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2016年、京都大学理学研究科で型破りな教育プログラムが始動した。事前にゴールは定めないし、成果は出るか出ないかわからない。そんな「狙わない」知の冒険こそが、真に新しい研究を創出するのだという。溢れる好奇心を旗印に集ったメンバーが、数理という共通言語を介して交流しながらその先にある何かを追求する。京大理学が挑む知の航海記。
『毎日新聞』2022年5月11日付 朝刊
執筆者一覧
市川正敏(いちかわ まさとし)→第2章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻講師。
専門はソフトマター物理、生命現象の物理。
生体分子や高分子、液晶などが非平衡状態で見せる物性を研究してきた。細胞や微生物、単なる水なのに生物のように自分自身で動き出す水滴、そのような自発運動がどのように多様性や生き物らしさを獲得するのかに興味を持っている。
稲生啓行(いのう ひろゆき)→第6章
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻准教授。
専門は複素力学系。
マンデルブロ集合やジュリア集合といった美しいフラクタル集合の構造を理解するために、計算機でいろいろな絵を描いていたが、そのうちに、マンデルブロ集合の複素2次元版、つまり(実)4次元空間内のフラクタル集合の構造を自分の目で見てみたいと思い始める。その後VRと出会い、VR機器を用いた4次元の可視化とインタラクションに
ついての開発・研究もやっている。
太田洋輝(おおた ひろき)→第8章
帯広畜産大学人間科学研究部門准教授、2016~2020年度京都大学大学院理学研究科附属サイエンス連携探索センター特定助教。
京都大学理学部の学生時代に物理を中心に数学・生物学の講義に気の赴くまま通い、大学院時代に統計物理学の研究を始めた。その後フランス、デンマーク、日本をポスドクとして転々としながら、数理生物学との境界領域での研究も始めた。最近は動物園での霊長類の行動観測を始めた。
小山時隆(おやま ときたか)→第2章
京都大学大学院理学研究科・生物科学専攻准教授。
専門は時間生物学、植物生理学。
光合成生物の『時間』について、生き物の持つ1日のリズムや1年の季節性を研究対象にしている。また、ウキクサという植物の実験材料モデル化や産業応用の基盤開発も進めている。
カレル・シュワドレンカ(Karel Svadlenka)→第3章
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻准教授。
専門は応用数学(とくに変分解析、数値解析)。
基礎医学の研究者と連携して、外界からの刺激を受け、それを神経へ伝える感覚上皮(匂いを検知する嗅上皮、音を検知するコルチ器など)ができる過程で、細胞が特徴的なパターン構造をとる様子を、独自の数理モデルを駆使して解明している。日本在住17年。
佐々真一(ささ しんいち)→第7章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻教授。
専門は統計物理学。
日常的にありふれた風景でも全て原子分子の運動から成り立っていると思うとゾクっとする。そのためにミクロ世界とマクロ世界を繋ぐ法則を見出そうとしている。1982年に京都大学に入学、1994年8月に東京大学に移動、2012年11月に京都大学に戻ってきた。2013年頃は、銀杏並木を歩くだけで30年前のことがフラッシュバックしていたが、最近はだいぶ落ち着いてきたかもしれない。
髙瀨悠太(たかせ ゆうた)→第1章
公益財団法人サントリー生命科学財団統合生体分子機能研究部特別研究員。2016 ~2021年度京都大学大学院理学研究科附属サイエンス連携探索センター特定助教。
専門は発生生物学、血管生物学。
発生過程において動脈や静脈の秩序だった血管ネットワークが形成されるしくみを、「リモデリング」という現象に注目した解析を行っている。本MACS 教育プログラムを通じて、物理的な要素(組織にかかる力など)が発生現象に与える影響を勉強し、数値計算ソフトやプログラミング言語とも少しずつ仲良くなりつつある。
高橋淑子(たかはし よしこ)→第1章
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。2021年より評議員・副研究科長。
専門は発生生物学(細胞生物学、分子生物学を含む)。
