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POD版 「異文化理解」のディスコース

文化本質主義の落し穴

馬渕 仁

A5並製・336頁

ISBN: 9784876989041

発行年月: 2005/03

  • 本体: 3,800円(税込 4,180円
  • 在庫あり
 
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内容

「国際化」はそれこそ半世紀におよぶ日本のスローガンであり、特に昨今「世界標準」と言う言い方で、人々の生き方までも規定する言葉になった。しかし、その語は、人々にどう受け止められているのか。海外に在住する「文化仲介者」と呼ばれる人々の言説(ディスコース)から、「国際化」の中の日本人の実状に迫る。

プロフィール

馬渕 仁(まぶち ひとし)

大阪女学院短期大学助教授

大学在学中にタイに留学。中学・高校の教員を勤めた後、渡豪。現在、大阪女学院短期大学助教授。Ph.D.(モナシュ大学)。

主な論文
"The Problem of Japanology" in Culture and Communication, K. Kitao (ed.),. Yamaguchi Shoten, 1995
Japanese Children Abroad: Toward a Sociology of the Literature on their Situation, Melbourne: Monash Asia Institute, Monash University, 1998

目次

序章
 一 三人三様の「異文化理解」論
 二 本書のねらい
   1 なぜ、今新たに「海外・帰国子女教育」なのか
   2 「文化仲介者」の「ディスコース」を取り上げる意味
 三 本書における基本的用語
 四 本書の構成
第1章 グローバリゼーションと多文化主義
 一 グローバリゼーション
  1 経済的領域におけるグローバリゼーションと文化帝国主義
  2 政治的領域におけるグローバリゼーションと国民国家
  3 文化的領域におけるグローバリゼーションと普遍性・進歩の概念
  4 普遍性・進歩の概念と教育
 二 多文化主義と多文化教育
  1 同化主義的な考え方
  2 文化多元主義的な考え方
  3 多文化主義
  4 多文化主義への反駁
  5 多文化主義批判への批判
  6 「多」概念から「文化」概念の検討へ
 三 文化本質主義をめぐる問題
  1 多文化主義と文化本質主義
  2 ナショナリズムの問題
  3 エスニシティの問題
  4 ディアスポリック・ハイブリィディティの可能性
  5 ジェンダーと文化本質主義の問題
  6 戦略的な本質主義
 四 まとめ
第2章  海外・帰国子女教育から国際理解教育へ
 一 政策と問題の変遷
  1 問題の登場(1950年代)
  2 政策の変化(1960年代)
  3 海外・帰国子女教育の発展(1970年代)
  4 ピークを迎えた海外・帰国子女教育(1980年代)
  5 国際理解教育への転換(1990年代以降)
 二 問題研究の推移
  1 適応への取り組み
  2 特性伸長と国際化
     ■国際化の促進
     ■日本を変える契機としての海外・帰国子女教育
  3 国際理解と「共生」
     ■現地理解と国際理解
     ■国際理解教育と共生
     ■普遍主義とグローバル教育の問題
 三 まとめ
第3章 方法論
 一 客観性、中立性の問題
 二 ディスコースをめぐるグループ
 三 公的なディスコース(政策と研究)
 四 文化仲介者へのインタビュー
 五 本調査の意義と限界
第4章 公的なディスコース(政策と研究)
 一 異文化理解と共生の能力
 二 外国語能力―特に英語力について
 三 「日本人」の育成と国際理解教育
 四 普遍性と進歩の概念
  1 普遍主義
  2 日本は遅れているという見解
 五 文化相対主義
 六 他文化の受け入れ
 七 文化本質主義
 八 日本社会の多様性―特に男女の差異について
 九 まとめ
第5章 文化仲介者と異文化理解
 一 はじめに
  1 メルボルンの日本人社会と日本人学校
  2 クアラルンプールの日本人社会と日本人学校
  3 インタビューにおける質問項目
 二 異文化理解における能力
  1 「共生の能力」
  2 「コミュニケーション能力」
  3 国際社会で最も大切な能力とは
 三 異文化理解における日本人の能力
  1 日本人に共生の能力はあるか
  2 日本人にコミュニケーション能力はあるか
 四 外国語(英語)について
  1 英語の重要性
  2 英語以外の言語の重要性
 五 普遍的な規範
  1 異文化間コミュニケーションにおける規範
  2 規範の普遍性
 六 国際理解教育の内容とその進め方
  1 グローバリゼーションとは
  2 国際理解教育の定義
  3 国際理解教育における国家の役割
  4 国際理解における価値と自文化における価値が衝突した場合
 七 まとめ
第6章 文化仲介者の文化観
 一 はじめに
 二 文化相対主義
  1 文化間の優劣
  2 全ての文化は平等に扱うべきか
 三 同化主義、文化多元主義、多文化主義
  1 日本は、単一民族国家か
  2 他民族の受け入れ
 四 文化本質主義�――日本人論について
  1 日本社会の中にある差異と共通性
  2 日本人の特徴とは
  3 日本人論とその一般化
  4 比較の対象
  5 日本人論の変化
 五 文化本質主義�――根無し草について
  1 海外日本人の多様性
  2 いわゆる「根無し草」について
 六 男女の差異
  1 日本社会の中での男女の差異
  2 海外・帰国子女教育における男女の問題
 七 まとめ
終章 文化本質主義から解放されるために
 一 規範的な見解
  1 コンフリクト・フリーな考え方
  2 ナイーブな言説
 二 文化本質主義
 三 公的言説と文化仲介者の見解との食い違い
 四 企業理事、教員、母親グループの相違
 五 文化本質主義への挑戦
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