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東アジアの死刑

冨谷 至 編

菊上製・540頁

ISBN: 9784876987436

発行年月: 2008/02

  • 本体: 6,200円(税込 6,820円
  • 在庫あり
 
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内容

究極の刑罰、死刑に焦点をあて、東アジア世界の法制度、法習慣、法思想、法社会学、法と宗教を総合的に考究する。日本・中国・オランダ・スウェーデン・イギリスの、かつ歴史学・法律学・社会学・人類学からなる国際共同研究によって、罪と罰の法意識を学術的実証的に考究することで、死刑問題の根源、今日の社会問題の解明に貢献する。

プロフィール

執筆者一覧(執筆順)

冨谷 至
 京都大学人文科学研究所 教授
 中国法制史
岩井 茂樹
 京都大学人文科学研究所 教授
 中国近世史
Anders Karlsson
 イギリス ロンドン大学アジアアフリカ研究所(SOAS) 講師
 朝鮮近世史
Bengt Pettersson
 スウェーデン国立東アジア考古研究所 研究員
 中国古代史
古勝 隆一
 京都大学人文科学研究所 准教授
 中国思想史
矢木 毅
 京都大学人文科学研究所 准教授
 朝鮮中世近世史
Oliver Moore
 オランダ ライデン大学漢学研究所 講師
 中国芸術史
伊藤 孝夫
 京都大学 法学研究科 教授
 日本法制史
周 東平
 中国 厦門大学 法学部 教授
 中国法制史,現代法
藤田 弘夫
 慶應義塾大学 文学部 教授
 社会学
赤松 明彦
 京都大学 文学研究科 教授
 インド哲学
Hkan Wahlquist
 スウェーデン国立民族学博物館 東アジア部門 主任研究員
 東アジア民族学
Staffan Rosn
 スウェーデン ストックホルム大学東アジア言語研究所 教授
 朝鮮史 朝鮮語学

目次

はじめに

I 罪と刑罰

第1章 究極の肉刑から生命刑へ -漢〜唐死刑考-[冨谷 至]
 はじめに
 1 漢代の死刑-その執行様態
 2 魏晋の刑罰
 3 北朝の死刑-絞殺刑の登場
 4 北斉・北周から隋へ
 5 宋・齊・梁・陳の死刑
 おわりに 秦漢から隋唐へ-究極の肉刑から生命刑へ
第2章 宋代以降の死刑の諸相と法文化[岩井茂樹]
 はじめに
 1 「五刑」と近世の酷刑
 2 凌遅処死,その他
 3 死刑の手続きと近世の法文化
 おわりに
第3章 千金の子は市に死せず
    -17・18世紀朝鮮時代における死刑と梟首-[アンデシ・カールソン]
 序 論
 1 朝鮮時代の梟首
 2 17・18世紀の法典における梟首
 3 もめごとの多い北部
 結 論
 附録:梟首・死罪に関する王命法規一覧
●article1 有徳の殺人?
      -漢代における国家容認の暴力の歴史-[ベント・ペテルソン]

II 社会と死刑

第4章 魏晋時代の皇帝権力と死刑
    -西晋末における誅殺を例として-[古勝隆一]
 はじめに
 1 礼と刑
 2 皇帝による賞罰
 3 誅とは何か
 4 西晋末における誅の濫用
 5 冤魂の系譜
 6 誅せられた者の家族
 7 名誉回復
 結 び
第5章 朝鮮党争史における官人の処分
    -賜死とその社会的インパクト-[矢木 毅]
 はじめに
 1 明律の受容
 2 刑罰と懲戒
 3 党争の展開
 4 懲戒の体系
 5 拷問の諸相
 6 恩寵としての「賜死」
 7 「賜死」の思想
 8 雪冤と顕彰
 おわりに
第6章 中国の前近代絵入り史話における死刑と暴力の図像[オリバー・ムーア]
 1 絵入り史話
 2 文章と図像
 3 絵入り史話の形式と内容
 4 絵入り歴史物語の中の死刑
 5 図像の変換力
 6 見る者の視覚的能力
 7 絵入り史話における図像の使用
 8 リズムの標徴としての図像
 9 処刑の記述
第7章 死刑の社会史 -近世・近代日本と欧米-[伊藤孝夫]
 はじめに
 1 儀礼としての死刑
 2 刑死者の社会史-近世日本
 3 文明化と死刑
第8章 現代中国の死刑に関する立法およびその整備について[周 東 平]
 緒 言
 1 現代中国の死刑立法の沿革と現状
 2 中国現行刑法における死刑立法の批評分析
 3 中国における死刑立法の展望
 結 語
●article2 東アジアと死刑の風景
      -死刑のイメージの比較社会学-[藤田弘夫]
 1 世界の死刑
 2 社会秩序と安全
 3 現代社会と死刑の系譜
 4 東アジアと死刑の未来

III 非中国的視座に立って

第9章 古代インドにおける死刑
    -サンスクリット文献に見える刑罰の分析を通じて-[赤松明彦]
 はじめに
 1 古代インドでは刑罰をどのように見ていたか
 2 刑罰の種類と犯罪の分類
 3 体刑と罰金刑
 4 カースト制と刑罰-バラモンの特権性
 5 量刑の基準-同害刑罰の思想と抑止の思想
 6 死刑となる犯罪
 7 法と王権-社会的観点から見た刑罰
 8 けがれの観念と罪の観念-宗教的観点から見た刑罰
 9 「死刑」をめぐって-聖的権威と俗的権威のせめぎ合い
 10 不殺生(非暴力)の思想と死刑-仏教的原理と社会規範
 おわりに
第10章 ムルキ・アイン(Muluki Ain)
    -ネパールの法典と死刑-[ホーカン・ヴォルケスト]
 序 文
 1 死刑制度と人類学の仮説
 2 ネパールにおける法の伝統
 3 ネパール-その歴史的背景
 4 ネパール王国の伝統的特質
 5 民族国家に向けて
 6 ヒンドゥーの王権,王国と法
 7 法とネパール国家の形成-ラナ以前の時代
 8 スリ・スレンドラ・ビクラム・シャハのムルキ・アイン1854 年
第11章 死刑と朝鮮の法的伝統[スタファン・ローゼン]
 序 死刑
 1 早期朝鮮の概念
 2 早期朝鮮の法的遺産
 3 早期朝鮮の法的資料
 4 朝鮮と遊牧民の法の遺風
 5 朝鮮と律令の伝統
 6 新羅の法的伝統における刑罰

死刑存廃論議の門口に佇んで-総括に代えて-[冨谷 至]

索 引
Capital Punishment in East Asia
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