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社会主義システムの下で急速に都市化・工業化・市場化が進む中国の医療保険制度かかえる問題点を,歴史的な制度分析と計量的な実証分析の双方から明らかにする。医療保険システムを今後どう構築すべきか,理論,政策の両面において考察し,現代中国のみならず,同様の問題を抱える発展途上国および体制移行国の厚生経済に,積極的に提言する。
『アジア経済』Vol.57 No.4、89-92頁、評者:石塚浩美氏
『中国経済経営研究』第1巻第1号(2017年3月)、93-96頁、評者:李蓮花氏
『中国経済経営研究』第1巻第1号(2017年3月)、93-96頁、評者:李蓮花氏
馬 欣欣(ま きんきん)
出 身:中国遼寧省大連市
最終学歴:慶應義塾大学大学院商学研究科修了 博士(商学)
主な職歴:慶應義塾大学先導研究センター,財務省財務総合政策研究所などの研究員,
京都大学大学院薬学研究科特定助教,講師を経て現職
現 職:一橋大学経済研究所准教授
専 攻:中国経済論,労働経済学,応用ミクロ経済学
主要著作:Lewisian Turning Point in the Chinese Economy, Palgrave Macmillan, 2014(共著)。
『中国経済はどう変わったか — 改革開放以後の経済制度と政策を評価する』 国際書院,2014年(共著)。
『アジア長期経済統計 3 中国』東洋経済新報社,2014年(共著)。
『中国経済の転換点』東洋経済新報社,2013年(共著)。
『変貌する中国経済と日系企業の役割』勁草書房,2012年(共著)。
『中国女性の就業行動 —「市場化」と都市労働市場の変容』慶應義塾大学出版会,2011年(単著)。
出 身:中国遼寧省大連市
最終学歴:慶應義塾大学大学院商学研究科修了 博士(商学)
主な職歴:慶應義塾大学先導研究センター,財務省財務総合政策研究所などの研究員,
京都大学大学院薬学研究科特定助教,講師を経て現職
現 職:一橋大学経済研究所准教授
専 攻:中国経済論,労働経済学,応用ミクロ経済学
主要著作:Lewisian Turning Point in the Chinese Economy, Palgrave Macmillan, 2014(共著)。
『中国経済はどう変わったか — 改革開放以後の経済制度と政策を評価する』 国際書院,2014年(共著)。
『アジア長期経済統計 3 中国』東洋経済新報社,2014年(共著)。
『中国経済の転換点』東洋経済新報社,2013年(共著)。
『変貌する中国経済と日系企業の役割』勁草書房,2012年(共著)。
『中国女性の就業行動 —「市場化」と都市労働市場の変容』慶應義塾大学出版会,2011年(単著)。
はしがき
序 章 公的医療保険制度に歴史とデータで迫る ─ 課題と方法
第1節 中国の公的医療保険制度を研究するグローバルな意味
第2節 制度史的分析と実証的アプローチ
1. 2つの分析視角
2. 対象地域と対象データ─ 研究方法の特徴
第3節 各章の概要
第I部 制度的研究 ─ 初期条件と関連する政策・制度
第1章 制度改革の初期条件および関連する政策・制度
第1節 経済発展,体制移行と初期条件に関する理論モデル
1. 体制移行と初期条件 ─ 比較経済体制モデル
2. 経済発展と初期条件 ─ 中兼モデル
3. 経済発展,体制移行と初期条件モデル ─ 中兼モデルの拡張
第2節 公的医療保険制度改革の初期条件および関連する政策・制度
1. 制度改革の初期条件
2. 所有制構造
3. 関連する経済政策
4. 社会保障制度の体系と公的医療保険制度の位置づけ
5. 計画経済期における公的医療保険制度
第2章 体制移行期における公的医療保険制度の改革
第1節 体制移行期における医療保険制度の体系
1. 公的医療保険制度
2. 私的医療保険
3. その他の医療保険
第2節 体制移行期の都市部における公的医療保険制度の改革
1. 1980~90年代の改革:「両江モデル」などの試行
2. 1998年都市従業員基本医療保険制度の実
