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流域の問題には、多すぎる水(洪水)、少なすぎる水(渇水)もあれば、多すぎる土砂(災害)、少なすぎる土砂(河床低下、海岸侵食、河川環境劣化)もある。本書は、ダムによる流水の貯留とトレードオフの関係にある士砂の連続性遮断の問題を、流砂系の総合土砂管理の枠組みとして改めて考えるとともに、その一番の鍵を、「ダムの土砂管理=河川の流砂環境の再生」と定義し、これを進めるための科学的考察と実践の最前線の分析に取り組んだ。(「おわりに」より抜粋)
[編著者紹介]
角 哲也(すみ てつや)
京都大学防災研究所水資源環境研究センター教授,国際大ダム会議副総裁,ダム工学会副会長,「ダム再生ビジョン検討会」委員長,淀川水系総合土砂管理委員会委員長など.
専門は河川工学,ダム工学.ダム堆砂対策と河川の自然再生を考慮した流域一貫の総合土砂管理や気象予測を活用したダムの運用高度化などを研究している.著書に『ダムと環境の科学Ⅰ ダム下流生態系』(分担執筆,京都大学学術出版会,2009),『生命体「黄河」の再生』(共著,京都大学学術出版会,2011),『流水型ダム:防災と環境の調和に向けて』(分担執筆,技報堂出版,2017),『貯水池土砂管理ハンドブック』(共訳,技報堂出版,2010),『ダムの科学(改訂版)』(編著,ソフトバンククリエイティブ,2019)など.
竹門 康弘(たけもん やすひろ)
大阪公立大学国際基幹教育機構客員研究員,応用生態工学会理事,淀川水系流域委員会副委員長,深泥池水生生物研究会世話人,京の川の恵みを活かす会代表.
専門は河川生態学,応用生態工学.水生昆虫や魚類の生息場利用の仕組みを研究している.
著書に『棲み場所の生態学』(編著,平凡社,1995),『日本産水生昆虫:科・属・種への検索』(共著,東海大学出版会,2005,2018),『深泥池の自然と暮らし:生態系管理をめざして』(編著,サンライズ出版,2008),『自然再生ハンドブック』(編著,地人書館,2010),『京都を学ぶ【南山城編】:文化資源を発掘する』(共著,ナカニシヤ出版,2018)など.
天野 邦彦(あまの くにひこ)
公益財団法人河川財団河川総合研究所長,京都大学客員教授,中央大学研究開発機構客員研究員(機構教授).
専門は河川工学.河川,湖沼,貯水池の環境保全についての研究を行っていたが,近年は水害リスクの低減に関する研究を行っている.
著書に『川の環境目標を考える:川の健康診断』(分担監修,技報堂出版,2008),『川の技術のフロント』(分担執筆,技報堂出版,2007),『環境工学公式・モデル・数値集』(分担執筆,土木学会,2004),『水環境と生態系の復元:河川・湖沼・湿地の保全技術と戦略』(共訳,技報堂出版,1999)など.
一柳 英隆(いちやなぎ ひでたか)
一般財団法人水源地環境センター上席主任研究員,熊本県立大学緑の流域治水研究室学術研究員,一般社団法人球磨川NP代表理事.
専門は動物生態学.淡水域に生息する動植物の生活史や個体群動態,保全について研究している.著書に『ダムと環境の科学Ⅱ ダム湖生態系と流域環境保全』(編著,京都大学学術出版会,2011),『ダムと環境の科学Ⅲ エコトーンと環境創出』(編著,京都大学学術出版会,2014),『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(編著,朝倉書店,2022)など.
[著者紹介](五十音順)
浅井 直人(あさい なおと)
一般財団法人水源地環境センター研究第一部次長
専門は建設環境分野.ダムの環境影響評価やフォローアップ検討に携わっている.
植田 和弘(うえた かずひろ)
京都大学名誉教授
専門は環境経済学.環境問題や持続可能な発展について幅広く研究している.著書に『環境経済学』(岩波書店,1996),『環境と経済を考える』(岩波書店,1998),『都市のアメニティとエコロジー』(編著,岩波書店,2005),『緑のエネルギー原論』(岩波書店,2013),『国民のためのエネルギー原論』(共編著,日本経済新聞出版社,2011),『再生可能エネルギー政策の国際比較:日本の変革のために』(共編著,京都大学学術出版会,2017)など多数.
大槻 英樹(おおつき ひでき)
株式会社ニュージェック技術本部河川グループ マネジャー
専門は河川工学で,主として貯水池の土砂管理,流砂系の総合土砂管理,および河岸侵食対策等,河川における土砂の移動現象にかかわる対策計画や調査・研究に携わっている.世界銀行RESCON(貯水池管理)プロジェクトにおいてスリランカでのケーススタディに国際コンサルタントとして参画(2002)するなど,海外のダム堆砂問題にも取り組んでいる.
鬼倉 徳雄(おにくら のりお)
九州大学大学院農学研究院教授
専門は河川生態学,保全生態学.淡水魚類の種多様性保全に関連する様々な研究を行っている.著書に『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(編著,朝倉書店,2022),『見えない脅威“国内外来魚”』(編著,東海大学出版会,2013)など.
小野 雅人(おの まさと)
一般財団法人水源地環境センター研究第二部部長
専門はダム工学.ダムの堆砂対策を効果的・効率的に進めていくための技術開発を進めている.
篭橋 一輝(かごはし かずき)
南山大学国際教養学部准教授
専門は環境経済学,地球環境学.自然の価値論や水資源管理,レジリエンス,および持続可能な発展について研究している.近著にFactors determining the resilience of local communities: A comparative analysis of Landcare and a pond irrigation system in the Sanuki Plain(Building Global Sustainability through Local Self-reliance: Lessons from Landcare, 2022),How environmental ethics affect the consumption-wellbeing relationship: Evidence from Japan(共著,Handbook on Wellbeing, Happiness and the Environment, 2020)などがある.
金澤 裕勝(かなざわ ひろかつ)
株式会社建設技術研究所執行役員(元一般財団法人水源地環境センター研究第三部長)
専門は河川工学.黒部川における宇奈月ダムと出し平ダムの連携排砂の実施に携わる等,国土交通省において河川管理の現場に従事した経験を活かした活動を行っている.
喜多村 雄一(きたむら ゆういち)
電源開発株式会社茅ケ崎研究所特任研究員
専門は数値・実験水理学,水工学,環境工学.国内外のダムや水理工作物の機能向上,貯水池や河川にかかわる物質循環に着目した環境改善の研究に従事している.
