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スマートフォンのむこう側で「表現の自由」が激しく衝突をはじめた。その責任はプラットフォーマーにあるのか? 新たな状況に法はどう適用できるのか? 「新たな思想の自由市場」と法体系の調和に向けて、世界各国の事例を比較する。最新の「情報流通プラットフォーム対処法」も網羅。現代の『リヴァイアサン』の舞台は、情報空間へ。
東川 玲(ひがしがわ れい)
1974年生まれ。一橋大学教授。早大法学部卒業、京都大学公共政策大学院修了、京都大学大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了。博士(法学)。
主な著書・論文
『地方自治法と憲法上の権利』(渓水社、2019年)
「自治体デジタルトランスフォーメーション」(『地方行政』時事通信社、2021年)
「地方創生からみた地域医療のデジタル化」(『地方行政』2021年)
「AIによる対話型行政の可能性」(『地方行政』2023年)
「地方自治法改正にみる議会の役割の明確化」(『地方行政』2024年)
1974年生まれ。一橋大学教授。早大法学部卒業、京都大学公共政策大学院修了、京都大学大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了。博士(法学)。
主な著書・論文
『地方自治法と憲法上の権利』(渓水社、2019年)
「自治体デジタルトランスフォーメーション」(『地方行政』時事通信社、2021年)
「地方創生からみた地域医療のデジタル化」(『地方行政』2021年)
「AIによる対話型行政の可能性」(『地方行政』2023年)
「地方自治法改正にみる議会の役割の明確化」(『地方行政』2024年)
序論
第1章 米国のプロバイダ責任法理
1.米国連邦通信品位法の制定
(一)米国憲法とインターネット規制
(二)米国判例におけるプロバイダ責任
2.米国プロバイダ責任免責の法理
(一)包括的な免責
(二)自律的措置と免責
3.米国判例のケーススタディ
(一)発行者責任を問えるか
(二)利用者規約の拘束力
(三)情報提供者の責任
第2章 欧州のプロバイダ責任法理
1.EUプロバイダ法制の概観
(一)プロバイダの免責範囲
(二)一般的監視義務を課すべきか
2.イギリスのプロバイダ責任
3.ドイツのプロバイダ責任
(一)テレメディア法と判例法理
(二)ソーシャルネットワーク執行法
(三)ブロッキングや巨額の罰金
第3章 プロバイダ責任制限法の成立と展開
1.特定電気通信という定義
(一)表現と通信の区別
(二)通信の秘密
(三)情報流通プラットフォーム対処法案
(四)発信者への同意照会
(五)削除義務との関係性
2.媒介者責任の法理
(一)媒介者としての地位
(二)プロバイダ責任制限法の責任法理
(三)刑事、民事の媒介者規制を考える
(四)発信規制と受信規制
(五)受信規制(ブロッキング)の合憲性
(六)事後的な削除義務
(七)媒介者規制の解釈論
3.名誉毀損の判例法理
(一)情報空間における相当性判断
(二)プロバイダ責任の立証をめぐって
(三)名誉毀損と国際比較
4.プロバイダ責任の国際比較
(一)発信者責任を問うべきか
(二)プロバイダ責任と権利保障
第4章 デジタル知的財産権の保護
1.米国デジタル著作権法とNTD
2.デジタル著作権比較
3.NTDによる削除のケーススタディ
(一)媒介者責任/寄与責任と代位責任
(二)検索結果からの著作権侵害削除
(三)NTDによる復活制度
(四)クラウドサービスと媒介者責任
(五)NTDによる削除が権利濫用とされた事例
(六)NTDとフェアユース
4.NTDは日本にも導入できるのか
(一)NTD導入にあたって考慮すべき点
(二)NTD導入の課題
(三)NTDと顕名通知
