Home > Book Detail Page

岩田慶治を読む

松本 博之・関根 康正 編

A5上製, 360 pages

ISBN: 9784814004508

pub. date: 12/22

  • Price : JPY 4,600 (with tax: JPY 5,060)

12月上旬発売予定

 
  • mixiチェック

内容

「存在論的転回」が人文学を揺るがしているという。しかし,南米の先住民研究に触発された存在論的アニミズム論はほんとうに新しいのか? いや,もっと有体に言えば,人間中心主義を批判しながら南米先住民社会の自然と人間の対称性を再び人間(人格)モデルを用いて外から解釈したに過ぎない。岩田慶治は,すでに1970年代,当時の挑戦的と言われた人類学者でさえ絶句した,人と草木虫魚の一体性を説いた。しかもそれは,草木虫魚とともに生きる東南アジアの人々の精神世界に,外からの解釈でなく,自己を投げ出す「参与」という実践の中から生まれたのだ。いまこそ〈自分学〉として成された新アニミズム論を評価し,狭い「学」としてでなく,我々の生き方の知として学ぶ時なのだ。

プロフィール

■編著者紹介(執筆順 *は編者)
松本 博之(まつもと ひろゆき)*
奈良女子大学名誉教授
1946年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は、地理学、文化人類学、民俗学。愛媛大学、大阪教育大学、奈良女子大学で研究教育に従事。
主著に、『海洋環境保全の人類学──沿岸水域利用と国際社会』(編著、国立民族学博物館調査報告 97、2011年)、『海境を越える人びと──真珠とナマコとアラフラ海』(共著、コモンズ、2016年)、『絶滅危惧種を喰らう』(共著、勉誠出版、2020年)など。

関根 康正(せきね やすまさ)*
京都精華大学マンガ学部客員教授、関西学院大学社会学部元教授
1949年生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了、ロンドン大学 SOAS 人類学・社会学研究科 Master & Doctoral Course 修了。土木工学修士(東京工業大学)、MA & Ph.D of Social Anthropology (University of London)。専門は、南アジア社会の文化人類学。東京工業大学、学習院女子短期大学、筑波大学、日本女子大学、関西学院大学で研究教育に従事し、神奈川大学客員研究員を経て2020年より現職。第14回日本文化人類学会賞を受賞。
主著に、『ケガレの人類学』(東京大学出版会、1995年)、『〈都市的なるもの〉の現在』(編著、東京大学出版会、2004年)、『宗教紛争と差別の人類学』(世界思想社、2006年)、Pollution, Untouchability and Harijans(Rawat Publications, 2011)、『ストリート人類学』(編著、風響社、2018年)など。

長谷 千代子(ながたに ちよこ)
九州大学大学院比較社会文化研究院准教授
1970年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程単位習得退学。博士(文学)。専門は、文化人類学。2014年より現職。2009年度日本宗教学会賞、第5回(財)国際宗教研究所賞受賞(『文化の政治と生活の詩学』)を受賞。
主著に、『文化の政治と生活の詩学──中国雲南省徳宏タイ族の日常的実践』(風響社、2007年)、『シャンムーン──雲南省・徳宏タイ劇の世界』(共訳、雄山閣、2014年)、『宗教性の人類学──近代の果てに、人は何を願うのか』(共編、法蔵館、2021年)など。

西垣 有(にしがき ゆう)
関西大学非常勤講師
1976 年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。専門は、文化人類学、民俗学。関西大学、摂南大学、京都精華大学などで非常勤講師。
主著に、「都市のテクノロジー──モンゴル、ウランバートル市の都市化とコンパクトシティ計画」(2010年、『文化人類学』75(2)、日本文化人類学会)、『ポスト社会主義の都市と〈都市的なるもの〉──モンゴル、ウランバートル市における人類学的問題』(博士学位論文、2014年)など。

