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イスラーム文明は、現代文明の重要な一翼を形成している。本書はイスラーム「文明」の奥行きと幅広さを、7〜10世紀の初期イスラーム文明圏の形成過程に焦点を当て、その根幹をなす特質をクローズアップしつつ総合的に論じたものである。日本を代表するイスラーム研究者の一人である著者の視野は広く、アラビア語原典史資料の探求と国際的な研究の最先端を統合して、ここには日本人による新しいイスラーム学が明確に示されているといる。
『京都新聞』'12年1月22日朝刊、読書面
『アジア・アフリカ地域研究』2012年第12-1号、110-113頁、評者:中西竜也氏
『宗教研究』第86巻第3輯 第374号、180-185頁、評者:小田淑子氏
『アジア・アフリカ地域研究』2012年第12-1号、110-113頁、評者:中西竜也氏
『宗教研究』第86巻第3輯 第374号、180-185頁、評者:小田淑子氏
小杉 泰(こすぎ やすし)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は、イスラーム学、中東地域研究、比較政治学、国際関係学、比較文明学。
1953年生まれ。北海道夕張市出身。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。1984年国際大学大学院国際関係学研究科助手、1985年国際大学中東研究所主任研究員・主幹、1990年英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員、1997年国際大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、1998年から現職。2006年より同研究科附属イスラーム地域研究センター長併任。京都大学・法学博士。1986年流沙海西奨学会賞、1994年サントリー学芸賞、2002年毎日出版文化賞、2005年大同生命地域研究奨励賞を受賞。2005〜2011年日本学術会議会員。
思想史においては7世紀から現代に至るアラビア語で書かれた史資料を用いた研究をおこない、現代に関してはアラブ諸国とアラブ域内政治を中心に中東を研究し、さらに近年は広域的なイスラーム世界論を展開してきた。また、日本からの発信として「イスラーム地域研究」を歴史研究・原典研究と現代的な地域研究を架橋する新領域として確立することをめざしている。
【主な著書】
『現代中東とイスラーム政治』(単著、昭和堂)、『イスラームとは何か─その宗教・社会・文化』(単著、講談社現代新書)、『ムハンマド─イスラームの源流をたずねて』(単著、山川出版社)、『「クルアーン」─語りかけるイスラーム』(単著、岩波書店)、『イスラーム帝国のジハード』(単著、講談社)、『現代イスラーム世界論』(単著、名古屋大学出版会)、『イスラームに何がおきているのか─現代世界とイスラーム復興』(編著、平凡社)、『現代イスラーム思想と政治運動』(共編著、東京大学出版会)、『イスラーム銀行─金融と国際経済』(共著、山川出版社)、『岩波イスラーム辞典』(共編、岩波書店)、『ワードマップ イスラーム─社会生活・思想・歴史』(共編、新曜社)、『京大式 アラビア語実践マニュアル』(共著、京都大学イスラーム地域研究センター)、Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication(共編著、Routledge)、Al−Manar 1898−1935 (監修、京都大学COEプロジェクト、アラビア語『マナール』誌・CD−ROM復刻版)他。
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は、イスラーム学、中東地域研究、比較政治学、国際関係学、比較文明学。
1953年生まれ。北海道夕張市出身。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。1984年国際大学大学院国際関係学研究科助手、1985年国際大学中東研究所主任研究員・主幹、1990年英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員、1997年国際大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、1998年から現職。2006年より同研究科附属イスラーム地域研究センター長併任。京都大学・法学博士。1986年流沙海西奨学会賞、1994年サントリー学芸賞、2002年毎日出版文化賞、2005年大同生命地域研究奨励賞を受賞。2005〜2011年日本学術会議会員。
思想史においては7世紀から現代に至るアラビア語で書かれた史資料を用いた研究をおこない、現代に関してはアラブ諸国とアラブ域内政治を中心に中東を研究し、さらに近年は広域的なイスラーム世界論を展開してきた。また、日本からの発信として「イスラーム地域研究」を歴史研究・原典研究と現代的な地域研究を架橋する新領域として確立することをめざしている。
【主な著書】
