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南太平洋のフィジーでオセアニア芸術を創出しようとする「レッド・ウェーヴ・アーティスト」たちの実践を、同世代の人類学者が綴った民族誌。オセアニアらしい絵とは何か。集合芸術と個人性の高いアートは両立可能か。「でこぼこ道」を歩んできたという彼らにとって描くことにはどんな意味があるのか。芸術がうまれる場に立ちあえる本。
第14回日本オセアニア学会賞
渡辺 文(わたなべ ふみ)
1981年大分県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。専攻は文化人類学。日本学術振興会特別研究員PD,ハワイ大学人類学科客員研究員などを経て,現在,京都大学大学院人間・環境学研究科研究員,立命館大学非常勤講師。
主な業績
「芸術人類学のために」(『人文学報』97: 125―147, 2008年),The Collective, the Individual, and “Red Wave Art” : The Importance of Styles at the Oceania Centre for Arts and Culture(People and Culture in Oceania, 26: 109―136, 2010年),「芸術がひらくオセアニア―レッド・ウェーヴ絵画におけるモチーフ/スタイルの共有と差異化」(田中雅一・奥山直司編『コンタクト・ゾーンの人文学―Postcolonial/ポストコロニアル』晃洋書房,2012年),The Network of Actions: On the Collectivity in the Vicinity of Red Wave Art(People and Culture in Oceania, 29: 51―68, 2014)。
1981年大分県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。専攻は文化人類学。日本学術振興会特別研究員PD,ハワイ大学人類学科客員研究員などを経て,現在,京都大学大学院人間・環境学研究科研究員,立命館大学非常勤講師。
主な業績
「芸術人類学のために」(『人文学報』97: 125―147, 2008年),The Collective, the Individual, and “Red Wave Art” : The Importance of Styles at the Oceania Centre for Arts and Culture(People and Culture in Oceania, 26: 109―136, 2010年),「芸術がひらくオセアニア―レッド・ウェーヴ絵画におけるモチーフ/スタイルの共有と差異化」(田中雅一・奥山直司編『コンタクト・ゾーンの人文学―Postcolonial/ポストコロニアル』晃洋書房,2012年),The Network of Actions: On the Collectivity in the Vicinity of Red Wave Art(People and Culture in Oceania, 29: 51―68, 2014)。
はじめに―変化を描く
第1章 芸術を人類学的に論じる
1 個と集団をめぐる芸術の人類学
1 個人の独創としての芸術
2 非西洋的芸術をいかに位置づけるか
3 芸術の人類学の到達点をこえて
2 本書の構成と調査の概要
第2章 芸術、文化、ローカリティの共謀―オセアニアの現代芸術
1 伝統の復興・創出とオセアニアの現代芸術
1 パプアニューギニア―国家統合と国立アートスクール
2 ニューカレドニア―カナク独立運動とチバウ文化センター
3 オーストラリア―文化資源としてのアボリジナル・アート
4 ニュージーランド―マオリ文化復興運動と島嶼系移民
5 太平洋芸術祭―地域主義と芸術の台頭
2 フィジー概説―植民地経験、多民族国家の挑戦
3 フィジーにおける芸術
1 植民地時代以前―絵葉書生産とヨーロッパ人の文化的嗜み
2 独立後―フィジー美術アワード受賞作品から
3 近年のアート・イベントにおける特徴
4 オセアニア・センターへの道
第3章 芸術の家―オセアニア・センターの生活
1 オセアニアをさがして―「海に浮かぶ島々」から「島々の浮かぶ海」へ
2 オセアニア・センターとレッド・ウェーヴ・コレクティヴ
3 芸術の家を建てる
4 「家」の機能的役割
5 仲間のいる学び舎―他人の模倣をつうじての芸術習得
6 日常における「オセアニアらしさ」の形成
第4章 芸術家になるために―ライフ・ストーリー
1 「でこぼこ道」
2 去っていった者たち
1 ンガンデー―抜けられないギャングの闇
2 チョセタキ・フォイアカウ―描きたいストーリーの不在
3 歩きつづける者たち
1 ピーター・ワンガヌイ―村生活との往復
2 テヴィタ・サウリンガ―生きるための場所
3 メイソン・リー―パート・チャイニーズの孤独と暴力
4 イラミ・ンブリマイヴァレ―「俺に家はなかった」
5 リンギコニ・ファカウタ―家庭内暴力とワンダーランド
6 チョサイア・マクナマラ―パート・ヨーロピアンの疎外感と宗教への傾倒
7 アナレー・ソムム―「異端児」にとっての家
4 紡がれる個々の物語
1 芸術を信じるということ
2 根無し草から「家」の一員へ
第5章 反復される絵画―集合芸術のつくりかた
1 レッド・ウェーヴの集合芸術
2 タパ布はどのようにつくられてきたのか
3 絵画に反復されるモチーフ
4 絵画に反復されるスタイル
1 スタイルとは
2 基底スタイルⅠ―グリッド・スタイル
3 基底スタイルⅡ―リキッド・スタイル
5 オセアニアらしい絵―鑑賞者の反応
第6章 売れる絵と売れない絵―三つの市場と画家の葛藤
1 コレクター市場
1 レッド・ウェーヴ・エキシビション
2 オセアニア・センターへの訪問者
3 センターの外
2 土産物市場
1 メイソンとアナレーの試み
2 カプイ・クリエーションの戦略
3 デザイン市場
1 チョスアの決断
2 農業展アート・ショーでの苦水
4 芸術と非芸術の境界
第7章 差異化される絵画―「自分の作品」のつくりかた
1 ハウオファの死―センターを去るアーティスト
2 描き手の特定方法
3 差異化をめざすスタイル
1 差異化Ⅰ ストーリー・テリング
2 差異化Ⅱ 中心のあるリキッド・スタイル
3 差異化Ⅲ 透けるスタイル
4 差異化Ⅳ 「キュビスム」
5 差異化Ⅴ ドリップティズム
4 「自分の作品」への欲求
1 これは俺の作品だ
2 『重荷の羽』から『旅の羽』へ
3 ヴィジュアル・エクスプレッションズ
4 『ムハンマドは今、山頂に立つ!』
5 集合的スタイルと個人的スタイルの境界
第8章 制作の場―描いているのは誰か?