第5章 情報空間と権利保護
1.国連が定めた条約の批准
(一)人権擁護法案の不成立の経緯
(二)ヘイトスピーチと民事上の救済
(三)ヘイトスピーチ解消法
2.ヘイトスピーチ条例の展開
(一)条例で定める拡散防止措置
(二)匿名情報の取得と公表
3.情報空間と条例
(一)発信者情報開示請求の主体性
(二)発信者のプライバシー保護
4.自治体による権利保護
(一)自治体による発信者情報開示請求
(二)条例による発信者情報開示
(三)発信者情報開示の義務付け
(四)自治体による開示要件の認定
第6章 情報空間における透明性と義務
1.コンテンツ・モデレーション
(一)透明性レポート
(二)モニタリングによる透明性
2.情報空間におけるフェイクニュース
(一)フェイクニュースと詐欺、広告
(二)フェイクニュースと政治表現、選挙
(三)フェイクニュースと歴史的事実
(四)フェイクニュースと名誉毀損
(五)ファクトチェックの重要性
3.プラットフォームと共同規制
(一)日本における共同規制を考える
(二)プラットフォーマーと通信規制
(三)リツイートと拡散責任
4.著作権侵害とブロッキング
(一)海賊版サイトの問題
(二)正当行為に該当するか
(三)緊急避難に該当するか
(四)ダウンロード違法化
(五)ブロッキング以外の措置
(六)ブロッキングと表現の自由
(七)媒介者責任とブロッキング
5.サイバーセキュリティと法の支配
(一)コンピューター・ウィルスによる犯罪
(二)アカウント等の不正作出等の罪
(三)電子計算機損壊等の業務妨害罪
(四)電子計算機を用いた詐欺に関する罪
(五)不正アクセス禁止法
(六)通信の秘密侵害罪
(七)サイバーセキュリティと憲法規範
6.欧州で進む法規制
(一)EUデジタルサービス法(DSA)の成立
(二)ソーシャルネットワーク執行法の改正
(三)米国版NTD導入の可能性
第7章 情報空間におけるプライバシー
1.検索事業者の媒介者責任
(一)検索サービスをめぐる判例
(二)リンクと削除
(三)スニペットと削除
(四)サジェスト情報と削除
2.判例が示した削除基準
(一)二〇一七年最高裁判決の考え方
(二)二〇二二年最高裁判例にみる変化
(三)「優越の明白性基準」を考える
3.新たな権利保障の模索
(一)公的事実とプライバシー
(二)私的事実とプライバシー
(三)プライバシーに属する情報
(四)「情報プライバシー権」の権利性
(五)比較衡量論の必要性
(六)法律上の権利としてのプライバシー
(七)信頼のプライバシー論
4.EUにみる情報プライバシーの展開
(一)忘れられる権利
(二)EUの判断基準とプライバシー
(三)EUデータ保護規則による削除権
第8章 情報空間における法執行
1.ソフトローからハードローへ
2.権利保護政策
(一)ガイドライン
(二)違法サイトへの措置
(三)第三者による削除要請
3.人権擁護機関の役割
(一)利用者への支援
(二)法務省の人権擁護機関
(三)ガイドラインに基づく削除要請
(四)海外の取組事例——オーストラリア
(五)独立行政委員会による執行
4.インターネット関連法による執行
(一)いじめ防止対策推進法
(二)児童ポルノ禁止法
(三)青少年インターネット環境整備法
第9章 発信者情報開示と発信者責任
1.発信者責任の交錯
2.発信者情報開示のケーススタディ
(一)発信者情報の保有
(二)裁判外での開示
(三)著名人や公人による開示請求
3.裁判を受ける権利の保障
(一)開示範囲の拡大
(二)発信者の同一性
(三)ログイン情報の開示
(四)携帯電話番号の開示
4.プロバイダ責任制限法の改正と新たな非訟手続の導入
(一)非訟手続の仕組み
(二)非訟手続の課題
(三)裁判所命令による簡素化
5.発信者情報の開示要件
(一)権利侵害の明白性要件
(二)発信者情報の保護法益①匿名表現の自由
