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文字を持たなかった人々の,強い移動分散性を特徴とする海域・島嶼世界.書かれた記録や形あるものとして痕跡が残りにくい地域の歴史動態をどう再構成するのか? 考古学的方法を駆使して,海域世界の特性の生成と変容を美事にあぶり出した意欲作.美しい写真記録と,一万年を遡る大胆で溌剌とした論述が,地域研究に新しい風を吹き込む.
第4回東南アジア考古学会奨励賞
『東南アジア研究』50巻1号、143-146頁、評者:長津一史氏
小野林太郎(おの りんたろう)
1975年島根県生まれ.2003年,上智大学外国語学研究科地域研究専攻博士課程単位取得退学.日本学術振興会特別研究員(国立民族学博物館),総合地球環境学研究所研究プロジェクト推進支援員,日本学術振興会海外特別研究員(オーストラリア国立大学)などを経て,2010年より東海大学海洋学部海洋文明学科専任講師.博士(地域研究).専門は東南アジア,オセアニア地域研究,および海域世界の人類学,考古学,民族考古学.
おもな著作に,Ethnoarchaeology and the early Ausutornesian fishing strategies in near-shore environments(Journal of the Polynesian Society 119(3), 2010),「東南アジアからオセアニアへの移住と居住戦略」(吉岡政德監修『オセアニア学』京都大学学術出版会,2009年),「ボルネオ島サマ人による漁撈の「近代化」と「伝統」:陸サマと海サマによる漁撈の比較をとおして」(『国立民族学博物館研究報告』31(4),2007年),Prehistoric Austronesian fishing strategies: A comparison between Island Southeast Asia and Lapita Cultural Complex(C. Sand ed. Pacific Archaeology: Assessments and Prospects, Noumea: New Caledonia Museum, 2003)など.
1975年島根県生まれ.2003年,上智大学外国語学研究科地域研究専攻博士課程単位取得退学.日本学術振興会特別研究員(国立民族学博物館),総合地球環境学研究所研究プロジェクト推進支援員,日本学術振興会海外特別研究員(オーストラリア国立大学)などを経て,2010年より東海大学海洋学部海洋文明学科専任講師.博士(地域研究).専門は東南アジア,オセアニア地域研究,および海域世界の人類学,考古学,民族考古学.
おもな著作に,Ethnoarchaeology and the early Ausutornesian fishing strategies in near-shore environments(Journal of the Polynesian Society 119(3), 2010),「東南アジアからオセアニアへの移住と居住戦略」(吉岡政德監修『オセアニア学』京都大学学術出版会,2009年),「ボルネオ島サマ人による漁撈の「近代化」と「伝統」:陸サマと海サマによる漁撈の比較をとおして」(『国立民族学博物館研究報告』31(4),2007年),Prehistoric Austronesian fishing strategies: A comparison between Island Southeast Asia and Lapita Cultural Complex(C. Sand ed. Pacific Archaeology: Assessments and Prospects, Noumea: New Caledonia Museum, 2003)など.
序章 海域世界とその研究方法
1―問題の所在
1.1 最初のフィールドワークから
1.2 東南アジア海域世界のモデル
1.3 ミクロな世界単位としてのセレベス海域
1.4 海域世界研究への視座
1.5 海民の定義
2―セレベス海域
2.1 セレベス海域とその特徴
2.2 セレベス海域における考古学研究
3―方法論の模索
3.1 地域研究としての民族考古学
3.2 民族考古学とその方法論
4―各章の内容と主な流れについて
