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何を共通の方法とし共通のデータとするのか。例えば人とサルでは同様に見える行動を同様に観察/記述できない。対象と方法を共有する「辞書」はどうすれば作れるのか?学際研究を真に有機的に組織する方法論作りのために。
*は編者
大村敬一(おおむら けいいち)*
放送大学教授
1966年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了,博士(文学)。
河合香吏(かわい かおり)*
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1961年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
川添達朗(かわぞえ たつろう)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究機関研究員
1981年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(理学)。
杉山 祐子(すぎやま ゆうこ)
弘前大学人文社会科学部教授
1958年生まれ。筑波大学歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(京都大学,地域研究)。
スプレイグ,デイビッド(David Sprague)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構専門員
1958年生まれ。エール大学人類学 Ph.D。
曽我亨(そが・とおる)
弘前大学人文社会科学部教授
1964年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
竹ノ下祐二(たけのした・ゆうじ)*
中部学院大学看護リハビリテーション学部教授
1970年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
中村美知夫(なかむら・みちお)
京都大学大学院理学研究科准教授
1971年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(理学)。
森下翔(もりした しょう)
大阪大学社会技術共創研究センター特任研究員
1987年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士課程単位取得満期退学。修士(人間・環境学)。
大村敬一(おおむら けいいち)*
放送大学教授
1966年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了,博士(文学)。
河合香吏(かわい かおり)*
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1961年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
川添達朗(かわぞえ たつろう)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究機関研究員
1981年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(理学)。
杉山 祐子(すぎやま ゆうこ)
弘前大学人文社会科学部教授
1958年生まれ。筑波大学歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(京都大学,地域研究)。
スプレイグ,デイビッド(David Sprague)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構専門員
1958年生まれ。エール大学人類学 Ph.D。
曽我亨(そが・とおる)
弘前大学人文社会科学部教授
1964年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
竹ノ下祐二(たけのした・ゆうじ)*
中部学院大学看護リハビリテーション学部教授
1970年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
中村美知夫(なかむら・みちお)
京都大学大学院理学研究科准教授
1971年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(理学)。
森下翔(もりした しょう)
大阪大学社会技術共創研究センター特任研究員
1987年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士課程単位取得満期退学。修士(人間・環境学)。
PART I 探究 Quest——データ収集・記述表現・分析単位
I 序 Opening
I-1 問題提起 Keynote
人類学と霊長類学の協働についての覚え書き
——行動への着目とその記述をめぐって [河合香吏]
1 なぜ人類学と霊長類学の協働なのか―伊谷純一郎の直観と進化という文脈
2 研究現場での疑義と課題
3 行動への着目
4 おわりに―人間中心主義の罠から抜け、相互理解の不断の努力の中でこそ
