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◉眞鍋淑郎 氏
(地球科学者 2021年ノーベル物理学賞受賞・2010年第1回KYOTO地球環境の殿堂入り者)
私が温暖化について予見したのは1960~70年代,国際社会でそれが取り上げられたのは90年代です。しかし以来30年経っても解決の道は見えません。科学の知見だけでは社会は動かないことを痛感します。なぜ社会は変わらないのか,変わるには何が必要か。この本は,人類史に埋め込まれたヒトの共感力や適応力が,うまく発揮されるときもあればされないときもある,その理由を明らかにしてくれます。自然科学から人文学までの総合知と過去の叡智を本書から学ぶことで,「転換する力」を今こそ発揮しようではありませんか。
◉鷲田清一 氏(哲学者)
人類がその歴史から消し去ることのできなかった二つの危機,感染症と戦争。それに人類は今また同時に見舞われている。これに天災が,さらに人類の技術文化が招き寄せた気候変動や環境破壊が折り重なる。そうした困難のなか,人類は現時点で,なぜ〈多様性〉と〈柔軟性〉を支えにしようとするのか。なぜ、強固よりも柔軟,統一よりも多様、支配よりも相互扶助という価値を択ぼうとするのか? その歴史的経緯を探ってゆくと,都市や社会に求められるレジリエンスの根が,人類という存在の脆弱さそのもののうちに潜むことが見えてくる。
(地球科学者 2021年ノーベル物理学賞受賞・2010年第1回KYOTO地球環境の殿堂入り者)
私が温暖化について予見したのは1960~70年代,国際社会でそれが取り上げられたのは90年代です。しかし以来30年経っても解決の道は見えません。科学の知見だけでは社会は動かないことを痛感します。なぜ社会は変わらないのか,変わるには何が必要か。この本は,人類史に埋め込まれたヒトの共感力や適応力が,うまく発揮されるときもあればされないときもある,その理由を明らかにしてくれます。自然科学から人文学までの総合知と過去の叡智を本書から学ぶことで,「転換する力」を今こそ発揮しようではありませんか。
◉鷲田清一 氏(哲学者)
人類がその歴史から消し去ることのできなかった二つの危機,感染症と戦争。それに人類は今また同時に見舞われている。これに天災が,さらに人類の技術文化が招き寄せた気候変動や環境破壊が折り重なる。そうした困難のなか,人類は現時点で,なぜ〈多様性〉と〈柔軟性〉を支えにしようとするのか。なぜ、強固よりも柔軟,統一よりも多様、支配よりも相互扶助という価値を択ぼうとするのか? その歴史的経緯を探ってゆくと,都市や社会に求められるレジリエンスの根が,人類という存在の脆弱さそのもののうちに潜むことが見えてくる。
“弱さ”を“強み”に変えたヒトの歴史から学び,レジリエンス史観で危機の時代を乗り越える。大きな転換の時代にあって,レジリエンスすなわち「危機を生きぬく知」の視座から,700万年のヒトの来た道を振りかえり,人類進化と社会の変遷の歴史を丹念に見直すことで,多角的かつ包括的にヒトの特性をとらえ,これからの社会と生き方を考える。これまでの研究実践の成果を「より良き未来の選択」に活かすために。
『朝日新聞』2022年4月19日付朝刊「折々のことば」2354 鷲田清一氏
『朝日新聞』2022年6月9日付朝刊「科学季評」山極寿一氏
『読売新聞』2022年6月30付夕刊「ええやん!かんさい」文化面
『文化人類学』第87巻4号,683-686頁,評者:内堀基光氏
『朝日新聞』2022年6月9日付朝刊「科学季評」山極寿一氏
『読売新聞』2022年6月30付夕刊「ええやん!かんさい」文化面
『文化人類学』第87巻4号,683-686頁,評者:内堀基光氏
編者・著者紹介(50音順,*は編者)
阿部健一*(あべ けんいち)
総合地球環境学研究所教授。専門は,人間環境学,相関地域研究。主著に『No Life, No Forest―熱帯林の「価値命題」を暮らしから問う』(共編著,京都大学学術出版会,2021年)。
池谷和信(いけや かずのぶ)
国立民族学博物館人類文明誌研究部教授。専門は,環境人類学,人文地理学。主著に『人間にとってスイカとは何か―カラハリ狩猟民と考える』(臨川書店,2014年)。
稲村哲也*(いなむら てつや)
