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オランダの法学者グロティウス(1583-1645)の『海洋自由論』と、イギリスの歴史家セルデン(1584-1654)の『海洋閉鎖論』第一部を収める。自然法思想から、人間は本来私有物をもたず、海は万人の共有物だと主張する前者に対して、イギリスの権益を守るべく国の所有権を唱えたのが後者である。「公海」か「領海」かをめぐる大論争を記した古典的文献をラテン語原文から翻訳。
本田 裕志(ほんだ ひろし)
龍谷大学文学部元教授
1956年 東京都に生まれる
1987年 京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学
龍谷大学文学部助教授を経て、2007年より教授(2014年8月退職)
主な著訳書
『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』(晃洋書房)
『生命倫理の現在』(共著、世界思想社)
『環境と倫理』(共著、有斐閣)
『応用倫理学事典』(共編著、丸善)
ホッブズ『市民論』『人間論』『物体論』(京都大学学術出版会)
サン-ピエール『永久平和論1』『永久平和論2』(京都大学学術出版会)
龍谷大学文学部元教授
1956年 東京都に生まれる
1987年 京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学
龍谷大学文学部助教授を経て、2007年より教授(2014年8月退職)
主な著訳書
『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』(晃洋書房)
『生命倫理の現在』(共著、世界思想社)
『環境と倫理』(共著、有斐閣)
『応用倫理学事典』(共編著、丸善)
ホッブズ『市民論』『人間論』『物体論』(京都大学学術出版会)
サン-ピエール『永久平和論1』『永久平和論2』(京都大学学術出版会)
凡例
訳者からのメッセージ
グロティウス『海洋自由論』
(序 文) キリスト教圏の〔諸々の君主国の〕元首たちと諸々の自由国の国民に向けて
第一章 万民法により、どのような人々にとっても、どのような人々の許への航海も自由であるということ
第二章 オランダ人の航海先である〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、ポルトガル人はいかなる支配権も、この地を発見したからという口実によって有してはいないということ
第三章 ポルトガル人は〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、教皇からこの地を贈与されたからという口実によって支配権を有してはいないということ
第四章 ポルトガル人は〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、戦争という口実によって支配権を有してはいないということ
第五章 〔東〕インド〔諸島〕までの海やそこを航行する権利は、この海を占領しているからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第六章 海や航行する権利は、教皇からそれらを贈与されたからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第七章 海や航行する権利は、時効あるいは慣習という口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第八章 万民法により、どのような人々同士の間でも商取引は自由であるということ
第九章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、ポルトガル人がこの地を占有しているからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、教皇の贈与という口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十一章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、時効あるいは慣習の法によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十二章 ポルトガル人は、〔他国民の東インド諸島民との〕通商を妨げる際に、いかなる公正さをも拠りどころとしていないこと
第十三章 〔東〕インド〔諸島〕との通商の権利は、平和・休戦・戦争のいずれに際しても、オランダ人によって保持されなければならない
付 録
セルデン『海洋閉鎖論1』
(献辞)
序 文
第一巻
第一章 本書の区分と第一巻の配列
第二章 海の支配権に抵触するように思われ、かつ常々それに反対して述べられていることはどのようなことか
第三章 問題になっている「海」という単語について。また、探究に役立つであろう法の区分
第四章 万人の共同の支配権と私的支配権について。分配によるか、もしくは占有による私的支配権の始まり
第五章 私的支配権の結果。また、大昔に行なわれた諸事物の分配に際して、海についてどのような考慮が払われたか
第六章 神の法、すなわち聖書の中に見える神の御言葉は、海の私的支配権に対して好意的であること。さらに、聖なる地帯の西部の土地に打ち寄せる至極広大な海、あるいは少なくともそのかなりの部分は、ヘブライ人の律法学者たちによると、神の指定分配によってイスラエルの領有域になったこと
