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近代に始まる欧米型の資本・資源集約的工業化,20世紀後半における東アジア型の労働集約的工業化は,今日グローバルな課題に直面している.温帯型パラダイムを超え熱帯型発展径路にもとづく生存基盤の再構築が求められている.人類史をさかのぼり,環境・技術・制度のダイナミクスを検討し,これからの発展径路がもつ潜在力を探りだす.
『社会経済史学』Vol.79, No.3、151-154頁、評者:水島 司氏
杉原 薫(すぎはら かおる)[序章,第5章]
京都大学東南アジア研究所教授,京都大学グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」拠点リーダー.専攻:近代経済史.
京都大学経済学部卒,東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.経済学博士.大阪市立大学経済学部助教授,ロンドン大学東洋アフリカ学院歴史学部上級講師,大阪大学大学院経済学研究科教授を経て現職.主要著作に,『アジア間貿易の形成と構造』(ミネルヴァ書房,1996年),『アジア太平洋経済圏の興隆』(大阪大学出版会,2003年),Japan, China and the Growth of the Asian International Economy, 1850—1949(編,Oxford University Press, 2005),『地球圏・生命圏・人間圏—持続的な生存基盤を求めて』(共編,京都大学学術出版会,2010年).
脇村 孝平(わきむら こうへい)[第2章,第12章]
大阪市立大学大学院経済学研究科教授.専攻:アジア経済史.
大阪市立大学経済学部卒,インド・デリー大学デリー・スクール・オブ・エコノミクス博士課程留学,大阪市立大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学.経済学博士.大阪市立大学経済学部助手,助教授,ロンドン大学東洋アフリカ学院在外研究員を経て現職.主要著作に,『飢饉・疫病・植民地統治—開発の中の英領インド』(名古屋大学出版会,2002年),『帝国とアジア—長期の19世紀』(共編著,世界思想社,2009年)『ワークショップ社会経済史』(共著,ナカニシヤ出版,2010年).
藤田 幸一(ふじた こういち)[第8章]
京都大学東南アジア研究所教授.専攻:アジア農業・農村開発論.
東京大学農学部農業経済学科卒,東京大学大学院農学研究科修士課程修了.農学博士.農林水産省農業総合研究所研究員,東京大学農学部助教授,京都大学東南アジア研究所助教授を経て現職.JICA長期専門家としてバングラデシュ(1992—94),ミャンマー(2001—02)に滞在.主要著作に,『バングラデシュ 農村開発のなかの階層変動』(京都大学学術出版会,2005年),『ミャンマー以降経済の変容』(編著,アジア経済研究所,2005年),“Worlds Apart: Peasants in Japan and Agricultural Laborers in Bangladesh”, International Journal of South Asian Studies, 2.
田辺 明生(たなべ あきお)[終章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授,同研究科附属現代インド研究センター長.専攻:歴史人類学,南アジア地域研究.
東京大学法学部卒業,東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学.博士(学術).東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手,京都大学人文科学研究所助教授などを経て現職.主要著作に,The State in India: Past and Present(共編,Oxford University Press, 2006),『南アジア社会を学ぶ人のために』(共編,世界思想社,2010年),『カーストと平等性—インド社会の歴史人類学』(東京大学出版会,2010年,国際開発研究・大来賞,発展途上国研究奨励賞).
[著者紹介](執筆順)
アルフレッド・W・クロスビー(Alfred W. Crosby)[第1章]
テキサス大学オースティン校名誉教授.専攻:環境史.
主要著作に,The Columbian Exchange: Biological and Cultural Consequences of 1492 (Greenwood, 1972), Ecological Imperialism: The Biological Expansion of Europe, 900—1900(Cambridge University Press, 1986. 佐々木昭夫訳『ヨーロッパ帝国主義の謎—エコロジーから見た10〜20世紀』岩波書店,1998年),The Measure of Reality: Quantification and Western Society, 1250—1600(Cambridge University Press, 1997. 小沢千重子訳『数量化革命—ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』紀伊國屋書店,2003年),Throwing Fire: Projectile Technology Through History (Cambridge University Press, 2002. 小沢千重子訳『飛び道具の人類史—火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで』紀伊國屋書店,2006年),Children of the Sun: A History of Humanity’s Unappeasable Appetite for Energy (W. W. Norton, 2006).
斎藤 修(さいとう おさむ)[第3章]
一橋大学名誉教授.専攻:比較経済史・歴史人口学.
慶應義塾大学経済学部卒.経済学博士.慶應義塾大学経済学部助教授,一橋大学経済研究所助教授,教授を経て現職.主要著作に,『比較史の遠近法』(NTT出版,1997年),『比較経済発展論』(岩波書店,2008年),“Historical Demography: Achievements and Prospects”, Population Studies, 50(3), “The Frequency of Famines as Demographic Correctives in the Japanese Past”, Famine Demography (Oxford University Press, 2002).
松林 公蔵(まつばやし こうぞう)[第4章]
京都大学東南アジア研究所教授.専攻:フィールド医学,老年医学,神経内科学.
京都大学医学部卒.医学博士.浜松労災病院神経内科・医員,天理よろづ相談所病院神経内科・医員,京大神経内科・医員,高知医科大学老年病科・助手,講師,助教授を経て現職.主要著作に,『長寿伝説の里』(共編,高知新聞社,1992年),『インカの里びと』(共編,高知新聞社,1995年),『登山の医学ハンドブック』(杏林書院,2009年)『生老病死のエコロジー・チベット・ヒマラヤに生きる』(共著,昭和堂,2011年).