3. 2007年都市住民基本医療保険制度の実施
第3節 体制移行期の農村部における医療制度の改革
1. 新型農村合作医療制度が設立された背景
2. 新型農村合作医療制度の実施
3. 新型農村合作医療制度と従来の農村合作医療制度の比較
4. 2003年以降の新たな規定
第4節 最近の公的医療保険制度改革の促進政策
1. 2009年の改革 ─ 2009年『意見』の公表
2. 2012年の改革 ─ 7つの目標
3. 2013年の改革 ─ 私的医療保険発展の促進
第5節 新動向 ─ 都市部と農村部の医療保険制度を統合する改革
1.「統合改革」の提出
2.「統合改革」のモデルケース
第3章 中国における公的医療保険制度の実施状況とその問題点
第1節 中国における医療保険制度の実施状況と加入状況
1. 中国における公的医療保険制度の実施状況
2. 中国における公的医療保険制度の加入状況
第2節 医療保険制度の問題点 ─ 多様な医療保障の格差
1. 政府 ─ 医療保険財源・医療費給付における地域間の格差問題
2. 企業 ─ 企業所有制形態による医療保険制度の加入格差
3. 個人・家計 ─ 医療保険加入と医療費支出の格差
4. 医療サーヒ?ス利用の実態と格差
第II部 実証的研究 ─ 多様な医療保障格差
第4章 中国都市部における医療保険制度の加入行動の要因分析
第1節 医療保険の加入行動に関する経済学の説明と先行研究の知見
第2節 データら観察された各要因別医療保険制度の加入状況
1. 年齢階層別医療保険制度の加入状況
2. 健康状態別医療保険加入の状況
3. 学歴別医療保険加入の状況
4. 就業者・非就業者グループ別医療保険加入の状況
5. 国有部門・非国有部門グループ別医療保険加入の状況
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
3. 変数の設定
第4節 計量分析の結果
1. 逆選択仮説と流動性制約仮説に関する検証結果
2. 他の要因の影響に関する分析結果
3. 就業部門別都市従業員基本医療保険制度の加入要因に関する分析結果
第5章 中国における公的医療保険制度が家計消費に与える影響 ─ 都市部と農村部の比較
第1節 公的医療保険制度か?医療消費支出に与える影響
1. 医療保険制度と医療費の自己負担に関する実証研究における本研究の位置づけ
2. データから観察された都市部と農村部における医療保険制度の加入状況と医療費の自己負担額の密度分布
3. 計量分析の方法
4. 計量分析の結果
第2節 公的医療保険制度の加入が家計消費の平滑化に与える影響
1. 消費平滑仮説 ─ 公的医療保険制度と家計消費の平滑化
2. 公的医療保険制度加入と家計貯蓄・家計消費に関する実証研究
3. 計量分析の方法
4. 計量分析の結果
第6章 新型農村合作医療制度が医療サービスの利用に与える影響 ─ 現役者世代と高齢者世代の比較
第1節 新型農村合作医療制度の実施効果に関する実証研究
第2節 データから観察された農村部における医療保険制度の加入状況と医療サービスの利用
1. 農村部における医療保険制度の加入状況
2. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別医療機関へのアクセスの状況
3. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別医療費の自己負担額のKernel密度分布
4. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別家計破綻性医療費支出になる割合
5. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別一般健康診断受診者の割合
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
第4節 計量分析の結果
1. 全体 ─ 医療サービスの利用確率に関する分析結果
2. 年齢階層別医療サービスの利用確率に関する分析結果