小林 草平(こばやし そうへい)
京都大学防災研究所准教授
専門は河川生態学,応用生態工学.主に河川景観,河床地形,底生動物,水質を対象に,河川連続性,森林とのつながり,ダムの影響,土砂還元効果,また富栄養化した湖沼生態系の保全について研究している.著書に『河川生態系の調査・分析方法』(分担執筆,講談社サイエンティフィク,2019)など.
小堀 俊秀(こぼり としひで)
国土交通省国土技術政策総合研究所 大規模河川構造物研究室主任研究官
専門はダムの安全管理(モニタリング,非破壊検査技術等).著書に『コンクリートダムの細部技術』(共著,ダム技術センター,2010),『コンクリート補修・補強ハンドブック』(共著,朝倉書店,2011),『フィルダムの変位計測に関するGPS利用マニュアル』(共著,ダム工学会,2014)など.
小山 彰彦(こやま あきひこ)
九州大学大学院農学研究院助教
専門は保全生態学.河口・沿岸域に生息する動植物の保全を中心に研究している.著書に『図説日本の湿地』(分担執筆,朝倉書店,2017),『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(分担執筆,朝倉書店,2022)など.
蔡 佩宜(さい はいぎ)
九州工業大学教養教育院准教授
専門は環境経済学.日本と台湾の環境政策や災害廃棄物の適切処理,および環境配慮行動の促進について研究している.論文にEnvironmental Policy for Waste Management in Taiwan: Regulatory Measures, Implementation Status, and Challenges(共著,Journal of Asian Geography, 2023), Urban Households’ Willingness to Pay for Improvements in Rainwater Harvesting and Rainwater Infiltration System: Case Study in Japan(共著,Water and Environment Journal, 2022)など.
櫻井 寿之(さくらい としゆき)
国土交通省国土技術政策総合研究所 河川研究部大規模河川構造物研究室室長
専門はダム工学,水工水理学.ダムの調査・設計・施工・維持管理の技術的な検討,貯水池土砂管理・ダムのリスクマネジメントなどの研究をしている.著書に『貯水池土砂管理ハンドブック』(分担監訳,技報堂出版,2010),『環境水理学』(分担執筆,土木学会,2015)など.
佐々木 隆(ささき たかし)
国土交通省国土技術政策総合研究所所長
専門はダム工学(特に構造面).種々のダム型式(コンクリートダム,フィルダムほか)を対象に,ダム再生を含めた構造設計手法,ゲート等関連構造物を含めた耐震性能照査手法,維持管理手法などについて研究を行ってきている.
佐藤 真行(さとう まさゆき)
神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授
専門は環境経済学.環境の質や生態系サービスの経済評価,および持続可能な発展について研究している.論文にHeterogeneous preference for biodiversity in Japanese urban blue spaces based on people’s nature experiences(共著,City and Environment Interactions,2023), Connectedness to Nature and the Conservation of the Urban Ecosystem: Perspectives from the Valuation of Urban Forests(共著,Forest Policy and Economics, 2021)など.
杉尾 哲(すぎお さとる)
宮崎大学名誉教授
専門は河川生態工学.自然が豊かで生物多様性に富み潤いをもたらす良い川を次世代に受け渡す取り組みを進めている.著書に『図説日本の河川』(分担執筆,朝倉書店,2010),『宮崎県一ツ瀬川における濁水長期化:その原因と産官学民が連携した対策』(監修,パブフル,2022)など.
諏訪 義雄(すわ よしお)
国立研究開発法人土木研究所河川総括研究監(座談会当時は河道保全研究グループ長)
専門は河川工学,海岸工学,防災・減災,河川構造物,海岸構造物,洪水応答,土砂動態.国土交通省技術研究会指定課題「水系一貫土砂管理に向けた河川における土砂観測,土砂動態マップの作成及びモニター体制構築に関する研究」(1999~2001),「海岸における土砂の役割」(第3回河川研究セミナー,2014),特集「ダム技術の今後の展開」(土木技術資料Vol. 64, № 2, 2022)の編集担当等,河川・海岸・ダム貯水池の立場から土砂管理の調査研究・実務に従事.
竹林 洋史(たけばやし ひろし)
京都大学防災研究所准教授
専門は河川地形学,砂防工学,河川工学.なぜ川は蛇行するか? など,川の形について調べており,洪水・土砂災害が発生しにくいとともに動植物が生息・生育しやすい川の整備方法などの研究を行っている.著書に『河川工学』(コロナ社,2013),『環境水理学』(分担執筆,土木学会,2015),『噴火災害に備えて』(分担執筆,土木学会,2022)など.
田中 晋(たなか すすむ)
富山大学名誉教授
専門は淡水の生物学.とくに,ミジンコ類の分類や魚類の生態などを中心とした研究.黒部川ダム排砂評価委員会(国土交通省北陸地方整備局)では委員長を務めた.著書に『富山県の陸水生物』(編著,富山県,1978),『とやまの川と湖の魚たち』(編著,シー・エー・ピー,1993)など.
辻本 哲郎(つじもと てつろう)
名古屋大学名誉教授
専門は河川水理学,河川工学.持続性のある流域圏管理のためのアセスメント技術体系を確立することを目指している.著書に『生命の川』(共訳,新樹社,2006),『川の環境目標を考える』(監修,技報堂出版,2008),『流域圈から見た明日』(編著,技報堂出版,2009)など.
箱石 憲昭(はこいし のりあき)
一般財団法人ダム技術センター首席研究員
専門は水工水理学,ダム工学.洪水吐等のダム水理構造物の計画・設計手法やダム再生にあたっての既設ダムの改造技術などについて研究している.
福島 雅紀(ふくしま まさき)
国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所事務所長(座談会当時は国土交通省国土技術政策総合研究所 河川研究部河川研究室室長)
専門は河川工学,河道計画,堤防等河川管理施設の維持管理,多自然川づくり.
藤田 正治(ふじた まさはる)
座談会当時は京都大学防災研究所教授
専門は砂防工学,河川工学,土砂水理学.流砂に関する研究を基礎に,土砂災害の予測と対策,総合土砂管理などの問題について検討している.著書に『砂防学』(分担執筆,朝倉書店,2019),『貯水池土砂管理ハンドブック』(共訳,技報堂出版,2010),『防災辞典』(分担執筆,築地書館,2002),砂防学会編『山地河川における河床変動の数値計算』(分担執筆,山海堂,2000)など.
武藤 裕則(むとう やすのり)
徳島大学大学院社会産業理工学研究部教授
専門は水理学,河川工学.河川構造物を援用した河道地形管理技術,グリーンインフラを活用した氾濫被害軽減策などの研究をしている.著書に『実践版!グリーンインフラ』(分担執筆,日経BP,2020),Green Infrastructure and Climate Change Adaptation(分担執筆,Springer,2022)など.
