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プリミエ・コレクション 65

「記号」と「言語」

アウグスティヌスの聖書解釈学

須藤 英幸

A5上製・336頁

ISBN: 9784814000135

発行年月: 2016/03

  • 本体: 4,400円(税込 4,840円
  • 在庫あり
 
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内容

キリスト教世界最大の哲学者アウグスティヌスを、近年注目を浴びている言語記号理論と、聖書解釈学の視点から論じる。独自の記号理論を有しながら、同時にその聖書解釈がキリスト教的生にも深く関わっている、この稀有なる思想家の本質を明らかにする。

プロフィール

須藤 英幸(すどう ひでゆき)

京都大学文学部・文学研究科非常勤講師。
福島県生まれ。2003年、Fuller Theological Seminary, Master of Arts in Theology修了。2011年、京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻(キリスト教学)博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。

主な著作
“The Problem of Conversion in Ad Simplicianum: Augustine's Proposal of a Suitable Call (vocatio congruens) for the Human Condition," Patristica: Journal of the Japanese Society for Patristic Studies, Supplementary (vol. 3), 2011.
「アウグスティヌスにおける聖書解釈学と生の展開」『中世哲学研究——Veritas』第31号,2012年。
「アウグスティヌス『三位一体論』における内的言葉」『基督教学研究』第33号,2013年。

目次

序 論
  第一節 探求すべき問い
  第二節 『キリスト教の教え』の聖書解釈学
   一 主題をめぐる研究史
   二 意図される読者をめぐる研究史
   三 執筆時期とレニングラード写本
   四 内容と構造
   五 用語としての聖書解釈学
  第三節 言語の媒介性と本書の目的と方法
   一 言語の媒介性をめぐる研究史㈵(一九八〇年以前)
   二 言語の媒介性をめぐる研究史㈼(一九八〇年以降)
   三 本書の目的と方法

第I部 アウグスティヌスの記号理論
  第I部のアプローチ

第一章 『教師論』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 『教師論』の概略
   一 記号理論と照明説
   二 言葉と思考との乖離
   三 真の内的教師
   四 単語単位としての記号
  第三節 『問答法』との対比
   一 言葉の分類
   二 理性的判断と内的真理
   三 記号と事柄の関係性の内的把握
   四 言葉の分類と口述可能なもの
  第四節 アリストテレス『命題論』との対比
   一 記号理論の構造対比
   二 命題の意味と多義性の問題
  第五節 『教師論』の照明と言葉
   一 命題の意味と権威
   二 事柄の権威と言葉の権威
   三 言葉の権威と言葉への懐疑
  第六節 結語

第二章 『問答法』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 ストア学派の論理学
   一 ストア派言語論のシニフィアン
   二 ストア派言語論のシニフィエ
   三 ストア学派の記号論
  第三節 『問答法』の記号理論とその適用
   一 『問答法』の概略
   二 『問答法』の言語理解
   三 アウグスティヌスによる記号理論の適用
  第四節 マークス説とジャクソン説
   一 アウグスティヌスの独自性をめぐるマークス説
   二 ジャクソンによるマークス批判とその検証
  第五節 結語

第三章 『キリスト教の教え』の記号理論
  第一節 問題と方法
  第二節 『キリスト教の教え』の三極構造をめぐる諸説
   一 三極構造をめぐるマークス説とシモーネ説
   二 三極構造をめぐるジャクソン説
  第三節 『キリスト教の教え』の記号理論と聖書解釈学
   一 単語単位の記号理論と文章単位の意味理論
   二 受信型記号と発信型記号
   三 聖書解釈学と三極構造
  第四節 結語

第II部 アウグスティヌスの言語理論
  第II部のアプローチ

第四章 『教師論』の言語理論と『三位一体論』の内的言葉
  第一節 問題と方法
  第二節 『教師論』の主題とその意味理論
   一 『教師論』の主題と構成をめぐる諸見解
   二 『教師論』の言葉の二重性
   三 『教師論』の意味理論
  第三節 『三位一体論』の内的言葉
   一 『キリスト教の教え』の「心に保持する言葉」
   二 『三位一体論』の内的言葉と受肉的音声
   三 『三位一体論』の内的言葉と愛
  第四節 結語

第五章 『シンプリキアヌスへ』の言語理解と『キリスト教の教え』
  第一節 問題と方法
  第二節 『シンプリキアヌスへ』の言語理論をめぐる転換
   一 『ローマ人への手紙諸論題の注解』の回心構造
   二 『シンプリキアヌスへ』の「相応しい呼びかけ」
   三 「相応しい呼びかけ」をめぐる諸見解
   四 「相応しい呼びかけ」をめぐる諸見解の検討
   五 「相応しい呼びかけ」による回心構造と自由意志
   六 『シンプリキアヌスへ』の言語理解
  第三節 『キリスト教の教え』の言語理論とその恩恵的前提
   一 『キリスト教の教え』序論の言語理解と恩恵
   二 『キリスト教の教え』と表現内容としての魂の動き
   三 言語理論の発展性をめぐるアリーチとフレテレンの見解
   四 照明の方法と言語の方法
  第四節 結語

第III部 『キリスト教の教え』の聖書解釈学
  第III部のアプローチ

第六章 『キリスト教の教え』の聖書解釈学とクライテリア
  第一節 問題と方法
  第二節 『マニ教徒に対する創世記』のクライテリア
   一 アンブロシウスの説教と馬鹿げたこと
   二 『マニ教徒に対する創世記』のクライテリアとペパン説
  第三節 『キリスト教の教え』のクライテリア
   一 『キリスト教の教え』のresとsigna
   二 多義記号の解釈とその意義
   三 『キリスト教の教え』のクライテリアとマルー説
  第四節 『キリスト教の教え』のクライテリアの特殊性
   一 クライテリアの転換なのか
   二 テスケ説とクライテリアの特殊性の原因 I
   三 テスケ説とクライテリアの特殊性の原因 II
  第五節 『キリスト教の教え』のクライテリアとキリスト教共同体
   一 キリスト教共同体のres
   二 キリスト教共同体のsigna
  第六節 結語

第七章 『キリスト教の教え』の聖書解釈学と生の展開
  第一節 問題と方法
  第二節 『キリスト教の教え』の生の展開
   一 七段階の生の展開
   二 知識の第三段階
  第三節 字義的解釈と情念
   一 字義的解釈の位置づけ
   二 情念と悲嘆
  第四節 比喩的解釈と喜び
   一 比喩的解釈の位置づけ
   二 喜びによる悲嘆の克服
   三 比喩的解釈の解釈学的役割
   四 『詩編注解』の比喩的解釈
  第五節 結語

結 論
   一 媒介としての言語の可能性
   二 聖書解釈学における人間の現実的状況と言語表現
   三 アウグスティヌスの聖書解釈学をめぐる研究の展望

あとがき
引用文献表
  一次資料
  一次資料(翻訳書)
  二次文献(若干の参照文献を含む)
  索引(人名・事項)
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