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梅原猛(1925-2019)が日本の文学、宗教に向けた独自の視線は、「梅原日本学」と呼ばれる。「記紀神話」「神々の流竄」「日向神話」「仏教解釈」「アイヌ」「森の思想」等々、研究は多方面にわたるが、そこに通底する「梅原哲学」は何かを問いかける。文献的知識の皮相に流されず、その内部にひそむ日本独特の「悲哀」の感情を読み取り、実証主義や文献主義に屈服することのない世界・人間解釈を目指した梅原猛。この先達に縁故を持つ著者たちが、師を回顧しその思想的意義を説く。
『京都新聞』2021年7月10日付朝刊 読書面、評者:井上章一氏
『京都新聞』2021年8月26日付朝刊 文化面、編者インタビュー
『京都新聞』2021年8月26日付朝刊 文化面、編者インタビュー
執筆者一覧(執筆順)
小川 侃(おがわ ただし)
1945年生まれ。京都大学名誉教授。
主な著作
『現象のロゴス——構造論的現象学の試み』(勁草書房,1986年), 『現象学と文化人類学 文化の多元論を越えて』(世界書院,1989年),『現象学と構造主義——対決と調和』(世界書院,1990年),『自由への構造——現象学の視点からのヨーロッパの政治哲学の歴史』(理想社,1996年),『風の現象学と雰囲気』(晃洋書房.2000年),Grund und Grenze des Bewußtseins: interkulturelle Phänomenologie aus Japanischer Sicht, Koenigshausen und Neumann, 2001, Machiavellie La Fenomenologia, Napoli, 2003, 『環境と身の現象学——環境哲学人門』(晃洋書房,2004年),Essen und Wissen: Erkundungen zur Esskultur, herausgegeben von Harald Lemke und Tadashi Ogawa, Iudicium Verlag, 2008, 『ニッコロ・マキアヴェッリと現象学——彼の汚名をすすぐ』(晃洋書房,2015年)。共編著に,『世界・地平・雰囲気 構造存在論と「新しい現象学」の視点からの研究』(多賀出版,1997年),『新現象学運動』(世界書院,1999年),『生命と環境』(京都大学学術出版会,2000年),『雰囲気と集合心性』(京都大学学術出版会,2001年),『京都学派の遺産——生と死と環境』(晃洋書房,2008年)がある。翻訳も多数。
有福孝岳(ありふく こうがく)
1939年生まれ。京都大学名誉教授,曹洞宗功山寺住職。1991年夏学期,西独ヴッパータール大学客員教授。
主な著作
『道元の世界』(大阪書籍,1985年),『カントの超越論的主体性の哲学』 (理想社,1990年),Deutsche Philosophie und Zen-Buddhismus: komparative Studien. Mit einer Einleitung von Günter Wohlfart Berlin: Akademie Vorlag, 1999,『『正法眼蔵』に親しむ』(学生社,1991年),『正法眼蔵』の心』(日本放送出版協会,1994年),『行為の哲学』(情況出版,1997年),『哲学の立場』(晃洋書房,2002年),『道元禅師のことば「修証義」入門』(法蔵館,2010年),『カント『純粋理性批判』』(晃洋書房,2012年)他。共編著に,『倫理学とはなにか その歴史と可能性』(勁草書房,1981年),『現代における人間と宗教——何故に人間は宗教を求めるのか』(京都大学学術出版会,1996年),『環境としての自然・社会・文化』(京都大学学術出版会,1997年),『カント事典』(弘文堂,1997年),『エチカとは何か——現代倫理学入門』(ナカニシヤ出版,1999年),『認識と情報』(京都大学学術出版会,1999年),『カントを学ぶ人のために』(世界思想社,2012年)がある。翻訳も多数。
天野雅郎(あまの まさお)
1955年生まれ。和歌山大学教授(図書館長)。
