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{TOKKATSU(特活)」「KOSEN(高専)」「Lesson Study(教員研修)」—いまASEANや中東諸国で、協調性や髙い基礎技術力を育むという関心から、日本の教育制度への関心が高まっている。それに応じて国内には「日本の教育」を海外に輸出しようとする官民挙げた動きが見られる。それは妥当なのか? 可能なのか? 教育文化の輸出の意味を歴史・心理・教育方法等、多角的に検討することで、「日本の教育」の特性と本質を明らかにする。
石井 英真(いしい てるまさ)
京都大学大学院教育学研究科准教授
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学大学院教育学研究科助教、神戸松蔭女子学院大学専任講師を経て、2012 年4 月より現職。博士(教育学)。専門は教育方法学(学力論)。日米のカリキュラム研究、授業研究の蓄積に学びながら、学校で育成すべき資質・能力の中身をどう構造化・モデル化し、それらを実質的に実現しうるカリキュラム、授業、評価をトータルにどうデザインしていけばよいのかを考えている。
主な著書に、『再増補版・現代アメリカにおける学力形成論の展開』(東信堂、2020年)、『授業づくりの深め方』(ミネルヴァ書房、2020年)、『未来の学校──ポスト・コロナの公教育のリデザイン』(日本標準、2020年)、『中学校・高等学校 授業が変わる学習評価深化論』(図書文化、2023 年)、『教育「変革」の時代の羅針盤』(教育出版、2024年)など。
岡野 憲一郎(おかの けんいちろう)
本郷の森診療所院長、京都大学名誉教授
1982 年、東京大学医学部医学科を卒業、日本、フランス、アメリカでの研修を経て、カンザス州トピーカ州立病院思春期病棟等で精神科医療に従事、国際医療福祉大学大学院教授、京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センター教授等を経て、2022年より現職。博士(医学)。
主な著書に、『外傷性精神障害──心の傷の病理と治療』(岩崎学術出版社、1996年)、『解離性障害──多重人格の理解と治療』(岩崎学術出版社、2007年)、『解離新時代──脳科学、愛着、精神分析との融合』(岩崎学術出版社、2015年)、『快の錬金術──報酬系から見た心』(岩崎学術出版社、2017年)、『揺らぎと心のデフォルトモード──臨界状況から生まれる創造性』(岩崎学術出版社、2020年)など。
楠見 孝(くすみ たかし)
京都大学大学院教育学研究科教授
1987年、学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程単位取得退学。学習院大学文学部助手、筑波大学社会工学系講師、東京工業大学工学部助教授、同大学大学院社会理工学研究科助教授、京都大学大学院教育学研究科助教授を経て、2008年より現職。博士(心理学)。2006年日本心理学会優秀論文賞、2019年日本感情心理学会優秀論文賞などを受賞。
主な著書に、『実践知──エキスパートの知性』(共編著、有斐閣、2012年)、『批判的思考と市民リテラシー──教育、メディア、社会を変える21 世紀型スキル』(編著、誠信書房、2016年)、 Deeper Learning、 Dialogic Learning、 and Critical Thinking: Research-based Strategies for the Classroom(分担執筆、Routledge、2019 年)など。
小松 光(こまつ ひかる)
株式会社坂ノ途中・主任研究員。国立台湾大学理学部・兼任准教授。
2003年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。九州大学農学部助教、京都大学白眉センター准教授、国立台湾大学理学部准教授などを経て、2023年より現職。博士(農学)。
主な著書に、『日本の教育はダメじゃない』(共著、ちくま新書、2021 年)など。
齊藤 智(さいとう さとる)
京都大学大学院教育学研究科教授
1993年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。鳴門教育大学助手、大阪教育大学助手、同助教授、京都大学大学院教育学研究科助教授、同准教授を経て、2016年より現職。博士(教育学)。2023年度日本認知心理学会優秀論文特別賞、2018年日本ワーキングメモリ学会学会賞、2011年度日本教育心理学会優秀論文賞、2010年日本心理学会国際賞奨励賞などを受賞。
主な著作に、「Sequential processing facilitates Hebb repetition learning in visuospatial domains」(Journal of Experimental Psychology: General 152巻9号、2023年)、「Time sharing in working memory processing」(Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition 49巻10号、2024年)など。
高山 敬太(たかやま けいた)
南オーストラリア大学教育学部教授
2007年、ウイスコンシン大学マディソン校教育学研究科博士課程修了。ニューイングランド大学教育学部講師、上級講師、同准教授、京都大学大学院教育学研究科教授を経て、2023年より現職。博士(学術)。2011年、国際比較教育学会(CIES)よりGeorge Bereday Award を受賞。2021年より、Asia Pacific Journal of Teacher Education とDiscourse: Studies in the Cultural Politics of Education の編集者、NORRAG(在ジュネーブ)のシニアフェロー、ならびに、2023年よりUNESCO-Hamdan Prize for Teacher Development の審査委員を務める。
竹内 里欧(たけうち りお)
京都大学大学院教育学研究科准教授。
2007年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部講師を経て、2014年より現職。博士(文学)。
