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「障がい者」と標記することで問題は解決するのか? 障害者の社会参加を促す方策は数多い。しかし社会の根底には,それを阻害する心の問題が横たわっている。制度や「ねばならない」的教導では,偏見や差別はなくならない。「潜在化する偏見」を炙りだし,その理由を心のメカニズムにまで遡って考察することで,差別低減の途を探る。
2015年度日本社会心理学会賞出版賞
『中日新聞』2015.4.2朝刊 紹介記事
『社会心理学研究』第31巻第2号、評者:松田昌史氏
『社会心理学研究』第31巻第2号、評者:松田昌史氏
栗田 季佳(くりた ときか)
2008年広島大学教育学部卒,2013年京都大学大学院教育学研究科修了(教育学博士)。日本学術振興会特別研究員を経て,現在三重大学教育学部講師。
専門は障害者に対する態度研究を中心に,平等の社会的意義,価値観の形成と変容,共生教育など。
2008年広島大学教育学部卒,2013年京都大学大学院教育学研究科修了(教育学博士)。日本学術振興会特別研究員を経て,現在三重大学教育学部講師。
専門は障害者に対する態度研究を中心に,平等の社会的意義,価値観の形成と変容,共生教育など。
はじめに
第Ⅰ部 現代的な偏見=無意識的・自動的な偏見
第1章 不可視化される偏見や差別
1―1 進むバリアフリー
1―2 現代の差別の実情
1―3 障害者差別の見えにくさ
1―3―1 消される差別意識
1―3―2 分けられる障害者
1―3―3 特別視される障害者
1―4 見えにくい差別を「可視化」する
【コラム1:吃音――見えない絶望】
第2章 潜在する障害者への偏見
2―1 心に描かれる障害者像
2―2 IATによる潜在的態度の実験
2―2―1 Implicit Association Test
2―2―2 潜在的態度と顕在的態度の不一致――実験の結果
2―3 FUMIEテストによる潜在的態度の調査
2―3―1 FUMIEテスト
2―3―2 潜在的偏見の存在と内発的偏見抑制動機の可能性――結果と考察
2―4 現代型の偏見=無意識的・自動的な偏見の存在を自覚する意味
【コラム2:性別に基づく潜在的偏見――ジェンダーステレオタイプ】
第Ⅱ部 施策は効果があるか?
第3章 「障害者」から「障がい者」へ――表記変更の効果
3―1 広がる「障がい」表記
3―2 障害者に対するイメージとは?――イメージ尺度の作成
3―3 「障がい者」表記はイメージと交流態度を変えるか?――本調査
3―3―1 調査の概要
3―3―2 「障がい者」表記によるイメージの変容――結果と考察(1)
3―3―3 「障がい者」表記による交流態度の変容――結果と考察(2)
3―3―4 表記による態度変容のプロセス――結果と考察(3)
3―4 表記変更は関係者以外には「圏外」か?
【コラム3:非人間化する差別表現】
第4章 障害者の人物重視と偏見低減
4―1 人物を判断する材料:能力と人柄
4―2 障害者の能力と人柄に対する潜在的認知を測る
4―2―1 調査の概要
4―2―2 障害者の能力と人柄――結果と考察
4―3 障害者の「人柄評価」と「システム正当化」
4―3―1 ポジティブな「人柄評価」が障害者差別を固定化する危険性
4―3―2 調査の概要
4―3―3 人柄への注目と意識の変化――結果と考察
4―4 長期的に形成された障害者イメージを修正する難しさ
第5章 平等主義という価値観
5―1 平等主義の普遍性
5―2 平等の「良さ」と平等的な「私」
5―2―1 実験の概要
5―2―2 潜在的偏見と関係が深いのは?――結果と考察
5―3 平等の価値を高めれば障害者への偏見は下がる?
5―3―1 実験の概要
5―3―2 平等価値による潜在的偏見の低下――結果と考察
5―4 平等価値アプローチの意義
5―4―1 平等価値アプローチの利点
5―4―2 障害者に対するポジティブなイメージの柔軟性
【コラム4:大人のインクルージョン】
第Ⅲ部 障害者問題に現れる心の働き
第6章 差別する心
6―1 なぜ障害者への偏見が生まれるのか?――偏見の背景にあるもの
6―2 「障害」がもつ意味
6―2―1 無病息災――健康への切望と病気・死からの回避
6―2―2 相互協力を支える能力
6―3 心の仕組みの副作用
6―3―1 「私」が好き
6―3―2 他者を重視する文化的価値観
【コラム5:制度が生み出す差別――心の有様と障害者権利条約】
第7章 偏見解消の糸口はあるか?
