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ホルモンハンター
アドレナリンの発見
A5並製・286頁
ISBN: 9784876985876
発行年月: 2012/12
*推 薦*
日本中が山中伸弥先生の日本人二番目(最初の受賞者は利根川進さん)のノーベル生理学・医学賞受賞のニュースで盛り上がっている。そんな時に,この石田三雄氏の『ホルモンハンター ──アドレナリンの発見』は,少なくとももう一人,いや二人の日本人,すなわち,高峰譲吉と共同研究者の上中啓三,が副腎活性成分アドレナリンの単離結晶化を含む世界最先端の研究で,今の世界であればノーベル賞に値すると思われる業績をあげていたことを,膨大な調査に基づいた事実と考察で,いきいきと記している。
アドレナリンの生理・薬理的作用と重要性については若干ながら知ってはいたが,石田三雄氏の莫大な文献調査に基づく,あまたのノーベル賞受賞者が登場する,世界的スケールのドラマを吸い込まれるように読みきって,学問の世界はもちろんだが,それをはるかに越えたもろもろのドラマを堪能するとともに,自分自身の今と,おそらく残り少ないであろう未来に関するさまざまな刺激と教訓を得た感で一杯である。学者志望の若者達はもとより,多くの方々に私自身の得た感動に基づいて,この書を強くおすすめしたい。
根岸英一(2010年ノーベル化学賞受賞者)
*推 薦*
高峰譲吉博士が偉大な功績を残した人物であるにも関わらず,その業績は必ずしも広く知られていない。著者の石田三雄氏は,真実の追求に妥協を許さない。世界で初めてのアドレナリン結晶化という大偉業が,多くの原典記録,資料をもとに丹念に検証されている。数々の研究業績を残した科学者・発明家であり,時代を先取る起業家でもあり,また日米の絆を結ぶ民間外交家という,実に多才な高峰譲吉博士の等身大の姿を存分に味わうことができる名著である。
庄田 隆(第一三共株式会社 代表取締役会長)
高峰譲吉と上中啓三が1900年に達成した副腎髄質ホルモン「アドレナリン」の結晶化。分離分析技術が未発達の時代に世界の科学者たちはどんな研究を繰り広げたのか。単離競争のきっかけとなった仏人ヴュルピアンによる呈色反応の発見や、その後のホルモン研究の発展も含めて、約500年の歴史を再現する。別名「エピネフリン」採用の真相も解明。
『北國新聞』2013.2.7文化面、紹介:松田章一氏
『UP』2013年5月号、46-51頁、評者:泊次郎氏
『UP』2013年5月号、46-51頁、評者:泊次郎氏
石田三雄(いしだみつお)
1931年生まれ。1954年京都大学農学部農芸化学科卒業。同年三共株式会社入社。1962年米国アイオワ州立大学(Ames)に奨学生留学。1964年同大修士課程修了。1968年京都大学農学博士。
最終職歴:三共株式会社取締役農薬本部長。1991~1993年日本農薬学会副会長。
現在:NPO 近代日本の創造史懇話会・理事長、日本農薬学会名誉会員。
主な著作に、「魔弾の射手 パウル・エールリッヒ」『ミクロスコピア』25巻3 号から26巻2 号まで4 回連載(2008~2009年)。『近代日本の創造史 別冊:ポトマックの桜』(2011年、NPO 近代日本の創造史懇話会)。『近代日本の創造史』(2006年~、年2 回発行)にもエッセイが多数掲載されている。また、高峰譲吉生誕150年記念展・英文図録『Jokichi Takamine: The Man Who Gave“Adrenaline” to the World』(2007年、Research Conference on Modern Creative Japanese Scientists)の編集も担当した。
1931年生まれ。1954年京都大学農学部農芸化学科卒業。同年三共株式会社入社。1962年米国アイオワ州立大学(Ames)に奨学生留学。1964年同大修士課程修了。1968年京都大学農学博士。
最終職歴:三共株式会社取締役農薬本部長。1991~1993年日本農薬学会副会長。
現在:NPO 近代日本の創造史懇話会・理事長、日本農薬学会名誉会員。
主な著作に、「魔弾の射手 パウル・エールリッヒ」『ミクロスコピア』25巻3 号から26巻2 号まで4 回連載(2008~2009年)。『近代日本の創造史 別冊:ポトマックの桜』(2011年、NPO 近代日本の創造史懇話会)。『近代日本の創造史』(2006年~、年2 回発行)にもエッセイが多数掲載されている。また、高峰譲吉生誕150年記念展・英文図録『Jokichi Takamine: The Man Who Gave“Adrenaline” to the World』(2007年、Research Conference on Modern Creative Japanese Scientists)の編集も担当した。
登場人物紹介(「副賢活性成分」単離に挑戦したホルモンハンターたち、ほか)
プロローグ
第1章 ホルモンの歴史を切りひらく
1 異国での夜明け
2 着実な進展
3 商品化に向かって
第2章 副腎の謎を追って
1 手さぐりの時代
2 解剖学と発生学による漸進
3 アジソン病
4 副腎を摘出したら?