第7章 中国における医療保険制度の加入と主観的幸福度 ─ 男女別・就業部門別・地域別分析
第1節 絶対所得仮説,相対所得仮説と主観的幸福度に関する実証研究
1. 社会保障制度と主観的幸福度に関する経済学の説明
2. 中国都市部における主観的幸福度に関する実証研究
第2節 データから観察された主観的幸福度の実態
1. 医療保険加入類型別にみた主観的幸福度
2. 世代類型別にみた主観的幸福度
3. 地域別にみた主観的幸福度
4. 就業部門別にみた主観的幸福度
5. 所得階層別にみた主観的幸福度
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
3. 変数の設定
第4節 計量分析の結果
1. 全体の分析結果
2. 年齢階層別分析結果
3. 男女別・就業部門別・地域別分析結果
終 章 主な結論と今後の課題
第1節 本書のまとめ
1. 制度的研究から得られた主な結論
2. 実証的研究から得られた主な結論
第2節 政策インプリケーション
第3節 今後の課題と展望
初出一覧
図表一覧
参考文献
索 引
【コラム 1】 はだしの医者
【コラム 2】 中国における医療管理体制 ─ 横型と縦型
【コラム 3】 中国医療保障体系における最後の保障措置としての医療救助(救済)制度
【コラム 4】 中国における医療サーヒ?ス資源配置の格差
【コラム 5】 中国における医療需要の格差
【コラム 6】 公立病院の「薬漬け」と「看病難,看病貴」
序 章 公的医療保険制度に歴史とデータで迫る ─ 課題と方法
第1節 中国の公的医療保険制度を研究するグローバルな意味
第2節 制度史的分析と実証的アプローチ
1. 2つの分析視角
2. 対象地域と対象データ─ 研究方法の特徴
第3節 各章の概要
第I部 制度的研究 ─ 初期条件と関連する政策・制度
第1章 制度改革の初期条件および関連する政策・制度
第1節 経済発展,体制移行と初期条件に関する理論モデル
1. 体制移行と初期条件 ─ 比較経済体制モデル
2. 経済発展と初期条件 ─ 中兼モデル
3. 経済発展,体制移行と初期条件モデル ─ 中兼モデルの拡張
第2節 公的医療保険制度改革の初期条件および関連する政策・制度
1. 制度改革の初期条件
2. 所有制構造
3. 関連する経済政策
4. 社会保障制度の体系と公的医療保険制度の位置づけ
5. 計画経済期における公的医療保険制度
第2章 体制移行期における公的医療保険制度の改革
第1節 体制移行期における医療保険制度の体系
1. 公的医療保険制度
2. 私的医療保険
3. その他の医療保険
第2節 体制移行期の都市部における公的医療保険制度の改革
1. 1980~90年代の改革:「両江モデル」などの試行
2. 1998年都市従業員基本医療保険制度の実
3. 2007年都市住民基本医療保険制度の実施
第3節 体制移行期の農村部における医療制度の改革
1. 新型農村合作医療制度が設立された背景
2. 新型農村合作医療制度の実施
3. 新型農村合作医療制度と従来の農村合作医療制度の比較
4. 2003年以降の新たな規定
第4節 最近の公的医療保険制度改革の促進政策
1. 2009年の改革 ─ 2009年『意見』の公表
2. 2012年の改革 ─ 7つの目標
3. 2013年の改革 ─ 私的医療保険発展の促進
第5節 新動向 ─ 都市部と農村部の医療保険制度を統合する改革
1.「統合改革」の提出
2.「統合改革」のモデルケース
第3章 中国における公的医療保険制度の実施状況とその問題点
第1節 中国における医療保険制度の実施状況と加入状況
1. 中国における公的医療保険制度の実施状況
2. 中国における公的医療保険制度の加入状況
第2節 医療保険制度の問題点 ─ 多様な医療保障の格差
1. 政府 ─ 医療保険財源・医療費給付における地域間の格差問題
2. 企業 ─ 企業所有制形態による医療保険制度の加入格差
3. 個人・家計 ─ 医療保険加入と医療費支出の格差
4. 医療サーヒ?ス利用の実態と格差
第II部 実証的研究 ─ 多様な医療保障格差
第4章 中国都市部における医療保険制度の加入行動の要因分析