田中 耕司(たなか こうじ)[第6章]
京都大学学術研究支援室・次世代研究者育成センター特任教授.専攻:東南アジア地域研究(熱帯環境利用論).
京都大学大学院農学研究科博士課程中退.京都大学農学部 / 東南アジア研究センター助手・助教授・教授,同東南アジア研究所 / 地域研究統合情報センター教授を経て,2010年京都大学を停年により退職.主要著作に,『稲のアジア史』(共編著,小学館,1987年),『講座 文明と環境第10巻 海と文明』(共編著,朝倉書店,1995年),『講座 人間と環境 第3巻 自然と結ぶ—「農」にみる多様性』(編著,昭和堂,2000年),『講座「帝国」日本の学知 第7巻 実学としての科学技術』(編著,岩波書店,2006年).
ケネス・ポメランツ(Kenneth Pomeranz)[第7章]
カリフォルニア大学アーバイン校教授.専攻:中国史,環境史.
主要著作に,The Making of a Hinterland: State, Society, and Economy in Inland North China, 1853—1937 (University of California Press, 1993), The World that Trade Created: Society, Culture and the World Economy, 1400 to the Present (M. E. Sharpe, 1999), The Great Divergence: China, Europe, and the Making of the Modern World Economy (Princeton University Press, 2000), The Environment and World History(編,University of California Press, 2009).
甲山 治(こうざん おさむ)[第7章翻訳]
京都大学東南アジア研究所准教授.専攻:水文学,土木工学.
京都大学工学部卒,京都大学大学院工学研究科博士課程修了.博士(工学).山梨大学工学部研究員,京都大学防災研究所研究員,京都大学東南アジア研究所特定助教を経て現職.
石坂 晋哉(いしざか しんや)[第7章翻訳]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科客員研究員,人間文化研究機構地域研究推進センター研究員.専攻:南アジア地域研究,環境社会学.
国際基督教大学教養学部卒,弘前大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了.博士(地域研究).
大鎌 邦雄(おおかま くにお)[第9章]
東北大学名誉教授.専攻:日本農業史,農業経済学.
北海道大学農学部卒,北海道大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学.博士(農学).農林水産省農業総合研究所研究員,東北大学大学院農学研究科教授を定年退職.主要著作に,『行政村の執行体制と集落』(日本経済評論社,1994年),『戦後日本の食料・農業・農村 第1巻 戦時体制期』(共著,農林統計協会,2003年),『日本とアジアの農業集落』(共著,清文堂,2009年).
生方 史数(うぶかた ふみかず)[第10章]
岡山大学大学院環境学研究科准教授.専攻:資源経済学,生態政治学.
京都大学農学部卒,京都大学大学院農学研究科博士課程修了.博士(農学).日本学術振興会特別研究員,東南アジア研究所特定助教を経て現職.主要著作に,『熱帯アジアの人々と森林管理制度』(共編著,人文書院,2010年),主要論文に,“Forest Sustainability and the Free Trade of Forest Products: Cases from Southeast Asia”,Ecological Economics, 50(1—2)(共著),「プランテーションと農家林業の狭間で—タイにおけるパルプ産業のジレンマ」『アジア研究』5(2),「コモンズにおける集合行為の2つの解釈とその相互補完性」『国際開発研究』16(1).
岩本 純明(いわもと のりあき)[第11章]
東京農業大学教授.専攻:日本農業史(近現代).
東京大学農学部卒,東京大学大学院農学系研究科博士課程単位取得退学.農学博士.鹿児島大学農学部助教授,東京大学大学院農学・生命科学研究科教授を経て現職.主要著作に,『戦後日本の食料・農業・農村—戦後改革・経済復興期I』(共編著,農林統計協会,2010年),主要論文に,「戦後日本の農地慣行と農地規範」『20世紀日本の農民と農村』(東京大学出版会,2006年),「林野資源管理と村落共同体—国有林野経営と地元利用」『日本とアジアの農業集落—組織と機能』(清文堂,2009年).
籠谷 直人(かごたに なおと)[第12章]
京都大学人文科学研究所,大学院地球環境学堂教授.専攻:アジア経済史.
大阪市立大学経済学部卒,一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程研究指導認定退学.経済学博士.愛知学泉大学経営学部講師,名古屋市立大学経済学部助教授を経て現職。主要著作に,『アジア国際通商秩序と近代日本』(名古屋大学出版会,2000年).
島田 周平(しまだ しゅうへい)[第13章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授.専攻:アフリカ地域研究,人文地理学.
東北大学理学部卒.理学博士.アジア経済研究所調査研究員,東北大学理学部助教授,立教大学文学部助教授・教授,東北大学大学院理学研究科教授,京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て現職.主要著作に,『地域間対立の地域構造—ナイジェリアの地域問題』(大明堂,1992年),『アフリカ 可能性を生きる農民』(京都大学学術出版会,2007年),『現代アフリカ農村—変化を読む地域研究の試み』(古今書院,2007年).
小杉 泰(こすぎ やすし)[第14章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授(持続型生存基盤論担当・同附属イスラーム地域研究センター長).専攻:イスラーム学,中東地域研究,比較政治学,国際関係学,比較文明学.
エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒.博士(法学).国際大学中東研究所主任研究員,英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員,国際大学大学院(国際関係学研究科)教授などを経て現職.主要著作に,『現代中東とイスラーム政治』(昭和堂,1994年),『ムハンマド—イスラームの源流をたずねて』(山川出版社,2002年),『現代イスラーム世界論』(名古屋大学出版会,2006年),『「クルアーン」—語りかけるイスラーム』(岩波書店,2009年),『イスラーム 文明と国家の形成』(京都大学学術出版会,2011年).
京都大学東南アジア研究所教授,京都大学グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」拠点リーダー.専攻:近代経済史.
京都大学経済学部卒,東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.経済学博士.大阪市立大学経済学部助教授,ロンドン大学東洋アフリカ学院歴史学部上級講師,大阪大学大学院経済学研究科教授を経て現職.主要著作に,『アジア間貿易の形成と構造』(ミネルヴァ書房,1996年),『アジア太平洋経済圏の興隆』(大阪大学出版会,2003年),Japan, China and the Growth of the Asian International Economy, 1850—1949(編,Oxford University Press, 2005),『地球圏・生命圏・人間圏—持続的な生存基盤を求めて』(共編,京都大学学術出版会,2010年).
脇村 孝平(わきむら こうへい)[第2章,第12章]
大阪市立大学大学院経済学研究科教授.専攻:アジア経済史.
大阪市立大学経済学部卒,インド・デリー大学デリー・スクール・オブ・エコノミクス博士課程留学,大阪市立大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学.経済学博士.大阪市立大学経済学部助手,助教授,ロンドン大学東洋アフリカ学院在外研究員を経て現職.主要著作に,『飢饉・疫病・植民地統治—開発の中の英領インド』(名古屋大学出版会,2002年),『帝国とアジア—長期の19世紀』(共編著,世界思想社,2009年)『ワークショップ社会経済史』(共著,ナカニシヤ出版,2010年).
藤田 幸一(ふじた こういち)[第8章]
京都大学東南アジア研究所教授.専攻:アジア農業・農村開発論.
東京大学農学部農業経済学科卒,東京大学大学院農学研究科修士課程修了.農学博士.農林水産省農業総合研究所研究員,東京大学農学部助教授,京都大学東南アジア研究所助教授を経て現職.JICA長期専門家としてバングラデシュ(1992—94),ミャンマー(2001—02)に滞在.主要著作に,『バングラデシュ 農村開発のなかの階層変動』(京都大学学術出版会,2005年),『ミャンマー以降経済の変容』(編著,アジア経済研究所,2005年),“Worlds Apart: Peasants in Japan and Agricultural Laborers in Bangladesh”, International Journal of South Asian Studies, 2.
田辺 明生(たなべ あきお)[終章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授,同研究科附属現代インド研究センター長.専攻:歴史人類学,南アジア地域研究.
東京大学法学部卒業,東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学.博士(学術).東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手,京都大学人文科学研究所助教授などを経て現職.主要著作に,The State in India: Past and Present(共編,Oxford University Press, 2006),『南アジア社会を学ぶ人のために』(共編,世界思想社,2010年),『カーストと平等性—インド社会の歴史人類学』(東京大学出版会,2010年,国際開発研究・大来賞,発展途上国研究奨励賞).
[著者紹介](執筆順)
アルフレッド・W・クロスビー(Alfred W. Crosby)[第1章]
テキサス大学オースティン校名誉教授.専攻:環境史.
主要著作に,The Columbian Exchange: Biological and Cultural Consequences of 1492 (Greenwood, 1972), Ecological Imperialism: The Biological Expansion of Europe, 900—1900(Cambridge University Press, 1986. 佐々木昭夫訳『ヨーロッパ帝国主義の謎—エコロジーから見た10〜20世紀』岩波書店,1998年),The Measure of Reality: Quantification and Western Society, 1250—1600(Cambridge University Press, 1997. 小沢千重子訳『数量化革命—ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』紀伊國屋書店,2003年),Throwing Fire: Projectile Technology Through History (Cambridge University Press, 2002. 小沢千重子訳『飛び道具の人類史—火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで』紀伊國屋書店,2006年),Children of the Sun: A History of Humanity’s Unappeasable Appetite for Energy (W. W. Norton, 2006).
斎藤 修(さいとう おさむ)[第3章]
一橋大学名誉教授.専攻:比較経済史・歴史人口学.
慶應義塾大学経済学部卒.経済学博士.慶應義塾大学経済学部助教授,一橋大学経済研究所助教授,教授を経て現職.主要著作に,『比較史の遠近法』(NTT出版,1997年),『比較経済発展論』(岩波書店,2008年),“Historical Demography: Achievements and Prospects”, Population Studies, 50(3), “The Frequency of Famines as Demographic Correctives in the Japanese Past”, Famine Demography (Oxford University Press, 2002).
松林 公蔵(まつばやし こうぞう)[第4章]
京都大学東南アジア研究所教授.専攻:フィールド医学,老年医学,神経内科学.
京都大学医学部卒.医学博士.浜松労災病院神経内科・医員,天理よろづ相談所病院神経内科・医員,京大神経内科・医員,高知医科大学老年病科・助手,講師,助教授を経て現職.主要著作に,『長寿伝説の里』(共編,高知新聞社,1992年),『インカの里びと』(共編,高知新聞社,1995年),『登山の医学ハンドブック』(杏林書院,2009年)『生老病死のエコロジー・チベット・ヒマラヤに生きる』(共著,昭和堂,2011年).
田中 耕司(たなか こうじ)[第6章]
京都大学学術研究支援室・次世代研究者育成センター特任教授.専攻:東南アジア地域研究(熱帯環境利用論).