高校生の頃はガン細胞をやっつける研究に憧れていたが、やがて発生生物学の虜になる。大学院時代には岡田節人(おかだときんど)教授の指導のもとで、日本国最初のES細胞研究を行った。しかし博士学位をとっても(特に女性には)就職などなかった時代で、そういう日本がいやになってフランスに脱出。ニコル・ルドワラン教授の研究室でニワトリ胚とフランス語で会話する中で、「胚や細胞の声が聞こえる」ようになった。2010年第30回猿橋賞受賞。
田中求(たなか もとむ)→第3章
ハイデルベルク大学物理化学研究所教授、京都大学高等研究院特任教授。
専門は医学物理学、ソフトマター物理学。
ハイデルベルク大学で15年以上教授を務め、細胞・組織表面の超精密モデルと自らのグループで開発した新たな計測・解析技術を駆使して、臨床医学に密接にかかわるテーマに長年にわたって取り組んできた。2013年からは、日本とドイツの二つの国に拠点を構えて研究を遂行。2017年まで京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)、その後2018年に高等研究院に特設寄附部門「医学物理・医工計測グローバル拠点(Center for Integrative Medicine and Physics, CiMPhy)」を設立し部門長を務めている。
林重彦(はやし しげひこ)→第4章
京都大学大学院理学研究科化学専攻教授。
専門は理論化学、理論生物物理学。
量子化学や分子動力学シミュレーションなどに基づく独自の理論的・計算科学的手法を開発し、酵素や受容体タンパク質などの生体分子の顕著な分子機能を微視的な物理学や化学から理解することを目指している。
松本剛(まつもと たけし)→第2章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻助教。
専門は流体物理学で、特に我々の身の回りの水や空気のつくる乱れた流れの物理に計算機シミュレーションを使って取り組んでいる。日常のありふれた現象に「なぜ?」と問うていくと、いつのまにか流体物理学、非線形物理学、非平衡統計物理学、偏微分方程式論、確率論などの最先端の問題にぶつかるということに驚愕する日々である。
三好建正(みよし たけまさ) →第5章
理化学研究所計算科学研究センターデータ同化研究チームリーダー、同開拓研究本部主任研究員、同数理創造プログラム副プログラムディレクター、京都大学大学院理学研究科連携教授、メリーランド大学客員教授、海洋研究開発機構招聘上席研究員、科学技術振興機構プログラムディレクター。
専門は気象学、数値天気予報、データ同化。
シミュレーションと現実世界とを結びつける「データ同化」が天気予報の精度を左右する。スーパーコンピュータが打ち出す数値と、世界中から集められる気象観測データとを結び、天気予報の革新に挑む。気象予報士。
市川正敏(いちかわ まさとし)→第2章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻講師。
専門はソフトマター物理、生命現象の物理。
生体分子や高分子、液晶などが非平衡状態で見せる物性を研究してきた。細胞や微生物、単なる水なのに生物のように自分自身で動き出す水滴、そのような自発運動がどのように多様性や生き物らしさを獲得するのかに興味を持っている。
稲生啓行(いのう ひろゆき)→第6章
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻准教授。
専門は複素力学系。
マンデルブロ集合やジュリア集合といった美しいフラクタル集合の構造を理解するために、計算機でいろいろな絵を描いていたが、そのうちに、マンデルブロ集合の複素2次元版、つまり(実)4次元空間内のフラクタル集合の構造を自分の目で見てみたいと思い始める。その後VRと出会い、VR機器を用いた4次元の可視化とインタラクションに
ついての開発・研究もやっている。
太田洋輝(おおた ひろき)→第8章
帯広畜産大学人間科学研究部門准教授、2016~2020年度京都大学大学院理学研究科附属サイエンス連携探索センター特定助教。
京都大学理学部の学生時代に物理を中心に数学・生物学の講義に気の赴くまま通い、大学院時代に統計物理学の研究を始めた。その後フランス、デンマーク、日本をポスドクとして転々としながら、数理生物学との境界領域での研究も始めた。最近は動物園での霊長類の行動観測を始めた。
小山時隆(おやま ときたか)→第2章
京都大学大学院理学研究科・生物科学専攻准教授。
専門は時間生物学、植物生理学。
光合成生物の『時間』について、生き物の持つ1日のリズムや1年の季節性を研究対象にしている。また、ウキクサという植物の実験材料モデル化や産業応用の基盤開発も進めている。
カレル・シュワドレンカ(Karel Svadlenka)→第3章
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻准教授。
