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トマス・ピンチョン

無政府主義的奇跡の宇宙

木原 善彦

A5上製, 240 pages

ISBN: 9784876984152

pub. date: 01/01

  • Price : JPY 3,400 (with tax: JPY 3,740)
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内容

『V.』以来『重力の虹』まで複雑かつ難解な作品世界で多くの読者を魅了してきたトマス・ピンチョン.しかし『ヴァインランド』と『メイソン&ディクソン』はどうだったか? ピンチョンは自らの代表作を越えられないのか? それともピンチョン自身が変化したのか? 作品の変遷を詳細に分析しながら作家の軌跡を追った好著.

書評

『英語青年』1826号、評者:幡山秀明氏
『アメリカ学会会報』No.145、評者:佐々木肇氏
"Pynchon Notes"46-49, Takashi Aso

プロフィール

木原善彦(きはら よしひこ)

1967年生まれ。
京都大学文学部文学科英語学英文学専攻卒業、京都大学大学院文学研究科英語学英米文学専攻修士課程、博士後期課程修了。
1998年、京都大学博士(文学)学位取得。現代英米文学専攻。
2000年現在、姫路獨協大学外国語学部助教授。

訳書にウィリアム・ギャディス『カーペンターズ・ゴシック』(本の友社)。

目次

第一章 作家トマス・ピンチョン
    ピンチョンの横顔
    ピンチョン家
    「二つの文化」を横断する作家
  休憩� 地球、月、太平洋、中国
第二章 『V.』 人間の人間的利用
    「街路」の駄目男プロフェインと「温室」の偏執狂ステンシル
    エントロピー的世界観
    アウグスティヌス的悪とマニ教的悪
    人間と機械
    ヴェイシューの皮膚と心
    視覚と触覚
    虚空(void)、虚無(vacuity)
    V.と「三位一体史観」
    メタファーという外套
    いつもクールに、でも思いやりを持て
    神の不在
  休憩� ピッグ、モンダウゲン、ムーチョ、ゾイド
第三章 『競売ナンバー四九の叫び』――混沌からの秩序
    読者を悩ませるいくつかの問題
    エントロピー再び
    ネファスティス・マシン
    幽閉されたエディパ
    メタファー
    大地のマントを織り紡ぐ
    トライステロとWASTE
    書き換え
    老水夫
    無政府主義的奇跡
    耕地と海
    多様性の海へ
  休憩� 読めない象形文字
第四章 『重力の虹』 積分的救世主の降臨
    『重力の虹』が書かれた時代と『重力の虹』に描かれた時代
    『重力の虹』を繋ぎ止めるもの
    スロースロップの最期
    魚、魚座(PISCES)、サカナ(Poisson)
    思いやり
    積分と微分
    天使達
    指輪
    スロースロップの自我探求
    無心の快楽
    スロースロップ、オルフェウス、救世主
    慈悲
  休憩� 虹色の化学と世界大戦
第五章 『ヴァインランド』 カルマ的スター・ウォーズ
    ポップ・カルチャーのカタログ?
    メッセージ
    「食球チューリップ」
    修辞的技巧
    スター・ウォーズ
    ルークとヴェイダー、プレーリーとフレネシ
    フォースの暗黒面
    なぜ『スター・ウォーズ』か
    ポップ・カルチャーのカタログ!
    『愉快なブレイディー一家』
    『スター・トレック』
    チューブ/テレビゲーム
    仮想現実と現実
    東洋思想とカルマ
    ブロックの死
    カルマの連鎖
    語りの「時間」
    カルマ的文体
    群論、その他の小道具
    ヴィンランド
  休憩� 「生命」という名のゲーム
第六章 『重力の虹』から『ヴァインランド』へ 協力の進化
    一七年間の沈黙を越えて
    「キーンという音が空を横切る」
    楽観主義の徴候
    秘密の報い
    「時を廻らす手あり」
    「彼ら」は不死か
    堆肥庭と結晶
    カルマ
    協力の進化
    「そしてすべての石には魂が宿る」
    約束の虹とヴィンランド
  休憩� ワンダ・ティナスキー
第七章 『メイソン&ディクソン』 可能な歴史の総和
    二〇年をかけた大作
    語りの枠組み
    メイソンとディクソン
    登場(人)物たち
    再びピンチョン的ユーモア
    穏やかなピンチョン
    第一の境界線、メイソン=ディクソン線
    第二の境界線、生命と非生命
    第三の境界線、幻想と現実
    超ひも理論、フラクタル、カオス
    量子電磁力学(QED)
    仮定法的世界
    仮定法
    歴史と真実
    パリンプセスト・イメージ
    パパ、ピンチョン
第八章 二〇世紀末のラッダイト 自己複雑化の閾値を超えて
    ポストモダニスト?
    複雑系小説
    「ガイア」?
    生態学的世界
    「ラッダイトやってもいいかな」
    世紀末のラッダイト
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