放送大学特任教授,愛知県立大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著に『遊牧・移牧・定牧―モンゴル・チベット・ヒマラヤ・アンデスのフィールドから』(ナカニシヤ出版,2014年)。
石井祥子(いしい しょうこ)
名古屋大学研究員。専門は,文化人類学。主著に『草原と都市―変わりゆくモンゴル』(風媒社,2015年)。
入來篤史(いりき あつし)
理化学研究所生命機能科学研究センターチームリーダー。専門は,神経生理学。主著に『Homo faber 道具を使うサル』(医学書院,2004年)。
魚住孝至(うおずみ たかし)
放送大学教授。専門は,哲学,倫理学,日本思想。主著に『哲学・思想を今考える―歴史の中で』(放送大学教育振興会,2018年)。
大貫良夫(おおぬき よしお)
野外民族博物館リトルワールド館長,東京大学名誉教授。専門は,文化人類学,アンデス考古学。主著に『アンデスの黄金―クントゥル・ワシの神殿発掘記』(中公新書,2000年)。
川本 芳(かわもと よし)
日本獣医生命科学大学客員教授。専門は,動物集団遺伝学。主著に『東ヒマラヤ 都市なき豊かさの文明』(分担執筆,京都大学学術出版会,2020年)。
木村友美(きむら ゆみ)
大阪大学大学院人間科学研究科講師。専門は,公衆衛生学,フィールド栄養学。主著に『共生学宣言』(分担執筆,大阪大学出版会,2020年)。
後藤 明(ごとう あきら)
南山大学教授。専門は,海洋人類学,文化人類学。主著に『世界神話学入門』(講談社現代新書,2017年)。
清水 展*(しみず ひろむ)
関西大学客員教授,京都大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著に『草の根グローバリゼーション―世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略』(京都大学学術出版会,2013年)。
杉山三郎(すぎやま さぶろう)
アリゾナ州立大学研究教授,愛知県立大学名誉教授。専門は,考古学・人類学。主著に『ロマンに生きてもいいじゃないか―メキシコ古代文明に魅せられて』(風媒社,2012年)。
鈴木康弘(すずき やすひろ)
名古屋大学教授。専門は,自然地理学。主著に『ボスフォラスを越えて―激動のバルカン・トルコ地理紀行』(風媒社,2021年)。
関野吉晴(せきの よしはる)
探検家・医師,武蔵野美術大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著にシリーズ『グレートジャーニー・人類5万キロの旅 1~15』(小峰書店,1995~2004年)。
中原聖乃(なかはら さとえ)
総合地球環境学研究所研究員。専門は,文化人類学,民俗学。主著に『放射能難民から生活圏再生へ―マーシャルからフクシマへの伝言』(法律文化社,2012年)。
奈良由美子(なら ゆみこ)
放送大学教授。専門は,リスクマネジメント学,リスクコミュニケーション論。主著に『改訂版 生活リスクマネジメント―安心・安全を実現する主体として』(放送大学教育振興会,2017年)。
馬場悠男(ばば ひさお)
国立科学博物館名誉研究員。専門は,自然人類学。主著に『「顔」の進化』(講談社ブルーバックス,2021年)。
平野真理(ひらの まり)
東京家政大学講師。専門は,臨床心理学,パーソナリティ。主著に『レジリエンスは身につけられるか―個人差に応じた心のサポートのために』(東京大学出版会,2015年)。
藤井純夫(ふじい すみお)
金沢大学特任教授。専門は,西アジア考古学。主著に『ムギとヒツジの考古学』(同成社 2001年)。
古川 彰(ふるかわ あきら)
関西学院大学名誉教授。専門は,環境社会学,村落社会学。主著に『村の生活環境史』(世界思想社,2004年)。
松木武彦(まつぎ たけひこ)
国立歴史民俗博物館教授。専門は,考古学・歴史学。主著に『日本列島の戦争と初期国家形成』(東京大学出版会,2007年)。
村山美穂(むらやま みほ)
京都大学野生動物研究センター教授。専門は,動物遺伝学。主著に『霊長類から人類を読み解く―遺伝子は語る』(河出書房新社,2003年)。
モハーチ ゲルゲイ