第七章 許可的な自然法(その有用性がこの場合にはある)は、古今の時代の比較的名高く、かつ比較的開化の進んだ諸国民の慣行やものの考え方から見出されなければならないこと
第八章 数多くの時代の、数多くの国々の国民の慣行から、海の私的支配権についての許可的な法が引き出される手順。寓話時代に関しては、このことの証拠は十分に明らかであること。また話のついでに、グナエウス・ポンペイウスにその命令権が委ねられた、ローマ人の海たる地中海について
第九章 歴史時代におけるギリシア人たちの間での最初の海の支配権、すなわちミノスの、ないしクレタ人の海の支配権
第十章 クレタのミノスの後、東方で相次いで登場した七十もの名高い諸民族が、非常に多くの年数にわたってたて続けに、シリア・エジプト・パンピリア・リュディアの海およびエーゲ海の支配権を、大陸や島嶼の支配権と異ならない仕方で掌握したこと
第十一章 ラコニカ〔スパルタ〕とアッティカ〔アテナイ〕の海上支配権について。のみならず、この支配権がギリシア人だけでなくペルシア人によっても盟約の中で認められたこと
第十二章 東方の人々の慣行における海の支配権についての、散見されるその他の証拠について
第十三章 西方における海の支配者であったスピナ人・ティレニア人・カルタゴ人その他の人々について
第十四章 ローマの国民と、東ローマ帝国内でローマ国民の慣行に従った人々との海上支配権について
第十五章 ローマ帝国における私人たちの海上支配権。またそれとともに、何人かの人々が引き合いに出していた海の恒久的共有を完全に、それも不正なこととして廃し、さらに海に関する私人たちの支配権を確立した、東ローマ帝国における皇帝の勅諚
第十六章 今なお繁栄している国々の国民の慣行中における海の支配権について。第一に、アドリア海に対するヴェネチア人の支配権について、またリグリア海に対するジェノヴァ人の支配権と、ティレニア海に対するトスカナ人の支配権について、そして最後に、ローマ教会の、すなわちローマ教皇の海に対する支配権について
第十七章 ポルトガル人とスペイン人のもとで受け入れられている、海の支配権をめぐる諸慣行について
第十八章 フランス人の諸々の慣行と意見の中で、海の私的支配権はどの程度まで認められているか
第十九章 デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・ポーランド・トルコの各国民の間で受け入れられている諸慣行の中での海の私的支配権
第二十章 商人・外国人旅行者・航海者にとっての自由な通行という反論に対して回答がなされる
第二十一章 海の流動的で絶えず変化する性質という反対論に答える。川や〔領地に〕接している空気(これらは海よりももっと流動的である)もまた所有物へと移行すること
第二十二章 海には境目も境界もないとか、海は広大無辺で無尽蔵に豊かであるとかいった反対論に対する回答がなされる
第二十三章 他のことを論じている著作家たちから出てきたもので、海の支配権に対抗して持ち出されるのが常であるような諸々の証拠に対する回答がなされる
第二十四章 昔の法学者たちから持ち出してこられた反対論に対する回答
第二十五章 「ロドス島の法律について」と題された嘆願書に対する皇帝アントニヌスの(通常の訳し方によれば)「私は世界の支配者であるが、海の支配者は法律である」という答勅について。この答勅の真の意味と、新たな、しかし真正な訳し方。この答勅の中には、海の支配権に完全に反することは何一つ確知されないこと
第二十六章 比較的最近の法学者たちの、〔海の支配権に〕反対するかぎりでの諸々の意見、とりわけフェルナンド・バスケスとフーゴー・グロティウスの意見に対して、回答がなされる
第一分冊解説
グロティウス『海洋自由論』索引(人名・事項)
訳者からのメッセージ
グロティウス『海洋自由論』
(序 文) キリスト教圏の〔諸々の君主国の〕元首たちと諸々の自由国の国民に向けて
第一章 万民法により、どのような人々にとっても、どのような人々の許への航海も自由であるということ
第二章 オランダ人の航海先である〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、ポルトガル人はいかなる支配権も、この地を発見したからという口実によって有してはいないということ
第三章 ポルトガル人は〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、教皇からこの地を贈与されたからという口実によって支配権を有してはいないということ
第四章 ポルトガル人は〔東〕インド〔諸島〕の人々に対して、戦争という口実によって支配権を有してはいないということ
第五章 〔東〕インド〔諸島〕までの海やそこを航行する権利は、この海を占領しているからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第六章 海や航行する権利は、教皇からそれらを贈与されたからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第七章 海や航行する権利は、時効あるいは慣習という口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第八章 万民法により、どのような人々同士の間でも商取引は自由であるということ