I-2 応 答 Response 河合の問題提起に人類学から答える
「見える世界」の「意味」に出会うには [杉山祐子]
1 「見える世界」をどう扱うか
2 観察によるデータ収集と記録
3 参与観察で何を知るのか
4 見える世界における言語情報
5 観察手法の探求と数値データの収集、チーム調査の可能性―共通語として・きっかけとして
I-3 応 答 Response 河合の問題提起に霊長類学から答える
社会構造と社会的事実のエピステモロジー [デイビッド・スプレイグ]
1 原点に立ち戻る機会としての方法論的問い
2 個体追跡法―全体性を描き出すプロセスとしての意義
3 擬人主義―調査者自身が「測定機器」であることから発する問題群
4 霊長類の社会構造と社会的事実―個体間交渉の総体としての社会という確信
5 社会の比喩や擬〇〇主義に終わらない解明に向けて
I-4 返 信 Correspondence 杉山・スプレイグの応答を受けた再考察
直観、集計、意味
——フィールドから「分かる」ことの条件 [河合香吏]
1 この返信論文がめざすこと
2 直観
3 集計
4 牧畜社会でウシの数を数え、集計する
5 意味
II 破 Advance
II-1 問題提起 Keynote
サルを記述する〈ことば〉
——サルを経験する主体として扱う [竹ノ下祐二]
1 「個体追跡法」をめぐって扱う
2 社会生態学と経験する主体
3 経験する主体を語る〈ことば〉:「和解」をてがかりに
4 〈ことば〉による記述の指針にむけて
II-2 応 答 Response 竹ノ下の問題提起に人類学から答える
「もっと高く、もっと低く」 [曽我 亨]
1 外的妥当性をめぐって
2 行動を見るのか、出来事を知るのか
3 低いレベルの記述、高いレベルの記述
4 個体追跡法をめぐって
5 ことばの意味を「下位」のレベルで捉えてみる―おわりに
II-3 応 答 Response 竹ノ下の問題提起に霊長類学から答える
量からつむがれる〈ことば〉と質からつむがれる〈ことば〉 [中村美知夫]
1 立ち位置の近い同世代の研究者から
2 「生存機械」と「経験する主体」
3 「参与観察」と「個体追跡」
4 「量的データ」と「質的データ」
5 「方法論」と「方法」
6 量的データと質的データの調停は可能か―結びに変えて
II-4 返 信 Correspondence 曽我・中村の応答を受けた再考察
「心」を排して文脈を読む [竹ノ下祐二]
1 「記述のレベル」と「心の記述」
2 人間的関心
3 「心」は記述できるのか
4 矛盾の先にあるブレイクスルー
III 急 Climax
III-1 問題提起 Keynote
相互行為素
——霊長類の社会性の種間比較分析のための基盤 [大村敬一]
1 社会性を記述するための最小単位
2 相互行為素の必要性
3 伊谷からのヒント―「社会的な形成と維持にかかわる行動」
4 相互行為素―社会性の記述の最小の単位
III-2 問題提起 Keynote
相互行為素の運用と可能性
——イヌイトの生業システムを事例に [大村敬一]
1 民族誌記述を相互行為素で変換する
2 イヌイトの生業システム―拡大家族集団の持続的な生成のメカニズム
3 相互行為素による生業システムの社会性の記述
4 相互行為素による日常的な行為の分類
5 相互行為素による日常的な行為の流れの記述
6 相互行為素による記述が拓く分析の可能性
7 相互行為素の可能性―霊長類の社会性の種間比較分析への貢献
III-3 応 答 Response 大村の問題提起に人類学から答える
秩序・存在論・心 [森下 翔]
1 相互行為素、生業システム、存在論
2 大村論文の形式的整理
3 「推論される秩序」と「語られる秩序」
4 サルの存在論?
5 個体は秩序とどうつきあうのか
6 心
III-4 応 答 Response 大村の問題提起に霊長類学から答える
ことばと行為のつながり
——大村論文への応答 [川添達朗]
1 記述単位としての相互行為素
2 社会性にかかわる四象限
3 相互行為素を用いた記述の試み:ニホンザルの近接
4 二種類の相互行為素の接続可能性、行為のレベルで説明できない要素
III-5 返 信 Correspondence 森下・川添の応答を受けた再考察
可能性を拡げる議論のために [大村敬一]
PART II 展望 Vision 〈協働の方法〉を問う
Ⅰ 「分かる」とは何か——人間中心の「社会性」理解を乗り越える
サルとヒト、二つの社会のそもそも何を捉えるのか
方法論なるものの可塑性、拡張性
「熟練者」の多様な方法を摺り合わせ共に使う
「分かる」ことを前提にした、特殊な場としての学問
本質的に分からない相手を「分かった」と思えてしまうときとは
人間中心の「分かる」とそうでない「分かる」
擬人主義/擬人法の複数性
Ⅱ 「協働の辞書」を創る——相互行為素を定義するということ
相互行為素から正書法を確立する
「dominance」を定義した霊長類学分野の試みから
「辞書」づくりに重要な弁別素性と文脈性
Ⅲ 「こころ」を記述しない理由——擬人主義再考
「心」と人類学、霊長類学
心を記述する原理的な難しさと擬人主義
「心まみれ」の日本語で行動を記述することの難しさ
内言を「心」として記述しない
裁判での「殺意の認定」のように相互行為素を定義する
Ⅳ 場の変動を記述する——〈データの提示〉の本質とは何か
フィールドでは何を観察し何を記述しているのか
出来事を経験するとは何か?