主な著作に、「『真の紳士』と『似非紳士』──『西洋』と『日本』の構築」(『社会学評論』 56巻3号、2005年)、The East and the Idea of Europe(分担執筆、Cambridge Scholars Publishing、2010年)、『岩波講座 現代 第8巻 学習する社会の明日』(分担執筆、岩波書店、2016年)、『教職教養講座 第12巻 社会と教育』(分担執筆、協同出版、2018年)、『夜更かしの社会史──安眠と不眠の日本近現代』(分担執筆、吉川弘文館、2024年)など。
南部 広孝(なんぶ ひろたか)
京都大学大学院教育学研究科教授
1995年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。広島大学大学教育研究センター(現高等教育研究開発センター)助手、長崎大学アドミッションセンター講師、助教授(准教授)、京都大学大学院教育学研究科准教授を経て、2017年より現職。博士(教育学)。
主な著書に、『中国高等教育独学試験制度の展開』(東信堂、2009年)、『東アジアの大学・大学院入学者選抜制度の比較──中国・台湾・韓国・日本』(東信堂、2016年)、『後発国における学位制度の研究』(高等教育研究叢書148)(編著、広島大学高等教育研究開発センター、2019年)など。
西 見奈子(にし みなこ)
京都大学大学院教育学研究科准教授。
2006年、九州大学大学院人間環境学府博士後期課程単位修得退学。博士(心理学)。専門は臨床心理学、精神分析。第64回日本精神分析学会山村賞、第42回日本精神分析協会土居健郎賞を受賞。
主な著書に、『いかにして日本の精神分析は始まったか──草創期の5人の男と患者たち』(みすず書房、2019年)、『精神分析にとって女とは何か』(編著、福村出版、2020年)、『心理臨床に生きるスーパーヴィジョン その発展と実践』(編著、日本評論社、2024年)。『「心」のお仕事──今日も誰かのそばに立つ 24人の物語( 14歳の世渡り術)』(分担執筆、河出書房新社、2021年)、『ライフステージを臨床的に理解する心理アセスメント』(分担執筆、金子書房、2021年)『いのちを巡る臨床──生と死のあわいに生きる臨床の叡智』(分担執筆、創元社、2018年)など。
西岡 加名恵(にしおか かなえ)
京都大学大学院教育学研究科教授
1998年、University of Birmingham にてPh.D.(Ed.)を取得。鳴門教育大学講師、京都大学大学院教育学研究科准教授等を経て、2017年より現職。専門は教育方法学(カリキュラム論、教育評価論)。日本学術会議第26期会員、文部科学省中央教育審議会教育課程部会臨時委員などを務める。
主な著書に、『教科と総合に活かすポートフォリオ評価法』(図書文化、2003年)、『教科と総合
学習のカリキュラム設計』(図書文化、2016年)、Curriculum、 Instruction and Assessment(共著、Routledge、2016年)、『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価』(編著、明治図書、2016年)、『教育課程』(編著、協同出版、2017年)、『新しい教育評価入門(増補版)』(共編著、有斐閣、2022年)、『子どもたちの「今」を輝かせる学校づくり』(共編著、日本標準、2024年)など。
西川 一二(にしかわ かずじ)
大阪商業大学総合経営学部商学科講師(兼務:京都大学大学院教育学研究科研究員)
2016年、関西大学大学院心理学研究科博士課程後期課程修了。大阪商業大学JGSS(Japanese General Social Surveys)研究センター博士研究員、京都大学大学院教育学研究科研究員、大阪公立大学国際基幹教育機構特任助教を経て、2023年より現職。博士(心理学)。2018年度小貫英教育賞、2019年日本パーソナリティ心理学会第28 回大会優秀大会発表賞などを受賞。
主な著作に、「知的好奇心尺度の作成──拡散的好奇心と特殊的好奇心」(『教育心理学研究』63巻4号5、2015年)、「The effect of two aspects of grit on developmental change in high school students' academic performance: Findings from a five-wave longitudinal study over the course of three years」( Personality and Individual Differences 191(111557)、2022年)、『非認知能力──概念・測定と教育の可能性』(分担執筆、北大路書房、2021年)など。
西平 直(にしひら ただし)
上智大学グリーフケア研究所特任教授・副所長、京都大学名誉教授
信州大学・東京都立大学大学院でドイツ哲学を、東京大学大学院で教育哲学を学び、立教大学講師、東京大学准教授、京都大学教授を歴任の後、2022 年4 月より現職。博士(東京大学)。専門は、教育人間学、死生学、哲学。心理・教育・宗教にまたがる領域、並びに、稽古・修養・養生など日本の伝統思想。
主な著書に、『世阿弥の稽古哲学』(東京大学出版会、2009年[増補新版、2020年])、『稽古の思想』(春秋社、2019年)、『修養の思想』(春秋社、20201年)、『養生の思想』(春秋社、2021年)、The Philosophy of No-mind: Experience Without Self (Bloomsbury Introductions to World Philosophies)( Bloomsbury、2024年、Catherine Sevilla-liu and Anton Sevilla-liu訳)など。
野村 理朗(のむら みちお)
京都大学大学院教育学研究科准教授
