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マキアヴェッリ、スピノザ、ディドロなど、西欧近代には「永遠の人間観」にもとづいて既存の正統思想を批判し、時代を超える思考のグローバル化を試みたために、「異端」として排除されてきた思想家は少なくない。本書は西欧近代が誕生して以来500年のあいだに現れたオッカムからランゲに至る哲学、政治、経済、社会思想を環境に対する人間精神の果敢な挑戦としてとりあげ、現代に生きる発想の転換を迫る。
大津 真作(おおつ しんさく)
1945年大阪府に生まれる。
甲南大学名誉教授。
専門はヨーロッパ社会思想史。
主な著訳書
『啓蒙主義の辺境への旅』(世界思想社、1986)、『市民社会思想史I』(高文堂出版社、1996)、『市民社会思想史II』(高文堂出版社、1997)、『理性と愛』(高文堂出版社、2004)、『倫理の大転換』(行路社、2012)、『思考の自由とはなにか』(晃洋書房、2012)など。
ヴェーヌ『歴史をどう書くか』(法政大学出版局、1982)、ヴェーヌ『ギリシア人は神話を信じたか』(法政大学出版局、1985)、ジャルダン『トクヴィル伝』(晶文社、1994)、フュレ『フランス革命を考える』(岩波書店、1989)、レーナル『両インド史 東インド篇』上巻(法政大学出版局、2009)、レーナル『両インド史 東インド篇』下巻(法政大学出版局、2011)、ランゲ『市民法理論』(近代社会思想コレクション、京都大学学術出版会、2013)、レーナル『両インド史 西インド篇』上巻(法政大学出版局、2015)など。
1945年大阪府に生まれる。
甲南大学名誉教授。
専門はヨーロッパ社会思想史。
主な著訳書
『啓蒙主義の辺境への旅』(世界思想社、1986)、『市民社会思想史I』(高文堂出版社、1996)、『市民社会思想史II』(高文堂出版社、1997)、『理性と愛』(高文堂出版社、2004)、『倫理の大転換』(行路社、2012)、『思考の自由とはなにか』(晃洋書房、2012)など。
ヴェーヌ『歴史をどう書くか』(法政大学出版局、1982)、ヴェーヌ『ギリシア人は神話を信じたか』(法政大学出版局、1985)、ジャルダン『トクヴィル伝』(晶文社、1994)、フュレ『フランス革命を考える』(岩波書店、1989)、レーナル『両インド史 東インド篇』上巻(法政大学出版局、2009)、レーナル『両インド史 東インド篇』下巻(法政大学出版局、2011)、ランゲ『市民法理論』(近代社会思想コレクション、京都大学学術出版会、2013)、レーナル『両インド史 西インド篇』上巻(法政大学出版局、2015)など。
はじめに
第1章 永遠の相の下に
ギリシア人は神話を信じたか?
比較と差別
強力なのは身体
人間の頭のなか
想像力は欲望である
コペルニクス的転回
想像力の作用主
自由と主体の結びつき
存在と本質
人間の本質
必要は発明の母
進歩と自由
第2章 宗教的思考からの人間精神の解放
1 オッカムの生涯と神学論争
薔薇は一般名詞
時代が待っていた人物
オッカムの剃刀
理性と信仰の分離
異端嫌疑
代置理論
代置の危険な罠
唯名論的聖餐論
司式者と奇蹟の多発
正統教義における聖餐論
オッカムの聖餐解釈
清貧論争
ドルチノ派異端
千年王国の実現
オッカムの破門
宗教改革の先駆者
晩年のオッカム
2 オッカムの教会制度改革構想
信仰に至る理性の道
信仰に至る聖書の道
信仰に至る最後の道
ローマ法王も無謬ではない
法王権力の限定
信仰におけるマルチチュード
3 パドヴァのマルシリウスと帝権主義
ウィリアムの回想
時代が待っていたもうひとりの人物
ルートヴィヒの宮廷顧問になるまで
驚嘆すべき著作
マルシリウスの演出
マルシリウスとルートヴィヒ
4 『平和の擁護者』について
統治体の動力因
人間の法
聖書による教会論
マルシリウス政治思想の特徴
第3章 異端の国家観の系譜—マキアヴェッリからスピノザへ
1 政治学の宗教からの自立
統治者たちが愛読した『君主論』
密かなる政治的計画
宗教改革の先駆者
模範としてのローマ国家
2 マルチチュード概念と国家契約説の否定
少数者による多数者の支配
マキアヴェッリの国家統治論
3 『神学=政治論』におけるスピノザの国家観
自然権としての思考の自由
マルチチュードの力を実現する
「舌」の自由の確立
信仰の自由と真の宗教
永遠の人間本性と自由
4 『国家論』に見るオランダ政治
『国家論』執筆の動機
戦乱のなかの謎の行動
5 オランダ共和制の瓦解とマルチチュード論
貴族国家オランダ
オランダ共和制崩壊の原因
第4章 植民地グローバリゼーション時代の世界史
1 『両インド史』とレーナル
啓蒙末期のベストセラー
天才的編集者レーナル
『両インド史』第三版の刊行と出版弾圧
レーナルの亡命と帰還
2 『両インド史』とディドロの寄与
広大な地域に及ぶ世界史的叙述
『百科全書』的テーマ
ディドロの叙述の魅力
ディドロの自然主義的人類学
3 ディドロは『両インド史』をどう書いたか
歴史と主体
社会変革への呼びかけ
4 ディドロの反植民地主義と奴隷解放論
植民に関するディドロの原理
ヨーロッパ・グローバリゼーションの罪悪
植民地主義の告発
奴隷貿易廃止論
5 新しいスパルタクスをめぐるランゲとディドロ
白いスパルタクス
アンシアン・レジームの病根
革命的宣言
第5章 蘇るランゲ
1 忘れられた天才的社会理論家
反啓蒙のジャーナリスト
ランゲとマルクス
自由と社会は両立しない
社会が先か、奴隷制が先か
狩猟社会の食料危機
生きることはパンを食べること
社会の発展と自由の主張
モンテスキュー批判
奴隷制廃止の原因
東洋的専制の擁護
2 ランゲの社会観
真に自由な状態とはなにか
自由の喪失と社会状態=奴隷状態
社会の根本原理
苛酷な競争社会
3 近代の奴隷制
法律の制定
奴隷はなにを持っているか
近代の奴隷制の特徴
マルチチュードの叛乱権
第6章 思考する「力」に関する考察
一元論を語る勇気
カント二元論の謎とき
欲望一元論への恐れ
真理と「舌」
真理は力である
勇気は相対的なもの
勇気の中身
常識を打破する勇気
真理に口なし
恐怖はどこから?