ネガの形で現れる事柄の重要性
領域ごとに「違うデータ」をどのように提示するか
Ⅴ 生業移行を問い直す——〈起原と進化〉へ迫る視点
フィールドのデータから進化を語る難しさ
社会性の普遍的理解と、その「起原」「進化」を問うことの違い
考古学の成果に立った新しい生業移行、社会組織モデルの重要性
「負債論」への注目
Ⅵ あらためて相互行為からのアプローチの意味——課題の戦略的設定に関わって
戦略的な焦点化の必要性
獲得形質の「積み上げ」という発想に陥らないこと
プロソーシャルの思考枠組みとの訣別
I 序 Opening
I-1 問題提起 Keynote
人類学と霊長類学の協働についての覚え書き
——行動への着目とその記述をめぐって [河合香吏]
1 なぜ人類学と霊長類学の協働なのか―伊谷純一郎の直観と進化という文脈
2 研究現場での疑義と課題
3 行動への着目
4 おわりに―人間中心主義の罠から抜け、相互理解の不断の努力の中でこそ
I-2 応 答 Response 河合の問題提起に人類学から答える
「見える世界」の「意味」に出会うには [杉山祐子]
1 「見える世界」をどう扱うか
2 観察によるデータ収集と記録
3 参与観察で何を知るのか
4 見える世界における言語情報
5 観察手法の探求と数値データの収集、チーム調査の可能性―共通語として・きっかけとして
I-3 応 答 Response 河合の問題提起に霊長類学から答える
社会構造と社会的事実のエピステモロジー [デイビッド・スプレイグ]
1 原点に立ち戻る機会としての方法論的問い
2 個体追跡法―全体性を描き出すプロセスとしての意義
3 擬人主義―調査者自身が「測定機器」であることから発する問題群
4 霊長類の社会構造と社会的事実―個体間交渉の総体としての社会という確信
5 社会の比喩や擬〇〇主義に終わらない解明に向けて
I-4 返 信 Correspondence 杉山・スプレイグの応答を受けた再考察
直観、集計、意味
——フィールドから「分かる」ことの条件 [河合香吏]
1 この返信論文がめざすこと
2 直観
3 集計
4 牧畜社会でウシの数を数え、集計する
5 意味
II 破 Advance
II-1 問題提起 Keynote
サルを記述する〈ことば〉
——サルを経験する主体として扱う [竹ノ下祐二]
1 「個体追跡法」をめぐって扱う
2 社会生態学と経験する主体
3 経験する主体を語る〈ことば〉:「和解」をてがかりに
4 〈ことば〉による記述の指針にむけて
II-2 応 答 Response 竹ノ下の問題提起に人類学から答える
「もっと高く、もっと低く」 [曽我 亨]
1 外的妥当性をめぐって
2 行動を見るのか、出来事を知るのか
3 低いレベルの記述、高いレベルの記述
4 個体追跡法をめぐって
5 ことばの意味を「下位」のレベルで捉えてみる―おわりに
II-3 応 答 Response 竹ノ下の問題提起に霊長類学から答える
量からつむがれる〈ことば〉と質からつむがれる〈ことば〉 [中村美知夫]
1 立ち位置の近い同世代の研究者から
2 「生存機械」と「経験する主体」
3 「参与観察」と「個体追跡」
4 「量的データ」と「質的データ」
5 「方法論」と「方法」
6 量的データと質的データの調停は可能か―結びに変えて
II-4 返 信 Correspondence 曽我・中村の応答を受けた再考察
「心」を排して文脈を読む [竹ノ下祐二]
1 「記述のレベル」と「心の記述」
2 人間的関心