京都大学大学院農学研究科博士課程中退.京都大学農学部 / 東南アジア研究センター助手・助教授・教授,同東南アジア研究所 / 地域研究統合情報センター教授を経て,2010年京都大学を停年により退職.主要著作に,『稲のアジア史』(共編著,小学館,1987年),『講座 文明と環境第10巻 海と文明』(共編著,朝倉書店,1995年),『講座 人間と環境 第3巻 自然と結ぶ—「農」にみる多様性』(編著,昭和堂,2000年),『講座「帝国」日本の学知 第7巻 実学としての科学技術』(編著,岩波書店,2006年).
ケネス・ポメランツ(Kenneth Pomeranz)[第7章]
カリフォルニア大学アーバイン校教授.専攻:中国史,環境史.
主要著作に,The Making of a Hinterland: State, Society, and Economy in Inland North China, 1853—1937 (University of California Press, 1993), The World that Trade Created: Society, Culture and the World Economy, 1400 to the Present (M. E. Sharpe, 1999), The Great Divergence: China, Europe, and the Making of the Modern World Economy (Princeton University Press, 2000), The Environment and World History(編,University of California Press, 2009).
甲山 治(こうざん おさむ)[第7章翻訳]
京都大学東南アジア研究所准教授.専攻:水文学,土木工学.
京都大学工学部卒,京都大学大学院工学研究科博士課程修了.博士(工学).山梨大学工学部研究員,京都大学防災研究所研究員,京都大学東南アジア研究所特定助教を経て現職.
石坂 晋哉(いしざか しんや)[第7章翻訳]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科客員研究員,人間文化研究機構地域研究推進センター研究員.専攻:南アジア地域研究,環境社会学.
国際基督教大学教養学部卒,弘前大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了.博士(地域研究).
大鎌 邦雄(おおかま くにお)[第9章]
東北大学名誉教授.専攻:日本農業史,農業経済学.
北海道大学農学部卒,北海道大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学.博士(農学).農林水産省農業総合研究所研究員,東北大学大学院農学研究科教授を定年退職.主要著作に,『行政村の執行体制と集落』(日本経済評論社,1994年),『戦後日本の食料・農業・農村 第1巻 戦時体制期』(共著,農林統計協会,2003年),『日本とアジアの農業集落』(共著,清文堂,2009年).
生方 史数(うぶかた ふみかず)[第10章]
岡山大学大学院環境学研究科准教授.専攻:資源経済学,生態政治学.
京都大学農学部卒,京都大学大学院農学研究科博士課程修了.博士(農学).日本学術振興会特別研究員,東南アジア研究所特定助教を経て現職.主要著作に,『熱帯アジアの人々と森林管理制度』(共編著,人文書院,2010年),主要論文に,“Forest Sustainability and the Free Trade of Forest Products: Cases from Southeast Asia”,Ecological Economics, 50(1—2)(共著),「プランテーションと農家林業の狭間で—タイにおけるパルプ産業のジレンマ」『アジア研究』5(2),「コモンズにおける集合行為の2つの解釈とその相互補完性」『国際開発研究』16(1).
岩本 純明(いわもと のりあき)[第11章]
東京農業大学教授.専攻:日本農業史(近現代).
東京大学農学部卒,東京大学大学院農学系研究科博士課程単位取得退学.農学博士.鹿児島大学農学部助教授,東京大学大学院農学・生命科学研究科教授を経て現職.主要著作に,『戦後日本の食料・農業・農村—戦後改革・経済復興期I』(共編著,農林統計協会,2010年),主要論文に,「戦後日本の農地慣行と農地規範」『20世紀日本の農民と農村』(東京大学出版会,2006年),「林野資源管理と村落共同体—国有林野経営と地元利用」『日本とアジアの農業集落—組織と機能』(清文堂,2009年).
籠谷 直人(かごたに なおと)[第12章]
京都大学人文科学研究所,大学院地球環境学堂教授.専攻:アジア経済史.
大阪市立大学経済学部卒,一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程研究指導認定退学.経済学博士.愛知学泉大学経営学部講師,名古屋市立大学経済学部助教授を経て現職。主要著作に,『アジア国際通商秩序と近代日本』(名古屋大学出版会,2000年).
島田 周平(しまだ しゅうへい)[第13章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授.専攻:アフリカ地域研究,人文地理学.
東北大学理学部卒.理学博士.アジア経済研究所調査研究員,東北大学理学部助教授,立教大学文学部助教授・教授,東北大学大学院理学研究科教授,京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て現職.主要著作に,『地域間対立の地域構造—ナイジェリアの地域問題』(大明堂,1992年),『アフリカ 可能性を生きる農民』(京都大学学術出版会,2007年),『現代アフリカ農村—変化を読む地域研究の試み』(古今書院,2007年).
小杉 泰(こすぎ やすし)[第14章]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授(持続型生存基盤論担当・同附属イスラーム地域研究センター長).専攻:イスラーム学,中東地域研究,比較政治学,国際関係学,比較文明学.
エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒.博士(法学).国際大学中東研究所主任研究員,英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員,国際大学大学院(国際関係学研究科)教授などを経て現職.主要著作に,『現代中東とイスラーム政治』(昭和堂,1994年),『ムハンマド—イスラームの源流をたずねて』(山川出版社,2002年),『現代イスラーム世界論』(名古屋大学出版会,2006年),『「クルアーン」—語りかけるイスラーム』(岩波書店,2009年),『イスラーム 文明と国家の形成』(京都大学学術出版会,2011年).