最上 友香子(もがみ ゆかこ)
一般財団法人水源地環境センター研究第一部主任研究員
専門はダム工学分野.ダムの管理・運用全般に関する業務・研究開発に携わっている.
安田 成夫(やすだ なりお)
一般財団法人ダム技術センター技術審議役兼技術第一部長
専門はダムの材料力学,耐震設計,施工管理.著書に『多目的ダムの建設(設計Ⅱ編)』(分担執筆,ダム技術センター,2005),『自然災害と防災の事典』(分担執筆,丸善出版,2011),『ダムの科学』(分担執筆,サイエンス・アイ新書,2012),『全世界の河川事典』(分担執筆,丸善出版,2013)など.
吉村 健(よしむら たけし)
九州電力株式会社土木建築本部総合計画グループ 課長,工学博士
専門は河川工学,土砂水理学.ダムを始めとする水力発電設備の建設や大規模改造等のプロジェクトに参画する中で,流域の総合土砂管理の観点からダム貯水池の堆砂問題の解決に向けた取り組みに従事している.
渡辺 幸三(わたなべ こうぞう)
愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授
専門は分子進化生物学,河川生態学,熱帯疫学,微生物学.河川生物や環境DNAを用いたハイスループットな生物多様性評価技術の開発,東南アジアの蚊媒介感染症制御を目的とした生態疫学研究,人・動物・環境における抗菌剤耐性菌の動態を調べるワンヘルス研究などの幅広い研究を行っている.
渡邊 康玄(わたなべ やすはる)
北見工業大学副学長,工学部教授
専門は河川工学,土砂水理学.河道の形成機構の解明を目指し,中規模河床形態や局所洗掘・河岸侵食の発生について研究している.著書に『流木と災害:発生から処理まで』(分担執筆,技報堂出版,2009),『川の蛇行復元』(分担執筆,技報堂出版,2011),『豪雨による河川橋梁災害:その原因と対策』(共著,技報堂出版,2015),『流水型ダム:防災と環境の調和に向けて』(分担執筆,技報堂出版,2017),『森林と災害』(分担執筆,共立出版,2018)など.
角 哲也(すみ てつや)
京都大学防災研究所水資源環境研究センター教授,国際大ダム会議副総裁,ダム工学会副会長,「ダム再生ビジョン検討会」委員長,淀川水系総合土砂管理委員会委員長など.
専門は河川工学,ダム工学.ダム堆砂対策と河川の自然再生を考慮した流域一貫の総合土砂管理や気象予測を活用したダムの運用高度化などを研究している.著書に『ダムと環境の科学Ⅰ ダム下流生態系』(分担執筆,京都大学学術出版会,2009),『生命体「黄河」の再生』(共著,京都大学学術出版会,2011),『流水型ダム:防災と環境の調和に向けて』(分担執筆,技報堂出版,2017),『貯水池土砂管理ハンドブック』(共訳,技報堂出版,2010),『ダムの科学(改訂版)』(編著,ソフトバンククリエイティブ,2019)など.
竹門 康弘(たけもん やすひろ)
大阪公立大学国際基幹教育機構客員研究員,応用生態工学会理事,淀川水系流域委員会副委員長,深泥池水生生物研究会世話人,京の川の恵みを活かす会代表.
専門は河川生態学,応用生態工学.水生昆虫や魚類の生息場利用の仕組みを研究している.
著書に『棲み場所の生態学』(編著,平凡社,1995),『日本産水生昆虫:科・属・種への検索』(共著,東海大学出版会,2005,2018),『深泥池の自然と暮らし:生態系管理をめざして』(編著,サンライズ出版,2008),『自然再生ハンドブック』(編著,地人書館,2010),『京都を学ぶ【南山城編】:文化資源を発掘する』(共著,ナカニシヤ出版,2018)など.
天野 邦彦(あまの くにひこ)
公益財団法人河川財団河川総合研究所長,京都大学客員教授,中央大学研究開発機構客員研究員(機構教授).
専門は河川工学.河川,湖沼,貯水池の環境保全についての研究を行っていたが,近年は水害リスクの低減に関する研究を行っている.
著書に『川の環境目標を考える:川の健康診断』(分担監修,技報堂出版,2008),『川の技術のフロント』(分担執筆,技報堂出版,2007),『環境工学公式・モデル・数値集』(分担執筆,土木学会,2004),『水環境と生態系の復元:河川・湖沼・湿地の保全技術と戦略』(共訳,技報堂出版,1999)など.
一柳 英隆(いちやなぎ ひでたか)
一般財団法人水源地環境センター上席主任研究員,熊本県立大学緑の流域治水研究室学術研究員,一般社団法人球磨川NP代表理事.
専門は動物生態学.淡水域に生息する動植物の生活史や個体群動態,保全について研究している.著書に『ダムと環境の科学Ⅱ ダム湖生態系と流域環境保全』(編著,京都大学学術出版会,2011),『ダムと環境の科学Ⅲ エコトーンと環境創出』(編著,京都大学学術出版会,2014),『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(編著,朝倉書店,2022)など.
[著者紹介](五十音順)
浅井 直人(あさい なおと)
一般財団法人水源地環境センター研究第一部次長
専門は建設環境分野.ダムの環境影響評価やフォローアップ検討に携わっている.
植田 和弘(うえた かずひろ)
京都大学名誉教授
専門は環境経済学.環境問題や持続可能な発展について幅広く研究している.著書に『環境経済学』(岩波書店,1996),『環境と経済を考える』(岩波書店,1998),『都市のアメニティとエコロジー』(編著,岩波書店,2005),『緑のエネルギー原論』(岩波書店,2013),『国民のためのエネルギー原論』(共編著,日本経済新聞出版社,2011),『再生可能エネルギー政策の国際比較:日本の変革のために』(共編著,京都大学学術出版会,2017)など多数.
大槻 英樹(おおつき ひでき)
株式会社ニュージェック技術本部河川グループ マネジャー
専門は河川工学で,主として貯水池の土砂管理,流砂系の総合土砂管理,および河岸侵食対策等,河川における土砂の移動現象にかかわる対策計画や調査・研究に携わっている.世界銀行RESCON(貯水池管理)プロジェクトにおいてスリランカでのケーススタディに国際コンサルタントとして参画(2002)するなど,海外のダム堆砂問題にも取り組んでいる.
