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日本資本の紡績業=在華紡は、綿業のみならず中国産業の近代化に大きく寄与したとされる。しかし、これまでの研究は、主に日本の産業史の一局面としてとらえることが多く、中国の民族紡への影響や、中国の労働運動、財政問題など、中国社会との関わりまで深く踏み込んでは論じてこなかった。その欠を補う好著。
『社会経済史学』Vol.72, No.2 (2006年7月)、111-113頁、評者:高村直助氏
岩井茂樹(いわい しげき)…第4章
[現 職] 京都大学人文科学研究所教授
1955年福岡県戸畑市(現北九州市)生まれ。1980年京都大学大学院文学研究科修士課程修了。1980~82年文部省「アジア諸国等派遣留学生」として南海大学、北京大学に留学。1983年京都大学文学部助手。京都産業大学経済学部講師、同助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て2002年より現職。
[主要編著書] 『中国近世財政史の研究』(京都大学学術出版会、2004年)、『中国近世社会の秩序形成』(編著、京都大学人文科学研究所、2004年)、『データによる中国近代史』(共著、有斐閣、1996年)、張継和『最後の宦官―小徳張』(訳注/解説、朝日新聞社、1991年)。
江田憲司(えだ けんじ)…第2章
[現 職] 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
1955年三重県生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋史学)単位取得退学。同年京都大学人文科学研究所助手。京都産業大学外国語学部講師、同助教授、同教授、日本大学文理学部教授を経て、2004年より現職。
[主要編著書] 『満鉄労働史の研究』(共編著、日本経済評論社、2002年)、『戦争と疫病ーー七三一部隊がもたらしたもの』(共著、本の友社、1997年)、『五四時期の上海労働運動』(同朋舎出版、1992年)。
籠谷直人(かごたに なおと)…第1章
[現 職] 京都大学人文科学研究所助教授
1959年京都市生まれ。1986年一橋大学大学院経済学研究科博士課程中退。1987年一橋大学経済学部助手。名古屋市立大学経済学部助教授を経て、1995年より現職。
[主要編著書] 『1930年代のアジア国際秩序』(共編、渓水社、2001年)、『アジア国際通貨秩序と近代日本』(名古屋大学出版会、2000年)。
富澤芳亜(とみざわ よしあ)…第6章
[現 職] 島根大学教育学部助教授
1965年新潟市生まれ。1996年広島大学大学院文学研究科博士課程後期(東洋史学)単位取得退学。同年島根大学教育学部講師を経て、2000年より現職。
[主要編著書] 『近代中国と日本ーー提携と敵対の半世紀』(共著、御茶の水書房、2001年)、「一九三七年の綿沙統税の引き上げと日中紡織資本」(『東洋学報』82-1、2000年)
森 時彦(もり ときひこ)…編者/第3章・第5章
[現 職] 京都大学人文科学研究所教授
1947年奈良市生まれ。1974年京都大学大学院博士課程(東洋史)中退。同年京都大学人文科学研究所助手。愛知大学法経学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、1995年より現職。
[主要編著書] 『中国近代化の動態構造』(編著、京都大学人文科学研究所、2004年)、『中国近代綿業史の研究』(京都大学学術出版会、2001年)、『中国近代の都市と農村』(編著、京都大学人文科学研究所、2001年)、「梁啓超の経済思想」(『共同研究 梁啓超』みすず書房、1999年)。
[現 職] 京都大学人文科学研究所教授
1955年福岡県戸畑市(現北九州市)生まれ。1980年京都大学大学院文学研究科修士課程修了。1980~82年文部省「アジア諸国等派遣留学生」として南海大学、北京大学に留学。1983年京都大学文学部助手。京都産業大学経済学部講師、同助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て2002年より現職。