大阪大学大学院人間科学研究科准教授。専門は,医療人類学,科学技術社会論。主著に “Toxic Remedies: On the cultivation of medicinal plants and urban ecologies.” East Asian Science, Technology and Society 15(2):192–210., 2021, 『病む』(分担執筆,大阪大学出版会,2020年)。
山極壽一*(やまぎわ じゅいち)
総合地球環境学研究所所長,前京都大学総長,京都大学名誉教授。専門は,人類学,霊長類学。主著に『京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと』(朝日選書,2021年)。
山本太郎(やまもと たろう)
長崎大学熱帯医学研究所教授。専門は,感染症学,国際保健学,熱帯医学。主著に『感染症と文明―共生への道』(岩波新書,2011年)。
米本昌平(よねもと しょうへい)
東京大学教養教育高度化機構客員教授,総合地球環境学研究所客員教授。専門は,科学史,科学哲学。主著に『地球変動のポリティクス―温暖化という脅威』(弘文堂,2011年)。
阿部健一*(あべ けんいち)
総合地球環境学研究所教授。専門は,人間環境学,相関地域研究。主著に『No Life, No Forest―熱帯林の「価値命題」を暮らしから問う』(共編著,京都大学学術出版会,2021年)。
池谷和信(いけや かずのぶ)
国立民族学博物館人類文明誌研究部教授。専門は,環境人類学,人文地理学。主著に『人間にとってスイカとは何か―カラハリ狩猟民と考える』(臨川書店,2014年)。
稲村哲也*(いなむら てつや)
放送大学特任教授,愛知県立大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著に『遊牧・移牧・定牧―モンゴル・チベット・ヒマラヤ・アンデスのフィールドから』(ナカニシヤ出版,2014年)。
石井祥子(いしい しょうこ)
名古屋大学研究員。専門は,文化人類学。主著に『草原と都市―変わりゆくモンゴル』(風媒社,2015年)。
入來篤史(いりき あつし)
理化学研究所生命機能科学研究センターチームリーダー。専門は,神経生理学。主著に『Homo faber 道具を使うサル』(医学書院,2004年)。
魚住孝至(うおずみ たかし)
放送大学教授。専門は,哲学,倫理学,日本思想。主著に『哲学・思想を今考える―歴史の中で』(放送大学教育振興会,2018年)。
大貫良夫(おおぬき よしお)
野外民族博物館リトルワールド館長,東京大学名誉教授。専門は,文化人類学,アンデス考古学。主著に『アンデスの黄金―クントゥル・ワシの神殿発掘記』(中公新書,2000年)。
川本 芳(かわもと よし)
日本獣医生命科学大学客員教授。専門は,動物集団遺伝学。主著に『東ヒマラヤ 都市なき豊かさの文明』(分担執筆,京都大学学術出版会,2020年)。
木村友美(きむら ゆみ)
大阪大学大学院人間科学研究科講師。専門は,公衆衛生学,フィールド栄養学。主著に『共生学宣言』(分担執筆,大阪大学出版会,2020年)。
後藤 明(ごとう あきら)
南山大学教授。専門は,海洋人類学,文化人類学。主著に『世界神話学入門』(講談社現代新書,2017年)。
清水 展*(しみず ひろむ)
関西大学客員教授,京都大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著に『草の根グローバリゼーション―世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略』(京都大学学術出版会,2013年)。
杉山三郎(すぎやま さぶろう)
アリゾナ州立大学研究教授,愛知県立大学名誉教授。専門は,考古学・人類学。主著に『ロマンに生きてもいいじゃないか―メキシコ古代文明に魅せられて』(風媒社,2012年)。
鈴木康弘(すずき やすひろ)
名古屋大学教授。専門は,自然地理学。主著に『ボスフォラスを越えて―激動のバルカン・トルコ地理紀行』(風媒社,2021年)。
関野吉晴(せきの よしはる)
探検家・医師,武蔵野美術大学名誉教授。専門は,文化人類学。主著にシリーズ『グレートジャーニー・人類5万キロの旅 1~15』(小峰書店,1995~2004年)。
中原聖乃(なかはら さとえ)
総合地球環境学研究所研究員。専門は,文化人類学,民俗学。主著に『放射能難民から生活圏再生へ―マーシャルからフクシマへの伝言』(法律文化社,2012年)。