第1節 医療保険の加入行動に関する経済学の説明と先行研究の知見
第2節 データら観察された各要因別医療保険制度の加入状況
1. 年齢階層別医療保険制度の加入状況
2. 健康状態別医療保険加入の状況
3. 学歴別医療保険加入の状況
4. 就業者・非就業者グループ別医療保険加入の状況
5. 国有部門・非国有部門グループ別医療保険加入の状況
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
3. 変数の設定
第4節 計量分析の結果
1. 逆選択仮説と流動性制約仮説に関する検証結果
2. 他の要因の影響に関する分析結果
3. 就業部門別都市従業員基本医療保険制度の加入要因に関する分析結果
第5章 中国における公的医療保険制度が家計消費に与える影響 ─ 都市部と農村部の比較
第1節 公的医療保険制度か?医療消費支出に与える影響
1. 医療保険制度と医療費の自己負担に関する実証研究における本研究の位置づけ
2. データから観察された都市部と農村部における医療保険制度の加入状況と医療費の自己負担額の密度分布
3. 計量分析の方法
4. 計量分析の結果
第2節 公的医療保険制度の加入が家計消費の平滑化に与える影響
1. 消費平滑仮説 ─ 公的医療保険制度と家計消費の平滑化
2. 公的医療保険制度加入と家計貯蓄・家計消費に関する実証研究
3. 計量分析の方法
4. 計量分析の結果
第6章 新型農村合作医療制度が医療サービスの利用に与える影響 ─ 現役者世代と高齢者世代の比較
第1節 新型農村合作医療制度の実施効果に関する実証研究
第2節 データから観察された農村部における医療保険制度の加入状況と医療サービスの利用
1. 農村部における医療保険制度の加入状況
2. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別医療機関へのアクセスの状況
3. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別医療費の自己負担額のKernel密度分布
4. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別家計破綻性医療費支出になる割合
5. 農村部における合作医療制度加入・未加入グループ別一般健康診断受診者の割合
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
第4節 計量分析の結果
1. 全体 ─ 医療サービスの利用確率に関する分析結果
2. 年齢階層別医療サービスの利用確率に関する分析結果
第7章 中国における医療保険制度の加入と主観的幸福度 ─ 男女別・就業部門別・地域別分析
第1節 絶対所得仮説,相対所得仮説と主観的幸福度に関する実証研究
1. 社会保障制度と主観的幸福度に関する経済学の説明
2. 中国都市部における主観的幸福度に関する実証研究
第2節 データから観察された主観的幸福度の実態
1. 医療保険加入類型別にみた主観的幸福度
2. 世代類型別にみた主観的幸福度
3. 地域別にみた主観的幸福度
4. 就業部門別にみた主観的幸福度
5. 所得階層別にみた主観的幸福度
第3節 計量分析の方法
1. 推定モデル
2. データ
3. 変数の設定
第4節 計量分析の結果
1. 全体の分析結果
2. 年齢階層別分析結果
3. 男女別・就業部門別・地域別分析結果
終 章 主な結論と今後の課題
第1節 本書のまとめ
1. 制度的研究から得られた主な結論
2. 実証的研究から得られた主な結論
第2節 政策インプリケーション
第3節 今後の課題と展望
初出一覧
図表一覧
参考文献
索 引
【コラム 1】 はだしの医者
【コラム 2】 中国における医療管理体制 ─ 横型と縦型
【コラム 3】 中国医療保障体系における最後の保障措置としての医療救助(救済)制度
【コラム 4】 中国における医療サーヒ?ス資源配置の格差
【コラム 5】 中国における医療需要の格差
【コラム 6】 公立病院の「薬漬け」と「看病難,看病貴」