本講座の刊行によせて
序章 熱帯生存圏の歴史的射程 [杉原 薫]
1 問題の提起
2 熱帯生存圏パラダイム
2—1 生存圏とは何か
2—2 生存基盤とは何か
2—3 熱帯パラダイムとは何か
3 地域生存圏の形成と展開
3—1 生存基盤の形成と展開
3—2 熱帯文明とその北漸
3—3 生産性志向型発展径路の形成
4 「化石資源世界経済」の興隆と地域生存圏の再編
4—1 「化石資源世界経済」の興隆
4—2 「大分岐」と東アジア型発展径路の役割
4—3 モンスーン・アジアの径路依存性
5 熱帯生存圏の復権
第1編 生存基盤の歴史的形成 —生産の人類史から生存の人類史へ—
第1章 エネルギー —人類最大の依存症— [A. W. クロスビー(脇村孝平訳)]
1 はじめに
2 旧石器時代と新石器時代
3 人類世時代
第2章 人類史における生存基盤と熱帯 —湿潤熱帯・半乾燥熱帯・乾燥亜熱帯— [脇村孝平]
1 はじめに
2 生存基盤と熱帯
2—1 太陽と水
2—2 ミクロ寄生
3 湿潤熱帯—熱帯雨林を中心に
3—1 環境と生業
3—2 ミクロ寄生
4 半乾燥熱帯—サバンナを中心に
4—1 環境と生業
4—2 ミクロ寄生
5 乾燥亜熱帯—文明の形成にいたるまで
5—1 環境と生業
5—2 乾燥地域論
5—3 ミクロ寄生
6 おわりに—「熱帯」認識の問題
第3章 人類史における最初の人口転換 —新石器革命の古人口学— [斎藤 修]
1 はじめに
2 新石器革命と人口変化
3 方法論
4 多産多死へ
4—1 レヴァント
4—2 アメリカ大陸
5 転換局面とそのパターン
6 解釈の試み
第4章 人間の生存基盤と疾病 —生物進化と適応の視点から— [松林公蔵]
1 はじめに
2 パワーズ オブ テン—10のべき乗(10n)
2—1 ミクロ・マクロ空間の階層構造
2—2 さまざまな時間の尺度
2—3 遺伝子デザインの妙
3 生命圏の進化と適応のあらすじ
3—1 創世期の地球
3—2 原始生命体の誕生
3—3 真核細胞からカンブリアの大爆発へ
3—4 哺乳類から霊長類の誕生
4 人間圏の進化と適応—すべてはアフリカから始まった
4—1 直立歩行と脳の拡大
4—2 農業革命の明暗
4—3 20世紀の寿命革命
5 「適応」と「疾病」
5—1 生命の「適応」と「競争」のデザイン
5—2 ゲノムと生物時計—地球圏,生命圏,人間圏を結ぶもの
5—3 病気の分類
5—4 病気の概念
6 21世紀人類の生存基盤の課題—非感染性疾患(Non-Communicable Diseases)と老化
6—1 人口増加と人口構造の変化
6—2 生活習慣病の進化論的意義
6—3 新たな枠組み
6—4 ニューギニアの高血圧
6—5 アジアに蔓延する糖尿病
7 おわりに
第2編 近代世界システムと熱帯生存圏
第5章 「化石資源世界経済」の興隆とバイオマス社会の再編 [杉原 薫]
1 はじめに
2 化石資源世界経済の形成と展開
2—1 エネルギー転換
2—2 資本・エネルギー集約型工業化
2—3 エネルギー節約型径路への収斂
2—4 東アジアの役割
2—5 オイル・トライアングル
3 熱帯バイオマス社会の再編
3—1 第一次産品輸出経済の発展とその帰結
3—2 開発主義と資源・エネルギー戦略
3—3 バイオマス・エネルギー供給量の推計
3—4 熱帯アジア・アフリカの3類型
3—5 石油危機以降の変化
4 おわりに
第6章 生存基盤持続型発展径路を求めて —「アジア稲作圏」の経験から— [田中耕司]
1 課題の提示
1—1 食料安全保障と「アジア稲作圏」
1—2 世界の「食事パターン」と「アジア稲作圏」
2 世界の3大穀類と熱帯・温帯
2—1 3大穀類のもつ特徴
2—2 熱帯における生存基盤の確保と稲作
3 温帯から熱帯へ—「アジア稲作圏」の近現代
3—1 台湾における日本の稲作開発
3—2 蘭領東インドにおける稲作開発
3—3 「緑の革命」の技術協力
4 再び熱帯から温帯へ—「アジア稲作圏」の未来
4—1 「アジア稲作圏」の持続的な生存基盤としての水田多毛作体系
4—2 「生命圏」と「人間圏」をつなぐ水田農業
5 おわりに
第7章 大ヒマラヤ分水界 —中国,インド,東南アジアの水不足,巨大プロジェクト,環境政治—
[K.ポメランツ(杉原 薫・甲山 治・石坂 晋哉訳)]
1 はじめに
2 中国の水問題と南西部への進出
3 ヒマラヤにおける国づくりとダムづくり
4 チベットとチベット人への影響
5 山脈の反対側 —パキスタン,インド,ネパール,ミャンマー,ベトナム
6 気候変動,氷河の消滅,そのほかの悪夢
7 おわりに
第3編 モンスーン・アジアの発展径路と日本 —発展を支えた農村制度に着目して—
第8章 モンスーン・アジアの発展径路 —その固有性と多様性— [藤田幸一]
1 はじめに
2 モンスーン・アジアにおける「伝統社会」の形成と変容