専門は応用数学(とくに変分解析、数値解析)。
基礎医学の研究者と連携して、外界からの刺激を受け、それを神経へ伝える感覚上皮(匂いを検知する嗅上皮、音を検知するコルチ器など)ができる過程で、細胞が特徴的なパターン構造をとる様子を、独自の数理モデルを駆使して解明している。日本在住17年。
佐々真一(ささ しんいち)→第7章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻教授。
専門は統計物理学。
日常的にありふれた風景でも全て原子分子の運動から成り立っていると思うとゾクっとする。そのためにミクロ世界とマクロ世界を繋ぐ法則を見出そうとしている。1982年に京都大学に入学、1994年8月に東京大学に移動、2012年11月に京都大学に戻ってきた。2013年頃は、銀杏並木を歩くだけで30年前のことがフラッシュバックしていたが、最近はだいぶ落ち着いてきたかもしれない。
髙瀨悠太(たかせ ゆうた)→第1章
公益財団法人サントリー生命科学財団統合生体分子機能研究部特別研究員。2016 ~2021年度京都大学大学院理学研究科附属サイエンス連携探索センター特定助教。
専門は発生生物学、血管生物学。
発生過程において動脈や静脈の秩序だった血管ネットワークが形成されるしくみを、「リモデリング」という現象に注目した解析を行っている。本MACS 教育プログラムを通じて、物理的な要素(組織にかかる力など)が発生現象に与える影響を勉強し、数値計算ソフトやプログラミング言語とも少しずつ仲良くなりつつある。
高橋淑子(たかはし よしこ)→第1章
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。2021年より評議員・副研究科長。
専門は発生生物学(細胞生物学、分子生物学を含む)。
高校生の頃はガン細胞をやっつける研究に憧れていたが、やがて発生生物学の虜になる。大学院時代には岡田節人(おかだときんど)教授の指導のもとで、日本国最初のES細胞研究を行った。しかし博士学位をとっても(特に女性には)就職などなかった時代で、そういう日本がいやになってフランスに脱出。ニコル・ルドワラン教授の研究室でニワトリ胚とフランス語で会話する中で、「胚や細胞の声が聞こえる」ようになった。2010年第30回猿橋賞受賞。
田中求(たなか もとむ)→第3章
ハイデルベルク大学物理化学研究所教授、京都大学高等研究院特任教授。
専門は医学物理学、ソフトマター物理学。
ハイデルベルク大学で15年以上教授を務め、細胞・組織表面の超精密モデルと自らのグループで開発した新たな計測・解析技術を駆使して、臨床医学に密接にかかわるテーマに長年にわたって取り組んできた。2013年からは、日本とドイツの二つの国に拠点を構えて研究を遂行。2017年まで京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)、その後2018年に高等研究院に特設寄附部門「医学物理・医工計測グローバル拠点(Center for Integrative Medicine and Physics, CiMPhy)」を設立し部門長を務めている。
林重彦(はやし しげひこ)→第4章
京都大学大学院理学研究科化学専攻教授。
専門は理論化学、理論生物物理学。
量子化学や分子動力学シミュレーションなどに基づく独自の理論的・計算科学的手法を開発し、酵素や受容体タンパク質などの生体分子の顕著な分子機能を微視的な物理学や化学から理解することを目指している。
松本剛(まつもと たけし)→第2章
京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻助教。
専門は流体物理学で、特に我々の身の回りの水や空気のつくる乱れた流れの物理に計算機シミュレーションを使って取り組んでいる。日常のありふれた現象に「なぜ?」と問うていくと、いつのまにか流体物理学、非線形物理学、非平衡統計物理学、偏微分方程式論、確率論などの最先端の問題にぶつかるということに驚愕する日々である。
三好建正(みよし たけまさ) →第5章
理化学研究所計算科学研究センターデータ同化研究チームリーダー、同開拓研究本部主任研究員、同数理創造プログラム副プログラムディレクター、京都大学大学院理学研究科連携教授、メリーランド大学客員教授、海洋研究開発機構招聘上席研究員、科学技術振興機構プログラムディレクター。
専門は気象学、数値天気予報、データ同化。
シミュレーションと現実世界とを結びつける「データ同化」が天気予報の精度を左右する。スーパーコンピュータが打ち出す数値と、世界中から集められる気象観測データとを結び、天気予報の革新に挑む。気象予報士。
