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地域研究叢書 10

地域発展の固有論理

原 洋之介 編著

菊上製, 312 pages

ISBN: 9784876980987

pub. date: 02/00

  • Price : JPY 4,500 (with tax: JPY 4,950)
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内容

今世紀末アジアを襲った経済動乱、すなわち通貨・金融面から発生した経済危機と恐るべき環境破壊は、世界を席巻してきた市場経済という普遍論理の過剰浸透の結果である。世界の各地域が本来持っている固有の経済発展の型や方法を示すことで、荒々しい市場経済を飼い馴らし、21世紀の持続的発展の道を探る。文部省重点領域研究の成果公開。

プロフィール

編集者
原 洋之介(はら ようのすけ)
 東京大学東洋文化研究所教授(所長)東京大学農学博士
 1944年生まれ.東京大学大学院農学系研究科農業経済学専攻博士課程退学.
 東京大学東洋文化研究所助手,助教授を経て
 1988年 東京大学東洋文化研究所教授
 1998年より同所長を兼務  主要著書
 『クリフォ―ド・ギアツの経済学』リブロポート,1985年.
 『アジア経済論の構図』リブロポート,1992年.
 『東南アジア諸国の経済発展』東京大学東洋文化研究所,1994年.
 『アジア・ダイナミズム』NTT出版,1996年.
 『開発経済論』岩波書店,1996年. 等

執筆者(執筆順)
 中村尚司 龍谷大学経済学部教授
 足立 明 北海道大学文学部教授
 海田能宏 京都大学東南アジア研究センター教授
 福井清一 大阪学院大学経済学部教授
 池本幸生 東京大学東洋文化研究所助教授
 パスク・ポンパイチット タイ国立チュラロンコン大学経済学部助教授
 クリス・ベーカー 東南アジア経済史家
 井上 真 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授

目次

はじめに ✎ 原 洋之介

第Ⅰ部 普遍主義を超えて
      ——発展を捉える新しいパラダイム

第1章 経済システム進化の多様性——「自由主義プロジェクト」の運命 ✎ 原 洋之介
  序 二一世紀にむけてのアジア経済研究の課題
  一 経済危機と新古典派経済学
  二 反新古典派市場経済論
  三 欧米と東アジア
  四 東アジア型経済システム
  結 経済システム進化の多様性
第2章 豊かさの指標 ✎ 中村尚司
  はじめに
  一 貧困と南北問題
  二 開発かそれとも発展か
  三 新しい社会経済指標の試み
  四 社会経済システムの研究方法
  五 新しい社会経済システムのための実態調査
第3章 開発と農民——方法論的検討 ✎ 足立 明
  一 はじめに
  二 「出来事」の連鎖としての開発現象
  三 「ジャナサヴィヤ」計画(一九八九―一九九五)の生成・実施・消滅
  四 開発政策の農民への影響——B村(マータレー県)の事例
  五 開発現象の分析枠組みの展望——アクター・ネットワーク理論を応用する
  六 結語
第4章 農業・農村発展のアジア的パラダイム ✎ 海田能宏
  一 (農村)開発論
  二 アジア農業・農村のいろいろな特徴
  三 どのような二一世紀像を描くことができるか
  四 循環の思想とデサコタ——議論のまとめ

第Ⅱ部 固有論理をさぐる
      ——東南アジアの事例から

第5章 産業発展の多様性——フィリピン、タイ砂糖産業の事例より ✎ 福井清一
  一 はじめに
  二 フィリピン砂糖産業の発展過程と砂糖政策
  三 タイ砂糖産業の発展過程と砂糖政策
  四 フィリピン砂糖産業停滞の要因
  五 おわりに
第6章 地方産業の発展——タイ国ヤソトン県の三角枕の事例 ✎ 池本幸生
  一 三角枕の歴史と用途
  二 三角枕の生産工程
  三 三角枕の村落間分業
  四 「商人」の役割
  五 シータン村以外での三角枕作り
  六 地域発展の固有性
第7章 タイの都市と農村——新たなる複雑性とその論争
       ✎ パスク・ポンパイチット/クリス・ベーカー 大石久美子訳
  一 都市モダニストの挑戦
  二 農村防御としての共同体文化
  三 農村共同体論に対する反発
  四 パトロン制度に関する論争
  五 危機の後で
  六 道徳的思想としての共同体の再陳述
  七 農業の復活
  八 〈都市―農村関係〉はどこへいくのか?
第8章 地域発展のかたち——カリマンタン ✎ 井上 真
  一 はじめに
  二 カリマンタンの特徴
  三 緩やかな市場経済化の時代
  四 不完全な産業化の時代(その一)——森林消失とダヤック人の周辺化
  五 不完全な産業化の時代(その二)——余儀なくされるライフスタイルの転換
  六 アポ・カヤン世界の消滅
  七 まとめ

索  引(事項索引・人名索引・地名索引) 
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