主な著作
「ヴィルヘルム・デイルタイ「ライプニッツとその時代」 訳注」(法政大学出版局『ディルタイ全集』所収,2010年),「教養の哲学」(和歌山大学教育学部紀要,2012年),「園芸家の十年——カレル・チャペック論」(科研費報告書,2014年),「大学とは何か」(和歌山大学の歴史と展望.2016年),「対話論ノート」(和歌山大学「教養の森」センター年報,2018年),「季節の哲学」(文学通信『東アジア文化講座』所収,2020年)。
金田 晉(かなた すすむ)
1938年生まれ。広島大学名誉教授。現在,東亜大学大学院特任教授,同研究科長。
主な著訳書
『絵画美の構造』(勁草書房,1984年),『芸術作品の現象学』(世界書院,1990年),『久野昭教授還暦記念哲学論文集』(共編著,以文社,1995年),『芸術学の100年——日本と世界の間』(編著,勁草書房,2000年),他。翻訳に.リードル『ヴァシーリー・カンデインスキー』(共訳,パルコ出版,1996年)他がある。
やすい ゆたか(本名 保井 温)
1945年生まれ。毎日文化センター講師,あすと市民大学学長,『ウェブマガジン・プロメテウス』編集長。
主な著作
『人間観の転換——マルクス物神性論批判』(青弓社,1986年),『歴史の危機——歴史終焉論を超えて』(三一書房,1995年),『イエスは食べられて復活した——バイブルの精神分析新約篇』(社会評論社,2000年),『評伝 梅原猛——哀しみのパトス』(ミネルヴァ書房,2005年),『梅原猛 聖徳太子の夢——スーパー歌舞伎・狂言の世界』(ミネルヴァ書房,2009年),『千四百年の封印——聖徳太子の謎に迫る』(社会評論社,2015年),『天照の建てた国——日本建国12の謎を解く』(社会評論社,2019年)他多数。
井上克人(いのうえ かつひと)
1949年生まれ。関西大学名誉教授。
主な著作
『露現と覆蔵——現象学から宗教哲学へ』(関西大学出版部,2003年),『西田幾多郎と明治の精神』(関西大学出版部,2011年),『〈時〉と〈鏡〉・超越的覆蔵性の哲学——道元・西田・大拙・ハイデガーの思索をめぐって』(関西大学出版部,2015年)。編著に, 1)『「大乗起信論」の研究』(関西大学出版部,2000年),『豊穣なる明治』(関西大学出版部,2012年),『近世近代日中文化交渉の諸相』(関西大学出版部,2017年),『東アジア圏における文化交渉の軌跡と展望』(関西大学出版部,2020年)がある。
梅原賢一郎(うめはら けんいちろう)
1953年生まれ。滋賀県立大学教授,京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)教授など歴任,現在,京都芸術大学客員教授。
主な著作
『カミの現象学——身体から見た日本文化論』(角川書店,2003年),『感覚のレッスン』(角川学芸出版,2009年),詩集に『肉彩』(思潮社,2012年),超訳詩集に『洗濯屋さん道元』(七月堂,2019年),編著に『不在の空——「いま・ここ」を生きた女性の肖像』(角川学芸出版,2011年),共著に『身体感覚の旅——レジーヌ・ショピノとパシフィックメルティングポット』(大阪大学出版会,2017年)他。
日下部吉信(くさかべよしのぶ)
1946年生まれ。立命館大学名誉教授。
主な著訳書
『ギリシア哲学と主観性——初期ギリシア哲学研究』(法政大学出版局,2008年),『ギリシア哲学30講——人類の原初の思索から』(上・下) (明石書店,2018-2019
年)。翻訳に,A.トレンデレンブルク『カテゴリー論史』(松籟社,1985年),『初期ギリシア自然哲学者断片集』全3巻(筑摩書房,2000-2001年)がある。
硼宜田政信(ねぎた まさのぶ)
1951年生まれ。中央大学法学部卒業。碧南市議会議員を務め,2008年より碧南市長(現在4期目)。
小川 侃(おがわ ただし)
1945年生まれ。京都大学名誉教授。
主な著作