鬼倉 徳雄(おにくら のりお)
九州大学大学院農学研究院教授
専門は河川生態学,保全生態学.淡水魚類の種多様性保全に関連する様々な研究を行っている.著書に『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(編著,朝倉書店,2022),『見えない脅威“国内外来魚”』(編著,東海大学出版会,2013)など.
小野 雅人(おの まさと)
一般財団法人水源地環境センター研究第二部部長
専門はダム工学.ダムの堆砂対策を効果的・効率的に進めていくための技術開発を進めている.
篭橋 一輝(かごはし かずき)
南山大学国際教養学部准教授
専門は環境経済学,地球環境学.自然の価値論や水資源管理,レジリエンス,および持続可能な発展について研究している.近著にFactors determining the resilience of local communities: A comparative analysis of Landcare and a pond irrigation system in the Sanuki Plain(Building Global Sustainability through Local Self-reliance: Lessons from Landcare, 2022),How environmental ethics affect the consumption-wellbeing relationship: Evidence from Japan(共著,Handbook on Wellbeing, Happiness and the Environment, 2020)などがある.
金澤 裕勝(かなざわ ひろかつ)
株式会社建設技術研究所執行役員(元一般財団法人水源地環境センター研究第三部長)
専門は河川工学.黒部川における宇奈月ダムと出し平ダムの連携排砂の実施に携わる等,国土交通省において河川管理の現場に従事した経験を活かした活動を行っている.
喜多村 雄一(きたむら ゆういち)
電源開発株式会社茅ケ崎研究所特任研究員
専門は数値・実験水理学,水工学,環境工学.国内外のダムや水理工作物の機能向上,貯水池や河川にかかわる物質循環に着目した環境改善の研究に従事している.
小林 草平(こばやし そうへい)
京都大学防災研究所准教授
専門は河川生態学,応用生態工学.主に河川景観,河床地形,底生動物,水質を対象に,河川連続性,森林とのつながり,ダムの影響,土砂還元効果,また富栄養化した湖沼生態系の保全について研究している.著書に『河川生態系の調査・分析方法』(分担執筆,講談社サイエンティフィク,2019)など.
小堀 俊秀(こぼり としひで)
国土交通省国土技術政策総合研究所 大規模河川構造物研究室主任研究官
専門はダムの安全管理(モニタリング,非破壊検査技術等).著書に『コンクリートダムの細部技術』(共著,ダム技術センター,2010),『コンクリート補修・補強ハンドブック』(共著,朝倉書店,2011),『フィルダムの変位計測に関するGPS利用マニュアル』(共著,ダム工学会,2014)など.
小山 彰彦(こやま あきひこ)
九州大学大学院農学研究院助教
専門は保全生態学.河口・沿岸域に生息する動植物の保全を中心に研究している.著書に『図説日本の湿地』(分担執筆,朝倉書店,2017),『社会基盤と生態系保全の基礎と手法』(分担執筆,朝倉書店,2022)など.
蔡 佩宜(さい はいぎ)
九州工業大学教養教育院准教授
専門は環境経済学.日本と台湾の環境政策や災害廃棄物の適切処理,および環境配慮行動の促進について研究している.論文にEnvironmental Policy for Waste Management in Taiwan: Regulatory Measures, Implementation Status, and Challenges(共著,Journal of Asian Geography, 2023), Urban Households’ Willingness to Pay for Improvements in Rainwater Harvesting and Rainwater Infiltration System: Case Study in Japan(共著,Water and Environment Journal, 2022)など.
櫻井 寿之(さくらい としゆき)
国土交通省国土技術政策総合研究所 河川研究部大規模河川構造物研究室室長
専門はダム工学,水工水理学.ダムの調査・設計・施工・維持管理の技術的な検討,貯水池土砂管理・ダムのリスクマネジメントなどの研究をしている.著書に『貯水池土砂管理ハンドブック』(分担監訳,技報堂出版,2010),『環境水理学』(分担執筆,土木学会,2015)など.
佐々木 隆(ささき たかし)
国土交通省国土技術政策総合研究所所長
専門はダム工学(特に構造面).種々のダム型式(コンクリートダム,フィルダムほか)を対象に,ダム再生を含めた構造設計手法,ゲート等関連構造物を含めた耐震性能照査手法,維持管理手法などについて研究を行ってきている.
佐藤 真行(さとう まさゆき)
神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授
専門は環境経済学.環境の質や生態系サービスの経済評価,および持続可能な発展について研究している.論文にHeterogeneous preference for biodiversity in Japanese urban blue spaces based on people’s nature experiences(共著,City and Environment Interactions,2023), Connectedness to Nature and the Conservation of the Urban Ecosystem: Perspectives from the Valuation of Urban Forests(共著,Forest Policy and Economics, 2021)など.
杉尾 哲(すぎお さとる)
宮崎大学名誉教授
専門は河川生態工学.自然が豊かで生物多様性に富み潤いをもたらす良い川を次世代に受け渡す取り組みを進めている.著書に『図説日本の河川』(分担執筆,朝倉書店,2010),『宮崎県一ツ瀬川における濁水長期化:その原因と産官学民が連携した対策』(監修,パブフル,2022)など.
諏訪 義雄(すわ よしお)
国立研究開発法人土木研究所河川総括研究監(座談会当時は河道保全研究グループ長)
専門は河川工学,海岸工学,防災・減災,河川構造物,海岸構造物,洪水応答,土砂動態.国土交通省技術研究会指定課題「水系一貫土砂管理に向けた河川における土砂観測,土砂動態マップの作成及びモニター体制構築に関する研究」(1999~2001),「海岸における土砂の役割」(第3回河川研究セミナー,2014),特集「ダム技術の今後の展開」(土木技術資料Vol. 64, № 2, 2022)の編集担当等,河川・海岸・ダム貯水池の立場から土砂管理の調査研究・実務に従事.
竹林 洋史(たけばやし ひろし)
京都大学防災研究所准教授
専門は河川地形学,砂防工学,河川工学.なぜ川は蛇行するか? など,川の形について調べており,洪水・土砂災害が発生しにくいとともに動植物が生息・生育しやすい川の整備方法などの研究を行っている.著書に『河川工学』(コロナ社,2013),『環境水理学』(分担執筆,土木学会,2015),『噴火災害に備えて』(分担執筆,土木学会,2022)など.
田中 晋(たなか すすむ)
富山大学名誉教授
専門は淡水の生物学.とくに,ミジンコ類の分類や魚類の生態などを中心とした研究.黒部川ダム排砂評価委員会(国土交通省北陸地方整備局)では委員長を務めた.著書に『富山県の陸水生物』(編著,富山県,1978),『とやまの川と湖の魚たち』(編著,シー・エー・ピー,1993)など.