第3章 生理機能を探る
1 モンテスキューの懸賞論文募集
2 生理学の黎明期
3 鋭い洞察
4 そのころ他の国では
5 なぜヴュルピアンがこの研究を?
6 豊かな交友
7 勇気ある人体実験
8 度肝を抜かれたシェーファー教授
9 言語小国の悲哀
10 副腎機能研究を振り返って
11 止血効果、そして花粉症と喘息の治療
第4章 活性成分を追い求めて
1 生理学的興味から
2 化学者の苦しい模索
3 単離競争はクライマックスへ
4 米・英・独研究者の論争
5 遂に結晶化に成功
6 パーク・デイヴィス社の紳士
7 結晶化の反響
8 あきらめないエイベル
9 活性検定グループの不備
第5章 めぐってきた幸運
1 高峰、最初の転機
2 高峰、第二の転機
3 どん底から新しい着想へ
4 快男子デイヴィスとの出会い
5 上中啓三の参加
6 パーク・デイヴィス社の周到な準備
7 続く高峰の広報活動
8 安定した品質の確保
9 ヴュルピアンの仏語文献の英訳
10 長井の教えに忠実だった上中
11 上中は共著者であるべきか?
12 実学と理学
第6章 歴史的な特許係争の判決
1 信用のおけない十九世紀の薬
2 スムーズな商品化
3 競合品の出現
4 特許係争と歴史的な判決
5 称賛された製法と品質の維持
第7章 名称をめぐる混乱
1 四人の命名者
2 商標権
3 用語をめぐる論争
4 研究者の苦心:五番目の名前
5 一通の手紙と米国薬局方
6 日本薬局方・名称の変遷
7 残念な誤解
第8章 結晶化のあと
1 エイベルのつらい幕引き
2 広がる研究分野
3 ホルモンという名称
4 合成と化学構造
5 神経伝達物質ノルアドレナリンの発見
6 さらに続くノーベル賞
7 化学構造を変換して生まれた新薬
8 米国の紳士たちのその後
9 長井、高峰、上中をつなぐ環
10 「アドレナリン」は今も現役
11 誰でも知っている「アドレナリン」
12 無冠の大使
13 われらがホルモンハンター、ここに眠る
コラム1 高峰と上中によるアドレナリン抽出・結晶化法
2 アドレナリンに特有の呈色反応を初めて報じたヴュルピアンの論文
3 息子を実験動物にしたオリヴァー、その真相はいかに
4 ハンド判事の哲学
5 同じ元素組成で生物活性が全く異なる光学異性体(optical isomer)
一口メモ1 ノーベル賞より歴史の長い科学賞コプリ・メダル(Copley medal)
2 眼鏡なしで近視を治すベイツ法
3 クロマトグラフィーの歴史
4 独仏の争いに翻弄された文化都市ストラスブール(フランス)
5 19世紀末から20世紀初頭の科学
6 製薬業界をリードしていたPD(パーク・デイヴィス)社
エピローグ
謝辞
引用文献
図表出典一覧
〔巻末資料〕
ホルモンハンター活躍の地(ヨーロッパ、アメリカ合衆国)
副腎とアドレナリン関係の歴史年表
登場人物年表(アイウエオ順、生年順)
高峰譲吉の略歴
上中啓三の略歴
索引
プロローグ
第1章 ホルモンの歴史を切りひらく
1 異国での夜明け
2 着実な進展
3 商品化に向かって
第2章 副腎の謎を追って
1 手さぐりの時代
2 解剖学と発生学による漸進
3 アジソン病
4 副腎を摘出したら?
