Home > Book Detail Page
プリミエ・コレクション 129
医師の「献身」
ポーランド建国と草の根知識人 1890-1920
A5上製, 396 pages
ISBN: 9784814005123
pub. date: 03/24
ポーランドのマンチェスターと呼ばれた多民族都市ウッチ。労動者家庭の子どもの貧困や結核、衛生問題と対峙した医師たちは、地方医療を牽引し、やがて自治体の行政に参画して新生国家の屋台骨を支えることになる。彼らは、何に、誰に「献身」したのか。医師の〈専門労働〉に着目し、国家再建史を医療史・衛生史から活写する。
福元健之(ふくもと けんし)
1988 年山口県光市生まれ。博士(文学)。北海道大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程、博士後期課程修了。ポーランド政府奨学金でウッチ大学に留学。日本学術振興会特別研究員などを経て、現在は福岡大学人文学部講師。
主要業績
『王のいない共和国の誕生』(群像社、2023 年)、「不条理リアリズムの可能性——「田舎医者」と歴史学」(『現代思想』第51 号第17 巻、2023 年)など。
1988 年山口県光市生まれ。博士(文学)。北海道大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程、博士後期課程修了。ポーランド政府奨学金でウッチ大学に留学。日本学術振興会特別研究員などを経て、現在は福岡大学人文学部講師。
主要業績
『王のいない共和国の誕生』(群像社、2023 年)、「不条理リアリズムの可能性——「田舎医者」と歴史学」(『現代思想』第51 号第17 巻、2023 年)など。
巻頭地図
凡例
はじめに——あるユダヤ人医師の軌跡から
序章 医師からみるポーランド近代史
もしあなたが一八六〇年ポーランド王国生まれの医師であったら?
一 工業化・都市化と医師
二 論点としての知識人
三 方法論的枠組としての専門職
四 自由主義と児童保護
五 医療史にポーランドを位置づける
本書の構成
column 1 歴史的前提——蜂起と有機的労働
第一部地域医療の模索(一八九〇—一九一四年)
第一部の内容とねらい
第一章「地方」に科学を伝える——ウッチ市の医師の歴史的位相
知識人としての医師を歴史化するために
一 時代状況(一八六四年から二〇世紀初頭まで)
二 地方医師の思想史的位置づけ
三 地方医師の患者論
小括 患者としての労働者の浮上
column 2 高等教育機関と医師養成
第二章 労働者家庭に介入する——医師の実践と構想
「労働者のため」のマニュアル
一 ウッチ市の発展と衛生状況
二 育児をめぐるジェンダー
三 飲酒する子ども、社会の未来
四 実現可能な結核治療を求めて
小括 地方改革の二重性
column 3 ポーランドの一九〇五年革命
第三章 モラルと営利を両立する——医師の職業倫理
医師と医師ならざる者の境界
一 『医学雑誌』における職業倫理
二 生活と学問をめぐるᷤ葛藤
三 ルブリン草案を読む
小括 自治と職業倫理
第一部の小括
column 4 医師会——戦間期のポーランドとドイツ
第二部 都市自治の追求(一九〇五—一九二〇年)
第二部の内容とねらい
第四章 都市の政治に参加する——失業者支援と市民委員会
大量失業と選挙の二〇世紀初頭
一 革命前夜の情勢
二 政治の大衆化と市民委員会
三 多宗教的支援の巻き返し
四 ポーランド的な経済か、多宗教的な経済か?
小括 包摂と排除の境界線としての言語
column 5 ユダヤ人とイディッシュ語
第五章 制度を設計し、実行する——転機としての第一次世界大戦
第一次世界大戦とポーランド
一 第一次世界大戦と都市自治をめぐる政治
二 台頭する国家と「地方」の分解
三 自治体行政における医療・衛生の組織化
小括 医師の主体性と従属性の変容
column 6 第一次世界大戦の記憶と忘却
第六章 子どもを保護する——再建期の食堂・国際支援・医師
再建期(一九一八—一九二一年)の児童保護プロジェクトと医師
一 食と健康を管理する諸主体
二 保護対象としての子ども
三 簡易食堂の市営化と自治体の拡大
小括 ウッチ市自治体にみる成果と問題
第二部の小括
column 7 ポーランド・ソヴィエト戦争
終章 医師の「献身」の意味
ステルリングたちの遺産
論点の整理
総合的な知識人像
ステルリングたちの現代性
初出一覧
あとがき
註
文献リスト
索引
凡例
はじめに——あるユダヤ人医師の軌跡から
序章 医師からみるポーランド近代史
もしあなたが一八六〇年ポーランド王国生まれの医師であったら?
一 工業化・都市化と医師
二 論点としての知識人
三 方法論的枠組としての専門職
四 自由主義と児童保護
五 医療史にポーランドを位置づける
本書の構成
column 1 歴史的前提——蜂起と有機的労働
第一部地域医療の模索(一八九〇—一九一四年)
第一部の内容とねらい
第一章「地方」に科学を伝える——ウッチ市の医師の歴史的位相
知識人としての医師を歴史化するために
一 時代状況(一八六四年から二〇世紀初頭まで)
二 地方医師の思想史的位置づけ
三 地方医師の患者論
小括 患者としての労働者の浮上
column 2 高等教育機関と医師養成
第二章 労働者家庭に介入する——医師の実践と構想
「労働者のため」のマニュアル
一 ウッチ市の発展と衛生状況
二 育児をめぐるジェンダー
三 飲酒する子ども、社会の未来
四 実現可能な結核治療を求めて
小括 地方改革の二重性
column 3 ポーランドの一九〇五年革命
第三章 モラルと営利を両立する——医師の職業倫理
医師と医師ならざる者の境界
一 『医学雑誌』における職業倫理
二 生活と学問をめぐるᷤ葛藤
三 ルブリン草案を読む
小括 自治と職業倫理
第一部の小括
column 4 医師会——戦間期のポーランドとドイツ
第二部 都市自治の追求(一九〇五—一九二〇年)
第二部の内容とねらい
第四章 都市の政治に参加する——失業者支援と市民委員会
大量失業と選挙の二〇世紀初頭
一 革命前夜の情勢
二 政治の大衆化と市民委員会
三 多宗教的支援の巻き返し
四 ポーランド的な経済か、多宗教的な経済か?
小括 包摂と排除の境界線としての言語
column 5 ユダヤ人とイディッシュ語
第五章 制度を設計し、実行する——転機としての第一次世界大戦
第一次世界大戦とポーランド
一 第一次世界大戦と都市自治をめぐる政治
二 台頭する国家と「地方」の分解
三 自治体行政における医療・衛生の組織化
小括 医師の主体性と従属性の変容
column 6 第一次世界大戦の記憶と忘却
第六章 子どもを保護する——再建期の食堂・国際支援・医師
再建期(一九一八—一九二一年)の児童保護プロジェクトと医師
一 食と健康を管理する諸主体
二 保護対象としての子ども
三 簡易食堂の市営化と自治体の拡大
小括 ウッチ市自治体にみる成果と問題
第二部の小括
column 7 ポーランド・ソヴィエト戦争
終章 医師の「献身」の意味
ステルリングたちの遺産
論点の整理
総合的な知識人像
ステルリングたちの現代性
初出一覧
あとがき
註
文献リスト
索引