辻本 哲郎(つじもと てつろう)
名古屋大学名誉教授
専門は河川水理学,河川工学.持続性のある流域圏管理のためのアセスメント技術体系を確立することを目指している.著書に『生命の川』(共訳,新樹社,2006),『川の環境目標を考える』(監修,技報堂出版,2008),『流域圈から見た明日』(編著,技報堂出版,2009)など.
箱石 憲昭(はこいし のりあき)
一般財団法人ダム技術センター首席研究員
専門は水工水理学,ダム工学.洪水吐等のダム水理構造物の計画・設計手法やダム再生にあたっての既設ダムの改造技術などについて研究している.
福島 雅紀(ふくしま まさき)
国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所事務所長(座談会当時は国土交通省国土技術政策総合研究所 河川研究部河川研究室室長)
専門は河川工学,河道計画,堤防等河川管理施設の維持管理,多自然川づくり.
藤田 正治(ふじた まさはる)
座談会当時は京都大学防災研究所教授
専門は砂防工学,河川工学,土砂水理学.流砂に関する研究を基礎に,土砂災害の予測と対策,総合土砂管理などの問題について検討している.著書に『砂防学』(分担執筆,朝倉書店,2019),『貯水池土砂管理ハンドブック』(共訳,技報堂出版,2010),『防災辞典』(分担執筆,築地書館,2002),砂防学会編『山地河川における河床変動の数値計算』(分担執筆,山海堂,2000)など.
武藤 裕則(むとう やすのり)
徳島大学大学院社会産業理工学研究部教授
専門は水理学,河川工学.河川構造物を援用した河道地形管理技術,グリーンインフラを活用した氾濫被害軽減策などの研究をしている.著書に『実践版!グリーンインフラ』(分担執筆,日経BP,2020),Green Infrastructure and Climate Change Adaptation(分担執筆,Springer,2022)など.
最上 友香子(もがみ ゆかこ)
一般財団法人水源地環境センター研究第一部主任研究員
専門はダム工学分野.ダムの管理・運用全般に関する業務・研究開発に携わっている.
安田 成夫(やすだ なりお)
一般財団法人ダム技術センター技術審議役兼技術第一部長
専門はダムの材料力学,耐震設計,施工管理.著書に『多目的ダムの建設(設計Ⅱ編)』(分担執筆,ダム技術センター,2005),『自然災害と防災の事典』(分担執筆,丸善出版,2011),『ダムの科学』(分担執筆,サイエンス・アイ新書,2012),『全世界の河川事典』(分担執筆,丸善出版,2013)など.
吉村 健(よしむら たけし)
九州電力株式会社土木建築本部総合計画グループ 課長,工学博士
専門は河川工学,土砂水理学.ダムを始めとする水力発電設備の建設や大規模改造等のプロジェクトに参画する中で,流域の総合土砂管理の観点からダム貯水池の堆砂問題の解決に向けた取り組みに従事している.
渡辺 幸三(わたなべ こうぞう)
愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授
専門は分子進化生物学,河川生態学,熱帯疫学,微生物学.河川生物や環境DNAを用いたハイスループットな生物多様性評価技術の開発,東南アジアの蚊媒介感染症制御を目的とした生態疫学研究,人・動物・環境における抗菌剤耐性菌の動態を調べるワンヘルス研究などの幅広い研究を行っている.
渡邊 康玄(わたなべ やすはる)
北見工業大学副学長,工学部教授
専門は河川工学,土砂水理学.河道の形成機構の解明を目指し,中規模河床形態や局所洗掘・河岸侵食の発生について研究している.著書に『流木と災害:発生から処理まで』(分担執筆,技報堂出版,2009),『川の蛇行復元』(分担執筆,技報堂出版,2011),『豪雨による河川橋梁災害:その原因と対策』(共著,技報堂出版,2015),『流水型ダム:防災と環境の調和に向けて』(分担執筆,技報堂出版,2017),『森林と災害』(分担執筆,共立出版,2018)など.
口絵
はじめに〔角 哲也〕
凡例
Part I 日本の河川とダム
第1章 日本におけるダム開発と堆砂問題〔安田成夫・小堀俊秀・角 哲也・一柳英隆〕
1.1 第二次世界大戦までの水利用と治水
1.1.1 農業用水
1.1.2 治水
1.1.3 都市用水
1.1.4 発電用水
1.1.5 河水統制事業
1.2 戦後復興期と経済成長期の水利用と治水
1.2.1 食糧増産と農業利水
1.2.2 治水(河川総合開発事業)
1.2.3 都市用水
1.2.4 水力発電
1.3 データでみるダム建設の変遷
1.4 ダム貯水池の堆砂問題と流砂環境の再生
1.4.1 流砂系の土砂問題の歴史的な変化と課題
1.4.2 ダムの堆砂の特性と現状
1.4.3 ダム堆砂に関する基準の歴史的変遷
1.4.4 日本におけるダム貯水池の堆砂状況
1.4.5 ダム堆砂量の予測
1.4.6 ダム貯水池の土砂管理の必要性
❖コラム1 土砂生産・流出と気候変動影響〔角 哲也・箱石憲昭〕
第2章 総合土砂管理〔天野邦彦〕
2.1 総合土砂管理を導いた研究
2.2 総合土砂管理の基本理念の形成
2.3 総合土砂管理計画策定の手引きの発刊
2.4 ダムと総合土砂管理計画
第3章 ダム再生の動向〔佐々木 隆〕
3.1 既設ダム有効活用の必要性
3.2 日本におけるダム再開発の概要
3.3 ダム再生の必要性・方向性(「ダム再生ビジョン」をもとに)
3.3.1 ダム再生の必要性
3.3.2 ダム再生の今後の方策
3.4 ダム再生事例,課題と対応
3.4.1 概要
3.4.2 構造面での再開発
3.4.3 水理面からみた再開発
3.4.4 今後について
Part Ⅱ 流域土砂管理の科学
第4章 ダムのリスクマネジメントとアセットマネジメントしての土砂管理〔角 哲也〕
4.1 ダム貯水池の土砂管理対策の類型
4.1.1 ダム貯水池への流入土砂の軽減対策
