Home > Book Detail Page
現代の「人間」の輪郭を浮かび上がらせる試みは、人類が葛藤のなかで培った「耐える」力を探ることから始まる。絶滅の危機にある種と感染症との闘い、焼畑農耕による森の破壊と再生の連関、変動する島環境のなかで移住によって命をつなぐ人々——積み重ねてきた知恵を足場に自らを改変するダイナミズム。
伊藤詞子 (いとう のりこ)
京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).主な著作に,「第7章 共存の様態と行為選択の二重の環―チンパンジーの集団と制度的なるものの生成」(『制度―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2013年),「第7章 出会われる「他者」―チンパンジーはいかに〈わからなさ〉と向き合うのか」(『他者―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2016年)などがある.
足立 薫 (あだち かおる)
京都産業大学現代社会学部准教授.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).主な著作に,「非構造の社会学―集団の極相へ」(河合香吏編『集団―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2009年),「極限としての〈いきおい〉―移動する群れの社会性」(河合香吏編『極限―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2020年)などがある.
四方 篝 (しかた かがり)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,『焼畑の潜在力―アフリカ熱帯雨林の農業生態誌』(昭和堂,2013年),「多様性をうみだす潜在力―カメルーン東南部,熱帯雨林における焼畑を基盤とした農業実践」(重田眞義・伊谷樹一編『アフリカ潜在力4 争わないための生業実践―生態資源と人びとの関わり』京都大学学術出版会,2016年)などがある.
藤澤奈都穂 (ふじさわ なつほ)
日本学術振興会特別研究員.東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,Fujisawa, N., Roubik, D.W., Inoue, M., 2020. “Farmer influence on shade tree diversity in rustic plots of Coffea canephora in Panama coffee-agroforestry.” Agroforest Syst 94: 2301–2315. 「第8章 “自分らしく生きること”がつくる懐の深いコーヒーの森―異なる生業が支え合うパナマ中部の農村の暮らし」(阿部健一, 柳澤雅之編『No Life, No Forest―熱帯林の「価値命題」を暮らしから問う』京都大学学術出版会,2021年)などがある.
佐々木綾子(ささき あやこ)
日本大学生物資源科学部専任講師.京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学).主な著作に,Sasaki, A., Kanzaki, M., Mochizuki, K., Choocharoen, C. and Preechapanya, P. 2021. “Aboveground biomass and carbon sequestration potential of tea and shade trees in miang tea gardens, an agroforestry system in Northern Thailand.” Tropics 29(4): 105–119. 「茶を漬けて食べる―タイ北部の「噛み茶」文化とその変容」(横山智編著『世界の発酵食をフィールドワークする』農文協,2022年)などがある.
勝俣昌也 (かつまた まさや)
麻布大学獣医学部教授.京都大学大学院農学研究科後期博士課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,「第8章 タンザニアにおける農村開発活動の実践についての一考察」(伊谷樹一・掛谷誠編『アフリカ地域研究と農村開発』京都大学学術出版会,2011年),『動物の栄養〈第2版〉』(共著,文永堂出版,2016年)などがある.
神田靖範 (かんだ やすのり)
公益社団法人国際農林業協働協会技術参与.京都大学大学院博士課程研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,「第7章 タンザニア・ボジ県ウソチェ村」(共著,伊谷樹一・掛谷誠編『アフリカ地域研究と農村開発』京都大学学術出版会,2011年),『タンザニアを知るための60章〈第2版〉』(共著,明石書店,2015年)などがある.
伊谷樹一 (いたに じゅいち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター教授.京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『地域水力を考える―日本とアフリカの農村から』(共編著,昭和堂,2021年)などがある.
小林 誠 (こばやし まこと)
東京経済大学コミュニケーション学部准教授.首都大学東京人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学,博士(社会人類学).主な著作に,『探求の民族誌―ポリネシア・ツバルの神話と首長制の「真実」をめぐって』(御茶の水書房,2017年),「『陸』の景観史―ツバル離島の村落と集会所をめぐる伝統,キリスト教,植民地主義」(山口徹編『アイランドスケープ・ヒストリーズ―島景観が架橋する歴史生態学と歴史人類学』風響社,2019年)などがある.
竹ノ下祐二 (たけのした ゆうじ)
中部学院大学看護リハビリテーション学部理学療法学科教授.京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了,博士(理学).主な著作に,『セックスの人類学』(共編著,春風社,2009年),「14 ママは放任主義?―ゴリラ」(齋藤慈子・平石界・久世濃子編,長谷川眞理子監修『正解は一つじゃない―子育てする動物たち』東京大学出版会,2019年)などがある.