奈良由美子(なら ゆみこ)
放送大学教授。専門は,リスクマネジメント学,リスクコミュニケーション論。主著に『改訂版 生活リスクマネジメント―安心・安全を実現する主体として』(放送大学教育振興会,2017年)。
馬場悠男(ばば ひさお)
国立科学博物館名誉研究員。専門は,自然人類学。主著に『「顔」の進化』(講談社ブルーバックス,2021年)。
平野真理(ひらの まり)
東京家政大学講師。専門は,臨床心理学,パーソナリティ。主著に『レジリエンスは身につけられるか―個人差に応じた心のサポートのために』(東京大学出版会,2015年)。
藤井純夫(ふじい すみお)
金沢大学特任教授。専門は,西アジア考古学。主著に『ムギとヒツジの考古学』(同成社 2001年)。
古川 彰(ふるかわ あきら)
関西学院大学名誉教授。専門は,環境社会学,村落社会学。主著に『村の生活環境史』(世界思想社,2004年)。
松木武彦(まつぎ たけひこ)
国立歴史民俗博物館教授。専門は,考古学・歴史学。主著に『日本列島の戦争と初期国家形成』(東京大学出版会,2007年)。
村山美穂(むらやま みほ)
京都大学野生動物研究センター教授。専門は,動物遺伝学。主著に『霊長類から人類を読み解く―遺伝子は語る』(河出書房新社,2003年)。
モハーチ ゲルゲイ
大阪大学大学院人間科学研究科准教授。専門は,医療人類学,科学技術社会論。主著に “Toxic Remedies: On the cultivation of medicinal plants and urban ecologies.” East Asian Science, Technology and Society 15(2):192–210., 2021, 『病む』(分担執筆,大阪大学出版会,2020年)。
山極壽一*(やまぎわ じゅいち)
総合地球環境学研究所所長,前京都大学総長,京都大学名誉教授。専門は,人類学,霊長類学。主著に『京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと』(朝日選書,2021年)。
山本太郎(やまもと たろう)
長崎大学熱帯医学研究所教授。専門は,感染症学,国際保健学,熱帯医学。主著に『感染症と文明―共生への道』(岩波新書,2011年)。
米本昌平(よねもと しょうへい)
東京大学教養教育高度化機構客員教授,総合地球環境学研究所客員教授。専門は,科学史,科学哲学。主著に『地球変動のポリティクス―温暖化という脅威』(弘文堂,2011年)。
序 「希望の未来」を求めるために過去に学び今を考える
この本を始めるにあたって
[稲村哲也]
Key Concept 1 災害レジリエンス [奈良由美子]
Key Concept 2 心のレジリエンス/レジリエンシー [平野真理]
Key Concept 3 生態学的レジリエンス [阿部健一/モハーチ ゲルゲイ]
Phase I 危機とレジリエンスのはじまり・かたち
Introduction
第1章 ヒトのレジリエンスの起源 [山極壽一]
―霊長類の遺産の継承と発展
1 ヒトの本質とは何か
2 共感とコミュニケーション
第2章 共感能力の進化 [馬場悠男]
―「三つの共感」を未来に活かせるか
1 共感の3つのタイプ
2 人類とは何か,人類進化とは何か
3 人類の進化ストーリー―共感能力発達の根拠
4 アジアで展開した原人・旧人の地域進化
5 新人(ホモ・サピエンス)の世界拡散―大型動物および原人・旧人の運命
6 未来へのレジリエンス
第3章 「レジリエント・サピエンス」の神経生物学 [入來篤史]
―人類進化と文明発達の相転移
1 人類史の駆動力―ディープ・レジリエンス
2 人類進化の三つの謎―サピエント・パラドックス
3 原始人類進化の駆動力―「三元ニッチ構築」第1相
4 全世界サピエンス文明史の開放―「三元ニッチ構築」第2相
5 諸事象間の柔軟な等価関係の確立―ディープ・レジリエンスの相転移原理
6 レジリエント・サピエンス―文・理多分野融合研究のプロトタイプ
第4章 心の進化を遺伝子からみる [村山美穂]
―不安・好奇心・幸福度
1 性格に影響する遺伝子
2 霊長類の種間差を比較する
3 チンパンジーの個体差に遺伝子が関与
4 ヒトと関わった動物たち――家畜化によって遺伝子は変わったか?
5 ヒトと関わった動物たち――家畜化されやすい性格とは?