4.1.2 ダム貯水池に流入する土砂を通過させる対策
4.1.3 ダム貯水池に堆積した土砂を排除する対策
4.2 ダムのリスクマネジメントとしての土砂管理
4.2.1 背砂(洪水リスク)
4.2.2 堆砂と流木・沈木の相互作用による取水口・底部放流管の閉塞リスク
4.2.3 事前放流と堆砂進行
4.3 ダムのアセットマネジメントとしての土砂管理
4.3.1 アセットマネジメント対象としてのダム
4.3.2 アセットマネジメントの堆砂対策への適用
4.4 堆砂対策の新たな展開
4.4.1 ダム管理としての堆砂対策の必要性の再定義
4.4.2 気候変動対策とダム堆砂対策
4.4.3 ダム通砂のすすめ
4.4.4 土砂バイパス技術の拡大
4.4.5 カスケード方式(縦列)ダムの取り扱い
4.4.6 ダムおよび河川のニーズに立脚した土砂管理
❖コラム2 Hungry Water〔角 哲也〕
❖コラム3 Bed Load Budget(掃流砂の土砂収支)〔角 哲也〕
❖コラム4 土砂資源マネジメント〔角 哲也〕
第5章 ダム下流の河道管理と土砂〔天野邦彦〕
5.1 河川砂防技術基準に見る河道管理と土砂の関係
5.2 ダムからの土砂供給を検討する上での流砂の見方
5.2.1 河道断面内での河床材料の分類
5.2.2 セグメントと河床材料の変化
5.2.3 混合型と通過型の流砂
5.2.4 有効粒径集団
5.2.5 まとめ
5.3 下流河川の河道に対するダムの影響のとらえ方
5.3.1 流量比と土砂流送比を指標とした大局的評価方法
5.3.2 整理結果の概略評価
5.4 ダム下流における河床変遷の事例
5.4.1 ダム下流における河床変遷の推定
5.4.2 洪水履歴との比較
5.4.3 流量比と土砂流送比から見た川俣ダム下流の河床評価
❖コラム5 札内川における樹林化と礫河原再生への試行〔渡邊康玄〕
❖コラム6 河口域の底質環境と生物の変化:荒瀬ダム撤去と球磨川河口域の干潟生態系〔小山彰彦・鬼倉徳雄〕
第6章 河道土砂管理のための流砂・河床変動の数値解析〔竹林洋史〕
6.1 河床変動解析
6.2 流砂と河床変動
6.3 1次元河床変動解析
6.4 平面2次元河床変動解析
6.5 置き土やダムへの排砂ゲートの設置などによって下流域への供給土砂の質と量が変化する場合の解析
第7章 土砂還元(置き土)のモデル化〔櫻井寿之〕
7.1 土砂還元の水理学的な検討方法(計算モデル)
7.2 研究事例
7.3 土砂還元等による河床変動を予測する
7.3.1 数値計算モデルの概要
7.3.2 数値解析法
7.4 数値計算モデルの実現象への適用
7.4.1 三春ダム直下流における置き土侵食を対象に
7.4.2 計算結果との比較
7.4.3 出水を想定した場合の予測計算
❖コラム7 RESCON モデル〔大槻英樹〕
❖コラム8 ダム事業に関わる意思決定支援と多基準分析の可能性〔蔡 佩宜・篭橋一輝・佐藤真行・植田和弘〕
第8章 河川の環境管理としての土砂管理〔竹門康弘〕
8.1 河川生態系における土砂動態の重要性
8.1.1 流域生態系の構造・機能と土砂動態
8.1.2 土砂移動が河川生物にとって必要な理由
8.1.3 土砂移動が水質形成に必要な例
8.2 河床地形管理の基本的考え方
8.2.1 淀川水系河川整備計画における土砂動態の位置付け
8.2.2 河川環境管理の目標・評価・対策の現状と課題
8.2.3 河床地形管理の考え方と適用図式
8.3 河川環境に必要な土砂移動量
8.3.1 河川の土砂移動量ポテンシャル
8.3.2 河川環境に必要な土砂移動量の推定
8.4 聖牛を活用した土砂管理
8.5 土砂管理を河川管理の主軸に格上げするために
8.5.1 新たな環境防災学の視座
8.5.2 大規模な土砂流出も考慮した河川の縦断的な土砂動態管理に向けて
8.5.3 流砂環境の再生に向けた河川の横断的な管理の工夫とEco-DRR
❖コラム9 ごり(カワヨシノボリ)の繁殖に必要な河床条件〔竹門康弘〕
Part Ⅲ 進む土砂管理
第9章 日本の土砂還元(置き土)の最新事情〔角 哲也・金澤裕勝・小野雅人〕
9.1 土砂還元(置き土)の現状
9.1.1 土砂還元(置き土)の背景・経緯
9.1.2 土砂還元の基本プロセス
9.1.3 土砂還元(置き土)実施状況
9.1.4 土砂還元(置き土)の具体的内容
9.2 土砂還元(置き土)の効果と検証
9.2.1 河床材料の粗粒化の改善
9.2.2 河床低下の改善
9.2.3 生物の応答
9.2.4 その他の効果
9.2.5 土砂還元(置き土)の効果の把握に向けて
9.3 土砂還元(置き土)を進めていく上での課題と解決策
9.3.1 土砂還元の実施上の阻害要因
9.3.2 課題解決のためのアプローチ
第10章 土砂バイパスによる土砂供給効果〔小林草平〕
10.1 土砂バイパスとは
10.2 土砂バイパスの効果
10.2.1 ダム下流への効果
10.2.2 貯水池水質への効果
10.2.3 土砂供給の効果の鍵となる土砂の量と質
10.3 砂州が発達する意義
10.4 生態系保全の観点における土砂バイパスの課題
10.5 土砂バイパスによる生態系保全の更なる可能性:動的河川の復活
❖コラム10 DNAメタバーコーディングを活用した土砂バイパストンネル下流の底生動物群集の評価〔渡辺幸三〕
❖コラム11 土砂供給効果の計測技術〔小林草平〕
第11章 黒部川における連携排砂の歴史と現状〔角 哲也・田中 晋〕
11.1 黒部川と土砂管理の必要性
11.2 宇奈月ダムと土砂管理
11.3 連携排砂・通砂およびその実施手続き
11.3.1 出し平ダムの排砂
11.3.2 連携排砂・通砂までの手続き
11.3.3 連携排砂・通砂の時期および頻度,目標排砂量および自然流下時間,中止基準
11.4 連携排砂・通砂の評価
11.4.1 環境調査
11.4.2 環境調査の評価
11.5 これまでの連携排砂の総括と残された課題および新たな取り組み