7―1 偏見是正に向けて
7―2 障害に関する「正しい」知識
7―3 能力観の転換
7―4 境界線を引かない社会
7―5 多様性の受容とその有益性
7―6 相互協調的な社会への回帰と拡張
7―7 障害者問題と社会の問題の共通項
【コラム6:心のバリアフリーを目指した実践的アプローチ】
おわりに
参考文献
第Ⅰ部 現代的な偏見=無意識的・自動的な偏見
第1章 不可視化される偏見や差別
1―1 進むバリアフリー
1―2 現代の差別の実情
1―3 障害者差別の見えにくさ
1―3―1 消される差別意識
1―3―2 分けられる障害者
1―3―3 特別視される障害者
1―4 見えにくい差別を「可視化」する
【コラム1:吃音――見えない絶望】
第2章 潜在する障害者への偏見
2―1 心に描かれる障害者像
2―2 IATによる潜在的態度の実験
2―2―1 Implicit Association Test
2―2―2 潜在的態度と顕在的態度の不一致――実験の結果
2―3 FUMIEテストによる潜在的態度の調査
2―3―1 FUMIEテスト
2―3―2 潜在的偏見の存在と内発的偏見抑制動機の可能性――結果と考察
2―4 現代型の偏見=無意識的・自動的な偏見の存在を自覚する意味
【コラム2:性別に基づく潜在的偏見――ジェンダーステレオタイプ】
第Ⅱ部 施策は効果があるか?
第3章 「障害者」から「障がい者」へ――表記変更の効果
3―1 広がる「障がい」表記
3―2 障害者に対するイメージとは?――イメージ尺度の作成
3―3 「障がい者」表記はイメージと交流態度を変えるか?――本調査
3―3―1 調査の概要
3―3―2 「障がい者」表記によるイメージの変容――結果と考察(1)
3―3―3 「障がい者」表記による交流態度の変容――結果と考察(2)
3―3―4 表記による態度変容のプロセス――結果と考察(3)
3―4 表記変更は関係者以外には「圏外」か?
【コラム3:非人間化する差別表現】
第4章 障害者の人物重視と偏見低減
4―1 人物を判断する材料:能力と人柄
4―2 障害者の能力と人柄に対する潜在的認知を測る
4―2―1 調査の概要
4―2―2 障害者の能力と人柄――結果と考察
4―3 障害者の「人柄評価」と「システム正当化」
4―3―1 ポジティブな「人柄評価」が障害者差別を固定化する危険性
4―3―2 調査の概要
4―3―3 人柄への注目と意識の変化――結果と考察
4―4 長期的に形成された障害者イメージを修正する難しさ
第5章 平等主義という価値観
5―1 平等主義の普遍性
5―2 平等の「良さ」と平等的な「私」
5―2―1 実験の概要
5―2―2 潜在的偏見と関係が深いのは?――結果と考察
5―3 平等の価値を高めれば障害者への偏見は下がる?
5―3―1 実験の概要
5―3―2 平等価値による潜在的偏見の低下――結果と考察
5―4 平等価値アプローチの意義
5―4―1 平等価値アプローチの利点
5―4―2 障害者に対するポジティブなイメージの柔軟性
【コラム4:大人のインクルージョン】
第Ⅲ部 障害者問題に現れる心の働き
第6章 差別する心
6―1 なぜ障害者への偏見が生まれるのか?――偏見の背景にあるもの
6―2 「障害」がもつ意味
6―2―1 無病息災――健康への切望と病気・死からの回避
6―2―2 相互協力を支える能力
6―3 心の仕組みの副作用
6―3―1 「私」が好き
6―3―2 他者を重視する文化的価値観
【コラム5:制度が生み出す差別――心の有様と障害者権利条約】
第7章 偏見解消の糸口はあるか?
7―1 偏見是正に向けて
7―2 障害に関する「正しい」知識
7―3 能力観の転換
7―4 境界線を引かない社会
7―5 多様性の受容とその有益性
7―6 相互協調的な社会への回帰と拡張
7―7 障害者問題と社会の問題の共通項
【コラム6:心のバリアフリーを目指した実践的アプローチ】
おわりに
参考文献