(三)発信者情報開示の保護法益②プライバシー
6.裁判外での発信者情報開示
7.侮辱罪と発信者責任
第10章 情報空間とメディア
1.放送と情報空間の対比
(一)放送制度
(二)取材と編集過程
(三)情報空間の拡大
(四)国家とメディアの関係
(五)ナラティブの増加
(六)情報の質と量
(七)思想の自由市場論のアップデート
2.表現の自由の衝突
(一)発信者の表現の自由
(二)公人のアカウント停止
(三)公人の表現の自由
(四)アルゴリズムと媒介者責任
3.アーキテクチャ/コードと表現の自由
(一)アーキテクチャと情報プライバシー
(二)アーキテクチャと表現規制
(三)AIによる自動措置と事前規制
4.新たなテクノロジーと通信、法
(一)メタバースと法
(二)アバターと人格権
(三)アバターとプライバシー権、人格同一性保持権
(四)メタバースと公的空間
(五)メタバースと通信、表現
あとがき
索引
第1章 米国のプロバイダ責任法理
1.米国連邦通信品位法の制定
(一)米国憲法とインターネット規制
(二)米国判例におけるプロバイダ責任
2.米国プロバイダ責任免責の法理
(一)包括的な免責
(二)自律的措置と免責
3.米国判例のケーススタディ
(一)発行者責任を問えるか
(二)利用者規約の拘束力
(三)情報提供者の責任
第2章 欧州のプロバイダ責任法理
1.EUプロバイダ法制の概観
(一)プロバイダの免責範囲
(二)一般的監視義務を課すべきか
2.イギリスのプロバイダ責任
3.ドイツのプロバイダ責任
(一)テレメディア法と判例法理
(二)ソーシャルネットワーク執行法
(三)ブロッキングや巨額の罰金
第3章 プロバイダ責任制限法の成立と展開
1.特定電気通信という定義
(一)表現と通信の区別
(二)通信の秘密
(三)情報流通プラットフォーム対処法案
(四)発信者への同意照会
(五)削除義務との関係性
2.媒介者責任の法理
(一)媒介者としての地位
(二)プロバイダ責任制限法の責任法理
(三)刑事、民事の媒介者規制を考える
(四)発信規制と受信規制
(五)受信規制(ブロッキング)の合憲性
(六)事後的な削除義務
(七)媒介者規制の解釈論
3.名誉毀損の判例法理
(一)情報空間における相当性判断
(二)プロバイダ責任の立証をめぐって
(三)名誉毀損と国際比較
4.プロバイダ責任の国際比較
(一)発信者責任を問うべきか
(二)プロバイダ責任と権利保障
第4章 デジタル知的財産権の保護
1.米国デジタル著作権法とNTD
2.デジタル著作権比較
3.NTDによる削除のケーススタディ
(一)媒介者責任/寄与責任と代位責任
(二)検索結果からの著作権侵害削除
(三)NTDによる復活制度
(四)クラウドサービスと媒介者責任
(五)NTDによる削除が権利濫用とされた事例
(六)NTDとフェアユース
4.NTDは日本にも導入できるのか
(一)NTD導入にあたって考慮すべき点
(二)NTD導入の課題
(三)NTDと顕名通知
第5章 情報空間と権利保護
1.国連が定めた条約の批准
(一)人権擁護法案の不成立の経緯
(二)ヘイトスピーチと民事上の救済
(三)ヘイトスピーチ解消法
2.ヘイトスピーチ条例の展開
(一)条例で定める拡散防止措置
(二)匿名情報の取得と公表
3.情報空間と条例
(一)発信者情報開示請求の主体性
(二)発信者のプライバシー保護
4.自治体による権利保護
(一)自治体による発信者情報開示請求
(二)条例による発信者情報開示
(三)発信者情報開示の義務付け
(四)自治体による開示要件の認定
第6章 情報空間における透明性と義務
1.コンテンツ・モデレーション
(一)透明性レポート
(二)モニタリングによる透明性
2.情報空間におけるフェイクニュース
(一)フェイクニュースと詐欺、広告
(二)フェイクニュースと政治表現、選挙
(三)フェイクニュースと歴史的事実
(四)フェイクニュースと名誉毀損
