 書籍詳細ページ

東洋史研究叢刊之七十一(新装版 9)

シーア派聖地参詣の研究

守川 知子

A5上製・422頁

ISBN: 9784876985296

発行年月: 2007/02

  • 本体: 6,000円(税込 6,600円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

シーア派は、イランを中心に、十二イマームを奉ずる敬虔なムスリムである。彼らにとって、イマーム廟を参詣することは、メッカ巡礼に次ぐ重要な宗教行事であった。しかし、中核となる四聖地はイラクのバグダード周辺にあった。彼らは、オスマン朝が支配する隣国に危険も顧みず陸続と参詣した。19世紀後半、年間10万人を数えるその実態を貴重な一次史料をもとに描く。

受賞

第1回(平成24年度)三雲海雲学術賞

書評

『史學雜誌』第117編第9号、120-121頁、評者:小澤一郎氏
『東洋史研究』第67巻第3号、177-187頁、評者:山口昭彦氏
『史林』第92巻第3号、149-154頁、評者:坂本勉氏

プロフィール

守川知子(もりかわ ともこ)
 北海道大学大学院文学研究科助教授
1972年 京都市生まれ。
1997年 文部省アジア諸国等派遣留学生としてテヘラン大学に留学。
2002年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、京都大学研修員。ドイツ学術交流会短期奨学生としてバンベルク大学で研修。
2006年 日本学術振興会特別研究員を経て、現職(現在にいたる)。
博士(文学)

主要論文
「聖地アタバート参詣考」「東方学報」第79冊(2006)、「ガージャール朝期旅行記史料研究序説」『西南アジア研究』55(2001) 、「サファヴィー朝支配下の聖地マシュハド」『史林』第82巻第2号(1997)など。

目次

はじめに

第1章 シーア派教義とイマーム廟参詣
1. イマームとは誰か
2. イマーム廟参詣の歴史
3. イマーム廟参詣の法的根拠
4. 参詣の意義

第2章 史的背景——イランにおけるアタバート参詣の盛衰
1. 16〜18世紀のイランとアタバート
2. 19世紀前半のアタバート参詣
3. 19世紀後半のアタバート参詣——最盛期を迎えて

第3章 アタバートヘの道——イランからイラクヘ
1. ルート
2. 旅行の時期
3. 旅行の期間
4. 参詣者の形態
5. 宿泊
6. 移動の手段
7. 費用
8. 動機

第4章 聖地にて
1. 参詣ルート
2. 参詣場所
3. 参詣儀礼
4. 参詣以外の行動

第5章 死者たちの聖地参詣——シーア派イスラームの「移葬」の文化
1. 越境する遺体
2. 病原として、収入源として
3. 生者の参詣と死者の参詣

第6章 外交問題としてのアタバート参詣
1. アマスィヤ協定(969/1555年)とアタバート参詣者
2. ゾハーブ協定(1049/1639年)とアタバート参詣者
3. キャルダーン条約(1159/1746年)とアタバート参詣者
4. 第一次エルズルム条約(1238/1823 年)にみるアタバート参詣者問題
5. 第二次エルズルム条約(1263/1847年)にみるアタバート参詣者問題

第7章 参詣者と安全保障——生命と財産を賭けて
1. イラン国内の治安
2. イラクの治安
3. オスマン政府による参詣者保護策
4. イラン政府による参詣者保護策
5. 自衛の手段

第8章 「近代化」の狭間で
1. 通行証
2. 検疫
3. 関税
4. 通行税

第9章 アタバート参詣者とオスマン朝下のイラク
1. 参詣経済
2. イラクのシーア派化

第10章 イラン社会におけるアタバート参詣
1. イラン人参詣者のアタバート観
2. 「シーア派の聖地」としてのアタバート
3. アタバート参詣の位置づけ

おわりに

資料編
 ペルシア語旅行記史料解題
 主要ペルシア語旅行記著者旅程表
 条約・外交文書翻訳
 「アッバース大全」第7章翻訳
 バグダード州内の聖人の墓一覧

参考文件
索 引
このページの先頭へ