3 モンスーン・アジアの発展径路—固有性
4 モンスーン・アジアの多様性
5 結論に代えて—モンスーン・アジアが抱える問題と展望
第9章 日本における小農社会の共同性 —「家」・自治村落・国家— [大鎌邦雄]
1 はじめに
2 「家」と自治村落の形成過程—中世から近世へ
2—1 惣村社会と領主
2—2 検地・兵農分離・大開墾
2—3 小農の自立
3 自治村落と「家」の構造・規範
3—1 自治村落の構成員としての家
3—2 自治村落の領域と権限
3—3 自治村落の機能
3—4 「家」・自治村落・国家
4 資本主義化と自治村落
4—1 明治国家と自治村落
4—2 戦間期における行政村と自治村落
4—3 小作争議・自治村落・国家
5 戦後の経済社会と自治村落の変容
5—1 農地改革と農業政策の強化
5—2 高度成長と農業基本法
5—3 兼業化・混住化と自治村落の変容
6 おわりに
第10章 熱帯アジアの森林管理制度と技術 —現地化と普遍化の視点から— [生方史数]
1 はじめに—ウエスタン・インパクトと森林管理
2 森林管理と土地制度
2—1 農地制度における普遍化と現地化
2—2 「残余地」としての森林
3 熱帯林と資源管理
3—1 伐採権管理と天然林での林業技術
3—2 造林技術の「現地化」—タウンヤ造林法の変遷
4 森林管理制度の強化と在来社会の反応
4—1 「開発の時代」と森林管理
4—2 森林管理と在来社会
5 おわりに—近代化径路の特徴と背景
第11章 日本の森林管理制度と林業技術 [岩本純明]
1 課題
2 歴史的前提—近世日本の森林荒廃と森林保全
3 明治初期の森林荒廃と森林犯罪
4 林野政策の展開と林業技術
4—1 初期林政
4—2 森林法の整備と国有林経営事業の展開
4—3 国有林の地元開放
4—4 林業技術
5 おわりに
第4編 熱帯における生存基盤の諸相 —植民地支配・脱植民地化・石油依存—
第12章 豊饒,瘴癘,そして貧困 —熱帯アジアへの眼差し— [籠谷直人・脇村孝平]
1 はじめに—熱帯アジアはいかに認識されたのか
2 豊饒と専制—近世
3 支配と瘴癘—19世紀
4 脱植民地化と熱帯認識—20世紀前半
5 南洋と熱帯認識—20世紀前半(日本)
6 開発と熱帯認識—20世紀後半,そして21世紀
第13章 アフリカの農家世帯の脆弱性をどう捉えるか [島田周平]
1 はじめに
2 脆弱性(vulnerability)の定義
3 脆弱性をみる単位—世帯か拡大家族か
4 生計(livelihood)研究の重要性—出来事の継起性
5 調査地の特徴
6 出来事の事例(1):森林保護区の破壊
7 出来事の事例(2):村民の追放
8 出来事の事例(3):「過剰な死」の影響
9 新しい出来事(1):小規模金融の簇生
10 新しい出来事(2):賃耕(booking)の拡大
11 脆弱性の変化に関する考察
第14章 現代中東・イスラーム世界の生存基盤 —石油依存の帰結と属人性原理の復興— [小杉 泰]
1 はじめに—近代文明の反省からイスラーム復興の実験へ
2 イスラーム文明の形成と歴史的遺産
2—1 イスラームの誕生
2—2 イスラーム的パラダイムの特質
3 現代における「中東」の成立と産油国の勃興
3—1 列強の領土争奪戦と「中東」の生成
3—2 中東の産油地帯の成立
3—3 アラブ民族主義からアラブ連帯へ
3—4 産油国の勃興
4 イスラーム復興—属人性原理の現代的再編成
4—1 突如として生じたイスラーム復興
4—2 イスラーム金融の進展
4—3 ポスト資本主義への眺望
5 おわりに—熱帯型パラダイムへの寄与
終 章 多様性のなかの平等 —生存基盤の思想の深化に向けて— [田辺明生]
1 はじめに
2 人権と人間開発を再考する
2—1 生存権という考え方
2—2 生存権から生存基盤へ—人間開発と潜在能力を支えるもの
2—3 近代の生存秩序としての客観的合理性—その効用と限界
3 人間的な生とは—関係性の豊かさへ
3—1 生のかたちと生存秩序
3—2 人間とは—自己と「同じようなもの」をめぐる問いの絶えざる更新
3—3 自我と共感—人間の社会性 / 共同性の基盤
3—4 地球大のコンヴィヴィアリティ
4 温帯パラダイムから熱帯パラダイムへ
4—1 自然と親密圏をどうとり込むか—生存基盤持続型発展へ
4—2 熱帯の自然とどうつきあうか—余剰性と多元性
4—3 多様性を活かす—参加と分有
4—4 植民地化,そしてポストコロニアルへ—自律と所有
4—5 新たな生存秩序のための知とは—植民地主義を超えて
5 多様性のなかの平等 / 平等のなかの多様性—〈存在の賑わい〉のために
5—1 存在の平等と多自然主義
5—2 多様性の意味を再考する—地球圏・生命圏・人間圏に照らして
5—3 多元的な声を活かす—ヴァナキュラー・デモクラシー
5—4 存在の賑わいへ