第3章 生理機能を探る
1 モンテスキューの懸賞論文募集
2 生理学の黎明期
3 鋭い洞察
4 そのころ他の国では
5 なぜヴュルピアンがこの研究を?
6 豊かな交友
7 勇気ある人体実験
8 度肝を抜かれたシェーファー教授
9 言語小国の悲哀
10 副腎機能研究を振り返って
11 止血効果、そして花粉症と喘息の治療
第4章 活性成分を追い求めて
1 生理学的興味から
2 化学者の苦しい模索
3 単離競争はクライマックスへ
4 米・英・独研究者の論争
5 遂に結晶化に成功
6 パーク・デイヴィス社の紳士
7 結晶化の反響
8 あきらめないエイベル
9 活性検定グループの不備
第5章 めぐってきた幸運
1 高峰、最初の転機
2 高峰、第二の転機
3 どん底から新しい着想へ
4 快男子デイヴィスとの出会い
5 上中啓三の参加
6 パーク・デイヴィス社の周到な準備
7 続く高峰の広報活動
8 安定した品質の確保
9 ヴュルピアンの仏語文献の英訳
10 長井の教えに忠実だった上中
11 上中は共著者であるべきか?
12 実学と理学
第6章 歴史的な特許係争の判決
1 信用のおけない十九世紀の薬
2 スムーズな商品化
3 競合品の出現
4 特許係争と歴史的な判決
5 称賛された製法と品質の維持
第7章 名称をめぐる混乱
1 四人の命名者
2 商標権
3 用語をめぐる論争
4 研究者の苦心:五番目の名前
5 一通の手紙と米国薬局方
6 日本薬局方・名称の変遷
7 残念な誤解
第8章 結晶化のあと
1 エイベルのつらい幕引き
2 広がる研究分野
3 ホルモンという名称
4 合成と化学構造
5 神経伝達物質ノルアドレナリンの発見
6 さらに続くノーベル賞
7 化学構造を変換して生まれた新薬
8 米国の紳士たちのその後
9 長井、高峰、上中をつなぐ環
10 「アドレナリン」は今も現役
11 誰でも知っている「アドレナリン」
12 無冠の大使
13 われらがホルモンハンター、ここに眠る
コラム1 高峰と上中によるアドレナリン抽出・結晶化法
2 アドレナリンに特有の呈色反応を初めて報じたヴュルピアンの論文
3 息子を実験動物にしたオリヴァー、その真相はいかに
4 ハンド判事の哲学
5 同じ元素組成で生物活性が全く異なる光学異性体(optical isomer)
一口メモ1 ノーベル賞より歴史の長い科学賞コプリ・メダル(Copley medal)
2 眼鏡なしで近視を治すベイツ法
3 クロマトグラフィーの歴史
4 独仏の争いに翻弄された文化都市ストラスブール(フランス)
5 19世紀末から20世紀初頭の科学
6 製薬業界をリードしていたPD(パーク・デイヴィス)社
エピローグ
謝辞
引用文献
図表出典一覧
〔巻末資料〕
ホルモンハンター活躍の地(ヨーロッパ、アメリカ合衆国)
副腎とアドレナリン関係の歴史年表
登場人物年表(アイウエオ順、生年順)
高峰譲吉の略歴
上中啓三の略歴
索引