『現代中東とイスラーム政治』(単著、昭和堂)、『イスラームとは何か─その宗教・社会・文化』(単著、講談社現代新書)、『ムハンマド─イスラームの源流をたずねて』(単著、山川出版社)、『「クルアーン」─語りかけるイスラーム』(単著、岩波書店)、『イスラーム帝国のジハード』(単著、講談社)、『現代イスラーム世界論』(単著、名古屋大学出版会)、『イスラームに何がおきているのか─現代世界とイスラーム復興』(編著、平凡社)、『現代イスラーム思想と政治運動』(共編著、東京大学出版会)、『イスラーム銀行─金融と国際経済』(共著、山川出版社)、『岩波イスラーム辞典』(共編、岩波書店)、『ワードマップ イスラーム─社会生活・思想・歴史』(共編、新曜社)、『京大式 アラビア語実践マニュアル』(共著、京都大学イスラーム地域研究センター)、Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication(共編著、Routledge)、Al−Manar 1898−1935 (監修、京都大学COEプロジェクト、アラビア語『マナール』誌・CD−ROM復刻版)他。
口 絵
目 次
はじめに
第1章……イスラーム圏の地理的・空間的拡大
1 アラビア半島
2 宗教と国際関係
3 大征服と版図の拡大
4 文明の重心点
第2章……文明的な展開
1 宗教としてのイスラーム
2 文明の定義をめぐって
3 版図に加わった先行文明
4 独自の文明形成
第3章……文明の形―イスラーム的特質
1 乾燥オアシス地帯と遊牧文化(バダーワ)
2 アラビア半島の遊牧文化
3 文明と遊牧文化の差異
4 農耕・都市・遊牧文化の三項連関
5 二つの都市と三項連関
6 聖典のバダーワ的性格
第4章……共同体と国家の形成
1 国家なき部族社会からウンマ原理へ
2 「マディーナ憲章」再考―最近の研究動向から
3 マディーナ憲章が描くウンマと統治権
4 クルアーンにおける「ウンマ」
5 宗教と民族の共存
6 神権政治をめぐって
7 政教一元論
第5章……カリフ制国家の形成と変容
1 後継者の選出
2 カリフ政体(ヒラーファ)の成立
3 長老支配か、門閥政治か
4 共同体=国家の分裂
5 王朝権力の成立
6 原型・理念・可能態としての初期イスラーム時代
第6章……イスラーム化の進展
1 アラブ帝国の支配
2 統治制度の整備
3 イスラーム化の仕組み
4 イスラーム帝国の勃興
5 バグダード建設と国際貿易ネットワーク
6 「白い木綿」の隆盛
第7章……アラビア語の成長と諸科学の形成
1 詩人の時代から聖典時代へ
2 紙の導入
3 翻訳運動
4 アラブ文学の誕生
5 イスラーム科学の成立
第8章……イスラーム法の発展
1 イスラーム法の役割
2 クーファの学統─法学者の誕生
3 学派の興亡
4 ハディースの収集
5 大法官アブー・ユースフ
6 理性主義神学をめぐる闘争
第9章……イスラームの体系化
1 文明形成期の危機
2 分派と党派の先鋭化
3 スンナ派の静かなる革命
4 ウンマの一体性
5 思想の市場メカニズムと科学の自立
終 章……その後のイスラーム文明と国家
1 アッバース朝後期から諸王朝の時代へ
2 イスラーム文明の展開
3 イスラーム文明の退勢と「文明の復興」
[注]
あとがき
イスラーム文明への理解をさらに深めるための文献案内
引用文献一覧
索引(逆頁)
目 次
はじめに
第1章……イスラーム圏の地理的・空間的拡大
1 アラビア半島
2 宗教と国際関係
3 大征服と版図の拡大
4 文明の重心点
第2章……文明的な展開
1 宗教としてのイスラーム
2 文明の定義をめぐって
3 版図に加わった先行文明
4 独自の文明形成
第3章……文明の形―イスラーム的特質
1 乾燥オアシス地帯と遊牧文化(バダーワ)
2 アラビア半島の遊牧文化
3 文明と遊牧文化の差異
4 農耕・都市・遊牧文化の三項連関
5 二つの都市と三項連関
6 聖典のバダーワ的性格
第4章……共同体と国家の形成
1 国家なき部族社会からウンマ原理へ
2 「マディーナ憲章」再考―最近の研究動向から
3 マディーナ憲章が描くウンマと統治権
4 クルアーンにおける「ウンマ」
5 宗教と民族の共存
6 神権政治をめぐって
7 政教一元論
第5章……カリフ制国家の形成と変容
1 後継者の選出
2 カリフ政体(ヒラーファ)の成立
3 長老支配か、門閥政治か
4 共同体=国家の分裂
5 王朝権力の成立
6 原型・理念・可能態としての初期イスラーム時代
第6章……イスラーム化の進展
1 アラブ帝国の支配
2 統治制度の整備
3 イスラーム化の仕組み
4 イスラーム帝国の勃興
5 バグダード建設と国際貿易ネットワーク
6 「白い木綿」の隆盛
第7章……アラビア語の成長と諸科学の形成
1 詩人の時代から聖典時代へ
2 紙の導入
3 翻訳運動
4 アラブ文学の誕生
5 イスラーム科学の成立
第8章……イスラーム法の発展
1 イスラーム法の役割
2 クーファの学統─法学者の誕生
3 学派の興亡
4 ハディースの収集
5 大法官アブー・ユースフ
6 理性主義神学をめぐる闘争
第9章……イスラームの体系化
1 文明形成期の危機
2 分派と党派の先鋭化
3 スンナ派の静かなる革命
4 ウンマの一体性
5 思想の市場メカニズムと科学の自立
終 章……その後のイスラーム文明と国家
1 アッバース朝後期から諸王朝の時代へ
2 イスラーム文明の展開
3 イスラーム文明の退勢と「文明の復興」
[注]
あとがき
イスラーム文明への理解をさらに深めるための文献案内
引用文献一覧
索引(逆頁)