1 「自分の作品」を描く
1 僕は絵に向かって話しかける
2 筆は動くし腹もへる
3 絵具が踊る……それは怖いくらいで
2 見る、そして人の作品に潜りこむ
3 描き、見ることから生まれる行為の連関
第9章 オセアニアをさがして、再び
1 スタイルの連続
2 変化を常態とする集合的オセアニア芸術
3 芸術の人類学という海へ
参考文献・URL
あとがき
初出一覧
付録 モチーフ表
索引
第1章 芸術を人類学的に論じる
1 個と集団をめぐる芸術の人類学
1 個人の独創としての芸術
2 非西洋的芸術をいかに位置づけるか
3 芸術の人類学の到達点をこえて
2 本書の構成と調査の概要
第2章 芸術、文化、ローカリティの共謀―オセアニアの現代芸術
1 伝統の復興・創出とオセアニアの現代芸術
1 パプアニューギニア―国家統合と国立アートスクール
2 ニューカレドニア―カナク独立運動とチバウ文化センター
3 オーストラリア―文化資源としてのアボリジナル・アート
4 ニュージーランド―マオリ文化復興運動と島嶼系移民
5 太平洋芸術祭―地域主義と芸術の台頭
2 フィジー概説―植民地経験、多民族国家の挑戦
3 フィジーにおける芸術
1 植民地時代以前―絵葉書生産とヨーロッパ人の文化的嗜み
2 独立後―フィジー美術アワード受賞作品から
3 近年のアート・イベントにおける特徴
4 オセアニア・センターへの道
第3章 芸術の家―オセアニア・センターの生活
1 オセアニアをさがして―「海に浮かぶ島々」から「島々の浮かぶ海」へ
2 オセアニア・センターとレッド・ウェーヴ・コレクティヴ
3 芸術の家を建てる
4 「家」の機能的役割
5 仲間のいる学び舎―他人の模倣をつうじての芸術習得
6 日常における「オセアニアらしさ」の形成
第4章 芸術家になるために―ライフ・ストーリー
1 「でこぼこ道」
2 去っていった者たち
1 ンガンデー―抜けられないギャングの闇
2 チョセタキ・フォイアカウ―描きたいストーリーの不在
3 歩きつづける者たち
1 ピーター・ワンガヌイ―村生活との往復
2 テヴィタ・サウリンガ―生きるための場所
3 メイソン・リー―パート・チャイニーズの孤独と暴力
4 イラミ・ンブリマイヴァレ―「俺に家はなかった」
5 リンギコニ・ファカウタ―家庭内暴力とワンダーランド
6 チョサイア・マクナマラ―パート・ヨーロピアンの疎外感と宗教への傾倒
7 アナレー・ソムム―「異端児」にとっての家
4 紡がれる個々の物語
1 芸術を信じるということ
2 根無し草から「家」の一員へ
第5章 反復される絵画―集合芸術のつくりかた
1 レッド・ウェーヴの集合芸術
2 タパ布はどのようにつくられてきたのか
3 絵画に反復されるモチーフ
4 絵画に反復されるスタイル
1 スタイルとは
2 基底スタイルⅠ―グリッド・スタイル
3 基底スタイルⅡ―リキッド・スタイル
5 オセアニアらしい絵―鑑賞者の反応
第6章 売れる絵と売れない絵―三つの市場と画家の葛藤
1 コレクター市場
1 レッド・ウェーヴ・エキシビション
2 オセアニア・センターへの訪問者
3 センターの外
2 土産物市場
1 メイソンとアナレーの試み
2 カプイ・クリエーションの戦略
3 デザイン市場
1 チョスアの決断
2 農業展アート・ショーでの苦水
4 芸術と非芸術の境界
第7章 差異化される絵画―「自分の作品」のつくりかた
1 ハウオファの死―センターを去るアーティスト
2 描き手の特定方法
3 差異化をめざすスタイル
1 差異化Ⅰ ストーリー・テリング
2 差異化Ⅱ 中心のあるリキッド・スタイル
3 差異化Ⅲ 透けるスタイル
4 差異化Ⅳ 「キュビスム」
5 差異化Ⅴ ドリップティズム
4 「自分の作品」への欲求
1 これは俺の作品だ
2 『重荷の羽』から『旅の羽』へ
3 ヴィジュアル・エクスプレッションズ
4 『ムハンマドは今、山頂に立つ!』
5 集合的スタイルと個人的スタイルの境界
第8章 制作の場―描いているのは誰か?
1 「自分の作品」を描く
1 僕は絵に向かって話しかける
2 筆は動くし腹もへる
3 絵具が踊る……それは怖いくらいで
2 見る、そして人の作品に潜りこむ
3 描き、見ることから生まれる行為の連関
第9章 オセアニアをさがして、再び
1 スタイルの連続
2 変化を常態とする集合的オセアニア芸術
3 芸術の人類学という海へ
参考文献・URL
あとがき
初出一覧
付録 モチーフ表
索引