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各国には現実の法律(実定法)が存在するが、それとは別に時代や国の違いを超えた不変の法が考えられる。これが自然法である。自然法思想は古代にまで遡るが、近代においては、個人相互間の平和・人間の基本的権利の擁護・国際平和という三つの重要な理念が含まれるようになる。本書は、近代を代表する六人の思想家を取り上げ、彼らが自然法思想をどのようにとらえたか、さらにこれらの理念が彼らの思想的営みの中からどのように成熟し結実したかを明らかにする。
本田 裕志(ほんだ ひろし)
龍谷大学文学部元教授
1956年 東京都に生まれる
1987年 京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学
龍谷大学文学部助教授を経て、2007年より教授(2014年8月退職)
主な著訳書
『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』(晃洋書房 2009年)、『環境と倫理』(共著、有斐閣 2005年)、『応用倫理学事典』(共編著、丸善 2008年)、『環境思想を学ぶ人のために』(共著、世界思想社 1994年)、『生命倫理の現在』(共著、世界思想社 1989年)。翻訳として、グロティウス/セルデン『海洋自由論/海洋閉鎖論1~2』(2021年)、サン-ピエール『永久平和論1~2』(2013年)、ホッブズ『市民論』『人間論』『物体論』(2008, 2012, 2015年)(以上、「近代社会思想コレクション」京都大学学術出版会)がある。
龍谷大学文学部元教授
1956年 東京都に生まれる
1987年 京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学
龍谷大学文学部助教授を経て、2007年より教授(2014年8月退職)
主な著訳書
『ベルクソン哲学における空間・延長・物質』(晃洋書房 2009年)、『環境と倫理』(共著、有斐閣 2005年)、『応用倫理学事典』(共編著、丸善 2008年)、『環境思想を学ぶ人のために』(共著、世界思想社 1994年)、『生命倫理の現在』(共著、世界思想社 1989年)。翻訳として、グロティウス/セルデン『海洋自由論/海洋閉鎖論1~2』(2021年)、サン-ピエール『永久平和論1~2』(2013年)、ホッブズ『市民論』『人間論』『物体論』(2008, 2012, 2015年)(以上、「近代社会思想コレクション」京都大学学術出版会)がある。
序 章 近代自然法思想の前史―古代・中世の自然法思想
0.1 自然法思想の濫觴―ソフィストたちによる問題提起
0.2 ストア派の自然法思想
0.3 中世哲学の自然法思想―トマス・アクィナスの場合
第1章 グロティウス―近代自然法思想の誕生と戦争抑止の法
1.1 グロティウスの生涯とその時代
1.2 グロティウスの法思想―自然法と万民法
1.2.1 グロティウスによる法の分類
1.2.2 自然法
1.2.3 万民法
1.3 国家権力と戦争
1.3.1 国家と国家権力
1.3.2 戦争
1.4 戦争のための法―戦争の正当な大義について
1.4.1 戦争の三つの正当な大義
1.4.2 大義に対する疑義と戦争の回避
1.4.3 参戦・従軍に関する権利と義務
1.5 戦争中の法―戦時に守るべきルールについて
1.5.1 既存の万民法による戦時ルール
1.5.2 自然法に基づく戦時ルール
1.5.3 戦時における信約の遵守
1.6 グロティウスの思想の意義と限界
第2章 ホッブズの自然法思想と国家哲学―国内平和と人権擁護の機関としての国家
2.1 時代背景と生涯
2.2 ホッブズ哲学の全体像と国家哲学の位置
2.2.1 ホッブズ哲学の基本構造
2.2.2 自然哲学から道徳哲学へ―感覚と情念の物理的説明
2.3 自然状態と自然権
2.4 自然法
2.5 国家の設立―社会契約
2.6 統治者の権利―絶対権力の承認
2.7 国家のさまざまな形態と最も望ましい国家形態
2.8 国家と宗教の関係
2.9 ホッブズの哲学・国家論思想の意義と問題点
第3章 スピノザ哲学における自然法と国家
―基本的人権の不可侵と近代国家の倫理的意義の確立
3.1 生涯と歴史的・時代的背景
3.2 哲学説と倫理学説
3.2.1 哲学説―神即自然
3.2.2 倫理学説―人間の徳と幸福
3.3 自然法・自然権・自然状態
3.4 自然状態から国家状態への移行
3.4.1 国家状態への移行はどうして必要か
3.4.2 国家の設立―自然権の移譲と最高命令権の樹立
3.5 あるべき国家の組織
3.6 国家権力の限界―思考・判断・言論・信仰の自由
3.6.1 思考・判断・言論の自由
3.6.2 信仰の自由―理性・国家と宗教の関係
3.7 国家と平和
3.8 特色・意義および問題点
第4章 ジョン・ロックの政治哲学―自然法思想に基づく人権擁護国家の完成像
4.1 時代背景と生涯
4.2 知識とその源―感覚・内省・理性の働き
4.3 自然法
4.4 自然状態と人間の基本的権利
4.5 国家の設立
4.6 国家権力の制限
4.7 暴政と抵抗権