■ プロローグ共同執筆者(調査時職位)
池口 明子(いけぐち あきこ 横浜国立大学教育人間科学部准教授)
岡本 耕平(おかもと こうへい 名古屋大学大学院環境科学研究科教授)
野中 健一(のなか けんいち 立教大学文学部教授)

目次

序──赤裸の人として世界と遭遇し自己を再発見するために[編者]

第1編 研究──岩田慶治の仕事とその継承

プロローグ 五〇年目のラオス──岩田慶治調査村を再訪する
[松本博之・池口明子・岡本耕平・野中健一]
 1──パ・タン村訪問
   1 パ・タン村まで
   2 パ・タン村とアルバム
   3 トンチャン先生との再会
   4 パ・タン村の人の動き
 2──パ・タン村の古今
   1 村のたたずまい
   2 ありし日の姿
   3 グローバル化のシンボル
 3──ソムサワット村へ
   1 国道沿いの新村
   2 ヤオの人びとの服装
   3 村のたたずまい
   4 人のたたずまい
   5 村のゆくえ

第1章 非自然(ほんとうの自然)を描く──感性の論理にむけて[松本博之]
 1──非自然とは
 2──岩田アニミズム論のフレームワーク
 3──非自然への接近
 4──欧米系「アニミズム論」との対比
   1 ヴィヴェイロス・デ・カストロとデスコラ
   2 アニミズムと社会学主義
   3 インゴルド
 5──「鳥獣戯画」の世界
 6──岩田アニミズム論──非自然を描く

第2章 岩田慶治の存在論的人類学のアクチュアリティ──〈柄と地〉理論と自己「参与」[関根康正]
 1──「昼の夜」と「夜の夜」の二重のまなざし
 2──「南」からの〈普遍〉による現代社会の問い直し
 3──〈柄と地〉理論と自己「参与」の人類学
   1 自分発見の八段階(八視角)
   2 ビーズの首飾りを捜すための〈柄と地〉理論
   3 「地の地」、それは自他の 「同時現成」 の場所ら読み直す
   4 〈柄と地〉理論をケガレ論か
 4──宇宙人間になる──自分学という一人からの革命

第3章 岩田慶治の「宗教」と「宗教文化」──離見の見をめぐって[長谷千代子]
 1──岩田学との出会い
 2──佐々木と岩田の「宗教文化」観
 3──生の全体性への私の参与
 4──離見の見と宗教
 5──私の立ち位置

第4章 今日の岩田慶治──柄と地をめぐって[西垣 有]
 1──岩田慶治のいう「柄と地」
 2──ルース・ベネディクト『文化の型』とゲシュタルト
 3──クリフォード・ギアツ『文化の解釈』とポストモダン人類学
 4──ロイ・ワグナー『文化のインベンション』と「存在論的転回」
 5──結にかえて──岩田慶治の見た宇宙

第5章 岩田慶治「自分学」の地平──【岩田慶治著作集月報】より[松本博之(編)]
 1──疾風怒濤時代(Strum und Drang)
 2──読書人からのメッセージ
 3──岩田「自分学」の地平
 4──宗教学者の琴線の響き
 付

第2編 臨地(フィールド)──岩田慶治の世界を写真で読む[写真・岩田慶治/文・松本博之]
   初めての異世界
   バンコク事始め
   環境と民族
   生態的環境と生業
   民家と居住
   様式
   稲作と農具
   村の暮らし
   服装と飾り物
   農耕の儀礼
   家と村を守る
   人生の儀礼
   収穫祭と新年祭り
   食とマーケット
   水上都市バンコク
   新たな旅路、更なる旅路

第3編 人生──関係資料
 【資料1】略歴および海外調査歴
 【資料2】岩田慶治著作目録(抄)
 【資料3】「岩田慶治先生追悼シンポジウム」フライヤー
 【資料4】「岩田慶治を語る会」記録

あとがき[編者]

索引
このページの先頭へ