6 遺伝子の多様性が示すこと
第5章 家畜化から考える [川本 芳]
―ヒトと野生動物の共生のレジリエンス
1 ヒトの進化と家畜化
2 「家畜」を考える視点
3 「家畜化」を考える視点
4 ラクダ科動物の家畜化
Key Concept 4 セルフ・ドメスティケーション(自己家畜化) [稲村哲也]
Phase II 食糧生産革命と文明形成
Introduction
第6章 「後ろ手に縛る」 [藤井純夫]
―食糧生産革命と複雑社会の形成
1 「それは鉛筆を立てた時に始まった」―食糧生産革命で得たもの,失ったもの
2 「雪中の笋八百屋にあり」―複雑社会のくびき
3 『ハンムラビ法典』―複雑社会形成期のメソポタミア都市
4 遊牧部族の大墓域―沙漠社会の複雑化
5 「後ろ手に縛る」―複雑社会で本格化した戦争
6 「町々に入るべきではない」―古代メソポタミア複雑社会の感染症
7 「汝の隣人を愛せよ」―複雑社会のその後
第7章 文明形成と感染症 [山本太郎]
―農耕定住社会の本質的脆弱性を知る
1 人類史的視点による感染症―食糧生産革命前
2 現代の先住民社会からの示唆
3 疫学的転換点―食糧生産革命以降の感染拡大
4 病気とは何か―レジリエンスの観点から
第8章 メソアメリカ古代文明の超克 [杉山三郎]
―新大陸に生まれた生存戦略
1 最初のアメリカ人
2 多数種の中間的な動植物利用―新大陸のドメスティケーション
3 宗教センターの勃興
4 古代都市テオティワカンのレジリエンス
5 都市の崩壊とスペイン征服
6 新大陸の古代史に見る本質的なレジリエンス
第9章 機能しないレジリエンス [大貫良夫]
―アンデス文明の盛衰にみる「文化的内旋」
1 後氷期への適応
2 「ユンガ伝統」―ユニークなアンデス文明の源流
3 機能しなかったレジリエンス(?)―形成期後期~晩期
4 地方文化の興隆
5 インカ帝国
6 アンデス文明とレジリエンス
第10章 先史日本の争いの起源 [松木武彦]
―「狭い共感」を昇華できるか
1 レジリエンスと個人・集団
2 争いとレジリエンス
3 レジリエンスからみた日本列島の先史~原史段階の争い
4 考察とまとめ
Key Concept 5 農耕の起源 [稲村哲也]
Phase III レジリエンスの多様なひろがり
Introduction
第11章 狩猟採集民の生存戦略 [池谷和信]
―移動と環境適応
1 狩猟採集民の移動と環境適応―6類型の仮説
2 現生狩猟採集民の環境変動と移動―カラハリ砂漠の事例
3 「狩猟採集民」にとってのレジリエンスとは―人類の多様な適応術
第12章 遠隔島嶼のレジリエンス [後藤 明]
―「限られた自然」への適応
1 オセアニアへの進出
2 オセアニアの島々各種
3 限られた自然
4 同じような,温かい島への移住という誤謬
5 島環境の脆弱性と長期の環境変動
6 ラパヌイのエコサイド論への疑問
第13章 遊牧社会の特性を活かす [石井祥子]
―激変する社会へのモンゴル人の対応と防災
1 モンゴル社会の二面性―遊牧社会と都市
2 モンゴルの社会変動
3 遊牧社会の市場経済化への対応
4 都市の変化とレジリエンス
5 災害レジリエンスを強化する
6 モンゴルの災害レジリエンスのポテンシャル
第14章 ヤノマミのこれまでとこれから [関野吉晴]
―アマゾン先住民の強さと弱さ
1 新旧大陸の分離と感染症
2 ヤノマミ社会での闘争
3 紛争の解決法―決闘
4 ヤノマミの失われる(?)未来
5 先住民族ヤノマミの未来は
第15章 アンデス先住民社会の伝統と変容 [稲村哲也]
―「レジリエンス史観」から見える出来事として
1 「伝統の持続」から「レジリエンス史観」へ
2 アンデスの先住民社会
3 社会的レジリエンスのダイナミズム
4 インカ時代の追い込み猟「チャク」とその復活
5 アンデス先住民社会のレジリエンスのダイナミズム
Key Concept 6 遊牧・移牧・定牧―牧畜形態の比較 [稲村哲也]
Phase IV 現代の危機とレジリエンス
Introduction
第16章 危機を生き延びる [清水 展]
―ルソン先住民アエタの柔軟対応力とトランスフォーマビリティ
1 トランスフォーマビリティへ
2 噴火前の暮らし
3 噴火後の創造的復興の歩み
4 変化と持続,危機を生き抜く柔軟対応力
5 リスク分散の生存戦略とニッチ構築,そして時空間認識の爆発的拡張
6 人類史への示唆
第17章 強制移住先を「私の島」に [中原聖乃]
―放射能汚染災害からコミュニティの創造へ
1 米国の核実験による被災と強制移住
2 ロンゲラップ・コミュニティ―故郷への帰還政策
3 避難島メジャト島を「私の島」に
4 ニッチを創造する
5 福島――ある女性の関係づくり
6 放射能汚染被害を生きるためのレジリエンスとは?