4.8 国家と国家の関係
4.9 黙示の同意説
4.10 絶対王政擁護論との対決
4.10.1 フィルマーの王権神授説
4.10.2 ロックのフィルマー批判
4.11 宗教と国家
4.11.1 ロックのキリスト教理解
4.11.2 宗教と国家の関係―諸宗教の相互寛容と政教分離
4.12 意義と限界
第5章 サン・ピエールの永久平和構想
5.1 サン・ピエールの人物像と時代背景
5.2 未開状態から社会状態への移行
5.3 戦争の体制から永久平和の体制への移行
5.4 ヨーロッパ連合の組織と形成過程
5.4.1 ヨーロッパ連合の想定加盟国
5.4.2 ヨーロッパ連合の組織体制―ヨーロッパ連合条約案の概要
5.4.3 ヨーロッパ連合の形成過程
5.4.4 ヨーロッパ以外の国々との関係
―連合の拡大と全世界の平和への展望
5.5 哲学的・理論的基盤
5.5.1 公正の法としての自然法
5.5.2 功利主義的観点
5.6 ヨーロッパ連合設立の実現可能性の根拠づけ
5.7 サン・ピエールの平和構想の問題点と意義
第6章 カントの道徳哲学と平和論―近代自然法思想の集大成
6.1 生い立ちと生涯・著作・学問的軌跡
6.2 理論哲学
6.3 道徳哲学
6.4 法哲学
6.5 平和論
6.6 意義と問題点
あとがき
文献紹介
索引(人名・書名/事項)
0.1 自然法思想の濫觴―ソフィストたちによる問題提起
0.2 ストア派の自然法思想
0.3 中世哲学の自然法思想―トマス・アクィナスの場合
第1章 グロティウス―近代自然法思想の誕生と戦争抑止の法
1.1 グロティウスの生涯とその時代
1.2 グロティウスの法思想―自然法と万民法
1.2.1 グロティウスによる法の分類
1.2.2 自然法
1.2.3 万民法
1.3 国家権力と戦争
1.3.1 国家と国家権力
1.3.2 戦争
1.4 戦争のための法―戦争の正当な大義について
1.4.1 戦争の三つの正当な大義
1.4.2 大義に対する疑義と戦争の回避
1.4.3 参戦・従軍に関する権利と義務
1.5 戦争中の法―戦時に守るべきルールについて
1.5.1 既存の万民法による戦時ルール
1.5.2 自然法に基づく戦時ルール
1.5.3 戦時における信約の遵守
1.6 グロティウスの思想の意義と限界
第2章 ホッブズの自然法思想と国家哲学―国内平和と人権擁護の機関としての国家
2.1 時代背景と生涯
2.2 ホッブズ哲学の全体像と国家哲学の位置
2.2.1 ホッブズ哲学の基本構造
2.2.2 自然哲学から道徳哲学へ―感覚と情念の物理的説明
2.3 自然状態と自然権
2.4 自然法
2.5 国家の設立―社会契約
2.6 統治者の権利―絶対権力の承認
2.7 国家のさまざまな形態と最も望ましい国家形態
2.8 国家と宗教の関係
2.9 ホッブズの哲学・国家論思想の意義と問題点
第3章 スピノザ哲学における自然法と国家
―基本的人権の不可侵と近代国家の倫理的意義の確立
3.1 生涯と歴史的・時代的背景
3.2 哲学説と倫理学説
3.2.1 哲学説―神即自然
3.2.2 倫理学説―人間の徳と幸福
3.3 自然法・自然権・自然状態
3.4 自然状態から国家状態への移行
3.4.1 国家状態への移行はどうして必要か
3.4.2 国家の設立―自然権の移譲と最高命令権の樹立
3.5 あるべき国家の組織
3.6 国家権力の限界―思考・判断・言論・信仰の自由
3.6.1 思考・判断・言論の自由
3.6.2 信仰の自由―理性・国家と宗教の関係
3.7 国家と平和
3.8 特色・意義および問題点
第4章 ジョン・ロックの政治哲学―自然法思想に基づく人権擁護国家の完成像
4.1 時代背景と生涯
4.2 知識とその源―感覚・内省・理性の働き
4.3 自然法
4.4 自然状態と人間の基本的権利
4.5 国家の設立
4.6 国家権力の制限
4.7 暴政と抵抗権
4.8 国家と国家の関係
4.9 黙示の同意説
4.10 絶対王政擁護論との対決
4.10.1 フィルマーの王権神授説
4.10.2 ロックのフィルマー批判
4.11 宗教と国家
4.11.1 ロックのキリスト教理解
4.11.2 宗教と国家の関係―諸宗教の相互寛容と政教分離
4.12 意義と限界
第5章 サン・ピエールの永久平和構想
5.1 サン・ピエールの人物像と時代背景
5.2 未開状態から社会状態への移行
5.3 戦争の体制から永久平和の体制への移行
5.4 ヨーロッパ連合の組織と形成過程
5.4.1 ヨーロッパ連合の想定加盟国
5.4.2 ヨーロッパ連合の組織体制―ヨーロッパ連合条約案の概要
5.4.3 ヨーロッパ連合の形成過程
5.4.4 ヨーロッパ以外の国々との関係
―連合の拡大と全世界の平和への展望
5.5 哲学的・理論的基盤
5.5.1 公正の法としての自然法
5.5.2 功利主義的観点
5.6 ヨーロッパ連合設立の実現可能性の根拠づけ
5.7 サン・ピエールの平和構想の問題点と意義
第6章 カントの道徳哲学と平和論―近代自然法思想の集大成
6.1 生い立ちと生涯・著作・学問的軌跡
6.2 理論哲学
6.3 道徳哲学
6.4 法哲学
6.5 平和論
6.6 意義と問題点
あとがき
文献紹介
索引(人名・書名/事項)