❖コラム12 流水型ダムの土砂管理〔角 哲也〕
第12章 天竜川流砂系の総合土砂管理〔辻本哲郎〕
12.1 天竜川流砂系の土砂動態
12.1.1 土砂生産が活発な天竜川上流域
12.1.2 ダムの堆砂が進む天竜川中流域
12.1.3 天竜川下流域における治水対策と総合土砂管理
12.2 天竜川流砂系での土砂管理計画策定
12.3 天竜川流砂系総合土砂管理計画策定の基本的考え方
12.4 佐久間ダムでの土砂管理技術
❖コラム13 天竜川の環境改善に向けた関係団体の連携事例〔喜多村雄一・竹門康弘〕
第13章 耳川のダム通砂を支えた産官学民のカルテット〔杉尾 哲〕
13.1 一ツ瀬川での濁水軽減対策の取り組み
13.1.1 産官学の連携の構築
13.1.2 流域の住民・団体との合意形成
13.1.3 現在の取り組み
13.2 北川での川づくりと河川生態学術研究
13.2.1 北川での川づくり
13.2.2 北川での河川生態学術研究
13.3 耳川流域での取り組み
13.3.1 河川整備計画の策定と変更
13.3.2 総合土砂管理計画の策定
13.3.3 総合土砂管理の取り組み
13.3.4 いい川づくりの取り組み
❖コラム14 通砂による土砂供給効果を予測・評価する〔吉村 健〕
第14章 那賀川における持続的土砂管理へ向けた取り組み〔武藤裕則〕
14.1 那賀川における土砂動態の現状と課題
14.2 土砂還元の実態とその評価
14.3 総合土砂管理に向けた取り組み
14.3.1 那賀川の総合土砂管理の段階的な進め方の概念
14.3.2 モニタリングの位置付けと進め方
❖コラム15 土砂管理の経済評価:矢作川を事例として〔角 哲也〕
Part Ⅳ これからの土砂管理
座談会 これからのダムの土砂管理:流砂環境の再生に向けて〔福島雅紀・諏訪義雄・藤田正治・角 哲也・竹門康弘・天野邦彦〕
おわりに〔角 哲也〕
用語解説 〔角 哲也・竹門康弘・天野邦彦・一柳英隆・浅井直人・小林草平・最上友香子〕
索引
編著者紹介・著者紹介
はじめに〔角 哲也〕
凡例
Part I 日本の河川とダム
第1章 日本におけるダム開発と堆砂問題〔安田成夫・小堀俊秀・角 哲也・一柳英隆〕
1.1 第二次世界大戦までの水利用と治水
1.1.1 農業用水
1.1.2 治水
1.1.3 都市用水
1.1.4 発電用水
1.1.5 河水統制事業
1.2 戦後復興期と経済成長期の水利用と治水
1.2.1 食糧増産と農業利水
1.2.2 治水(河川総合開発事業)
1.2.3 都市用水
1.2.4 水力発電
1.3 データでみるダム建設の変遷
1.4 ダム貯水池の堆砂問題と流砂環境の再生
1.4.1 流砂系の土砂問題の歴史的な変化と課題
1.4.2 ダムの堆砂の特性と現状
1.4.3 ダム堆砂に関する基準の歴史的変遷
1.4.4 日本におけるダム貯水池の堆砂状況
1.4.5 ダム堆砂量の予測
1.4.6 ダム貯水池の土砂管理の必要性
❖コラム1 土砂生産・流出と気候変動影響〔角 哲也・箱石憲昭〕
第2章 総合土砂管理〔天野邦彦〕
2.1 総合土砂管理を導いた研究
2.2 総合土砂管理の基本理念の形成
2.3 総合土砂管理計画策定の手引きの発刊
2.4 ダムと総合土砂管理計画
第3章 ダム再生の動向〔佐々木 隆〕
3.1 既設ダム有効活用の必要性
3.2 日本におけるダム再開発の概要
3.3 ダム再生の必要性・方向性(「ダム再生ビジョン」をもとに)
3.3.1 ダム再生の必要性
3.3.2 ダム再生の今後の方策
3.4 ダム再生事例,課題と対応
3.4.1 概要
3.4.2 構造面での再開発
3.4.3 水理面からみた再開発
3.4.4 今後について
Part Ⅱ 流域土砂管理の科学
第4章 ダムのリスクマネジメントとアセットマネジメントしての土砂管理〔角 哲也〕
4.1 ダム貯水池の土砂管理対策の類型
4.1.1 ダム貯水池への流入土砂の軽減対策
4.1.2 ダム貯水池に流入する土砂を通過させる対策
4.1.3 ダム貯水池に堆積した土砂を排除する対策
4.2 ダムのリスクマネジメントとしての土砂管理
4.2.1 背砂(洪水リスク)
4.2.2 堆砂と流木・沈木の相互作用による取水口・底部放流管の閉塞リスク
4.2.3 事前放流と堆砂進行
4.3 ダムのアセットマネジメントとしての土砂管理
4.3.1 アセットマネジメント対象としてのダム
4.3.2 アセットマネジメントの堆砂対策への適用
4.4 堆砂対策の新たな展開
4.4.1 ダム管理としての堆砂対策の必要性の再定義
4.4.2 気候変動対策とダム堆砂対策
4.4.3 ダム通砂のすすめ
4.4.4 土砂バイパス技術の拡大
4.4.5 カスケード方式(縦列)ダムの取り扱い
4.4.6 ダムおよび河川のニーズに立脚した土砂管理
❖コラム2 Hungry Water〔角 哲也〕
❖コラム3 Bed Load Budget(掃流砂の土砂収支)〔角 哲也〕
❖コラム4 土砂資源マネジメント〔角 哲也〕
第5章 ダム下流の河道管理と土砂〔天野邦彦〕
5.1 河川砂防技術基準に見る河道管理と土砂の関係
5.2 ダムからの土砂供給を検討する上での流砂の見方
5.2.1 河道断面内での河床材料の分類
5.2.2 セグメントと河床材料の変化
5.2.3 混合型と通過型の流砂
5.2.4 有効粒径集団
5.2.5 まとめ
5.3 下流河川の河道に対するダムの影響のとらえ方
5.3.1 流量比と土砂流送比を指標とした大局的評価方法
5.3.2 整理結果の概略評価
5.4 ダム下流における河床変遷の事例
5.4.1 ダム下流における河床変遷の推定
5.4.2 洪水履歴との比較
5.4.3 流量比と土砂流送比から見た川俣ダム下流の河床評価
❖コラム5 札内川における樹林化と礫河原再生への試行〔渡邊康玄〕
❖コラム6 河口域の底質環境と生物の変化:荒瀬ダム撤去と球磨川河口域の干潟生態系〔小山彰彦・鬼倉徳雄〕