竹川大介 (たけかわ だいすけ)
北九州市立大学文学部教授.京都大学理学部博士後期課程単位取得満期退学,博士(理学).主な著作に,「あえてドメスティケートしないこと―ミツバチ養蜂戦略の違いから家畜と野育を考える」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年),「『語る文化』に生きるとはどういうことか―口頭伝承の中に自己が存在するソロモン諸島民の身体世界」(大西秀之編,後藤明監修『モノ・コト・コトバの人類史―総合人類学の探究』雄山閣,2021年)などがある.
風間計博 (かざま かずひろ)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授.総合研究大学院大学博士後期課程修了,博士(文学).主な著作に,『窮乏の民族誌―中部太平洋・キリバス南部環礁の社会生活』(大学教育出版,2003年),『強制移住と怒りの民族誌―バナバ人の歴史記憶・政治闘争・エスニシティ』(明石書店,2022年)などがある.
内堀基光 (うちぼり もとみつ)
放送大学名誉教授,一橋大学名誉教授.オーストラリア国立大学博士課程修了,博士(人類学).主な著作に,『死の人類学』(共著,弘文堂,1986年/講談社学術文庫,2006年),『森の食べ方』(東京大学出版会,1996年),『「ひと学」への招待―人類の文化と自然』(放送大学教育振興会,2012年)などがある.
京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).主な著作に,「第7章 共存の様態と行為選択の二重の環―チンパンジーの集団と制度的なるものの生成」(『制度―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2013年),「第7章 出会われる「他者」―チンパンジーはいかに〈わからなさ〉と向き合うのか」(『他者―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2016年)などがある.
足立 薫 (あだち かおる)
京都産業大学現代社会学部准教授.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).主な著作に,「非構造の社会学―集団の極相へ」(河合香吏編『集団―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2009年),「極限としての〈いきおい〉―移動する群れの社会性」(河合香吏編『極限―人類社会の進化』京都大学学術出版会,2020年)などがある.
四方 篝 (しかた かがり)
京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,『焼畑の潜在力―アフリカ熱帯雨林の農業生態誌』(昭和堂,2013年),「多様性をうみだす潜在力―カメルーン東南部,熱帯雨林における焼畑を基盤とした農業実践」(重田眞義・伊谷樹一編『アフリカ潜在力4 争わないための生業実践―生態資源と人びとの関わり』京都大学学術出版会,2016年)などがある.
藤澤奈都穂 (ふじさわ なつほ)
日本学術振興会特別研究員.東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,Fujisawa, N., Roubik, D.W., Inoue, M., 2020. “Farmer influence on shade tree diversity in rustic plots of Coffea canephora in Panama coffee-agroforestry.” Agroforest Syst 94: 2301–2315. 「第8章 “自分らしく生きること”がつくる懐の深いコーヒーの森―異なる生業が支え合うパナマ中部の農村の暮らし」(阿部健一, 柳澤雅之編『No Life, No Forest―熱帯林の「価値命題」を暮らしから問う』京都大学学術出版会,2021年)などがある.
佐々木綾子(ささき あやこ)
日本大学生物資源科学部専任講師.京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学).主な著作に,Sasaki, A., Kanzaki, M., Mochizuki, K., Choocharoen, C. and Preechapanya, P. 2021. “Aboveground biomass and carbon sequestration potential of tea and shade trees in miang tea gardens, an agroforestry system in Northern Thailand.” Tropics 29(4): 105–119. 「茶を漬けて食べる―タイ北部の「噛み茶」文化とその変容」(横山智編著『世界の発酵食をフィールドワークする』農文協,2022年)などがある.
勝俣昌也 (かつまた まさや)
麻布大学獣医学部教授.京都大学大学院農学研究科後期博士課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,「第8章 タンザニアにおける農村開発活動の実践についての一考察」(伊谷樹一・掛谷誠編『アフリカ地域研究と農村開発』京都大学学術出版会,2011年),『動物の栄養〈第2版〉』(共著,文永堂出版,2016年)などがある.
神田靖範 (かんだ やすのり)
公益社団法人国際農林業協働協会技術参与.京都大学大学院博士課程研究指導認定退学,博士(地域研究).主な著作に,「第7章 タンザニア・ボジ県ウソチェ村」(共著,伊谷樹一・掛谷誠編『アフリカ地域研究と農村開発』京都大学学術出版会,2011年),『タンザニアを知るための60章〈第2版〉』(共著,明石書店,2015年)などがある.