[主要編著書] 『中国近世財政史の研究』(京都大学学術出版会、2004年)、『中国近世社会の秩序形成』(編著、京都大学人文科学研究所、2004年)、『データによる中国近代史』(共著、有斐閣、1996年)、張継和『最後の宦官―小徳張』(訳注/解説、朝日新聞社、1991年)。
江田憲司(えだ けんじ)…第2章
[現 職] 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
1955年三重県生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋史学)単位取得退学。同年京都大学人文科学研究所助手。京都産業大学外国語学部講師、同助教授、同教授、日本大学文理学部教授を経て、2004年より現職。
[主要編著書] 『満鉄労働史の研究』(共編著、日本経済評論社、2002年)、『戦争と疫病ーー七三一部隊がもたらしたもの』(共著、本の友社、1997年)、『五四時期の上海労働運動』(同朋舎出版、1992年)。
籠谷直人(かごたに なおと)…第1章
[現 職] 京都大学人文科学研究所助教授
1959年京都市生まれ。1986年一橋大学大学院経済学研究科博士課程中退。1987年一橋大学経済学部助手。名古屋市立大学経済学部助教授を経て、1995年より現職。
[主要編著書] 『1930年代のアジア国際秩序』(共編、渓水社、2001年)、『アジア国際通貨秩序と近代日本』(名古屋大学出版会、2000年)。
富澤芳亜(とみざわ よしあ)…第6章
[現 職] 島根大学教育学部助教授
1965年新潟市生まれ。1996年広島大学大学院文学研究科博士課程後期(東洋史学)単位取得退学。同年島根大学教育学部講師を経て、2000年より現職。
[主要編著書] 『近代中国と日本ーー提携と敵対の半世紀』(共著、御茶の水書房、2001年)、「一九三七年の綿沙統税の引き上げと日中紡織資本」(『東洋学報』82-1、2000年)
森 時彦(もり ときひこ)…編者/第3章・第5章
[現 職] 京都大学人文科学研究所教授
1947年奈良市生まれ。1974年京都大学大学院博士課程(東洋史)中退。同年京都大学人文科学研究所助手。愛知大学法経学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、1995年より現職。
[主要編著書] 『中国近代化の動態構造』(編著、京都大学人文科学研究所、2004年)、『中国近代綿業史の研究』(京都大学学術出版会、2001年)、『中国近代の都市と農村』(編著、京都大学人文科学研究所、2001年)、「梁啓超の経済思想」(『共同研究 梁啓超』みすず書房、1999年)。
まえがき
第1章 日本綿業における在華紡の歴史的意義 --5・30事件から日中戦争直前まで 篭谷直人
はじめに
1.内外綿,生産綿糸の高番手化 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
2.日華紡織,紡機のハイ・ドラフト化 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
3.「黄金期」(1929~31年)における分岐 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
4.有力紡績企業系の在華紡の意義 --上海製造絹糸と裕豊紡績を事例に--
1)親会社にとっての「果実」
2)人事的再編の場としての在華紡
5.満洲事変後の在華紡と日本綿業界
1)拠点の拡散化と在華紡の主体性
2)華北経済進出と綿工連
まとめにかえて
第2章 在華紡と労働運動 江田憲治
はじめに
1.勃興期--2月ストと5・30運動(1925年2月~8月)
1)2月ストの勃発
2)ストの要求と労働者状況
3)2月ストから5・30運動へ
2.高揚期 --運動の再建から三大ゼネスト参加へ(1925年9月~27年4月)
1)ポスト5・30期のスト運動
2)三つの大規模スト 在華紡の労働政策の転換
3)ふたたび政治闘争へ