第6章 河道土砂管理のための流砂・河床変動の数値解析〔竹林洋史〕
6.1 河床変動解析
6.2 流砂と河床変動
6.3 1次元河床変動解析
6.4 平面2次元河床変動解析
6.5 置き土やダムへの排砂ゲートの設置などによって下流域への供給土砂の質と量が変化する場合の解析
第7章 土砂還元(置き土)のモデル化〔櫻井寿之〕
7.1 土砂還元の水理学的な検討方法(計算モデル)
7.2 研究事例
7.3 土砂還元等による河床変動を予測する
7.3.1 数値計算モデルの概要
7.3.2 数値解析法
7.4 数値計算モデルの実現象への適用
7.4.1 三春ダム直下流における置き土侵食を対象に
7.4.2 計算結果との比較
7.4.3 出水を想定した場合の予測計算
❖コラム7 RESCON モデル〔大槻英樹〕
❖コラム8 ダム事業に関わる意思決定支援と多基準分析の可能性〔蔡 佩宜・篭橋一輝・佐藤真行・植田和弘〕
第8章 河川の環境管理としての土砂管理〔竹門康弘〕
8.1 河川生態系における土砂動態の重要性
8.1.1 流域生態系の構造・機能と土砂動態
8.1.2 土砂移動が河川生物にとって必要な理由
8.1.3 土砂移動が水質形成に必要な例
8.2 河床地形管理の基本的考え方
8.2.1 淀川水系河川整備計画における土砂動態の位置付け
8.2.2 河川環境管理の目標・評価・対策の現状と課題
8.2.3 河床地形管理の考え方と適用図式
8.3 河川環境に必要な土砂移動量
8.3.1 河川の土砂移動量ポテンシャル
8.3.2 河川環境に必要な土砂移動量の推定
8.4 聖牛を活用した土砂管理
8.5 土砂管理を河川管理の主軸に格上げするために
8.5.1 新たな環境防災学の視座
8.5.2 大規模な土砂流出も考慮した河川の縦断的な土砂動態管理に向けて
8.5.3 流砂環境の再生に向けた河川の横断的な管理の工夫とEco-DRR
❖コラム9 ごり(カワヨシノボリ)の繁殖に必要な河床条件〔竹門康弘〕
Part Ⅲ 進む土砂管理
第9章 日本の土砂還元(置き土)の最新事情〔角 哲也・金澤裕勝・小野雅人〕
9.1 土砂還元(置き土)の現状
9.1.1 土砂還元(置き土)の背景・経緯
9.1.2 土砂還元の基本プロセス
9.1.3 土砂還元(置き土)実施状況
9.1.4 土砂還元(置き土)の具体的内容
9.2 土砂還元(置き土)の効果と検証
9.2.1 河床材料の粗粒化の改善
9.2.2 河床低下の改善
9.2.3 生物の応答
9.2.4 その他の効果
9.2.5 土砂還元(置き土)の効果の把握に向けて
9.3 土砂還元(置き土)を進めていく上での課題と解決策
9.3.1 土砂還元の実施上の阻害要因
9.3.2 課題解決のためのアプローチ
第10章 土砂バイパスによる土砂供給効果〔小林草平〕
10.1 土砂バイパスとは
10.2 土砂バイパスの効果
10.2.1 ダム下流への効果
10.2.2 貯水池水質への効果
10.2.3 土砂供給の効果の鍵となる土砂の量と質
10.3 砂州が発達する意義
10.4 生態系保全の観点における土砂バイパスの課題
10.5 土砂バイパスによる生態系保全の更なる可能性:動的河川の復活
❖コラム10 DNAメタバーコーディングを活用した土砂バイパストンネル下流の底生動物群集の評価〔渡辺幸三〕
❖コラム11 土砂供給効果の計測技術〔小林草平〕
第11章 黒部川における連携排砂の歴史と現状〔角 哲也・田中 晋〕
11.1 黒部川と土砂管理の必要性
11.2 宇奈月ダムと土砂管理
11.3 連携排砂・通砂およびその実施手続き
11.3.1 出し平ダムの排砂
11.3.2 連携排砂・通砂までの手続き
11.3.3 連携排砂・通砂の時期および頻度,目標排砂量および自然流下時間,中止基準
11.4 連携排砂・通砂の評価
11.4.1 環境調査
11.4.2 環境調査の評価
11.5 これまでの連携排砂の総括と残された課題および新たな取り組み
❖コラム12 流水型ダムの土砂管理〔角 哲也〕
第12章 天竜川流砂系の総合土砂管理〔辻本哲郎〕
12.1 天竜川流砂系の土砂動態
12.1.1 土砂生産が活発な天竜川上流域
12.1.2 ダムの堆砂が進む天竜川中流域
12.1.3 天竜川下流域における治水対策と総合土砂管理
12.2 天竜川流砂系での土砂管理計画策定
12.3 天竜川流砂系総合土砂管理計画策定の基本的考え方
12.4 佐久間ダムでの土砂管理技術
❖コラム13 天竜川の環境改善に向けた関係団体の連携事例〔喜多村雄一・竹門康弘〕
第13章 耳川のダム通砂を支えた産官学民のカルテット〔杉尾 哲〕
13.1 一ツ瀬川での濁水軽減対策の取り組み
13.1.1 産官学の連携の構築
13.1.2 流域の住民・団体との合意形成
13.1.3 現在の取り組み
13.2 北川での川づくりと河川生態学術研究
13.2.1 北川での川づくり
13.2.2 北川での河川生態学術研究
13.3 耳川流域での取り組み
13.3.1 河川整備計画の策定と変更
13.3.2 総合土砂管理計画の策定
13.3.3 総合土砂管理の取り組み
13.3.4 いい川づくりの取り組み
❖コラム14 通砂による土砂供給効果を予測・評価する〔吉村 健〕
第14章 那賀川における持続的土砂管理へ向けた取り組み〔武藤裕則〕
14.1 那賀川における土砂動態の現状と課題
14.2 土砂還元の実態とその評価
14.3 総合土砂管理に向けた取り組み
14.3.1 那賀川の総合土砂管理の段階的な進め方の概念
14.3.2 モニタリングの位置付けと進め方
❖コラム15 土砂管理の経済評価:矢作川を事例として〔角 哲也〕
Part Ⅳ これからの土砂管理
座談会 これからのダムの土砂管理:流砂環境の再生に向けて〔福島雅紀・諏訪義雄・藤田正治・角 哲也・竹門康弘・天野邦彦〕
おわりに〔角 哲也〕
用語解説 〔角 哲也・竹門康弘・天野邦彦・一柳英隆・浅井直人・小林草平・最上友香子〕
索引
編著者紹介・著者紹介