第1章 現代セレベス海域の自然と人
はじめに
1―気 候
2―植 生
3―動 物
4―海産資源
5―海民のモザイク―セレベス海域に暮らす人びと
第2章 セレベス海域の生業文化と人類史
はじめに
1―セレベス海域と人類の登場―更新世後期の生業文化
2―温暖化と海洋適応の促進―完新世前期の生業文化
3―農耕の出現と新たな植民の幕開け―新石器時代の生業文化
4―遅れた技術革新と周縁化―金属器時代の生業文化
5―小王国の出現と分業化―交易・植民地時代の生業文化
6―小 結
第3章 「沿岸漁撈システム」の形成―新石器時代のセレベス海民
はじめに
1―新石器時代遺跡の発掘―ブキットテンコラック遺跡
2―出土した考古遺物の紹介
3―魚の骨を調べる
3.1 魚骨の出土状況
3.2 魚骨と標本を比較する
3.3 魚の実サイズを推測する
3.4 出土魚骨の時間変化をみる
4―ブキットテンコラック遺跡における漁撈活動
4.1 考古学資料からの検討方法
4.2.出土魚類の習性と生息分布
5―海民とフロンティア世界の出現
5.1 セレベス海域内での漁撈と海産資源利用
5.2 周辺世界における漁撈活動と漁撈戦略
5.3 「沿岸漁撈システム」の形成
第4章 「沿岸漁撈システムの発展」―金属器~植民地時代のセレベス海民
はじめに
1―金属器時代遺跡の発掘―リアン・ブイダ遺跡
1.1 リアン・ブイダ遺跡について
1.2 出土した考古遺物の紹介
人工遺物
A:土 器
B:石製品
C:鉄製品
D:陶磁器片
E:漁 具
自然遺物
A:動物遺存体
B:植物遺存体
C:貝類遺存体
1.3 金属器時代のタラウド諸島における漁撈活動
2―植民地時代遺跡の発掘―ブキットティウィン遺跡
2.1 ブキットティウィン遺跡について
2.2 遺物の出土状況
人工遺物
A:土 器
B:石製品
C:鉄製品
D:陶磁器片
E:その他の遺物群
自然遺物
A:動物遺存体
B:植物遺存体
C:貝類遺存体
2.3 ブキットティウィン遺跡での漁撈活動
2.4 金属器~植民地時代のタラウド諸島における漁撈活動
3―文献資料からみられるセレベス海民と海洋文化
3.1 文献資料からみられるセレベス海域の漁撈と海洋文化
3.2 海洋文化にかかわる技術的発展
(1)漁撈技術の発達
(2)製塩技術の発展
(3)造船技術の発展
3.3 海民の生業分化と専業漁民の出現
4―周辺世界との比較
4.1 金属~植民地時代期の東南アジア海域世界
4.2 植民地時代以前のオセアニア海域世界
4.3 植民地時代以降の変化
5―「沿岸漁撈システム」の発達―金属器~植民地時代の漁撈戦略
第5章 現代サマの漁撈―近代以降における漁撈戦略の様相
はじめに
1―サマ集団とフィールドワーク
1.1 サマについて
1.2 フィールドワークについて
1.3 調査村落の概容
2―サマによる伝統的な漁撈活動の枠組み
2.1 漁撈活動における特徴
2.2 漁具にみられる特徴
2.3 季節性とのかかわり
2.4 魚にかかわる嗜好性と文化的規制
3―現代サマによる漁撈活動
3.1 漁撈をおこなう人びと
A:陸サマ世帯の状況
B:海サマ世帯の状況
3.2 サマの漁撈活動
A:陸サマによる漁撈活動
B:海サマによる漁撈活動
3.3 漁法と漁獲効率
A:陸サマ世帯
B:海サマ世帯
3.4 漁法と漁獲される魚の種類
3.5 漁場とのかかわり
4―漁獲物の消費から廃棄までのプロセス
4.1 サマによる漁獲物の利用パターン
4.2 漁獲物の自家消費
4.3 漁獲物の販売
4.4 漁獲の廃棄
5―「近代」以降の漁撈戦略―ボルネオ島東岸域の様相
5.1 センポルナ郡におけるその他の漁業形態
5.2 現代サマの漁撈戦略
第6章 漁撈のインボリューション?―近現代のセレベス海民
はじめに
1―近現代のセレベス海民と漁撈活動
1.1 深い海と低い島の事例―タラウド諸島の漁撈
1.2 深い海と高い島の事例―サンギヘ諸島の漁撈
1.3 深い海と大きな島の事例―ミンダナオ島沿岸の漁撈
1.4 浅い海と小さな島々の事例―スールー諸島の漁撈
2―周辺海域における漁撈と海産資源利用
2.1 ビサヤ以北のフィリピン海域
2.2 インドネシア海域の状況
2.3 オセアニア海域の状況
3―「近代」化にともなう漁撈と漁撈文化の変遷
3.1 漁船にみられる変化と伝統性
3.2 漁具や冷蔵技術の革新とその影響
3.3 海産資源の乱獲と資源管理への動き
4―漁撈のインボリューション?