3.防戦期 --在華紡資本の攻勢への対抗(1927年8月~30年9月)
1)国共両党の労働運動政策と労働者の防戦
2)日華紡織における労働者の要求
4.後退期 --反日闘争への傾斜と最後の高揚(1931年12月~36年11月)
1)上海事変期のストライキと復業闘争
2)最後の高揚--在華紡反日大ストライキ
おわりに
第3章 1927年9月上海在華紡の生産シフト 森 時彦
はじめに
1.「1923年恐慌」と中国紡績業界の分化
2.1920年代後半の市場環境
3.1927年の中国市場
4.1927年9月の生産シフト
むすび
第4章 中国近代の財政問題と在華紡 岩井茂樹
はじめに
1.中国の工業化の財政環境
2.輸入代替産業育成策と在華紡
3.統税と在華紡
おわりに
第5章 在華紡の進出と高陽織布業 森 時彦
はじめに
1.中国近代における綿紡織業の展開過程
2.第一次世界大戦と高陽近代織布業の勃興
3.「近代セクター成長期」の高陽織布業
4.在華紡の兼営織布と高陽織布業
むすび
第6章 在華紡の遺産--戦後における中国紡織機器製造公司の設立と西川秋次 富澤芳亜
はじめに
1.西川秋次の中国残留
1)残留決定までの経緯
2)西川秋次と豊田佐吉との関係
3)日中戦争前における西川秋次と中国人紡織業者との関係
4)在華紡の「技術」の戦後中国への継承
5)国民政府の留用政策との関係
2.中国紡織機器公司の設立と日本人技術者
むすび
索 引
第1章 日本綿業における在華紡の歴史的意義 --5・30事件から日中戦争直前まで 篭谷直人
はじめに
1.内外綿,生産綿糸の高番手化 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
2.日華紡織,紡機のハイ・ドラフト化 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
3.「黄金期」(1929~31年)における分岐 --5・30事件後の先発在華紡の再編--
4.有力紡績企業系の在華紡の意義 --上海製造絹糸と裕豊紡績を事例に--
1)親会社にとっての「果実」
2)人事的再編の場としての在華紡
5.満洲事変後の在華紡と日本綿業界
1)拠点の拡散化と在華紡の主体性
2)華北経済進出と綿工連
まとめにかえて
第2章 在華紡と労働運動 江田憲治
はじめに
1.勃興期--2月ストと5・30運動(1925年2月~8月)
1)2月ストの勃発
2)ストの要求と労働者状況
3)2月ストから5・30運動へ
2.高揚期 --運動の再建から三大ゼネスト参加へ(1925年9月~27年4月)
1)ポスト5・30期のスト運動
2)三つの大規模スト 在華紡の労働政策の転換
3)ふたたび政治闘争へ
3.防戦期 --在華紡資本の攻勢への対抗(1927年8月~30年9月)
1)国共両党の労働運動政策と労働者の防戦
2)日華紡織における労働者の要求
4.後退期 --反日闘争への傾斜と最後の高揚(1931年12月~36年11月)
1)上海事変期のストライキと復業闘争
2)最後の高揚--在華紡反日大ストライキ
おわりに
第3章 1927年9月上海在華紡の生産シフト 森 時彦
はじめに
1.「1923年恐慌」と中国紡績業界の分化
2.1920年代後半の市場環境
3.1927年の中国市場
4.1927年9月の生産シフト
むすび
第4章 中国近代の財政問題と在華紡 岩井茂樹
はじめに
1.中国の工業化の財政環境
2.輸入代替産業育成策と在華紡
3.統税と在華紡
おわりに
第5章 在華紡の進出と高陽織布業 森 時彦
はじめに
1.中国近代における綿紡織業の展開過程
2.第一次世界大戦と高陽近代織布業の勃興
3.「近代セクター成長期」の高陽織布業
4.在華紡の兼営織布と高陽織布業
むすび
第6章 在華紡の遺産--戦後における中国紡織機器製造公司の設立と西川秋次 富澤芳亜
はじめに
1.西川秋次の中国残留
1)残留決定までの経緯
2)西川秋次と豊田佐吉との関係
3)日中戦争前における西川秋次と中国人紡織業者との関係
4)在華紡の「技術」の戦後中国への継承
5)国民政府の留用政策との関係
2.中国紡織機器公司の設立と日本人技術者
むすび
索 引