伊谷樹一 (いたに じゅいち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター教授.京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(農学).主な著作に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『地域水力を考える―日本とアフリカの農村から』(共編著,昭和堂,2021年)などがある.
小林 誠 (こばやし まこと)
東京経済大学コミュニケーション学部准教授.首都大学東京人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学,博士(社会人類学).主な著作に,『探求の民族誌―ポリネシア・ツバルの神話と首長制の「真実」をめぐって』(御茶の水書房,2017年),「『陸』の景観史―ツバル離島の村落と集会所をめぐる伝統,キリスト教,植民地主義」(山口徹編『アイランドスケープ・ヒストリーズ―島景観が架橋する歴史生態学と歴史人類学』風響社,2019年)などがある.
竹ノ下祐二 (たけのした ゆうじ)
中部学院大学看護リハビリテーション学部理学療法学科教授.京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了,博士(理学).主な著作に,『セックスの人類学』(共編著,春風社,2009年),「14 ママは放任主義?―ゴリラ」(齋藤慈子・平石界・久世濃子編,長谷川眞理子監修『正解は一つじゃない―子育てする動物たち』東京大学出版会,2019年)などがある.
竹川大介 (たけかわ だいすけ)
北九州市立大学文学部教授.京都大学理学部博士後期課程単位取得満期退学,博士(理学).主な著作に,「あえてドメスティケートしないこと―ミツバチ養蜂戦略の違いから家畜と野育を考える」(卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える4つの思考』東京大学出版会,2021年),「『語る文化』に生きるとはどういうことか―口頭伝承の中に自己が存在するソロモン諸島民の身体世界」(大西秀之編,後藤明監修『モノ・コト・コトバの人類史―総合人類学の探究』雄山閣,2021年)などがある.
風間計博 (かざま かずひろ)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授.総合研究大学院大学博士後期課程修了,博士(文学).主な著作に,『窮乏の民族誌―中部太平洋・キリバス南部環礁の社会生活』(大学教育出版,2003年),『強制移住と怒りの民族誌―バナバ人の歴史記憶・政治闘争・エスニシティ』(明石書店,2022年)などがある.
内堀基光 (うちぼり もとみつ)
放送大学名誉教授,一橋大学名誉教授.オーストラリア国立大学博士課程修了,博士(人類学).主な著作に,『死の人類学』(共著,弘文堂,1986年/講談社学術文庫,2006年),『森の食べ方』(東京大学出版会,1996年),『「ひと学」への招待―人類の文化と自然』(放送大学教育振興会,2012年)などがある.
序 [伊藤詞子]
第Ⅰ部 アウター・ワールド再考
第1章 環境の生成と消滅—人新世とエスノプライマトロジー[足立 薫]
はじめに
1 生態と人類の間
2 霊長類学の「約束」
3 アフリカから香港へ
おわりに
第2章 アグロフォレストリーとともに生きる—チャ・コーヒー・カカオ栽培の事例より[四方 篝,藤澤奈都穂,佐々木綾子]
はじめに
1 東南アジア・タイ北部のチャ栽培
2 中米・パナマ中部のコーヒー栽培
3 中部アフリカ・カメルーン東南部のカカオ栽培
4 考察―3 つのアグロフォレストリーに通底する特徴
第3章 タンザニア農村における家畜飼養のこれから—家畜感染症の流行に学ぶ[勝俣昌也,神田靖範,伊谷樹一]
1 家畜の大量死
2 牛耕の重要性
3 2016年のウシの大量死
4 ひろがるブタ飼養
5 2017年ブタの大量死
6 牛耕とホム
7 アフリカ農村でできること
第Ⅱ部 反転するインナー・ワールドとアウター・ワールド
第4章 つながりを維持し,葛藤を引き受ける—フィジー・キオア島における変化にたえることの歴史と現在[小林 誠]
はじめに
1 自然の歴史と文化の歴史
2 別の島へ
3 新たなつながりと新たな葛藤
4 ツバルとフィジーの間で
