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物理学者と読む西洋社会思想と科学の歴史

林 哲介

A5並製, 336 pages

ISBN: 9784814005031

pub. date: 06/24

  • Price : JPY 3,800 (with tax: JPY 4,180)
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内容

市民社会の扉を開けたロックは、最先端の医学を学び、親友ボイルの実験室で研究に励み、ニュートンと手紙を書き合った。科学と社会思想は絡み合って歴史となる。これからの科学技術の真の目的を考えるために、人間が近代以降に築き上げてきた価値観のありようを歴史的背景とともに学ぶ。物理学者による長年のリベラルアーツ講義録。

プロフィール

林 哲介(はやし てつすけ)
1942年生まれ。1966年京都大学理学部物理学科卒業。
1992年より京都大学教養部教授、同総合人間学部及び大学院人間・環境学研究科教授、同高等教育研究開発推進センター教授。この間、総合人間学部長、高等教育研究開発推進センター長、京都大学副学長等を務めた。
2006年より星城大学学長、京都工芸繊維大学副学長、京都三大学教養教育研究・推進機構特任教授を経て、現在、京都大学名誉教授。

専門:物性物理学、大学教育論。京都大学理学博士。光物性研究と基礎物理学教育の傍ら、リベラルアーツ教育の充実・改善に努めてきた。

主要著書:『科学のセンスをつかむ物理学の基礎――エネルギーの理解を軸に』(京都大学学術出版会、2006)、『教養教育の思想性』(ナカニシヤ出版、2013)、『教養教育の再生』(同、2017)

目次

はじめに

第Ⅰ‌篇 「科学」はどのようにして生まれたか

第1章 「科学の誕生」とはどういうことか
 1 天文学の展開――神的モデルから物理学へ
 2 ガリレオ・ガリレイの真価――アリストテレスを斬る
 3 「科学の誕生」とは何を指すか
 COLUMN 1 天文学と占星術

第2章 古代ギリシャ哲学を振り返る
 1 探求のはじまり
 2 プラトン、アリストテレスの自然論
 3 ギリシャ哲学の変容――どう受け継がれたか
 COLUMN 2 ルクレティウスの原子論

第3章 科学誕生への予兆
 1 12世紀ルネサンス
 2 知の変動――保守と革新
 3 危機の時代――なぜ科学の誕生にはなお長い時間を要したか
 COLUMN 3 アテネ・デモクラシーとソクラテス

第4章 「科学」の思想の成長
 1 悩める哲学者、デカルト
 2 「科学を社会へ」の大号令――F・ベーコンの革新論
 3 科学の方法の確立――A・ニュートンの思想
 4 近代科学思想と「科学革命」
 COLUMN 4 ローマの盛衰 第一の「危機」とはなにか

第Ⅱ‌篇 人間認識・社会認識の革新と科学

第5章 人間論・社会論の革命
 1 イギリスからの発信
 2 フランス革命への階段
 3 ドイツにおける啓蒙思想
 4 啓蒙思想の普及と限界
 COLUMN 5 現代に繋がるリベラルアーツの誕生

第6章 「自由」と社会をめぐる思想の科学的成長
 1 「理性」から「共感」へ――自由主義経済思想の誕生
 2 功利主義と倫理――現実への対応
 3 「自由」の問い直し――矛盾は克服できるのか
 4 「自由」の再構築に向けて
 COLUMN 6 ルソーの教育論

第Ⅲ‌篇 科学・技術と私たちの思想

第7章 近代科学と技術の連携の功罪
 1 18~19世紀における自然科学の展開
 2 従属に向かう科学技術――20世紀を迎えて
 3 日本の近代社会と科学技術――近代日本の裏側
 COLUMN 7 20世紀前半における物理学の地殻変動

第8章 現代社会の「閉塞」と 科学技術
 1 現代は「危機」の時代か
 2 曲がり角の科学技術
 COLUMN 8 増殖炉

第9章 民主主義の思想と科学文化の統合を目指して
 1 民主主義の困難
 2 「民主主義」再構築の可能性
 3 民主主義の基盤としての思想性と科学
 COLUMN 9 教育における二つの立場

あとがき――これからの「科学」の真の目的は〈***〉

掲載図版出典
索  引
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