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「合本」こそ渋沢栄一のモットーであったが,日本各地の地域工業化にあっても,まさに資本合同がそれを牽引した。ではその主体となったのはどんな人々なのか,また彼らが主導した工業化にはどのような「かたち」があったのか。今日の隆盛の基礎になった中京地域の繊維業をフィールドに,緻密な資料解読と臨地調査を行い,地域における資本合同を類型化。近代初期における企業合併の実情をリアルかつ動的に明らかにする。
『日本歴史』2023年7月号,101-103頁,評者:筒井正夫氏
橋口勝利(はしぐち かつとし)
1975年 大阪府泉佐野市に生まれる
1994年 大阪明星学園高校卒業
1999年 京都大学経済学部卒業
2005年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(経済学)
京都橘女子大学文化政策学部ティーチングアシスタント、日本学術振興会特別研究員、関西大学政策創造学部教授を経て、
2020年 慶應義塾大学経済学部教授
主要業績
『近代日本の地域工業化と下請制』京都大学学術出版会、2017年(中小企業研究奨励賞準賞、政治経済学・経済史学会賞 受賞)。
『日本経済史』(共編著) ミネルヴァ書房、2017年。
『大学生、福島を聴く―東日本大震災と「心の復興」』関西大学出版部、2020年。
1975年 大阪府泉佐野市に生まれる
1994年 大阪明星学園高校卒業
1999年 京都大学経済学部卒業
2005年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(経済学)
京都橘女子大学文化政策学部ティーチングアシスタント、日本学術振興会特別研究員、関西大学政策創造学部教授を経て、
2020年 慶應義塾大学経済学部教授
主要業績
『近代日本の地域工業化と下請制』京都大学学術出版会、2017年(中小企業研究奨励賞準賞、政治経済学・経済史学会賞 受賞)。
『日本経済史』(共編著) ミネルヴァ書房、2017年。
『大学生、福島を聴く―東日本大震災と「心の復興」』関西大学出版部、2020年。
橋口勝利著『近代日本の地域工業化と下請制』
地図 1 中京地域と紡績企業
地図 2 阪神地域と紡績企業
序章 近代日本の工業化と綿紡績業
プロローグ 近代綿紡績業の誕生と渋沢栄一
第1節 近代日本の工業化と綿業史研究
第2節 綿紡績業の成長と企業合併
第3節 地域工業化と資産家活動
第4節 都市と地方の「相克」と「結合」—広域経済圏の形成
第5節 工業化への道筋—本書の分析視角と構成
第I部 大都市の工業化と企業家
—広域経済圏の形成と三大紡の成立
第1章 奥田正香の尾勢連合構想
—三重紡績の躍進と中京経済圏
第1節 三重紡績と渋沢栄一
第2節 名古屋の工業化と奥田正香
第3節 奥田正香の台頭—尾張紡績の経営分析
第4節 旧特権商人の紡績事業—名古屋紡績の挫折
第5節 奥田正香と渋沢栄一—尾勢連合への道
第6節 奥田正香の中京圏統合構想
第2章 渋沢栄一の合本主義
—東洋紡績の誕生と広域経済圏
第1節 東洋紡績成立前史—三重紡績・大阪紡績と渋沢栄一
第2節 合併交渉と渋沢栄ー
第3節 交渉の妥結
第4節 東洋紡績の誕生と渋沢栄一の合本主義
第3章 武藤山治の紡績大合同論
—鐘淵紡績の中京経済圏進出構想
第1節 企業成長と多角化戦略
第2節 武藤山治の中京圏への進出構想
第3節 武藤山治と渋沢栄ー
第4章 菊池恭三と技術普及
—大日本紡績の誕生と阪神経済圏
第1節 瓦斯糸事業への進出と菊池恭三—日本紡績の設立
第2節 瓦斯糸戦略と中京圏への進出
第3節 尼崎紡績の成長—士族救済の紡績業プロジェクト
第4節 大日本紡績の誕生
第5節 阪神経済圏の形成と菊池恭三
第II部 地域の工業化と地方名望家
—都市と地方の「相克」と「結合」
第5章 「域外」資産家と「幻の」紡績企業構想
—企業勃興の挫折と伊勢中央紡績・伊勢紡績
第1節 「幻の」紡績企業プロジェクト—津と伊勢中央紡績
第2節 もう1つの紡績企業プロジェクト—四日市と伊勢紡績
第3節 企業勃興の挫折と「域外」資産家
第6章 青樹英二の地域近代化構想
—尾勢連合の先駆け・津島紡績
第1節 資産家グループ形成と企業勃興
第2節 青樹英二と津島紡績
第3節 奥田正香と青樹英ニ—尾勢連合の嚆矢
第4節 資産家グループと地域形成
第7章 端山忠左衛門の町村連携構想
—地域振興の象徴・知多紡績
第1節 資産家グループの割拠性—資産家の重役兼任による分析
第2節 紡績企業プロジェクトと端山忠左衛門
第3節 知多紡績の経営と資産家
第4節 尾勢連合への合流
第5節 資産家グループの連携と企業勃興
第8章 佐藤義一郎の「町勢挽回」構想
—重役間対立と桑名紡績
第1節 城郭に築かれた紡績工場—桑名紡績の設立
第2節 桑名紡績の経営分析
第3節 尾勢連合の展開と鐘淵紡績の進出
第4節 重役間対立の決着—三重紡績への合併
第5節 地方企業の限界と中京経済圏の統合
第9章 森東一郎と資産家グループの動揺
—技術獲得競争と一宮紡績
第1節 近代の一宮地域と一宮紡績の設立
第2節 一宮紡績の経営分析—主要株主・役員の離脱と森東一郎
第3節 尾勢連合からの離脱
第4節 阪神経済圏との統合—日本紡績との合併
第5節 阪神経済圏と中京経済圏の競合
終章 近代日本の企業合併
第1節 近代日本の工業化と渋沢栄一
第2節 企業戦略と広域経済圏の衝突—なぜ、企業合併が選択されるのか?