5 さらなる変化
6 変化にたえる
おわりに
第5章 霊長類の社会変動にみるレジリエンス[竹ノ下祐二]
はじめに
1 群れの「危機」と個体の葛藤
2 「危機」における個体の創造的行動
3 人工哺育された飼育ゴリラの群れ復帰
まとめ
第6章 「互恵」と「共感」にもとづく正義の実現—共同体ガバナンスと葛藤解決における普遍的道徳基盤のはたらき[竹川大介]
1 はじめに 葛藤をのり越える
2 調査方法と地域概要
3 葛藤の事例
4 葛藤解決あるいは正義の実現
5 人間性のきざし
[補論]普遍的道徳基盤とその生物学的背景―互恵的利他行動と心の理論から生じる「互恵」と「共感」
第Ⅲ部 渾沌を生きる
第7章 国境を越えた集団移住と「環境難民」—歴史経験が生み出すバナバ人の怒りと喪失感[風間計博]
はじめに
1 サンゴ島の環境条件と集団移住
2 バナバ人の歴史経験―島の荒廃と強制移住
3 移住後の経済生活―環境への順応と困窮化
4 フィジーにおける集団移住者の法的位置
5 考察―集団移住モデルの有効性
おわりに―過酷な「理想郷」の生成
第8章 個の死と類の亡失をめぐる人類学的素描[内堀基光]
1 個の死と類の存続
2 死ぬことの人称性
3 「死者」の誕生
4 自己の死の生成と不死
5 個体の向こうと手前
6 類の存続
7 類の亡失
8 保存される種
9 生まれること
終章 カソゲの森にきざすもの—ヒトがもたらす攪乱と生成[伊藤詞子]
はじめに
1 アウター・ワールドとしてのヒト
2 インナー・ワールドの住人たち
3 渾沌を生きる
4 おわりに―クッシー再び
索 引
執筆者紹介
第Ⅰ部 アウター・ワールド再考
第1章 環境の生成と消滅—人新世とエスノプライマトロジー[足立 薫]
はじめに
1 生態と人類の間
2 霊長類学の「約束」
3 アフリカから香港へ
おわりに
第2章 アグロフォレストリーとともに生きる—チャ・コーヒー・カカオ栽培の事例より[四方 篝,藤澤奈都穂,佐々木綾子]
はじめに
1 東南アジア・タイ北部のチャ栽培
2 中米・パナマ中部のコーヒー栽培
3 中部アフリカ・カメルーン東南部のカカオ栽培
4 考察―3 つのアグロフォレストリーに通底する特徴
第3章 タンザニア農村における家畜飼養のこれから—家畜感染症の流行に学ぶ[勝俣昌也,神田靖範,伊谷樹一]
1 家畜の大量死
2 牛耕の重要性
3 2016年のウシの大量死
4 ひろがるブタ飼養
5 2017年ブタの大量死
6 牛耕とホム
7 アフリカ農村でできること
第Ⅱ部 反転するインナー・ワールドとアウター・ワールド
第4章 つながりを維持し,葛藤を引き受ける—フィジー・キオア島における変化にたえることの歴史と現在[小林 誠]
はじめに
1 自然の歴史と文化の歴史
2 別の島へ
3 新たなつながりと新たな葛藤
4 ツバルとフィジーの間で
5 さらなる変化
6 変化にたえる
おわりに
第5章 霊長類の社会変動にみるレジリエンス[竹ノ下祐二]
はじめに
1 群れの「危機」と個体の葛藤
2 「危機」における個体の創造的行動
3 人工哺育された飼育ゴリラの群れ復帰
まとめ
第6章 「互恵」と「共感」にもとづく正義の実現—共同体ガバナンスと葛藤解決における普遍的道徳基盤のはたらき[竹川大介]
1 はじめに 葛藤をのり越える
2 調査方法と地域概要
3 葛藤の事例
4 葛藤解決あるいは正義の実現
5 人間性のきざし
[補論]普遍的道徳基盤とその生物学的背景―互恵的利他行動と心の理論から生じる「互恵」と「共感」
第Ⅲ部 渾沌を生きる
第7章 国境を越えた集団移住と「環境難民」—歴史経験が生み出すバナバ人の怒りと喪失感[風間計博]
はじめに
1 サンゴ島の環境条件と集団移住
2 バナバ人の歴史経験―島の荒廃と強制移住
3 移住後の経済生活―環境への順応と困窮化
4 フィジーにおける集団移住者の法的位置
5 考察―集団移住モデルの有効性
おわりに―過酷な「理想郷」の生成
第8章 個の死と類の亡失をめぐる人類学的素描[内堀基光]
1 個の死と類の存続
2 死ぬことの人称性
3 「死者」の誕生
4 自己の死の生成と不死
5 個体の向こうと手前
6 類の存続
7 類の亡失
8 保存される種
9 生まれること
終章 カソゲの森にきざすもの—ヒトがもたらす攪乱と生成[伊藤詞子]
はじめに
1 アウター・ワールドとしてのヒト
2 インナー・ワールドの住人たち
3 渾沌を生きる
4 おわりに―クッシー再び
索 引
執筆者紹介