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福井県立大学叢書 I

スラッファ経済学の現代的評価

菱山 泉

菊上製, 261 pages

ISBN: 9784876980062

pub. date: 10/93

  • Price : JPY 3,107 (with tax: JPY 3,417)
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内容

諸々の近代経済学が批判にさらされているが、スラッファ経済学だけはそれらの批判から自由であるかにみえる。その秘密を、スラッファ研究の第一人者が、彼と交渉のあった人々、論敵ハイエク、彼の源流ともいうべきリカードなどとの関わりのなかから探る。スラッファ経済学の本質を対話篇によって明らかにする。

プロフィール

菱山 泉(ひしやま いずみ)

1923年 東京に生まれる 1949年 京都大学経済学部卒業、京都大学経済学部教授・大阪産業大学経済学部教授を経て
現 在 京都大学名誉教授・福井県立大学経済学部教授
著 書 
『重農学説と「経済表」の研究』(有信堂,1962年)     
『近代経済学の歴史』(有信堂,1965年)      
(その他,本文中に掲出のものは除いた)

目次

序 章 スラッファ研究へのプロローグ
  0-1 『商品による商品の生産』の謎
  0-2 スラッファの略伝と主要著作
  0-3 『商品による商品の生産』再論
第一章 金融市場のヴィクセル型調整機構
  1-1 ヴィクセル型「貨幣的経済」への回帰
  1-2 貸付資本市場の仕組み
  1-3 貨幣利子率と実物利子率
  1-4 貸付資本市場は自律的調整機構か
第二章 ケインズ『貨幣論』の世界
  2-1 ケインズ『貨幣論』の世界
  2-2 貸付資本市場の特質
  2-3 信用創造の基準
  2-4 物価水準決定の仕組み
  2-5 ヴィクセルとケインズ
第三章 ハイエクの貨幣経済的モデルと自然利子率
  3-1 スラッファとケインズの出会い
  3-2 ハイエクの「自発的貯蓄」モデル
  3-3 貯蓄=投資と相対価格の変化
  3-4 ハイエク批判
第四章 物価安定と利子率――スラッファのヴィクセル=ケインズ批判
  4-1 中立貨幣の基礎
  4-2 物価水準の安定と自然利子率
  4-3 ハイエクの「貯蓄即投資」の命題
  4-4 体系の「均衡」の多様性
  4-5 貸付資本市場の調整機構
第五章 貨幣的均衡の多様性
  5-1 貨幣政策と「長期均衡」
  5-2 「均衡」観の交錯
  5-3 調整の中心としての貨幣利子率
  5-4 スラッファの「貨幣」観
  5-5 利子率の決定について
第六章 金融市場のケインズ型調整機能
  6-1 ケインズのリカード利子論批判
  6-2 金融市場の自律的調整機構
  6-3 「貨幣の存在しない経済」
  6-4  資産選択とストック分析
  6-5 利子率決定のケインズ・モデル
第七章 スラッファ分配論の基礎
  7-1 分配理論の基礎
  7-2 スラッファ分配理論の主題と枠組み
  7-3 価値と分配のモデルの定式化
  7-4 基礎財と非基礎財
  7-5 体系の「生産方法」と最大利潤率
  7-6 生産方法の切換え
  7-7 固定資本の価格はどう決まるのか
第八章 スラッファ型モデルの構成――経済行動における自由と必然
  8-1 経済行動における自由と必然
  8-2 剰余のない生産
  8-3 剰余をふくむ生産
  8-4 独立変数としての利潤率
  8-5 生産技術の切換えと企業の選択
  8-6 市場均衡と個人の自由行動
第九章 世界の二つの見方――ウィトゲンシュタインとスラッファ
  9-1 スラッファとウィトゲンシュタイン
  9-2 ブロウエル講演の衝撃
  9-3 『論理哲学論考』の論理と新古典派的方法との異同
  9-4 両者の接近法の基本的類似性
  9-5 「言語ゲーム」とスラッファの市場分析
第十章 グラムシの思想とスラッファ――決定論と個人の自由
 10-1 スラッファとグラムシ
 10-2 マキアヴェッリの「運命」観
 10-3 グラムシにおけるフォルトゥナとヴィルトゥ
 10-4 グラムシにおける自由と必然
 10-5 グラムシの「特定市場」観とスラッファの「生産体系」の分析
 10-6 グラムシの反人間主義
第一一章 エピローグにかえて
 11-1 外生的分配論の二つの類型
 11-2 利子率決定を外生化する二つのモデル
 11-3 循環的過程としての生産と消費の体系
 11-4 『商品による商品の生産』の時間構造
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