理性と自由の実現
おわりに
注
索引(事項・人名)
第1章 永遠の相の下に
ギリシア人は神話を信じたか?
比較と差別
強力なのは身体
人間の頭のなか
想像力は欲望である
コペルニクス的転回
想像力の作用主
自由と主体の結びつき
存在と本質
人間の本質
必要は発明の母
進歩と自由
第2章 宗教的思考からの人間精神の解放
1 オッカムの生涯と神学論争
薔薇は一般名詞
時代が待っていた人物
オッカムの剃刀
理性と信仰の分離
異端嫌疑
代置理論
代置の危険な罠
唯名論的聖餐論
司式者と奇蹟の多発
正統教義における聖餐論
オッカムの聖餐解釈
清貧論争
ドルチノ派異端
千年王国の実現
オッカムの破門
宗教改革の先駆者
晩年のオッカム
2 オッカムの教会制度改革構想
信仰に至る理性の道
信仰に至る聖書の道
信仰に至る最後の道
ローマ法王も無謬ではない
法王権力の限定
信仰におけるマルチチュード
3 パドヴァのマルシリウスと帝権主義
ウィリアムの回想
時代が待っていたもうひとりの人物
ルートヴィヒの宮廷顧問になるまで
驚嘆すべき著作
マルシリウスの演出
マルシリウスとルートヴィヒ
4 『平和の擁護者』について
統治体の動力因
人間の法
聖書による教会論
マルシリウス政治思想の特徴
第3章 異端の国家観の系譜—マキアヴェッリからスピノザへ
1 政治学の宗教からの自立
統治者たちが愛読した『君主論』
密かなる政治的計画
宗教改革の先駆者
模範としてのローマ国家
2 マルチチュード概念と国家契約説の否定
少数者による多数者の支配
マキアヴェッリの国家統治論
3 『神学=政治論』におけるスピノザの国家観
自然権としての思考の自由
マルチチュードの力を実現する
「舌」の自由の確立
信仰の自由と真の宗教
永遠の人間本性と自由
4 『国家論』に見るオランダ政治
『国家論』執筆の動機
戦乱のなかの謎の行動
5 オランダ共和制の瓦解とマルチチュード論
貴族国家オランダ
オランダ共和制崩壊の原因
第4章 植民地グローバリゼーション時代の世界史
1 『両インド史』とレーナル
啓蒙末期のベストセラー
天才的編集者レーナル
『両インド史』第三版の刊行と出版弾圧
レーナルの亡命と帰還
2 『両インド史』とディドロの寄与
広大な地域に及ぶ世界史的叙述
『百科全書』的テーマ
ディドロの叙述の魅力
ディドロの自然主義的人類学
3 ディドロは『両インド史』をどう書いたか
歴史と主体
社会変革への呼びかけ
4 ディドロの反植民地主義と奴隷解放論
植民に関するディドロの原理
ヨーロッパ・グローバリゼーションの罪悪
植民地主義の告発
奴隷貿易廃止論
5 新しいスパルタクスをめぐるランゲとディドロ
白いスパルタクス
アンシアン・レジームの病根
革命的宣言
第5章 蘇るランゲ
1 忘れられた天才的社会理論家
反啓蒙のジャーナリスト
ランゲとマルクス
自由と社会は両立しない
社会が先か、奴隷制が先か
狩猟社会の食料危機
生きることはパンを食べること
社会の発展と自由の主張
モンテスキュー批判
奴隷制廃止の原因
東洋的専制の擁護
2 ランゲの社会観
真に自由な状態とはなにか
自由の喪失と社会状態=奴隷状態
社会の根本原理
苛酷な競争社会
3 近代の奴隷制
法律の制定
奴隷はなにを持っているか
近代の奴隷制の特徴
マルチチュードの叛乱権
第6章 思考する「力」に関する考察
一元論を語る勇気
カント二元論の謎とき
欲望一元論への恐れ
真理と「舌」
真理は力である
勇気は相対的なもの
勇気の中身
常識を打破する勇気
真理に口なし
恐怖はどこから?
理性と自由の実現
おわりに
注
索引(事項・人名)