2002年、名古屋大学大学院人間情報学研究科単位満了。日本学術振興会特別研究員 PD、広島大学大学院総合科学研究科准教授等を経て、2010 年より現職。博士(学術)。米国ノースウェスタン大学上席客員研究員等、2020年に京都テキストラボ( 株)を設立・同社取締役。 Scientific Report, Molecular Psychology 等をはじめとする国際学術雑誌の主幹編集員・編集委員、目本神経精神薬理学会評議員等を歴任。日本脳科学会奨励賞(2006年)、JSNP Excellent Presentation Award for CINP(2010 年)、日本心理学会優秀論文賞(2017 年)などを受賞。
主な著書に、『なぜアヒル口に惹かれるのか』(角川新書、2010年)、『「顔」研究の最前線』(共編著、北大路書房、2005年)、『脳の報酬系』(編著、丸善出版、2019年)、『「無心」の心理学』(編著、身心変容技法研究、2019年)など。
ファンステーンパール、ニールス(Niels VAN STEENPAAL)
京都大学大学院教育学研究科准教授
2012年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学白眉センター助教を経て、2016年より現職。
主な著書に、『〈孝子〉という表象──近世日本道徳文化史の試み』(ぺりかん社、2017年)など。
マナロ、エマニュエル(Emmanuel Manalo)
京都大学大学院教育学研究科教授
1997年、マッセイ大学(ニュージーランド)博士課程修了。オークランド大学(ニュージーランド)スチューデント・ラーニングセンター所長(准教授)、早稲田大学理工学術院英語教育センター教授を経て、2014年より現職。博士(心理学)。国際学術誌 Thinking Skills and Creativity 共同編集者(2021年~現在)、国際学術誌 Psychologia 副編集委員長(2023年~現在)。2014年に、Association of Tertiary Learning Advisors of Aotearoa New Zealand (ATLAANZ)生涯会員就任。2014年、第8回International Conference on the Theory and Application of Diagrams(メルボルン、オーストラリア)ベストペーパー賞を受賞。
主な著書に、Deeper learning, dialogic learning, and critical thinking: Research-based strategies for the classroom( 編著、Routledge、2020年)、Promoting spontaneous use of learning and reasoning strategies: Theory, research, and practice for effective transfer(共編著、Routledge、2018 年)など。
溝川 藍(みぞかわ あい)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授
2011年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員PD、明治学院大学心理学部助教、椙山女学園大学人間関係学部講師を経て、2018 年より現職。博士(教育学)。2023年度日本心理学会優秀論文賞、2023 年度日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞。
主な著書に、『幼児期・児童期の感情表出の調整と他者の心の理解──対人コミュニケーションの基礎の発達』(ナカニシヤ出版、2011年)、『社会的認知の発達科学』(分担執筆、新曜社、2018年)、『情動発達の理論と支援』(分担執筆、金子書房、2021年)など。
明和 政子(みょうわ まさこ)
京都大学大学院教育学研究科教授
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て現職。ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較し、ヒト特有の脳と心の発達の機序とその生物学的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界にさきがけて開拓した。日本学術会議会員、文部科学省科学技術学術審議会委員、こども家庭庁こども家庭審議会臨時委員を務める。
主な著書に、『マスク社会が危ない──子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか?』(宝島新書、2022年)、『ヒトの発達の謎を解く──胎児期から人類の未来まで(ちくま新書、2019年)、『まねが育むヒトの心』(岩波ジュニア新書、2012年)など多数。
Munakata Yuko(むなかた ゆうこ)
カリフォルニア大学デービス校教授
1996年、カーネギーメロン大学にて博士号(心理学)を取得。デンバー大学准教授、コロラド大学ボールダー校准教授、同教授を経て2019 年より現職。アメリカ心理学会のBoyd McCandless Early Carrer Award、コロラド大学ボルダー校心理・神経科学科よりMentor Award、Faculty Research Award、Faculty Teaching Award を受賞。そのほか、Psychological Review の Associate Editor を務め、TED × talk など科学メディアにも出演。
主な著作に、Computational explorations in cognitive neuroscience: Understanding the mind by simulating the brain(MIT Press、2000年)、「Executive Functions in Social Context: Implications for Conceptualizing, Measuring, and Supporting Developmental Trajectories」(Annual Review of Developmental Psychology 3号、2021年) など。
柳岡 開地(やなおか かいち)
大阪教育大学特任講師
2019年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員PD を経て、2022年より現職。博士(教育学)。日本発達心理学会第5回国際奨励賞、平成29年度京都大学総長賞、2016年度日本教育心理学会城戸奨励賞などを受賞。