第18章 「想定外」という落とし穴 [鈴木康弘]
―レジリエンスを阻むもの
1 「レジリエンス」の再確認
2 レジリエンスと「想定外」
3 原発と活断層
4 ハザードマップは「想定外」回避に有効か
5 熊本地震の問題
6 「想定外」回避の鍵を握る防災教育
7 「想定」と「予測」―それぞれの責任
第19章 COVID-19災害を乗り越える [奈良由美子]
―リスクコミュニケーションによる共考と共生
1 災害としてのCOVID-19パンデミック
2 立ち上がる緊急社会システム
3 COVID-19パンデミックの災害特性と平常の得がたさ
4 COVID-19をめぐるリスクコミュニケーションの難しさ
5 COVID-19パンデミックにおける共感の現代的意義
6 リスクコミュニケーションにおける共感
7 災害レジリエンスの多様性
8 乗りこえた先にどのような社会を作りたいのか―レジリエンスについての対話
第20章 心のレジリエンシー [平野真理]
―個人のパーソナリティーと危機対応
1 コロナ禍において求められるレジリエンシー
2 コロナ禍における人々のレジリエンス
Phase V 人新世を転換する
Introduction
第21章 プラネタリーヘルスと食の変革 [モハーチ ゲルゲイ/木村友美]
―人と地球の健康から「バックループ」の実験へ
1 人間の健康,地球の病気
2 食と農にみる地球の健康
3 主食の変化と糖尿病―インドネシア・パプア州の事例から
4 在来植物の可能性―人と環境にとっての食多様性
5 バックループという実験
第22章 有事の文化化と「無事」 [古川 彰]
―弱者生存権を保障する地域のコミュニティ
1 個人の安全/安心? 社会の安全/安心?
2 「貧民稼ぎ」という仕掛け
3 レジリエンスとしての無事
第23章 人間の死と生,未来の世代への責任 [魚住孝至]
―ハイデガー・アーレント・ヨナスを手掛かりに
1 〈死への存在〉として人間――ハイデガー『存在と時間』の「実存」と「世界-内-存在」
2 現代技術の「総かり立て体制」と「放下」――ハイデガー『技術への問い』前後
3 「出生性」と「行為」の歴史性――アーレント『人間の条件』
4 「未来の世代」への責任――ヨナス『責任という原理』
第24章 国際関係論としてのレジリエンス [米本昌平]
―日本外交の役割
1 冷戦の終焉と,地球温暖化問題の外交アジェンダ化
2 冷戦後理想主義と再統一後ドイツの国際公約
3 パリ協定とレジリエンス―温暖化外交の実質的変質
4 安全保障概念の拡張とレジリエンス
5 展望――課題としてのアジアにおける環境外交
第25章 再び地に足をつけ,地球を想う[阿部健一]
―ヴァナキュラー・グローバリゼーション
1 環境非束縛性と環境改変能力
2 地球環境問題の国際政治化
3 地球を意識する時代へ―人と自然の二つのシステム
4 地球に生きて,地球をデザインする
結 ヒトの能力を賢く使って「どこへ行くのか」を模索する [山極壽一]
この本をいったん閉じるにあたって
読書案内・参照文献
索 引
この本を始めるにあたって
[稲村哲也]
Key Concept 1 災害レジリエンス [奈良由美子]
Key Concept 2 心のレジリエンス/レジリエンシー [平野真理]
Key Concept 3 生態学的レジリエンス [阿部健一/モハーチ ゲルゲイ]
Phase I 危機とレジリエンスのはじまり・かたち
Introduction
第1章 ヒトのレジリエンスの起源 [山極壽一]
―霊長類の遺産の継承と発展
1 ヒトの本質とは何か
2 共感とコミュニケーション
第2章 共感能力の進化 [馬場悠男]
―「三つの共感」を未来に活かせるか
1 共感の3つのタイプ
2 人類とは何か,人類進化とは何か
3 人類の進化ストーリー―共感能力発達の根拠
4 アジアで展開した原人・旧人の地域進化
5 新人(ホモ・サピエンス)の世界拡散―大型動物および原人・旧人の運命
6 未来へのレジリエンス
第3章 「レジリエント・サピエンス」の神経生物学 [入來篤史]
―人類進化と文明発達の相転移
1 人類史の駆動力―ディープ・レジリエンス
2 人類進化の三つの謎―サピエント・パラドックス
3 原始人類進化の駆動力―「三元ニッチ構築」第1相
4 全世界サピエンス文明史の開放―「三元ニッチ構築」第2相
5 諸事象間の柔軟な等価関係の確立―ディープ・レジリエンスの相転移原理
6 レジリエント・サピエンス―文・理多分野融合研究のプロトタイプ
第4章 心の進化を遺伝子からみる [村山美穂]
―不安・好奇心・幸福度
1 性格に影響する遺伝子
2 霊長類の種間差を比較する
3 チンパンジーの個体差に遺伝子が関与
4 ヒトと関わった動物たち――家畜化によって遺伝子は変わったか?