3 「心」は記述できるのか
4 矛盾の先にあるブレイクスルー
III 急 Climax
III-1 問題提起 Keynote
相互行為素
——霊長類の社会性の種間比較分析のための基盤 [大村敬一]
1 社会性を記述するための最小単位
2 相互行為素の必要性
3 伊谷からのヒント―「社会的な形成と維持にかかわる行動」
4 相互行為素―社会性の記述の最小の単位
III-2 問題提起 Keynote
相互行為素の運用と可能性
——イヌイトの生業システムを事例に [大村敬一]
1 民族誌記述を相互行為素で変換する
2 イヌイトの生業システム―拡大家族集団の持続的な生成のメカニズム
3 相互行為素による生業システムの社会性の記述
4 相互行為素による日常的な行為の分類
5 相互行為素による日常的な行為の流れの記述
6 相互行為素による記述が拓く分析の可能性
7 相互行為素の可能性―霊長類の社会性の種間比較分析への貢献
III-3 応 答 Response 大村の問題提起に人類学から答える
秩序・存在論・心 [森下 翔]
1 相互行為素、生業システム、存在論
2 大村論文の形式的整理
3 「推論される秩序」と「語られる秩序」
4 サルの存在論?
5 個体は秩序とどうつきあうのか
6 心
III-4 応 答 Response 大村の問題提起に霊長類学から答える
ことばと行為のつながり
——大村論文への応答 [川添達朗]
1 記述単位としての相互行為素
2 社会性にかかわる四象限
3 相互行為素を用いた記述の試み:ニホンザルの近接
4 二種類の相互行為素の接続可能性、行為のレベルで説明できない要素
III-5 返 信 Correspondence 森下・川添の応答を受けた再考察
可能性を拡げる議論のために [大村敬一]
PART II 展望 Vision 〈協働の方法〉を問う
Ⅰ 「分かる」とは何か——人間中心の「社会性」理解を乗り越える
サルとヒト、二つの社会のそもそも何を捉えるのか
方法論なるものの可塑性、拡張性
「熟練者」の多様な方法を摺り合わせ共に使う
「分かる」ことを前提にした、特殊な場としての学問
本質的に分からない相手を「分かった」と思えてしまうときとは
人間中心の「分かる」とそうでない「分かる」
擬人主義/擬人法の複数性
Ⅱ 「協働の辞書」を創る——相互行為素を定義するということ
相互行為素から正書法を確立する
「dominance」を定義した霊長類学分野の試みから
「辞書」づくりに重要な弁別素性と文脈性
Ⅲ 「こころ」を記述しない理由——擬人主義再考
「心」と人類学、霊長類学
心を記述する原理的な難しさと擬人主義
「心まみれ」の日本語で行動を記述することの難しさ
内言を「心」として記述しない
裁判での「殺意の認定」のように相互行為素を定義する
Ⅳ 場の変動を記述する——〈データの提示〉の本質とは何か
フィールドでは何を観察し何を記述しているのか
出来事を経験するとは何か?
ネガの形で現れる事柄の重要性
領域ごとに「違うデータ」をどのように提示するか
Ⅴ 生業移行を問い直す——〈起原と進化〉へ迫る視点
フィールドのデータから進化を語る難しさ
社会性の普遍的理解と、その「起原」「進化」を問うことの違い
考古学の成果に立った新しい生業移行、社会組織モデルの重要性
「負債論」への注目
Ⅵ あらためて相互行為からのアプローチの意味——課題の戦略的設定に関わって
戦略的な焦点化の必要性
獲得形質の「積み上げ」という発想に陥らないこと
プロソーシャルの思考枠組みとの訣別