主な著作に、『子どもが行為を紡ぐとき──ルーティンの獲得と実行機能の発達心理学研究』(ナカニシヤ出版、2019年)、「Cultures crossing: The power of habit in delaying gratification」(Psychological Science 33号、2022年)など。
ラプリー、ジェルミー(Jeremy Rappleye)
香港大学教育学部教授
2000年、イエール大学卒業。2009年、オクスフォード大学博士課程修了。京都大学白眉センター准教授、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て、2023年より現職。
主な著書に、Reimagining Japanese Education: Borders, transfers, circulations, and the comparative(Oxford Studies in Comparative Education)(共編著、Symposium Books Ltd、2011年)、Education, Equality, and Meritocracy in a Global Age(共著、Teachers College Press、2020年)、『日本の教育はダメじゃない』(共著、ちくま新書、2021年)など。
京都大学大学院教育学研究科准教授
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学大学院教育学研究科助教、神戸松蔭女子学院大学専任講師を経て、2012 年4 月より現職。博士(教育学)。専門は教育方法学(学力論)。日米のカリキュラム研究、授業研究の蓄積に学びながら、学校で育成すべき資質・能力の中身をどう構造化・モデル化し、それらを実質的に実現しうるカリキュラム、授業、評価をトータルにどうデザインしていけばよいのかを考えている。
主な著書に、『再増補版・現代アメリカにおける学力形成論の展開』(東信堂、2020年)、『授業づくりの深め方』(ミネルヴァ書房、2020年)、『未来の学校──ポスト・コロナの公教育のリデザイン』(日本標準、2020年)、『中学校・高等学校 授業が変わる学習評価深化論』(図書文化、2023 年)、『教育「変革」の時代の羅針盤』(教育出版、2024年)など。
岡野 憲一郎(おかの けんいちろう)
本郷の森診療所院長、京都大学名誉教授
1982 年、東京大学医学部医学科を卒業、日本、フランス、アメリカでの研修を経て、カンザス州トピーカ州立病院思春期病棟等で精神科医療に従事、国際医療福祉大学大学院教授、京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センター教授等を経て、2022年より現職。博士(医学)。
主な著書に、『外傷性精神障害──心の傷の病理と治療』(岩崎学術出版社、1996年)、『解離性障害──多重人格の理解と治療』(岩崎学術出版社、2007年)、『解離新時代──脳科学、愛着、精神分析との融合』(岩崎学術出版社、2015年)、『快の錬金術──報酬系から見た心』(岩崎学術出版社、2017年)、『揺らぎと心のデフォルトモード──臨界状況から生まれる創造性』(岩崎学術出版社、2020年)など。
楠見 孝(くすみ たかし)
京都大学大学院教育学研究科教授
1987年、学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程単位取得退学。学習院大学文学部助手、筑波大学社会工学系講師、東京工業大学工学部助教授、同大学大学院社会理工学研究科助教授、京都大学大学院教育学研究科助教授を経て、2008年より現職。博士(心理学)。2006年日本心理学会優秀論文賞、2019年日本感情心理学会優秀論文賞などを受賞。
主な著書に、『実践知──エキスパートの知性』(共編著、有斐閣、2012年)、『批判的思考と市民リテラシー──教育、メディア、社会を変える21 世紀型スキル』(編著、誠信書房、2016年)、 Deeper Learning、 Dialogic Learning、 and Critical Thinking: Research-based Strategies for the Classroom(分担執筆、Routledge、2019 年)など。
小松 光(こまつ ひかる)
株式会社坂ノ途中・主任研究員。国立台湾大学理学部・兼任准教授。
2003年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。九州大学農学部助教、京都大学白眉センター准教授、国立台湾大学理学部准教授などを経て、2023年より現職。博士(農学)。
主な著書に、『日本の教育はダメじゃない』(共著、ちくま新書、2021 年)など。
齊藤 智(さいとう さとる)
京都大学大学院教育学研究科教授
1993年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。鳴門教育大学助手、大阪教育大学助手、同助教授、京都大学大学院教育学研究科助教授、同准教授を経て、2016年より現職。博士(教育学)。2023年度日本認知心理学会優秀論文特別賞、2018年日本ワーキングメモリ学会学会賞、2011年度日本教育心理学会優秀論文賞、2010年日本心理学会国際賞奨励賞などを受賞。
主な著作に、「Sequential processing facilitates Hebb repetition learning in visuospatial domains」(Journal of Experimental Psychology: General 152巻9号、2023年)、「Time sharing in working memory processing」(Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition 49巻10号、2024年)など。
高山 敬太(たかやま けいた)
南オーストラリア大学教育学部教授