読者のみなさんへ――本書の読み方 [坂上 貴之]
第Ⅰ部 視る──百論は一見にしかず
第1章 生き物の形を数理で探る [高橋 淑子/髙瀨 悠太]
忘れられない論文
ゆるキャラでいく
ニワトリの胚発生
金字塔を自分たちのものに
本物を目で
学部生の活躍
狙ってもなかった効果
基礎科学のための教育とは
第2章 大自然の中に心揺さぶる数理を見つける [小山 時隆/市川 正敏/松本 剛]
闇夜に光るファンタジー──ホタルの明滅パターンを求めて亜熱帯の島へ
ドローン墜落記
鳥取砂丘の空へ──初めての風紋観察
砂の模様を数理で見る
再び鳥取砂丘の空へ──解析
できる画像取得を目指して
次なる展開へ──三度目の風紋観測
ドローンと身体で見つける流氷の不思議
まとめにかえて
第3章 医学と数物科学の融合に挑む [田中 求/カレル・シュワドレンカ]
はじめに──医学と数物科学はそもそも「かけ離れた存在」なのか?
研究に立脚した教育プログラム「医学と数物科学の融合」
病理画像の数値化・数式化を目指して
スタディグループの二つの柱
参加学生の活動成果
スタディグループから研究への展開
医学と数物科学の融合──なんで京大でやるの?
新たな学問的流れを生み出す
まとめにかえて──若い読者、研究を志す学生へのメッセージ
第Ⅱ部 集う──科学の異言語交流
第4章 統計サンプリングを使いこなす [林 重彦]
次元の呪い
習うために慣れろ
視野を広げる
Different strokes for different folks
相互理解の基盤としての数理
タンパク質構造モチーフの判定
分子ダイナミクスシミュレーションと「変な」水分子の仮想実験データ同化
データ科学と理学
第5章 データ同化で何ができるか [三好 建正]
講義型スタディグループの狙い
データ同化って何?
データ同化の仕組み
データ同化は「誤差」の数理
「誤差」とは何か
データ同化で行う情報の重ね合わせ
観測していない変数を推定する
アンサンブル予報と予測可能性
カオス力学系とデータ同化
データ同化で何ができるか
身をもって学ぶデータ同化講義
データ同化を学んで世界を変える
第Ⅲ部 拓く──前人未想の世界を求めて
第6章 VRで見る・3Dで触る先端科学 [稲生 啓行]
VRとは?
初めてのVR
対象(3Dモデル)の作り方
活動開始
作品紹介
完成度・インターフェイスについて
稲生の作品たち
3D印刷
3Dクリスタル
おわりに
第7章 自然科学と圏論の関係を探る [佐々 真一]
背景
自然科学のための圏論に向けて
圏論と熱力学
展望
第8章 「狙ってもできないこと」を狙う [太田 洋輝]
化学反応の舞台を用意する
細胞内現象を数理で描く
新しい共通言語の獲得
化学反応を変えてみる
再び化学反応を変えてみる
「わからない」が触媒となる舞台
雑談から研究へ
座談会 とらわれない科学の心を育む
[國府 寛司/佐々 真一/高橋 淑子/田中 耕一郎/林 重彦/余田 成男/坂上 貴之]
「狙ってもできない」という発想
「道具」を介したコミュニケーション
垣根を越えた雑談
数理が活かせる分野は広大な未開拓地
先生も一緒に違う分野に飛び込む、遊び心
成果を求めず面白がるという贅沢
次に繋げていくために
理学教育としてのMACS教育プログラム [坂上 貴之]
京大理学部の教育理念──ある学生の目線から
理学の特徴と京大理学部における教育理念
京都大学理学部の教育理念──緩やかな専門化
専門教育の光と影
現代の世界と理学──自然科学をめぐる学問の動向
MACS教育プログラムの理念──緩やかな《非》専門化
「狙ってもできない」ことを支援する教育プログラム
各スタディグループの位置づけ
MACSの先にあるもの──SACRA学際融合部門 自発的な組織改編
最後に
刊行によせて [國府 寛司]
編集後記 [MACS教育プログラム実行委員会]
執筆者一覧
第Ⅰ部 視る──百論は一見にしかず
第1章 生き物の形を数理で探る [高橋 淑子/髙瀨 悠太]
忘れられない論文
ゆるキャラでいく
ニワトリの胚発生
金字塔を自分たちのものに
本物を目で
学部生の活躍
狙ってもなかった効果
基礎科学のための教育とは
第2章 大自然の中に心揺さぶる数理を見つける [小山 時隆/市川 正敏/松本 剛]
闇夜に光るファンタジー──ホタルの明滅パターンを求めて亜熱帯の島へ
ドローン墜落記
鳥取砂丘の空へ──初めての風紋観察
砂の模様を数理で見る
再び鳥取砂丘の空へ──解析
できる画像取得を目指して
次なる展開へ──三度目の風紋観測
ドローンと身体で見つける流氷の不思議
まとめにかえて
第3章 医学と数物科学の融合に挑む [田中 求/カレル・シュワドレンカ]
はじめに──医学と数物科学はそもそも「かけ離れた存在」なのか?