「近代」以降におけるセレベス海域の漁撈戦略
第7章 漁撈からみた東南アジア海域世界の海域像
はじめに
1―民族考古学的考察
2―セレベス海域における海洋適応・漁撈技術・海産資源利用
3―漁撈からみたセレベス海域の生業文化
4―漁撈からみた東南アジア海域世界―その海域像
5―課題と展望
Appendix
あとがき
参考文献
索 引
1―問題の所在
1.1 最初のフィールドワークから
1.2 東南アジア海域世界のモデル
1.3 ミクロな世界単位としてのセレベス海域
1.4 海域世界研究への視座
1.5 海民の定義
2―セレベス海域
2.1 セレベス海域とその特徴
2.2 セレベス海域における考古学研究
3―方法論の模索
3.1 地域研究としての民族考古学
3.2 民族考古学とその方法論
4―各章の内容と主な流れについて
第1章 現代セレベス海域の自然と人
はじめに
1―気 候
2―植 生
3―動 物
4―海産資源
5―海民のモザイク―セレベス海域に暮らす人びと
第2章 セレベス海域の生業文化と人類史
はじめに
1―セレベス海域と人類の登場―更新世後期の生業文化
2―温暖化と海洋適応の促進―完新世前期の生業文化
3―農耕の出現と新たな植民の幕開け―新石器時代の生業文化
4―遅れた技術革新と周縁化―金属器時代の生業文化
5―小王国の出現と分業化―交易・植民地時代の生業文化
6―小 結
第3章 「沿岸漁撈システム」の形成―新石器時代のセレベス海民
はじめに
1―新石器時代遺跡の発掘―ブキットテンコラック遺跡
2―出土した考古遺物の紹介
3―魚の骨を調べる
3.1 魚骨の出土状況
3.2 魚骨と標本を比較する
3.3 魚の実サイズを推測する
3.4 出土魚骨の時間変化をみる
4―ブキットテンコラック遺跡における漁撈活動
4.1 考古学資料からの検討方法
4.2.出土魚類の習性と生息分布
5―海民とフロンティア世界の出現
5.1 セレベス海域内での漁撈と海産資源利用
5.2 周辺世界における漁撈活動と漁撈戦略
5.3 「沿岸漁撈システム」の形成
第4章 「沿岸漁撈システムの発展」―金属器~植民地時代のセレベス海民
はじめに
1―金属器時代遺跡の発掘―リアン・ブイダ遺跡
1.1 リアン・ブイダ遺跡について
1.2 出土した考古遺物の紹介
人工遺物
A:土 器
B:石製品
C:鉄製品
D:陶磁器片
E:漁 具
自然遺物
A:動物遺存体
B:植物遺存体
C:貝類遺存体
1.3 金属器時代のタラウド諸島における漁撈活動
2―植民地時代遺跡の発掘―ブキットティウィン遺跡
2.1 ブキットティウィン遺跡について
2.2 遺物の出土状況
人工遺物
A:土 器
B:石製品
C:鉄製品
D:陶磁器片
E:その他の遺物群
自然遺物
A:動物遺存体
B:植物遺存体
C:貝類遺存体
2.3 ブキットティウィン遺跡での漁撈活動
2.4 金属器~植民地時代のタラウド諸島における漁撈活動
3―文献資料からみられるセレベス海民と海洋文化
3.1 文献資料からみられるセレベス海域の漁撈と海洋文化
3.2 海洋文化にかかわる技術的発展
(1)漁撈技術の発達
(2)製塩技術の発展
(3)造船技術の発展
3.3 海民の生業分化と専業漁民の出現
4―周辺世界との比較
4.1 金属~植民地時代期の東南アジア海域世界
4.2 植民地時代以前のオセアニア海域世界
4.3 植民地時代以降の変化
5―「沿岸漁撈システム」の発達―金属器~植民地時代の漁撈戦略
第5章 現代サマの漁撈―近代以降における漁撈戦略の様相
はじめに
1―サマ集団とフィールドワーク
1.1 サマについて
1.2 フィールドワークについて
1.3 調査村落の概容
2―サマによる伝統的な漁撈活動の枠組み
2.1 漁撈活動における特徴
2.2 漁具にみられる特徴
2.3 季節性とのかかわり
2.4 魚にかかわる嗜好性と文化的規制
3―現代サマによる漁撈活動
3.1 漁撈をおこなう人びと
A:陸サマ世帯の状況
B:海サマ世帯の状況
3.2 サマの漁撈活動
A:陸サマによる漁撈活動
B:海サマによる漁撈活動
3.3 漁法と漁獲効率
A:陸サマ世帯
B:海サマ世帯
3.4 漁法と漁獲される魚の種類
3.5 漁場とのかかわり
4―漁獲物の消費から廃棄までのプロセス
4.1 サマによる漁獲物の利用パターン
4.2 漁獲物の自家消費
4.3 漁獲物の販売
4.4 漁獲の廃棄
5―「近代」以降の漁撈戦略―ボルネオ島東岸域の様相
5.1 センポルナ郡におけるその他の漁業形態
5.2 現代サマの漁撈戦略
第6章 漁撈のインボリューション?―近現代のセレベス海民
はじめに
1―近現代のセレベス海民と漁撈活動
1.1 深い海と低い島の事例―タラウド諸島の漁撈
1.2 深い海と高い島の事例―サンギヘ諸島の漁撈
1.3 深い海と大きな島の事例―ミンダナオ島沿岸の漁撈
1.4 浅い海と小さな島々の事例―スールー諸島の漁撈
2―周辺海域における漁撈と海産資源利用
2.1 ビサヤ以北のフィリピン海域
2.2 インドネシア海域の状況
2.3 オセアニア海域の状況
3―「近代」化にともなう漁撈と漁撈文化の変遷
3.1 漁船にみられる変化と伝統性
3.2 漁具や冷蔵技術の革新とその影響
3.3 海産資源の乱獲と資源管理への動き
4―漁撈のインボリューション?
「近代」以降におけるセレベス海域の漁撈戦略
第7章 漁撈からみた東南アジア海域世界の海域像
はじめに
1―民族考古学的考察
2―セレベス海域における海洋適応・漁撈技術・海産資源利用
3―漁撈からみたセレベス海域の生業文化
4―漁撈からみた東南アジア海域世界―その海域像
5―課題と展望
Appendix
あとがき
参考文献
索 引