2007年、ウイスコンシン大学マディソン校教育学研究科博士課程修了。ニューイングランド大学教育学部講師、上級講師、同准教授、京都大学大学院教育学研究科教授を経て、2023年より現職。博士(学術)。2011年、国際比較教育学会(CIES)よりGeorge Bereday Award を受賞。2021年より、Asia Pacific Journal of Teacher Education とDiscourse: Studies in the Cultural Politics of Education の編集者、NORRAG(在ジュネーブ)のシニアフェロー、ならびに、2023年よりUNESCO-Hamdan Prize for Teacher Development の審査委員を務める。
竹内 里欧(たけうち りお)
京都大学大学院教育学研究科准教授。
2007年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部講師を経て、2014年より現職。博士(文学)。
主な著作に、「『真の紳士』と『似非紳士』──『西洋』と『日本』の構築」(『社会学評論』 56巻3号、2005年)、The East and the Idea of Europe(分担執筆、Cambridge Scholars Publishing、2010年)、『岩波講座 現代 第8巻 学習する社会の明日』(分担執筆、岩波書店、2016年)、『教職教養講座 第12巻 社会と教育』(分担執筆、協同出版、2018年)、『夜更かしの社会史──安眠と不眠の日本近現代』(分担執筆、吉川弘文館、2024年)など。
南部 広孝(なんぶ ひろたか)
京都大学大学院教育学研究科教授
1995年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。広島大学大学教育研究センター(現高等教育研究開発センター)助手、長崎大学アドミッションセンター講師、助教授(准教授)、京都大学大学院教育学研究科准教授を経て、2017年より現職。博士(教育学)。
主な著書に、『中国高等教育独学試験制度の展開』(東信堂、2009年)、『東アジアの大学・大学院入学者選抜制度の比較──中国・台湾・韓国・日本』(東信堂、2016年)、『後発国における学位制度の研究』(高等教育研究叢書148)(編著、広島大学高等教育研究開発センター、2019年)など。
西 見奈子(にし みなこ)
京都大学大学院教育学研究科准教授。
2006年、九州大学大学院人間環境学府博士後期課程単位修得退学。博士(心理学)。専門は臨床心理学、精神分析。第64回日本精神分析学会山村賞、第42回日本精神分析協会土居健郎賞を受賞。
主な著書に、『いかにして日本の精神分析は始まったか──草創期の5人の男と患者たち』(みすず書房、2019年)、『精神分析にとって女とは何か』(編著、福村出版、2020年)、『心理臨床に生きるスーパーヴィジョン その発展と実践』(編著、日本評論社、2024年)。『「心」のお仕事──今日も誰かのそばに立つ 24人の物語( 14歳の世渡り術)』(分担執筆、河出書房新社、2021年)、『ライフステージを臨床的に理解する心理アセスメント』(分担執筆、金子書房、2021年)『いのちを巡る臨床──生と死のあわいに生きる臨床の叡智』(分担執筆、創元社、2018年)など。
西岡 加名恵(にしおか かなえ)
京都大学大学院教育学研究科教授
1998年、University of Birmingham にてPh.D.(Ed.)を取得。鳴門教育大学講師、京都大学大学院教育学研究科准教授等を経て、2017年より現職。専門は教育方法学(カリキュラム論、教育評価論)。日本学術会議第26期会員、文部科学省中央教育審議会教育課程部会臨時委員などを務める。
主な著書に、『教科と総合に活かすポートフォリオ評価法』(図書文化、2003年)、『教科と総合
学習のカリキュラム設計』(図書文化、2016年)、Curriculum、 Instruction and Assessment(共著、Routledge、2016年)、『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価』(編著、明治図書、2016年)、『教育課程』(編著、協同出版、2017年)、『新しい教育評価入門(増補版)』(共編著、有斐閣、2022年)、『子どもたちの「今」を輝かせる学校づくり』(共編著、日本標準、2024年)など。
西川 一二(にしかわ かずじ)
大阪商業大学総合経営学部商学科講師(兼務:京都大学大学院教育学研究科研究員)
2016年、関西大学大学院心理学研究科博士課程後期課程修了。大阪商業大学JGSS(Japanese General Social Surveys)研究センター博士研究員、京都大学大学院教育学研究科研究員、大阪公立大学国際基幹教育機構特任助教を経て、2023年より現職。博士(心理学)。2018年度小貫英教育賞、2019年日本パーソナリティ心理学会第28 回大会優秀大会発表賞などを受賞。
主な著作に、「知的好奇心尺度の作成──拡散的好奇心と特殊的好奇心」(『教育心理学研究』63巻4号5、2015年)、「The effect of two aspects of grit on developmental change in high school students' academic performance: Findings from a five-wave longitudinal study over the course of three years」( Personality and Individual Differences 191(111557)、2022年)、『非認知能力──概念・測定と教育の可能性』(分担執筆、北大路書房、2021年)など。
西平 直(にしひら ただし)
上智大学グリーフケア研究所特任教授・副所長、京都大学名誉教授
信州大学・東京都立大学大学院でドイツ哲学を、東京大学大学院で教育哲学を学び、立教大学講師、東京大学准教授、京都大学教授を歴任の後、2022 年4 月より現職。博士(東京大学)。専門は、教育人間学、死生学、哲学。心理・教育・宗教にまたがる領域、並びに、稽古・修養・養生など日本の伝統思想。