5 ヒトと関わった動物たち――家畜化されやすい性格とは?
6 遺伝子の多様性が示すこと
第5章 家畜化から考える [川本 芳]
―ヒトと野生動物の共生のレジリエンス
1 ヒトの進化と家畜化
2 「家畜」を考える視点
3 「家畜化」を考える視点
4 ラクダ科動物の家畜化
Key Concept 4 セルフ・ドメスティケーション(自己家畜化) [稲村哲也]
Phase II 食糧生産革命と文明形成
Introduction
第6章 「後ろ手に縛る」 [藤井純夫]
―食糧生産革命と複雑社会の形成
1 「それは鉛筆を立てた時に始まった」―食糧生産革命で得たもの,失ったもの
2 「雪中の笋八百屋にあり」―複雑社会のくびき
3 『ハンムラビ法典』―複雑社会形成期のメソポタミア都市
4 遊牧部族の大墓域―沙漠社会の複雑化
5 「後ろ手に縛る」―複雑社会で本格化した戦争
6 「町々に入るべきではない」―古代メソポタミア複雑社会の感染症
7 「汝の隣人を愛せよ」―複雑社会のその後
第7章 文明形成と感染症 [山本太郎]
―農耕定住社会の本質的脆弱性を知る
1 人類史的視点による感染症―食糧生産革命前
2 現代の先住民社会からの示唆
3 疫学的転換点―食糧生産革命以降の感染拡大
4 病気とは何か―レジリエンスの観点から
第8章 メソアメリカ古代文明の超克 [杉山三郎]
―新大陸に生まれた生存戦略
1 最初のアメリカ人
2 多数種の中間的な動植物利用―新大陸のドメスティケーション
3 宗教センターの勃興
4 古代都市テオティワカンのレジリエンス
5 都市の崩壊とスペイン征服
6 新大陸の古代史に見る本質的なレジリエンス
第9章 機能しないレジリエンス [大貫良夫]
―アンデス文明の盛衰にみる「文化的内旋」
1 後氷期への適応
2 「ユンガ伝統」―ユニークなアンデス文明の源流
3 機能しなかったレジリエンス(?)―形成期後期~晩期
4 地方文化の興隆
5 インカ帝国
6 アンデス文明とレジリエンス
第10章 先史日本の争いの起源 [松木武彦]
―「狭い共感」を昇華できるか
1 レジリエンスと個人・集団
2 争いとレジリエンス
3 レジリエンスからみた日本列島の先史~原史段階の争い
4 考察とまとめ
Key Concept 5 農耕の起源 [稲村哲也]
Phase III レジリエンスの多様なひろがり
Introduction
第11章 狩猟採集民の生存戦略 [池谷和信]
―移動と環境適応
1 狩猟採集民の移動と環境適応―6類型の仮説
2 現生狩猟採集民の環境変動と移動―カラハリ砂漠の事例
3 「狩猟採集民」にとってのレジリエンスとは―人類の多様な適応術
第12章 遠隔島嶼のレジリエンス [後藤 明]
―「限られた自然」への適応
1 オセアニアへの進出
2 オセアニアの島々各種
3 限られた自然
4 同じような,温かい島への移住という誤謬
5 島環境の脆弱性と長期の環境変動
6 ラパヌイのエコサイド論への疑問
第13章 遊牧社会の特性を活かす [石井祥子]
―激変する社会へのモンゴル人の対応と防災
1 モンゴル社会の二面性―遊牧社会と都市
2 モンゴルの社会変動
3 遊牧社会の市場経済化への対応
4 都市の変化とレジリエンス
5 災害レジリエンスを強化する
6 モンゴルの災害レジリエンスのポテンシャル
第14章 ヤノマミのこれまでとこれから [関野吉晴]
―アマゾン先住民の強さと弱さ
1 新旧大陸の分離と感染症
2 ヤノマミ社会での闘争
3 紛争の解決法―決闘
4 ヤノマミの失われる(?)未来
5 先住民族ヤノマミの未来は
第15章 アンデス先住民社会の伝統と変容 [稲村哲也]
―「レジリエンス史観」から見える出来事として
1 「伝統の持続」から「レジリエンス史観」へ
2 アンデスの先住民社会
3 社会的レジリエンスのダイナミズム
4 インカ時代の追い込み猟「チャク」とその復活
5 アンデス先住民社会のレジリエンスのダイナミズム
Key Concept 6 遊牧・移牧・定牧―牧畜形態の比較 [稲村哲也]
Phase IV 現代の危機とレジリエンス