(五)ファクトチェックの重要性
3.プラットフォームと共同規制
(一)日本における共同規制を考える
(二)プラットフォーマーと通信規制
(三)リツイートと拡散責任
4.著作権侵害とブロッキング
(一)海賊版サイトの問題
(二)正当行為に該当するか
(三)緊急避難に該当するか
(四)ダウンロード違法化
(五)ブロッキング以外の措置
(六)ブロッキングと表現の自由
(七)媒介者責任とブロッキング
5.サイバーセキュリティと法の支配
(一)コンピューター・ウィルスによる犯罪
(二)アカウント等の不正作出等の罪
(三)電子計算機損壊等の業務妨害罪
(四)電子計算機を用いた詐欺に関する罪
(五)不正アクセス禁止法
(六)通信の秘密侵害罪
(七)サイバーセキュリティと憲法規範
6.欧州で進む法規制
(一)EUデジタルサービス法(DSA)の成立
(二)ソーシャルネットワーク執行法の改正
(三)米国版NTD導入の可能性
第7章 情報空間におけるプライバシー
1.検索事業者の媒介者責任
(一)検索サービスをめぐる判例
(二)リンクと削除
(三)スニペットと削除
(四)サジェスト情報と削除
2.判例が示した削除基準
(一)二〇一七年最高裁判決の考え方
(二)二〇二二年最高裁判例にみる変化
(三)「優越の明白性基準」を考える
3.新たな権利保障の模索
(一)公的事実とプライバシー
(二)私的事実とプライバシー
(三)プライバシーに属する情報
(四)「情報プライバシー権」の権利性
(五)比較衡量論の必要性
(六)法律上の権利としてのプライバシー
(七)信頼のプライバシー論
4.EUにみる情報プライバシーの展開
(一)忘れられる権利
(二)EUの判断基準とプライバシー
(三)EUデータ保護規則による削除権
第8章 情報空間における法執行
1.ソフトローからハードローへ
2.権利保護政策
(一)ガイドライン
(二)違法サイトへの措置
(三)第三者による削除要請
3.人権擁護機関の役割
(一)利用者への支援
(二)法務省の人権擁護機関
(三)ガイドラインに基づく削除要請
(四)海外の取組事例——オーストラリア
(五)独立行政委員会による執行
4.インターネット関連法による執行
(一)いじめ防止対策推進法
(二)児童ポルノ禁止法
(三)青少年インターネット環境整備法
第9章 発信者情報開示と発信者責任
1.発信者責任の交錯
2.発信者情報開示のケーススタディ
(一)発信者情報の保有
(二)裁判外での開示
(三)著名人や公人による開示請求
3.裁判を受ける権利の保障
(一)開示範囲の拡大
(二)発信者の同一性
(三)ログイン情報の開示
(四)携帯電話番号の開示
4.プロバイダ責任制限法の改正と新たな非訟手続の導入
(一)非訟手続の仕組み
(二)非訟手続の課題
(三)裁判所命令による簡素化
5.発信者情報の開示要件
(一)権利侵害の明白性要件
(二)発信者情報の保護法益①匿名表現の自由
(三)発信者情報開示の保護法益②プライバシー
6.裁判外での発信者情報開示
7.侮辱罪と発信者責任
第10章 情報空間とメディア
1.放送と情報空間の対比
(一)放送制度
(二)取材と編集過程
(三)情報空間の拡大
(四)国家とメディアの関係
(五)ナラティブの増加
(六)情報の質と量
(七)思想の自由市場論のアップデート
2.表現の自由の衝突
(一)発信者の表現の自由
(二)公人のアカウント停止
(三)公人の表現の自由
(四)アルゴリズムと媒介者責任
3.アーキテクチャ/コードと表現の自由
(一)アーキテクチャと情報プライバシー
(二)アーキテクチャと表現規制
(三)AIによる自動措置と事前規制
4.新たなテクノロジーと通信、法
(一)メタバースと法
(二)アバターと人格権
(三)アバターとプライバシー権、人格同一性保持権
(四)メタバースと公的空間
(五)メタバースと通信、表現
あとがき
索引