主な著書に、『世阿弥の稽古哲学』(東京大学出版会、2009年[増補新版、2020年])、『稽古の思想』(春秋社、2019年)、『修養の思想』(春秋社、20201年)、『養生の思想』(春秋社、2021年)、The Philosophy of No-mind: Experience Without Self (Bloomsbury Introductions to World Philosophies)( Bloomsbury、2024年、Catherine Sevilla-liu and Anton Sevilla-liu訳)など。
野村 理朗(のむら みちお)
京都大学大学院教育学研究科准教授
2002年、名古屋大学大学院人間情報学研究科単位満了。日本学術振興会特別研究員 PD、広島大学大学院総合科学研究科准教授等を経て、2010 年より現職。博士(学術)。米国ノースウェスタン大学上席客員研究員等、2020年に京都テキストラボ( 株)を設立・同社取締役。 Scientific Report, Molecular Psychology 等をはじめとする国際学術雑誌の主幹編集員・編集委員、目本神経精神薬理学会評議員等を歴任。日本脳科学会奨励賞(2006年)、JSNP Excellent Presentation Award for CINP(2010 年)、日本心理学会優秀論文賞(2017 年)などを受賞。
主な著書に、『なぜアヒル口に惹かれるのか』(角川新書、2010年)、『「顔」研究の最前線』(共編著、北大路書房、2005年)、『脳の報酬系』(編著、丸善出版、2019年)、『「無心」の心理学』(編著、身心変容技法研究、2019年)など。
ファンステーンパール、ニールス(Niels VAN STEENPAAL)
京都大学大学院教育学研究科准教授
2012年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学白眉センター助教を経て、2016年より現職。
主な著書に、『〈孝子〉という表象──近世日本道徳文化史の試み』(ぺりかん社、2017年)など。
マナロ、エマニュエル(Emmanuel Manalo)
京都大学大学院教育学研究科教授
1997年、マッセイ大学(ニュージーランド)博士課程修了。オークランド大学(ニュージーランド)スチューデント・ラーニングセンター所長(准教授)、早稲田大学理工学術院英語教育センター教授を経て、2014年より現職。博士(心理学)。国際学術誌 Thinking Skills and Creativity 共同編集者(2021年~現在)、国際学術誌 Psychologia 副編集委員長(2023年~現在)。2014年に、Association of Tertiary Learning Advisors of Aotearoa New Zealand (ATLAANZ)生涯会員就任。2014年、第8回International Conference on the Theory and Application of Diagrams(メルボルン、オーストラリア)ベストペーパー賞を受賞。
主な著書に、Deeper learning, dialogic learning, and critical thinking: Research-based strategies for the classroom( 編著、Routledge、2020年)、Promoting spontaneous use of learning and reasoning strategies: Theory, research, and practice for effective transfer(共編著、Routledge、2018 年)など。
溝川 藍(みぞかわ あい)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授
2011年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員PD、明治学院大学心理学部助教、椙山女学園大学人間関係学部講師を経て、2018 年より現職。博士(教育学)。2023年度日本心理学会優秀論文賞、2023 年度日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞。
主な著書に、『幼児期・児童期の感情表出の調整と他者の心の理解──対人コミュニケーションの基礎の発達』(ナカニシヤ出版、2011年)、『社会的認知の発達科学』(分担執筆、新曜社、2018年)、『情動発達の理論と支援』(分担執筆、金子書房、2021年)など。
明和 政子(みょうわ まさこ)
京都大学大学院教育学研究科教授
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て現職。ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較し、ヒト特有の脳と心の発達の機序とその生物学的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界にさきがけて開拓した。日本学術会議会員、文部科学省科学技術学術審議会委員、こども家庭庁こども家庭審議会臨時委員を務める。
主な著書に、『マスク社会が危ない──子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか?』(宝島新書、2022年)、『ヒトの発達の謎を解く──胎児期から人類の未来まで(ちくま新書、2019年)、『まねが育むヒトの心』(岩波ジュニア新書、2012年)など多数。
Munakata Yuko(むなかた ゆうこ)
カリフォルニア大学デービス校教授
1996年、カーネギーメロン大学にて博士号(心理学)を取得。デンバー大学准教授、コロラド大学ボールダー校准教授、同教授を経て2019 年より現職。アメリカ心理学会のBoyd McCandless Early Carrer Award、コロラド大学ボルダー校心理・神経科学科よりMentor Award、Faculty Research Award、Faculty Teaching Award を受賞。そのほか、Psychological Review の Associate Editor を務め、TED × talk など科学メディアにも出演。
