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ヌミディア王国

ローマ帝国の生成と北アフリカ

栗田 伸子

A5上製・478頁

ISBN: 9784814005529

発行年月: 2024/10

  • 本体: 6,200円(税込 6,820円
  • 在庫あり
 
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内容

古代北アフリカに存在したヌミディア王国(前3~前1世紀)。ローマの「友好国」(クライアント国家)だった同王国の形成と没落を描くと共に、ローマ帝国の生成過程自体を新たな視点から論じる。「南」から見たローマ史。

プロフィール

栗田伸子(くりた のぶこ)
東京学芸大学名誉教授。1954年生まれ。東京大学文学部(西洋史)卒業。同大学院人文科学研究科修士課程修了(文学修士)。同博士課程中退。東京学芸大学助教授(1996年 ―2003年)、同教授(2003年 ―2020年)を経て現在に至る。専門は古代ローマ史およびヌミディア、カルタゴなど古代北アフリカ史。

主な著作に『通商国家カルタゴ』(共著、講談社)、訳書にモンテスキュー著『ローマ人盛衰原因論』(共訳、岩波文庫)、サルスティウス著『ユグルタ戦争・カティリーナの陰謀』(岩波文庫)など。

目次

   口絵

序論 ヌミディアとローマ

第一部 「クリエンテーラ」国家ヌミディア

第一章 ヌミディア王国とネゴーティアトーレス(イタリア人事業家たち)
 問題の所在
 第一節 ネゴーティアトーレスと王権・王領地・穀物収奪/輸出
 第二節 属州アフリカ支配と王権・ネゴーティアトーレス結合
 第三節 共和政期北アフリカ支配の動揺とその契機
第二章 ユグルタ戦争前夜におけるヌミディア社会の陣営配置
 第一節 ユグルタ戦争論の展望
 第二節 「内紛調停」の構造
 第三節 旧体制と「革命」陣営
第三章 「北アフリカ民族誌」(サルスティウス『ユグルタ戦争』第一七―一九章)と王権の「自画像」
 第一節 「ポエニの本」の諸問題
 第二節 「民族誌」の構成と種族名語源論
 第三節 「民族誌」のイデオロギーとヌミディア王権
 第四節 ヒエムプサル二世期の情勢
補 論 ヌミディア王国の解体
 第一節 カエサル・ポンペイウス「内戦」とヌミディア併合
 第二節 対ローマ補助軍・物資提供の変遷
 第三節 王国解体の開始とローマ共和政の終焉
 第四節 残余の諸問題

第二部 アフリカ的土台とカルタゴ的過去

第四章 「敵」のイメージ――ポエニ戦争期ローマのカルタゴ/ヌミディア観
 第一節 ローマ人のカルタゴ観
 第二節 操作される蛮人
 第三節 植民市が燃える
 第四節 舞台はアフリカへ
第五章 ポエニ・カルタゴ的世界とアフリカ・ヌミディア
 第一節 研究史の特徴
 第二節 西地中海とカルタゴ
 第三節 カルタゴとアフリカ
第六章 ナラウアス――カルタゴ傭兵戦争と「ヌミディア人」の原像
 はじめに
 第一節 ポリュビオスにおけるナラウアスと「ノマデス」
 第二節 カルタゴとノマデス
 第三節 ノマデスとは何か?
 第四節 カルタゴ貨幣にみられる「ノマデスの馬」
第七章 ドゥッガとヌミディア王権――リビア語・ポエニ語併記碑文の分析
 はじめに
 第一節 ドゥッガ市――略史および主要遺構
 第二節 「アテバンの墓」とマシニッサ神殿――その遺構と二言語碑文
 おわりに

第三部 ローマ支配下における「発展」と抵抗

第八章 ローマ帝国と「低開発」――A・ドゥマンと批判者たち
 第一節 二つのローマン・アフリカ像
 第二節 北アフリカの「低開発化」
 第三節 ドゥマン批判の視座
第九章 「脱植民地史学」の展開とアフリカの「抵抗」
 はじめに
 第一節 マッティンリによる総括とその特徴
 第二節 ドゥマンの主張とその特徴
 第三節 ラルウィーの主張とその特徴
 第四節 ベナブの主張とその特徴
第十章 「ローマの平和」とアフリカ社会
 第一節 「繁栄」「穀倉」「遊牧」
 第二節 「分散化」「退行的抵抗」「再遊牧化」
 第三節 変動・危機管理・生産
第十一章 北アフリカにおけるローマ支配の拡大と限界
 はじめに
 第一節 研究史における北アフリカと「ローマ化」
 第二節 時代区分の試み
 第三節 タキトゥスとタクファリナス
結語 ローマ帝国を越えて

   あとがき
   系  図
   参考文献
   附録(A~I)・写真・地図(Ⅰ~Ⅲ)
   索  引
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