研究に立脚した教育プログラム「医学と数物科学の融合」
病理画像の数値化・数式化を目指して
スタディグループの二つの柱
参加学生の活動成果
スタディグループから研究への展開
医学と数物科学の融合──なんで京大でやるの?
新たな学問的流れを生み出す
まとめにかえて──若い読者、研究を志す学生へのメッセージ
第Ⅱ部 集う──科学の異言語交流
第4章 統計サンプリングを使いこなす [林 重彦]
次元の呪い
習うために慣れろ
視野を広げる
Different strokes for different folks
相互理解の基盤としての数理
タンパク質構造モチーフの判定
分子ダイナミクスシミュレーションと「変な」水分子の仮想実験データ同化
データ科学と理学
第5章 データ同化で何ができるか [三好 建正]
講義型スタディグループの狙い
データ同化って何?
データ同化の仕組み
データ同化は「誤差」の数理
「誤差」とは何か
データ同化で行う情報の重ね合わせ
観測していない変数を推定する
アンサンブル予報と予測可能性
カオス力学系とデータ同化
データ同化で何ができるか
身をもって学ぶデータ同化講義
データ同化を学んで世界を変える
第Ⅲ部 拓く──前人未想の世界を求めて
第6章 VRで見る・3Dで触る先端科学 [稲生 啓行]
VRとは?
初めてのVR
対象(3Dモデル)の作り方
活動開始
作品紹介
完成度・インターフェイスについて
稲生の作品たち
3D印刷
3Dクリスタル
おわりに
第7章 自然科学と圏論の関係を探る [佐々 真一]
背景
自然科学のための圏論に向けて
圏論と熱力学
展望
第8章 「狙ってもできないこと」を狙う [太田 洋輝]
化学反応の舞台を用意する
細胞内現象を数理で描く
新しい共通言語の獲得
化学反応を変えてみる
再び化学反応を変えてみる
「わからない」が触媒となる舞台
雑談から研究へ
座談会 とらわれない科学の心を育む
[國府 寛司/佐々 真一/高橋 淑子/田中 耕一郎/林 重彦/余田 成男/坂上 貴之]
「狙ってもできない」という発想
「道具」を介したコミュニケーション
垣根を越えた雑談
数理が活かせる分野は広大な未開拓地
先生も一緒に違う分野に飛び込む、遊び心
成果を求めず面白がるという贅沢
次に繋げていくために
理学教育としてのMACS教育プログラム [坂上 貴之]
京大理学部の教育理念──ある学生の目線から
理学の特徴と京大理学部における教育理念
京都大学理学部の教育理念──緩やかな専門化
専門教育の光と影
現代の世界と理学──自然科学をめぐる学問の動向
MACS教育プログラムの理念──緩やかな《非》専門化
「狙ってもできない」ことを支援する教育プログラム
各スタディグループの位置づけ
MACSの先にあるもの──SACRA学際融合部門 自発的な組織改編
最後に
刊行によせて [國府 寛司]
編集後記 [MACS教育プログラム実行委員会]
執筆者一覧