主な著作に、Computational explorations in cognitive neuroscience: Understanding the mind by simulating the brain(MIT Press、2000年)、「Executive Functions in Social Context: Implications for Conceptualizing, Measuring, and Supporting Developmental Trajectories」(Annual Review of Developmental Psychology 3号、2021年) など。
柳岡 開地(やなおか かいち)
大阪教育大学特任講師
2019年、京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員PD を経て、2022年より現職。博士(教育学)。日本発達心理学会第5回国際奨励賞、平成29年度京都大学総長賞、2016年度日本教育心理学会城戸奨励賞などを受賞。
主な著作に、『子どもが行為を紡ぐとき──ルーティンの獲得と実行機能の発達心理学研究』(ナカニシヤ出版、2019年)、「Cultures crossing: The power of habit in delaying gratification」(Psychological Science 33号、2022年)など。
ラプリー、ジェルミー(Jeremy Rappleye)
香港大学教育学部教授
2000年、イエール大学卒業。2009年、オクスフォード大学博士課程修了。京都大学白眉センター准教授、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て、2023年より現職。
主な著書に、Reimagining Japanese Education: Borders, transfers, circulations, and the comparative(Oxford Studies in Comparative Education)(共編著、Symposium Books Ltd、2011年)、Education, Equality, and Meritocracy in a Global Age(共著、Teachers College Press、2020年)、『日本の教育はダメじゃない』(共著、ちくま新書、2021年)など。
序章 なぜ今、京都から「日本型」教育モデルを発信するのか [高山 敬太]
「日本型」教育とグローバルオフィス
京都大学教育学研究科の知的特徴
コロナ禍・錯綜・「もやもや感」
賞賛と悲観のはざまで
EDU−Portの「日本型」教育
自己表象としての「日本型教育」と逡巡
社会間多文化主義としての「日本型教育」
多元的世界(pluriverse)に向けた日本型教育「モデル」の発信
「日本型教育」の「原風景」を求めて
残された課題
第1部 前近代〜近代初期からの視座
第1章 「日本型教育」の原風景を求めて——日本思想における「次世代を育てる」ことと「自己を磨く」こと [西平 直]
1 なぜ「教育」ではないか
2 『源氏物語』の「宿世」
3 宋代の禅(公案)の読み直し
4 日本型「教育」の原風景を求めて
第2章 小利大損——寺子屋」から考える「日本型教育文化」 [ニールス・ファンステーンパール]
1 日本型教育文化という視座の得失
2 寺子屋の古今
3 寺子屋の消滅
4 日本型寺子屋の誕生
5 日本型寺子屋の弊害
6 虚像のコストを誰が払うのか
第3章 日本の精神分析史に見る日本型教育——「とろかし」をめぐって [西 見奈子]
1 日本の近代化と精神分析
2 古澤平作と「とろかし」
3 「とろかし」に対する弟子たちの批判
4 「とろかし」と「甘え」
5 自他の融合と分離をめぐる揺れ
第2部 「甘え」と自他/母子関係
第4章 母子関係における養育観の二タイプ——文化的、生物学的、心理学的視点から [岡野 憲一郎]
1 本研究のバックグラウンドとしての個人的な体験
2 日本における子育てと依存、そして「甘え」
3 日本におけるストレンジ・シチュエーション法
4 ロスバウムの論点
5 精神分析的アプローチと土居の「甘え」理論
6 土居の主張と文化的なバイアスの可能性について
7 総合考察
第5章 日本の成人における母親への甘え——人生満足度と母親への感謝との関連 [楠見 孝・西川 一二]
1 甘え概念の実証的な再考
2 研究1: 甘えに及ぼす養育態度と愛着
3 研究2:子をもつ成人における母親への甘えと幸福感、感謝との関係
4 研究3: 子をもつ成人における母親への甘えと、幸福感、利他行動との関係
5 成人における母親への甘えから「日本型」教育文化へ
第6章 幼児期における「学びのリンクづけ」——実例と重要性および実践への示唆 [溝川 藍・エマニュエル・マナロ]
1 「学びのリンクづけ」の重要性
2 幼児の日常生活における「学びのリンクづけ」
3 幼児教育・保育環境での「学びのリンクづけ」
4 学習プロセスの中核「学びのリンクづけ」の促進のために
第3部 ジェンダーバイアスと家族
第7章 「親性」発達 現代日本の共同養育社会の実現に向けて [明和 政子]
1 日本における核家族化と子ども・子育て問題
2 ヒトの出産と子育ての特徴
3 「おばあさん」と育てる
4 「母性」は本能なのか?
5 父親の子育ての役割
6 ヒトの共同養育を可能にする心の働き
7 「親性」の脳科学
8 子育て経験が脳と心の働きに与える影響
9 子どもが育つ、親も育つ
第8章 都市新中間層文化の生成と佐々木邦——「私民」の「市民」化の可能性 [竹内 里欧]
1 佐々木邦と都市新中間層文化
2 都市新中間層の台頭と「家庭」の普及
3 佐々木の来歴
4 分析
5 「私民」の「市民」化
第4部「いただきます」(満足遅延課題)と「無心/畏敬」(ちっぽけな自分)
第9章 マシュマロテスト再考——関係性によって形成される集合的セルフコントロール [齊藤 智・柳岡 開地・Munakata Yuko]
1 習慣によるセルフコントロール
2 マシュマロテスト
3 マシュマロテストに影響を与える認知的要因
4 マシュマロテストに影響を与える社会的要因
5 マシュマロテストの予測力に関わる最近の研究動向と集合的セルフコントロール
6 社会を映し出す鏡「マシュマロテスト」
第10章 「無心」理論の構築 [野村 理朗]
1 「無心」の立体化
2 「無心」の一側面の現れとなる概念
3 心理学の実在論・意味理論