執筆者紹介
索引
序章 熱帯生存圏の歴史的射程 [杉原 薫]
1 問題の提起
2 熱帯生存圏パラダイム
2—1 生存圏とは何か
2—2 生存基盤とは何か
2—3 熱帯パラダイムとは何か
3 地域生存圏の形成と展開
3—1 生存基盤の形成と展開
3—2 熱帯文明とその北漸
3—3 生産性志向型発展径路の形成
4 「化石資源世界経済」の興隆と地域生存圏の再編
4—1 「化石資源世界経済」の興隆
4—2 「大分岐」と東アジア型発展径路の役割
4—3 モンスーン・アジアの径路依存性
5 熱帯生存圏の復権
第1編 生存基盤の歴史的形成 —生産の人類史から生存の人類史へ—
第1章 エネルギー —人類最大の依存症— [A. W. クロスビー(脇村孝平訳)]
1 はじめに
2 旧石器時代と新石器時代
3 人類世時代
第2章 人類史における生存基盤と熱帯 —湿潤熱帯・半乾燥熱帯・乾燥亜熱帯— [脇村孝平]
1 はじめに
2 生存基盤と熱帯
2—1 太陽と水
2—2 ミクロ寄生
3 湿潤熱帯—熱帯雨林を中心に
3—1 環境と生業
3—2 ミクロ寄生
4 半乾燥熱帯—サバンナを中心に
4—1 環境と生業
4—2 ミクロ寄生
5 乾燥亜熱帯—文明の形成にいたるまで
5—1 環境と生業
5—2 乾燥地域論
5—3 ミクロ寄生
6 おわりに—「熱帯」認識の問題
第3章 人類史における最初の人口転換 —新石器革命の古人口学— [斎藤 修]
1 はじめに
2 新石器革命と人口変化
3 方法論
4 多産多死へ
4—1 レヴァント
4—2 アメリカ大陸
5 転換局面とそのパターン
6 解釈の試み
第4章 人間の生存基盤と疾病 —生物進化と適応の視点から— [松林公蔵]
1 はじめに
2 パワーズ オブ テン—10のべき乗(10n)
2—1 ミクロ・マクロ空間の階層構造
2—2 さまざまな時間の尺度
2—3 遺伝子デザインの妙
3 生命圏の進化と適応のあらすじ
3—1 創世期の地球
3—2 原始生命体の誕生
3—3 真核細胞からカンブリアの大爆発へ
3—4 哺乳類から霊長類の誕生
4 人間圏の進化と適応—すべてはアフリカから始まった
4—1 直立歩行と脳の拡大
4—2 農業革命の明暗
4—3 20世紀の寿命革命
5 「適応」と「疾病」
5—1 生命の「適応」と「競争」のデザイン
5—2 ゲノムと生物時計—地球圏,生命圏,人間圏を結ぶもの
5—3 病気の分類
5—4 病気の概念
6 21世紀人類の生存基盤の課題—非感染性疾患(Non-Communicable Diseases)と老化
6—1 人口増加と人口構造の変化
6—2 生活習慣病の進化論的意義
6—3 新たな枠組み
6—4 ニューギニアの高血圧
6—5 アジアに蔓延する糖尿病
7 おわりに
第2編 近代世界システムと熱帯生存圏
第5章 「化石資源世界経済」の興隆とバイオマス社会の再編 [杉原 薫]
1 はじめに
2 化石資源世界経済の形成と展開
2—1 エネルギー転換
2—2 資本・エネルギー集約型工業化
2—3 エネルギー節約型径路への収斂
2—4 東アジアの役割
2—5 オイル・トライアングル
3 熱帯バイオマス社会の再編
3—1 第一次産品輸出経済の発展とその帰結
3—2 開発主義と資源・エネルギー戦略
3—3 バイオマス・エネルギー供給量の推計
3—4 熱帯アジア・アフリカの3類型
3—5 石油危機以降の変化
4 おわりに
第6章 生存基盤持続型発展径路を求めて —「アジア稲作圏」の経験から— [田中耕司]
1 課題の提示
1—1 食料安全保障と「アジア稲作圏」
1—2 世界の「食事パターン」と「アジア稲作圏」
2 世界の3大穀類と熱帯・温帯
2—1 3大穀類のもつ特徴
2—2 熱帯における生存基盤の確保と稲作
3 温帯から熱帯へ—「アジア稲作圏」の近現代
3—1 台湾における日本の稲作開発
3—2 蘭領東インドにおける稲作開発
3—3 「緑の革命」の技術協力
4 再び熱帯から温帯へ—「アジア稲作圏」の未来
4—1 「アジア稲作圏」の持続的な生存基盤としての水田多毛作体系
4—2 「生命圏」と「人間圏」をつなぐ水田農業
5 おわりに
第7章 大ヒマラヤ分水界 —中国,インド,東南アジアの水不足,巨大プロジェクト,環境政治—
[K.ポメランツ(杉原 薫・甲山 治・石坂 晋哉訳)]
1 はじめに
2 中国の水問題と南西部への進出
3 ヒマラヤにおける国づくりとダムづくり
4 チベットとチベット人への影響
5 山脈の反対側 —パキスタン,インド,ネパール,ミャンマー,ベトナム
6 気候変動,氷河の消滅,そのほかの悪夢
7 おわりに
第3編 モンスーン・アジアの発展径路と日本 —発展を支えた農村制度に着目して—
第8章 モンスーン・アジアの発展径路 —その固有性と多様性— [藤田幸一]
1 はじめに
2 モンスーン・アジアにおける「伝統社会」の形成と変容