『現象のロゴス——構造論的現象学の試み』(勁草書房,1986年), 『現象学と文化人類学 文化の多元論を越えて』(世界書院,1989年),『現象学と構造主義——対決と調和』(世界書院,1990年),『自由への構造——現象学の視点からのヨーロッパの政治哲学の歴史』(理想社,1996年),『風の現象学と雰囲気』(晃洋書房.2000年),Grund und Grenze des Bewußtseins: interkulturelle Phänomenologie aus Japanischer Sicht, Koenigshausen und Neumann, 2001, Machiavellie La Fenomenologia, Napoli, 2003, 『環境と身の現象学——環境哲学人門』(晃洋書房,2004年),Essen und Wissen: Erkundungen zur Esskultur, herausgegeben von Harald Lemke und Tadashi Ogawa, Iudicium Verlag, 2008, 『ニッコロ・マキアヴェッリと現象学——彼の汚名をすすぐ』(晃洋書房,2015年)。共編著に,『世界・地平・雰囲気 構造存在論と「新しい現象学」の視点からの研究』(多賀出版,1997年),『新現象学運動』(世界書院,1999年),『生命と環境』(京都大学学術出版会,2000年),『雰囲気と集合心性』(京都大学学術出版会,2001年),『京都学派の遺産——生と死と環境』(晃洋書房,2008年)がある。翻訳も多数。
有福孝岳(ありふく こうがく)
1939年生まれ。京都大学名誉教授,曹洞宗功山寺住職。1991年夏学期,西独ヴッパータール大学客員教授。
主な著作
『道元の世界』(大阪書籍,1985年),『カントの超越論的主体性の哲学』 (理想社,1990年),Deutsche Philosophie und Zen-Buddhismus: komparative Studien. Mit einer Einleitung von Günter Wohlfart Berlin: Akademie Vorlag, 1999,『『正法眼蔵』に親しむ』(学生社,1991年),『正法眼蔵』の心』(日本放送出版協会,1994年),『行為の哲学』(情況出版,1997年),『哲学の立場』(晃洋書房,2002年),『道元禅師のことば「修証義」入門』(法蔵館,2010年),『カント『純粋理性批判』』(晃洋書房,2012年)他。共編著に,『倫理学とはなにか その歴史と可能性』(勁草書房,1981年),『現代における人間と宗教——何故に人間は宗教を求めるのか』(京都大学学術出版会,1996年),『環境としての自然・社会・文化』(京都大学学術出版会,1997年),『カント事典』(弘文堂,1997年),『エチカとは何か——現代倫理学入門』(ナカニシヤ出版,1999年),『認識と情報』(京都大学学術出版会,1999年),『カントを学ぶ人のために』(世界思想社,2012年)がある。翻訳も多数。
天野雅郎(あまの まさお)
1955年生まれ。和歌山大学教授(図書館長)。
主な著作
「ヴィルヘルム・デイルタイ「ライプニッツとその時代」 訳注」(法政大学出版局『ディルタイ全集』所収,2010年),「教養の哲学」(和歌山大学教育学部紀要,2012年),「園芸家の十年——カレル・チャペック論」(科研費報告書,2014年),「大学とは何か」(和歌山大学の歴史と展望.2016年),「対話論ノート」(和歌山大学「教養の森」センター年報,2018年),「季節の哲学」(文学通信『東アジア文化講座』所収,2020年)。
金田 晉(かなた すすむ)
1938年生まれ。広島大学名誉教授。現在,東亜大学大学院特任教授,同研究科長。
主な著訳書
『絵画美の構造』(勁草書房,1984年),『芸術作品の現象学』(世界書院,1990年),『久野昭教授還暦記念哲学論文集』(共編著,以文社,1995年),『芸術学の100年——日本と世界の間』(編著,勁草書房,2000年),他。翻訳に.リードル『ヴァシーリー・カンデインスキー』(共訳,パルコ出版,1996年)他がある。
やすい ゆたか(本名 保井 温)
1945年生まれ。毎日文化センター講師,あすと市民大学学長,『ウェブマガジン・プロメテウス』編集長。
