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中国の環境政策

現状分析・定量評価・環境円借款

森晶寿・植田和弘・山本裕美 編著

A5上製, 410 pages

ISBN: 9784876987382

pub. date: 08/08

  • Price : JPY 4,000 (with tax: JPY 4,400)
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内容

改革・開放路線への転換以後,目覚ましい経済成長を続ける中国。その影で,旧体制の非民主的な側面を引きずり,経済成長を環境保護に優先する志向も根強い。中国は環境問題へどのような政策的対応をとってきたのか。環境負荷を増大させない経済構造への転換にどの程度寄与してきたのか。現代中国における「持続可能な発展」を,現状分析と定量評価により明らかにし,将来を展望する。

書評

「経済セミナー」2008年11月号、120頁

プロフィール

(執筆順)

森 晶寿(もり あきひさ) [序章・第3・11・12章・終章]
1997年京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学,博士(経済学)。現在,京都大学地球環境学堂准教授。主な著作に,『環境経済学講義』(共著,有斐閣,2008年),「途上国の都市の環境ガバナンスと環境援助:タイのLA21プロジェクトを素材として」松下和夫編著『環境ガバナンス論』(礪波亜希と共著,京都大学学術出版会,2007年,pp. 253―272)など。専攻:環境経済学,地球益経済論。

植田和弘(うえた かずひろ) [第1章・第6章]
1975年京都大学工学部卒業。大阪大学大学院を経て,1981年京都大学経済研究所助手。1984年京都大学経済学部助教授,1994年同教授。現在,京都大学大学院経済学研究科および同地球環境学堂教授。主な著作に,『リーディングス環境(全5巻)』(共編著,有斐閣,2005―2006年),『環境経済学』(岩波書店,1996年),『環境ガバナンス論』(共著,京都大学学術出版会,2007年)など。専攻:環境経済学,財政学。

北野尚宏(きたの なおひろ) [第2章]
1983年早稲田大学理工学部土木工学科卒業,1997年コーネル大学大学院博士課程修了(Ph. D. (都市地域計画))。現在,国際協力銀行 開発第2部 部長(中国,モンゴル,ベトナム,ラオス,カンボジア,バングラデシュ,スリランカに対する円借款業務を担当)。主な著作に,「中国の都市化と下水道整備」『環境情報科学』第34巻第3号2005年,“Analysis of Spatial Organization and Transportation Demand in an Expanding Urban Area: Sendai, Japan, 1972―92.” In Simon J. Evenett, Weiping Wu, and Shahid Yusuf eds. Facets of Globalization: International and Local Dimensions of Development, Washington, DC: World Bank; October(2001). 「中国1980年代初頭の都市屎尿の農村還元」大野盛雄,小島麗逸編著『アジア厠(かわや)考』勁草書房1994年1月など。

孫  穎(そん えい) [第3章]
2008年京都大学大学院地球環境学舎博士課程修了,博士(地球環境学)。現在,国立環境研究所ポスドクフェロー。主な著作に,「産業構造転換と環境負荷の関係―北九州市と大連市の比較研究を中心に」『福祉社会研究』第4・5号合併号(京都府立大学,2005年,pp. 67―94)など。専攻:環境経済学,地球益経済論。

山本裕美(やまもと ひろみ) [第4章]
1974年京都大学大学院農学研究科博士課程中退,同年アジア経済研究所に入所。同開発研修室長を経て,1997年より京都大学大学院経済学研究科教授,博士(農学)。2002年より京都大学大学院経済学研究科付属上海センター長を兼任。主な著作に,『改革開放期中国の農業政策:制度と組織の経済分析』(京都大学学術出版会,1999年),「中国の近代化と経済思想―経済学における西学東漸」八木紀一郎編『経済思想―非西欧圏の経済学』(日本経済評論社,2007年)など。専攻:中国経済論(香港・台湾を含む),開発経済学。
劉 春發(りゅう しゅんはつ) [第4章]
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程在学中。主な著作に,「日本の森林環境税」『世界林業研究』Vol. 20,No. 5(2007年10月),「日本環境税の現状」『中国財経信息資料』Vol. 7(2007年8月)など。専攻:開発経済学,環境経済学。

金 紅実(きん こうじつ) [第5章]
2002年京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。現在,京都大学大学院経済学研究科博士後期課程在学中。主な著作に,共同執筆(金紅実・植田和弘)「中国の環境政策と汚染者負担原則」,『上海センター研究年報 東アジア経済研究2006』(京都大学大学院経済学研究科 付属上海センター,2006年)など。

何 彦旻(か えんみん) [第6章]
2007年京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。現在,京都大学大学院経済学研究科博士後期課程在学中。

山本浩平(やまもと こうへい) [第8章]
1994年京都大学大学院工学研究科修士課程修了,博士(工学)。現在,京都大学大学院エネルギー科学研究科助教。主な著作に,「環境影響・負荷評価手法とデータベース」吉川暹編『新エネルギー最前線 環境調和型エネルギーシステムの構築を目指して』(化学同人,2006年,pp. 158―164),「エアロゾル全球化学輸送モデル(AGCTM)の開発と応用」(第12回土木学会地球環境シンポジウム講演論文集,2004年,pp. 265―272)など。専攻:大気環境学,環境影響評価学。

永禮英明(ながれ ひであき) [第9章]
2001年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了,博士(工学)。現在,北見工業大学工学部准教授。専攻:水環境工学,上下水道工学。

張 坤民(つぁん くんみん) [第10章]
1965年中国精華大学土木学部大学院修了。中国精華大学環境学部副学部長,中国環境管理幹部学院 嵂ア副学長,国家環境保護総局第一副局長,中国環境與展国際協力委員会秘書長,日本立命館アジア太平洋大学専任教授を経て,現在,中国精華大学・中国人民大学博士課程指導教官。主な著作に,『持続可能発展論』(中国環境科学出版社,1997年),『中国持続可能発展の政策と行動』(中国環境科学出版社,2004年)など,専攻:環境政策論。