第九章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、ポルトガル人がこの地を占有しているからという口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、教皇の贈与という口実によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十一章 〔東〕インド〔諸島〕の人々との商取引は、時効あるいは慣習の法によってポルトガル人の所有の下にありはしないということ
第十二章 ポルトガル人は、〔他国民の東インド諸島民との〕通商を妨げる際に、いかなる公正さをも拠りどころとしていないこと
第十三章 〔東〕インド〔諸島〕との通商の権利は、平和・休戦・戦争のいずれに際しても、オランダ人によって保持されなければならない
付 録
セルデン『海洋閉鎖論1』
(献辞)
序 文
第一巻
第一章 本書の区分と第一巻の配列
第二章 海の支配権に抵触するように思われ、かつ常々それに反対して述べられていることはどのようなことか
第三章 問題になっている「海」という単語について。また、探究に役立つであろう法の区分
第四章 万人の共同の支配権と私的支配権について。分配によるか、もしくは占有による私的支配権の始まり
第五章 私的支配権の結果。また、大昔に行なわれた諸事物の分配に際して、海についてどのような考慮が払われたか
第六章 神の法、すなわち聖書の中に見える神の御言葉は、海の私的支配権に対して好意的であること。さらに、聖なる地帯の西部の土地に打ち寄せる至極広大な海、あるいは少なくともそのかなりの部分は、ヘブライ人の律法学者たちによると、神の指定分配によってイスラエルの領有域になったこと
第七章 許可的な自然法(その有用性がこの場合にはある)は、古今の時代の比較的名高く、かつ比較的開化の進んだ諸国民の慣行やものの考え方から見出されなければならないこと
第八章 数多くの時代の、数多くの国々の国民の慣行から、海の私的支配権についての許可的な法が引き出される手順。寓話時代に関しては、このことの証拠は十分に明らかであること。また話のついでに、グナエウス・ポンペイウスにその命令権が委ねられた、ローマ人の海たる地中海について
第九章 歴史時代におけるギリシア人たちの間での最初の海の支配権、すなわちミノスの、ないしクレタ人の海の支配権
第十章 クレタのミノスの後、東方で相次いで登場した七十もの名高い諸民族が、非常に多くの年数にわたってたて続けに、シリア・エジプト・パンピリア・リュディアの海およびエーゲ海の支配権を、大陸や島嶼の支配権と異ならない仕方で掌握したこと
第十一章 ラコニカ〔スパルタ〕とアッティカ〔アテナイ〕の海上支配権について。のみならず、この支配権がギリシア人だけでなくペルシア人によっても盟約の中で認められたこと
第十二章 東方の人々の慣行における海の支配権についての、散見されるその他の証拠について
第十三章 西方における海の支配者であったスピナ人・ティレニア人・カルタゴ人その他の人々について
第十四章 ローマの国民と、東ローマ帝国内でローマ国民の慣行に従った人々との海上支配権について
第十五章 ローマ帝国における私人たちの海上支配権。またそれとともに、何人かの人々が引き合いに出していた海の恒久的共有を完全に、それも不正なこととして廃し、さらに海に関する私人たちの支配権を確立した、東ローマ帝国における皇帝の勅諚
第十六章 今なお繁栄している国々の国民の慣行中における海の支配権について。第一に、アドリア海に対するヴェネチア人の支配権について、またリグリア海に対するジェノヴァ人の支配権と、ティレニア海に対するトスカナ人の支配権について、そして最後に、ローマ教会の、すなわちローマ教皇の海に対する支配権について
第十七章 ポルトガル人とスペイン人のもとで受け入れられている、海の支配権をめぐる諸慣行について
第十八章 フランス人の諸々の慣行と意見の中で、海の私的支配権はどの程度まで認められているか
第十九章 デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・ポーランド・トルコの各国民の間で受け入れられている諸慣行の中での海の私的支配権
第二十章 商人・外国人旅行者・航海者にとっての自由な通行という反論に対して回答がなされる
第二十一章 海の流動的で絶えず変化する性質という反対論に答える。川や〔領地に〕接している空気(これらは海よりももっと流動的である)もまた所有物へと移行すること
第二十二章 海には境目も境界もないとか、海は広大無辺で無尽蔵に豊かであるとかいった反対論に対する回答がなされる
第二十三章 他のことを論じている著作家たちから出てきたもので、海の支配権に対抗して持ち出されるのが常であるような諸々の証拠に対する回答がなされる
第二十四章 昔の法学者たちから持ち出してこられた反対論に対する回答
第二十五章 「ロドス島の法律について」と題された嘆願書に対する皇帝アントニヌスの(通常の訳し方によれば)「私は世界の支配者であるが、海の支配者は法律である」という答勅について。この答勅の真の意味と、新たな、しかし真正な訳し方。この答勅の中には、海の支配権に完全に反することは何一つ確知されないこと
第二十六章 比較的最近の法学者たちの、〔海の支配権に〕反対するかぎりでの諸々の意見、とりわけフェルナンド・バスケスとフーゴー・グロティウスの意見に対して、回答がなされる
第一分冊解説
グロティウス『海洋自由論』索引(人名・事項)