3 モンスーン・アジアの発展径路—固有性
4 モンスーン・アジアの多様性
5 結論に代えて—モンスーン・アジアが抱える問題と展望
第9章 日本における小農社会の共同性 —「家」・自治村落・国家— [大鎌邦雄]
1 はじめに
2 「家」と自治村落の形成過程—中世から近世へ
2—1 惣村社会と領主
2—2 検地・兵農分離・大開墾
2—3 小農の自立
3 自治村落と「家」の構造・規範
3—1 自治村落の構成員としての家
3—2 自治村落の領域と権限
3—3 自治村落の機能
3—4 「家」・自治村落・国家
4 資本主義化と自治村落
4—1 明治国家と自治村落
4—2 戦間期における行政村と自治村落
4—3 小作争議・自治村落・国家
5 戦後の経済社会と自治村落の変容
5—1 農地改革と農業政策の強化
5—2 高度成長と農業基本法
5—3 兼業化・混住化と自治村落の変容
6 おわりに
第10章 熱帯アジアの森林管理制度と技術 —現地化と普遍化の視点から— [生方史数]
1 はじめに—ウエスタン・インパクトと森林管理
2 森林管理と土地制度
2—1 農地制度における普遍化と現地化
2—2 「残余地」としての森林
3 熱帯林と資源管理
3—1 伐採権管理と天然林での林業技術
3—2 造林技術の「現地化」—タウンヤ造林法の変遷
4 森林管理制度の強化と在来社会の反応
4—1 「開発の時代」と森林管理
4—2 森林管理と在来社会
5 おわりに—近代化径路の特徴と背景
第11章 日本の森林管理制度と林業技術 [岩本純明]
1 課題
2 歴史的前提—近世日本の森林荒廃と森林保全
3 明治初期の森林荒廃と森林犯罪
4 林野政策の展開と林業技術
4—1 初期林政
4—2 森林法の整備と国有林経営事業の展開
4—3 国有林の地元開放
4—4 林業技術
5 おわりに
第4編 熱帯における生存基盤の諸相 —植民地支配・脱植民地化・石油依存—
第12章 豊饒,瘴癘,そして貧困 —熱帯アジアへの眼差し— [籠谷直人・脇村孝平]
1 はじめに—熱帯アジアはいかに認識されたのか
2 豊饒と専制—近世
3 支配と瘴癘—19世紀
4 脱植民地化と熱帯認識—20世紀前半
5 南洋と熱帯認識—20世紀前半(日本)
6 開発と熱帯認識—20世紀後半,そして21世紀
第13章 アフリカの農家世帯の脆弱性をどう捉えるか [島田周平]
1 はじめに
2 脆弱性(vulnerability)の定義
3 脆弱性をみる単位—世帯か拡大家族か
4 生計(livelihood)研究の重要性—出来事の継起性
5 調査地の特徴
6 出来事の事例(1):森林保護区の破壊
7 出来事の事例(2):村民の追放
8 出来事の事例(3):「過剰な死」の影響
9 新しい出来事(1):小規模金融の簇生
10 新しい出来事(2):賃耕(booking)の拡大
11 脆弱性の変化に関する考察
第14章 現代中東・イスラーム世界の生存基盤 —石油依存の帰結と属人性原理の復興— [小杉 泰]
1 はじめに—近代文明の反省からイスラーム復興の実験へ
2 イスラーム文明の形成と歴史的遺産
2—1 イスラームの誕生
2—2 イスラーム的パラダイムの特質
3 現代における「中東」の成立と産油国の勃興
3—1 列強の領土争奪戦と「中東」の生成
3—2 中東の産油地帯の成立
3—3 アラブ民族主義からアラブ連帯へ
3—4 産油国の勃興
4 イスラーム復興—属人性原理の現代的再編成
4—1 突如として生じたイスラーム復興
4—2 イスラーム金融の進展
4—3 ポスト資本主義への眺望
5 おわりに—熱帯型パラダイムへの寄与
終 章 多様性のなかの平等 —生存基盤の思想の深化に向けて— [田辺明生]
1 はじめに
2 人権と人間開発を再考する
2—1 生存権という考え方
2—2 生存権から生存基盤へ—人間開発と潜在能力を支えるもの
2—3 近代の生存秩序としての客観的合理性—その効用と限界
3 人間的な生とは—関係性の豊かさへ
3—1 生のかたちと生存秩序
3—2 人間とは—自己と「同じようなもの」をめぐる問いの絶えざる更新
3—3 自我と共感—人間の社会性 / 共同性の基盤
3—4 地球大のコンヴィヴィアリティ
4 温帯パラダイムから熱帯パラダイムへ
4—1 自然と親密圏をどうとり込むか—生存基盤持続型発展へ
4—2 熱帯の自然とどうつきあうか—余剰性と多元性
4—3 多様性を活かす—参加と分有
4—4 植民地化,そしてポストコロニアルへ—自律と所有
4—5 新たな生存秩序のための知とは—植民地主義を超えて
5 多様性のなかの平等 / 平等のなかの多様性—〈存在の賑わい〉のために
5—1 存在の平等と多自然主義
5—2 多様性の意味を再考する—地球圏・生命圏・人間圏に照らして
5—3 多元的な声を活かす—ヴァナキュラー・デモクラシー
5—4 存在の賑わいへ
執筆者紹介
索引