彭 立頴(ぽん りいん) [第10章]
1994年7月中国吉林大学環境科学学部卒業.中国環境管理幹部学院助教・講師を経て,2008年中国人民大学環境学院博士課程修了。主な著作に,Zhang Kunmin, Peng Liying, “Introduction to Sustainable Development and Measurement of its Progress,” Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies 19,(2005年),彭立頴・賈金虎,「中国環境統計の歴史と展望」『環境保護』(2008年2月号)など。専攻:環境経済学。

陳  雲(ちぇん ゆん) [第13章]
2001年,広島大学大学院国際協力研究科博士課程修了。2002年より,復旦大学国際関係與公共事務学院副教授。専門は開発経済学,移行体制論,公共政策論。政治経済学的視点から開発の中の公共政策問題を実証分析すると同時に,その背後にある制度的原因を探ることに研究の重点をおく。主な著作に,「中国の体制移行における開発モデルの変遷と所得格差」『広島大学経済論叢』(2006年第29巻第2号),単著書Transition and Development in China: towards Shared Growth(Ashgate Publishing Group, UK, forthcoming)など。

目次

はしがき [森 晶寿]

序章 中国の環境政策―現状分析・定量評価・環境円借款― [森 晶寿]
1 問題の所在
2 中国の環境政策の特徴と現状分析
3 中国の環境政策の効果の定量分析
4 外国資金の役割
5 環境ガバナンス研究への展開

第 I 部 中国の環境政策の現状分析と課題

第1章 大気汚染政策の到達点と課題 [植田 和弘]
1 はじめに
2 中国の大気汚染―現状と被害―
3 大気汚染政策の枠組み
4 排汚費徴収制度
5 中国のエネルギー政策と大気汚染政策の統合と整合性
6 中国環境政策の課題―地方政府を中心に―
7 おわりに
第2章 水環境政策の到達点と課題 [北野 尚宏]
1 はじめに
2 中国の水汚染の現状
3 中国の都市化と下水道整備
4 河川流域における水環境管理政策
第3章 中国における循環経済政策の到達点と課題 [孫 穎・森 晶寿]
1 はじめに
2 区域および市レベルの循環経済の展開と特徴
3 先進モデル地域の事例分析
4 結論
第4章 森林環境政策の到達点と課題 [劉 春發・山本 裕美]
1 本章の背景と課題
2 中国林業産業の現状及び特徴
3 林業政策転換の歴史的背景
4 中国林業政策転換の3つの段階
5 林業政策の転換による効果とインパクト
6 林業政策の課題
7 結論
〈付論〉 砂漠化防止戦略
1 砂漠化の現状
2 砂漠化防止の戦略目標
3 砂漠化防止の措置と成果及び課題
4 結論
第5章 中国における環境保護投資とその財源 [金 紅実]
1 はじめに
2 環境統計上の諸経費と環境保護投資概念との関係及びその算定方式
3 環境保護投資体制の発展と投資財源の多元化
4 工業汚染源対策の支出傾向分析
5 おわりに
第6章 排汚収費制度の到達点と課題 [植田 和弘・何 彦旻]
1 はじめに
2 中国の排汚収費制度成立の背景
3 排汚収費制度の史的変遷
4 排汚収費制度の機能と評価
5 新しい排汚収費制度
6 おわりに
第7章 現代中国の環境保護政策[張 坤民]
1 はじめに
2 中国の環境政策の形成
3 中国の環境政策の特徴
4 中国の環境政策の変遷
5 中国の環境政策に対する国際社会の評価
6 中国の環境政策の将来

第II部 中国の環境統計と環境政策の定量的評価

第8章 大気汚染政策による硫黄酸化物の排出削減効果 [山本 浩平]
1 中国における硫黄酸化物汚染の実態
2 大気汚染物質の中国周辺域への環境影響
3 環境政策によるSO2排出量削減効果の推計
第9章 環境政策の汚染物質排出量削減効果 [永禮 英明]
1 推計方法
2 中国における年別COD排出量推計結果
3 まとめ
第10章 中国の環境統計―現状と改革―[彭 立穎・張 坤民]
1 はじめに
2 環境統計の作成と進捗状況
3 中国の環境統計の現状
4 中国の環境統計活動の主要な課題
5 米国の環境統計との比較
6 中国の環境統計の改革が直面する主な困難
7 中国の環境統計改革に関する枠組みの提案

第III部 日本の対中環境円借款の評価

第11章 対中環境円借款の特徴と環境汚染削減効果 [森 晶寿]
1 はじめに
2 対中環境円借款の特徴
3 分析対象
4 環境汚染物質の削減効果
5 都市環境インフラサービスの潜在的裨益人口
6 実現した効果の持続性
7 結論
第12章 環境円借款の中国の環境政策・制度発展へのインパクト [森 晶寿]
1 はじめに
2 分析枠組み
3 中国政府の環境問題へのコミットへのインパクト
4 地方政府の環境能力発展へのインパクト
5 結論

第IV部 中国の環境政策と環境ガバナンス

第13章 中国における政府主導型環境ガバナンスの特徴と問題点―「開発主義体制」の葛藤―  [陳   雲]
1 はじめに
2 政府主導型環境ガバナンスの特徴と問題点
3 地方政府の開発衝動の論理:立憲的地方自治制度の勧め
4 権威主義体制と環境問題のジレンマ:結論に代えて

終章 結論と展望 [森 晶寿]
1 本書での検討から得られた知見
2 今後の課題

巻末資料
あとがき
索引
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