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牧畜世界の共生論理

カリモジョンとドドスの民族誌

波佐間 逸博

A5上製, 320 pages

ISBN: 9784876983186

pub. date: 03/15

  • Price : JPY 4,400 (with tax: JPY 4,840)
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内容

東アフリカの牧畜民が家畜とどのような共生的関係を結んでいるのかを、家畜に対する認識と分類、家畜とのコミュニケーション、放牧、家畜に関する歌などの諸側面から明らかにしたうえで、家畜との共生関係が牧民の生活論理において果たす役割を論述する。家畜をめぐる紛争や、激動する社会環境も視野に入れ、伝統的な牧畜の持続可能性を探る。

書評

『図書新聞』2015年8月1日付、5面、評者:佐川徹氏

プロフィール

波佐間 逸博 (はざま いつひろ)
1971年 東京生まれ。
1995年 早稲田大学商学部卒。
2003年 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程研究指導認定退学。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程研究指導認定退学。長崎大学大学院国際健康開発研究科助教を経て、
現 在   長崎大学多文化社会学部准教授。京都大学博士(地域研究)。
研究テーマ 東アフリカ牧畜文化の人類学的研究。
主要著書 『動物と出会う㈼:心と社会の構成』(2015年 共著)ナカニシヤ出版。
『ウガンダを知るための53章』(2012年 共著)明石書店。
『ケニアを知るための55章』(2012年 共著)明石書店。

目次

口絵
はじめに
  ▼社会的な共生
  ▼牧野のアクチュアリティ
第1章 牧畜世界への接近
 1 東アフリカにおける牧畜の起源
 2 カリモジョンとドドスの生活圏
   ▼自然環境
   ▼言語環境
   ▼居住形態
   ▼生業形態
   ▼社会構造
第2章 家畜を見るまなざし
 1 家畜の分類体系と社会的意味
   ▼性・成長段階による分類・認識・実践
   ▼体色と人為的標徴による分類
   ▼家畜と牧童の協働が支える個体識別
 2 反照する人のライフ・サイクルと家畜の系譜
   ▼人間の成長段階
   ▼家畜の名前と人の名前
   ▼「家畜は、わたしたちの血の中に入りこんでいる」
第3章 コミュニケーショナルな個体性
 1 「群れ」を生成する山羊の社会関係
   ▼群れレベルの家畜化をめぐる諸研究
   ▼山羊の日帰り放牧の概要
   ▼群れの自律性
   ▼放牧群の二重構造
   ▼群れの輪郭の意味
 2 人間─家畜間における身体と声のコミュニケーション
   ▼生活圏の重なり
   ▼統率行動の文脈
   ▼個体名とコミュニケーション
 3 共振しあう相互性
第4章 牧歌──詩としての日常生活
 1 東アフリカ牧畜社会における牧歌と去勢牛
 2 歌のカテゴリーと社会的文脈
 3 家畜とともに生きる民のアイデンティティ
   ▼牧童に「おとずれる」牧歌
   ▼詩的想像の源泉としての日常生活
 4 家畜から受け取るビジョン
 5 個我を包むアイデンティティの実感装置
第5章 現代の牧野のランドスケープ
 1 家畜群の消長とレイディング
   ▼東アフリカ牧畜社会の武装紛争をめぐる議論
   ▼自動ライフル銃の普及
   ▼レイディングという家畜の獲得方法
 2 安全と武装をめぐる外部社会との関係
   ▼家畜の防衛
   ▼武装解除政策のもとでの銃を使った交換
 3 レイディングにおける他者関係
第6章 種を越える個体主義
 1 ハイブリッドなアイデンティティ
   ▼〈かけがえのない個〉へ連なる関係性
   ▼共生という文脈の共有
 2 種を越える個体主義の可能性

あとがき
資料1
資料2
引用文献
図表等一覧
索 引
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