主な著作
『人間観の転換——マルクス物神性論批判』(青弓社,1986年),『歴史の危機——歴史終焉論を超えて』(三一書房,1995年),『イエスは食べられて復活した——バイブルの精神分析新約篇』(社会評論社,2000年),『評伝 梅原猛——哀しみのパトス』(ミネルヴァ書房,2005年),『梅原猛 聖徳太子の夢——スーパー歌舞伎・狂言の世界』(ミネルヴァ書房,2009年),『千四百年の封印——聖徳太子の謎に迫る』(社会評論社,2015年),『天照の建てた国——日本建国12の謎を解く』(社会評論社,2019年)他多数。
井上克人(いのうえ かつひと)
1949年生まれ。関西大学名誉教授。
主な著作
『露現と覆蔵——現象学から宗教哲学へ』(関西大学出版部,2003年),『西田幾多郎と明治の精神』(関西大学出版部,2011年),『〈時〉と〈鏡〉・超越的覆蔵性の哲学——道元・西田・大拙・ハイデガーの思索をめぐって』(関西大学出版部,2015年)。編著に, 1)『「大乗起信論」の研究』(関西大学出版部,2000年),『豊穣なる明治』(関西大学出版部,2012年),『近世近代日中文化交渉の諸相』(関西大学出版部,2017年),『東アジア圏における文化交渉の軌跡と展望』(関西大学出版部,2020年)がある。
梅原賢一郎(うめはら けんいちろう)
1953年生まれ。滋賀県立大学教授,京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)教授など歴任,現在,京都芸術大学客員教授。
主な著作
『カミの現象学——身体から見た日本文化論』(角川書店,2003年),『感覚のレッスン』(角川学芸出版,2009年),詩集に『肉彩』(思潮社,2012年),超訳詩集に『洗濯屋さん道元』(七月堂,2019年),編著に『不在の空——「いま・ここ」を生きた女性の肖像』(角川学芸出版,2011年),共著に『身体感覚の旅——レジーヌ・ショピノとパシフィックメルティングポット』(大阪大学出版会,2017年)他。
日下部吉信(くさかべよしのぶ)
1946年生まれ。立命館大学名誉教授。
主な著訳書
『ギリシア哲学と主観性——初期ギリシア哲学研究』(法政大学出版局,2008年),『ギリシア哲学30講——人類の原初の思索から』(上・下) (明石書店,2018-2019
年)。翻訳に,A.トレンデレンブルク『カテゴリー論史』(松籟社,1985年),『初期ギリシア自然哲学者断片集』全3巻(筑摩書房,2000-2001年)がある。
硼宜田政信(ねぎた まさのぶ)
1951年生まれ。中央大学法学部卒業。碧南市議会議員を務め,2008年より碧南市長(現在4期目)。
はじめに [小川 侃]
I
梅原哲学の世界史的意義 [小川 侃]
人間存在と生死の間題 [有福孝岳]
II
きのくに・わかうら・わたくし考——梅原猛『さまよえる歌集』の跡を追う [天野雅郎]
星座と器——暦法の原イメージ [金田 晉]
黒暗淵の面の如く——「哲学者」梅原猛の魅力 [井上克人]
言葉の「施術」——『正法眼蔵』のもう一つの読み方 [梅原賢一郎]
哲学者梅原猛——縄文と森の思想 [日下部吉信]
III
梅原仏教学——「仏に成ること」 [有福孝岳]
梅原猛を弔うということ [やすい ゆたか]
対談「ハイデガーについて」 [梅原猛・日下部吉信]
碧南市哲学たいけん村無我苑 [碧南市長 禰宜田政信]
索引(人名/事項)
I
梅原哲学の世界史的意義 [小川 侃]
人間存在と生死の間題 [有福孝岳]
II
きのくに・わかうら・わたくし考——梅原猛『さまよえる歌集』の跡を追う [天野雅郎]
星座と器——暦法の原イメージ [金田 晉]
黒暗淵の面の如く——「哲学者」梅原猛の魅力 [井上克人]
言葉の「施術」——『正法眼蔵』のもう一つの読み方 [梅原賢一郎]
哲学者梅原猛——縄文と森の思想 [日下部吉信]
III
梅原仏教学——「仏に成ること」 [有福孝岳]
梅原猛を弔うということ [やすい ゆたか]
対談「ハイデガーについて」 [梅原猛・日下部吉信]
碧南市哲学たいけん村無我苑 [碧南市長 禰宜田政信]
索引(人名/事項)