Introduction
第16章 危機を生き延びる [清水 展]
―ルソン先住民アエタの柔軟対応力とトランスフォーマビリティ
1 トランスフォーマビリティへ
2 噴火前の暮らし
3 噴火後の創造的復興の歩み
4 変化と持続,危機を生き抜く柔軟対応力
5 リスク分散の生存戦略とニッチ構築,そして時空間認識の爆発的拡張
6 人類史への示唆
第17章 強制移住先を「私の島」に [中原聖乃]
―放射能汚染災害からコミュニティの創造へ
1 米国の核実験による被災と強制移住
2 ロンゲラップ・コミュニティ―故郷への帰還政策
3 避難島メジャト島を「私の島」に
4 ニッチを創造する
5 福島――ある女性の関係づくり
6 放射能汚染被害を生きるためのレジリエンスとは?
第18章 「想定外」という落とし穴 [鈴木康弘]
―レジリエンスを阻むもの
1 「レジリエンス」の再確認
2 レジリエンスと「想定外」
3 原発と活断層
4 ハザードマップは「想定外」回避に有効か
5 熊本地震の問題
6 「想定外」回避の鍵を握る防災教育
7 「想定」と「予測」―それぞれの責任
第19章 COVID-19災害を乗り越える [奈良由美子]
―リスクコミュニケーションによる共考と共生
1 災害としてのCOVID-19パンデミック
2 立ち上がる緊急社会システム
3 COVID-19パンデミックの災害特性と平常の得がたさ
4 COVID-19をめぐるリスクコミュニケーションの難しさ
5 COVID-19パンデミックにおける共感の現代的意義
6 リスクコミュニケーションにおける共感
7 災害レジリエンスの多様性
8 乗りこえた先にどのような社会を作りたいのか―レジリエンスについての対話
第20章 心のレジリエンシー [平野真理]
―個人のパーソナリティーと危機対応
1 コロナ禍において求められるレジリエンシー
2 コロナ禍における人々のレジリエンス
Phase V 人新世を転換する
Introduction
第21章 プラネタリーヘルスと食の変革 [モハーチ ゲルゲイ/木村友美]
―人と地球の健康から「バックループ」の実験へ
1 人間の健康,地球の病気
2 食と農にみる地球の健康
3 主食の変化と糖尿病―インドネシア・パプア州の事例から
4 在来植物の可能性―人と環境にとっての食多様性
5 バックループという実験
第22章 有事の文化化と「無事」 [古川 彰]
―弱者生存権を保障する地域のコミュニティ
1 個人の安全/安心? 社会の安全/安心?
2 「貧民稼ぎ」という仕掛け
3 レジリエンスとしての無事
第23章 人間の死と生,未来の世代への責任 [魚住孝至]
―ハイデガー・アーレント・ヨナスを手掛かりに
1 〈死への存在〉として人間――ハイデガー『存在と時間』の「実存」と「世界-内-存在」
2 現代技術の「総かり立て体制」と「放下」――ハイデガー『技術への問い』前後
3 「出生性」と「行為」の歴史性――アーレント『人間の条件』
4 「未来の世代」への責任――ヨナス『責任という原理』
第24章 国際関係論としてのレジリエンス [米本昌平]
―日本外交の役割
1 冷戦の終焉と,地球温暖化問題の外交アジェンダ化
2 冷戦後理想主義と再統一後ドイツの国際公約
3 パリ協定とレジリエンス―温暖化外交の実質的変質
4 安全保障概念の拡張とレジリエンス
5 展望――課題としてのアジアにおける環境外交
第25章 再び地に足をつけ,地球を想う[阿部健一]
―ヴァナキュラー・グローバリゼーション
1 環境非束縛性と環境改変能力
2 地球環境問題の国際政治化
3 地球を意識する時代へ―人と自然の二つのシステム
4 地球に生きて,地球をデザインする
結 ヒトの能力を賢く使って「どこへ行くのか」を模索する [山極壽一]
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読書案内・参照文献
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