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「キモンとペロー」——獄中で餓死する定めとなった老父キモンを、授乳によって救おうとする娘ペローの物語は造形芸術の主題にも取り上げられ、ヨーロッパで爆発的な流行をみる。本書は、各国における同一主題の表現類型を検討しつつ、「比較芸術学」という新しい面を切り開いている。
深谷訓子(ふかや みちこ)
尾道大学芸術文化学部准教授
1974年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。主要論文および著訳書に,「テル・ブリュッヘン作《笑うデモクリトスと泣くヘラクレイトス》—世界球・地球儀・天球儀の表現をめぐって—」『美術史』第150冊(2001年),”The Judgment of Midas by Goltzius and Traditions of the Rhetorician's Chamber" in: Humaniora Kiotoensia: On the Centenary of Kyoto Humanities, (ed. T. Nakatsukasa), Kyoto, 2006, ターコ・ディビッツ「牛乳を注ぐ女」『アムステルダム国立美術館所蔵 フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』国立新美術館(2007年),「人名で読むカーレル・ファン・マンデルの『画家の書』」『西洋美術研究』第13号(2007年),ジョン・ラフマン「家庭は至福の場か」中村俊春編『変容する親密圏/公共圏3 絵画と私的世界の表象』京都大学学術出版会(2012年)など。
尾道大学芸術文化学部准教授
1974年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。主要論文および著訳書に,「テル・ブリュッヘン作《笑うデモクリトスと泣くヘラクレイトス》—世界球・地球儀・天球儀の表現をめぐって—」『美術史』第150冊(2001年),”The Judgment of Midas by Goltzius and Traditions of the Rhetorician's Chamber" in: Humaniora Kiotoensia: On the Centenary of Kyoto Humanities, (ed. T. Nakatsukasa), Kyoto, 2006, ターコ・ディビッツ「牛乳を注ぐ女」『アムステルダム国立美術館所蔵 フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』国立新美術館(2007年),「人名で読むカーレル・ファン・マンデルの『画家の書』」『西洋美術研究』第13号(2007年),ジョン・ラフマン「家庭は至福の場か」中村俊春編『変容する親密圏/公共圏3 絵画と私的世界の表象』京都大学学術出版会(2012年)など。
口絵
はじめに
第1部 16世紀における主題表現の復興
前 史 古代の文学的典拠と中世の作例
第1章 イタリア人画家たちによる「ローマの慈愛(キモンとペロー)」
1 パルマ,サン・パオロ修道院内「グロテスクの間」の図像プログラム
2 ペリン・デル・ヴァーガ,パラッツォ・ドーリアのフレスコ画
3 フォンテーヌブロー宮,フランソワ1世のギャラリー
第2章 「神を畏れぬ画家たち」の《キモンとペロー》—16世紀初頭のニュルンベルクと『著名言行録』
1 「神を畏れぬ画家たち」の《キモンとペロー》
2 裁判,ハンス・ザックス,『著名言行録』
3 芸術作品の主題の典拠としての『著名言行録』
4 絵画伝統との関連—造形上の着想源
5 ペンツのストックホルム作品
6 エロティックな扮装肖像画としてのキモンとペロー
7 ヨースト・アマンの『芸術の小冊子』—ベーハム,ペンツから17世紀へ
第2部 17世紀前半のネーデルラントにおける「キモンとペロー」—物語受容の社会的コンテクストと図像の伝播—
第3章 自然の第一の法—公共事業と「ローマの慈愛」
1 1606年ハールレム,修辞愛好家たちの競演会
2 ホルツィウスの着想源
3 ブルーマールトの《キモンとペロー》
第4章 発覚を危惧する視線—カラヴァッジョ以後の「キモンとペロー」
1 南北をつなぐ鍵としてのマンフレディ—ペローの視線を手がかりに
2 カラヴァッジスト及びルーベンス周辺の諸作品
3 画中画としての「キモンとペロー」
4 授乳と芸術—フェルメールの《音楽の稽古》と画中画の「キモンとペロー」,試論
第3部 17世紀における作品受容と図像表現のさらなる展開
第5章 「ローマの慈愛(キモンとペロー)」受容の一側面
1 考察の前提
2 美徳の範例としての「キモンとペロー」
3 「目の毒」としての「キモンとペロー」?
4 画像論争における裸体問題
5 道徳的な画像について
6 受容の実際—市民の家の「キモンとペロー」
第6章 図像表現の展開
1 オランダにおけるその後の展開
2 フランスにおける新図像—プッサン,ル・ブランにみるカリタスとの融合
結 語
補遺1.「キモンとペロー」(及び関連の逸話)を登場させる古典古代の文学
補遺2.対抗宗教改革期の美術理論
補遺3.『詩篇』第66篇
補遺4.ハンス・ザックスの蔵書目録
掲載図版一覧
参考文献一覧
あとがき
人名索引
はじめに
第1部 16世紀における主題表現の復興
前 史 古代の文学的典拠と中世の作例
第1章 イタリア人画家たちによる「ローマの慈愛(キモンとペロー)」
1 パルマ,サン・パオロ修道院内「グロテスクの間」の図像プログラム
2 ペリン・デル・ヴァーガ,パラッツォ・ドーリアのフレスコ画
3 フォンテーヌブロー宮,フランソワ1世のギャラリー
第2章 「神を畏れぬ画家たち」の《キモンとペロー》—16世紀初頭のニュルンベルクと『著名言行録』
1 「神を畏れぬ画家たち」の《キモンとペロー》
2 裁判,ハンス・ザックス,『著名言行録』
3 芸術作品の主題の典拠としての『著名言行録』
4 絵画伝統との関連—造形上の着想源
5 ペンツのストックホルム作品
6 エロティックな扮装肖像画としてのキモンとペロー
7 ヨースト・アマンの『芸術の小冊子』—ベーハム,ペンツから17世紀へ
第2部 17世紀前半のネーデルラントにおける「キモンとペロー」—物語受容の社会的コンテクストと図像の伝播—
第3章 自然の第一の法—公共事業と「ローマの慈愛」
1 1606年ハールレム,修辞愛好家たちの競演会
2 ホルツィウスの着想源
3 ブルーマールトの《キモンとペロー》
第4章 発覚を危惧する視線—カラヴァッジョ以後の「キモンとペロー」
1 南北をつなぐ鍵としてのマンフレディ—ペローの視線を手がかりに
2 カラヴァッジスト及びルーベンス周辺の諸作品
3 画中画としての「キモンとペロー」
4 授乳と芸術—フェルメールの《音楽の稽古》と画中画の「キモンとペロー」,試論
第3部 17世紀における作品受容と図像表現のさらなる展開
第5章 「ローマの慈愛(キモンとペロー)」受容の一側面
1 考察の前提
2 美徳の範例としての「キモンとペロー」
3 「目の毒」としての「キモンとペロー」?
4 画像論争における裸体問題
5 道徳的な画像について
6 受容の実際—市民の家の「キモンとペロー」
第6章 図像表現の展開
1 オランダにおけるその後の展開
2 フランスにおける新図像—プッサン,ル・ブランにみるカリタスとの融合
結 語
補遺1.「キモンとペロー」(及び関連の逸話)を登場させる古典古代の文学
補遺2.対抗宗教改革期の美術理論
補遺3.『詩篇』第66篇
補遺4.ハンス・ザックスの蔵書目録
掲載図版一覧
参考文献一覧
あとがき
人名索引