4 「無心」理論
5 「無心」理論の構築とその実践に向けて
第5部「授業研究」という問い
第11章 日本の学校におけるカリキュラム改善——効果的な授業研究を実現するスクールリーダー [西岡 加名恵]
1 授業研究への世界的な注目
2 授業研究の位置づけとアプローチの多様性
3 高倉小学校の事例研究
4 園部高校の事例研究
5 スクールリーダー育成の重要性
第12章 共同体としての「日本の学校」とそれを支えた教師像のゆくえ——「日本型教育」の構造の歴史と未来 [石井 英真]
1 「授業道」としての「授業研究」の成立過程
2 全人教育機関である「共同体としての学校」の成立
3 「日本の学校」の光と影を超えて
4 「日本社会」と「日本の学校」のゆらぎの先に
第13章 授業研究(Lesson Study)をアメリカ、そして世界で成功させるには——(教員)教育の存在論的・文化的基盤に関する日本的視座 [ジェルミー・ラプリー・小松 光]
1 日本から学ぶ
2 授業研究のルーツとルートをたどる
3 アメリカにおける授業研究への抵抗
4 授業研究を深く理解する
5 日本の存在論的教育
6 存在論的個人主義を越えて
あとがき
索引
「日本型」教育とグローバルオフィス
京都大学教育学研究科の知的特徴
コロナ禍・錯綜・「もやもや感」
賞賛と悲観のはざまで
EDU−Portの「日本型」教育
自己表象としての「日本型教育」と逡巡
社会間多文化主義としての「日本型教育」
多元的世界(pluriverse)に向けた日本型教育「モデル」の発信
「日本型教育」の「原風景」を求めて
残された課題
第1部 前近代〜近代初期からの視座
第1章 「日本型教育」の原風景を求めて——日本思想における「次世代を育てる」ことと「自己を磨く」こと [西平 直]
1 なぜ「教育」ではないか
2 『源氏物語』の「宿世」
3 宋代の禅(公案)の読み直し
4 日本型「教育」の原風景を求めて
第2章 小利大損——寺子屋」から考える「日本型教育文化」 [ニールス・ファンステーンパール]
1 日本型教育文化という視座の得失
2 寺子屋の古今
3 寺子屋の消滅
4 日本型寺子屋の誕生
5 日本型寺子屋の弊害
6 虚像のコストを誰が払うのか
第3章 日本の精神分析史に見る日本型教育——「とろかし」をめぐって [西 見奈子]
1 日本の近代化と精神分析
2 古澤平作と「とろかし」
3 「とろかし」に対する弟子たちの批判
4 「とろかし」と「甘え」
5 自他の融合と分離をめぐる揺れ
第2部 「甘え」と自他/母子関係
第4章 母子関係における養育観の二タイプ——文化的、生物学的、心理学的視点から [岡野 憲一郎]
1 本研究のバックグラウンドとしての個人的な体験
2 日本における子育てと依存、そして「甘え」
3 日本におけるストレンジ・シチュエーション法
4 ロスバウムの論点
5 精神分析的アプローチと土居の「甘え」理論
6 土居の主張と文化的なバイアスの可能性について
7 総合考察
第5章 日本の成人における母親への甘え——人生満足度と母親への感謝との関連 [楠見 孝・西川 一二]
1 甘え概念の実証的な再考
2 研究1: 甘えに及ぼす養育態度と愛着
3 研究2:子をもつ成人における母親への甘えと幸福感、感謝との関係
4 研究3: 子をもつ成人における母親への甘えと、幸福感、利他行動との関係
5 成人における母親への甘えから「日本型」教育文化へ
第6章 幼児期における「学びのリンクづけ」——実例と重要性および実践への示唆 [溝川 藍・エマニュエル・マナロ]
1 「学びのリンクづけ」の重要性
2 幼児の日常生活における「学びのリンクづけ」
3 幼児教育・保育環境での「学びのリンクづけ」
4 学習プロセスの中核「学びのリンクづけ」の促進のために
第3部 ジェンダーバイアスと家族
第7章 「親性」発達 現代日本の共同養育社会の実現に向けて [明和 政子]
1 日本における核家族化と子ども・子育て問題
2 ヒトの出産と子育ての特徴
3 「おばあさん」と育てる
4 「母性」は本能なのか?
5 父親の子育ての役割
6 ヒトの共同養育を可能にする心の働き
7 「親性」の脳科学
8 子育て経験が脳と心の働きに与える影響
9 子どもが育つ、親も育つ
第8章 都市新中間層文化の生成と佐々木邦——「私民」の「市民」化の可能性 [竹内 里欧]
1 佐々木邦と都市新中間層文化
2 都市新中間層の台頭と「家庭」の普及
3 佐々木の来歴
4 分析
5 「私民」の「市民」化
第4部「いただきます」(満足遅延課題)と「無心/畏敬」(ちっぽけな自分)
第9章 マシュマロテスト再考——関係性によって形成される集合的セルフコントロール [齊藤 智・柳岡 開地・Munakata Yuko]
1 習慣によるセルフコントロール
2 マシュマロテスト
3 マシュマロテストに影響を与える認知的要因
4 マシュマロテストに影響を与える社会的要因
5 マシュマロテストの予測力に関わる最近の研究動向と集合的セルフコントロール
6 社会を映し出す鏡「マシュマロテスト」
第10章 「無心」理論の構築 [野村 理朗]
1 「無心」の立体化
2 「無心」の一側面の現れとなる概念
3 心理学の実在論・意味理論
4 「無心」理論
5 「無心」理論の構築とその実践に向けて
第5部「授業研究」という問い
第11章 日本の学校におけるカリキュラム改善——効果的な授業研究を実現するスクールリーダー [西岡 加名恵]
1 授業研究への世界的な注目
2 授業研究の位置づけとアプローチの多様性
3 高倉小学校の事例研究
4 園部高校の事例研究
5 スクールリーダー育成の重要性
第12章 共同体としての「日本の学校」とそれを支えた教師像のゆくえ——「日本型教育」の構造の歴史と未来 [石井 英真]
1 「授業道」としての「授業研究」の成立過程
2 全人教育機関である「共同体としての学校」の成立
3 「日本の学校」の光と影を超えて
4 「日本社会」と「日本の学校」のゆらぎの先に
第13章 授業研究(Lesson Study)をアメリカ、そして世界で成功させるには——(教員)教育の存在論的・文化的基盤に関する日本的視座 [ジェルミー・ラプリー・小松 光]
1 日本から学ぶ
2 授業研究のルーツとルートをたどる
3 アメリカにおける授業研究への抵抗
4 授業研究を深く理解する
5 日本の存在論的教育
6 存在論的個人主義を越えて
あとがき
索引