第3節 企業勃興と地方名望家—ソーシャル・キャピタルの萌芽
第4節 広域経済圏の形成—企業勃興の終焉と尾勢連合
第5節 地域工業化への道—地域アイデンティティの再生
あとがき—20年間の「問い」
日本綿紡績業の関連年表
綿紡績企業の設立と合併
写真所蔵・提供者一覧
索引
地図 2 阪神地域と紡績企業
序章 近代日本の工業化と綿紡績業
プロローグ 近代綿紡績業の誕生と渋沢栄一
第1節 近代日本の工業化と綿業史研究
第2節 綿紡績業の成長と企業合併
第3節 地域工業化と資産家活動
第4節 都市と地方の「相克」と「結合」—広域経済圏の形成
第5節 工業化への道筋—本書の分析視角と構成
第I部 大都市の工業化と企業家
—広域経済圏の形成と三大紡の成立
第1章 奥田正香の尾勢連合構想
—三重紡績の躍進と中京経済圏
第1節 三重紡績と渋沢栄一
第2節 名古屋の工業化と奥田正香
第3節 奥田正香の台頭—尾張紡績の経営分析
第4節 旧特権商人の紡績事業—名古屋紡績の挫折
第5節 奥田正香と渋沢栄一—尾勢連合への道
第6節 奥田正香の中京圏統合構想
第2章 渋沢栄一の合本主義
—東洋紡績の誕生と広域経済圏
第1節 東洋紡績成立前史—三重紡績・大阪紡績と渋沢栄一
第2節 合併交渉と渋沢栄ー
第3節 交渉の妥結
第4節 東洋紡績の誕生と渋沢栄一の合本主義
第3章 武藤山治の紡績大合同論
—鐘淵紡績の中京経済圏進出構想
第1節 企業成長と多角化戦略
第2節 武藤山治の中京圏への進出構想
第3節 武藤山治と渋沢栄ー
第4章 菊池恭三と技術普及
—大日本紡績の誕生と阪神経済圏
第1節 瓦斯糸事業への進出と菊池恭三—日本紡績の設立
第2節 瓦斯糸戦略と中京圏への進出
第3節 尼崎紡績の成長—士族救済の紡績業プロジェクト
第4節 大日本紡績の誕生
第5節 阪神経済圏の形成と菊池恭三
第II部 地域の工業化と地方名望家
—都市と地方の「相克」と「結合」
第5章 「域外」資産家と「幻の」紡績企業構想
—企業勃興の挫折と伊勢中央紡績・伊勢紡績
第1節 「幻の」紡績企業プロジェクト—津と伊勢中央紡績
第2節 もう1つの紡績企業プロジェクト—四日市と伊勢紡績
第3節 企業勃興の挫折と「域外」資産家
第6章 青樹英二の地域近代化構想
—尾勢連合の先駆け・津島紡績
第1節 資産家グループ形成と企業勃興
第2節 青樹英二と津島紡績
第3節 奥田正香と青樹英ニ—尾勢連合の嚆矢
第4節 資産家グループと地域形成
第7章 端山忠左衛門の町村連携構想
—地域振興の象徴・知多紡績
第1節 資産家グループの割拠性—資産家の重役兼任による分析
第2節 紡績企業プロジェクトと端山忠左衛門
第3節 知多紡績の経営と資産家
第4節 尾勢連合への合流
第5節 資産家グループの連携と企業勃興
第8章 佐藤義一郎の「町勢挽回」構想
—重役間対立と桑名紡績
第1節 城郭に築かれた紡績工場—桑名紡績の設立
第2節 桑名紡績の経営分析
第3節 尾勢連合の展開と鐘淵紡績の進出
第4節 重役間対立の決着—三重紡績への合併
第5節 地方企業の限界と中京経済圏の統合
第9章 森東一郎と資産家グループの動揺
—技術獲得競争と一宮紡績
第1節 近代の一宮地域と一宮紡績の設立
第2節 一宮紡績の経営分析—主要株主・役員の離脱と森東一郎
第3節 尾勢連合からの離脱
第4節 阪神経済圏との統合—日本紡績との合併
第5節 阪神経済圏と中京経済圏の競合
終章 近代日本の企業合併
第1節 近代日本の工業化と渋沢栄一
第2節 企業戦略と広域経済圏の衝突—なぜ、企業合併が選択されるのか?
第3節 企業勃興と地方名望家—ソーシャル・キャピタルの萌芽
第4節 広域経済圏の形成—企業勃興の終焉と尾勢連合
第5節 地域工業化への道—地域アイデンティティの再生
あとがき—20年間の「問い」
日本綿紡績業の関連年表
綿紡績企業の設立と合併
写真所蔵・提供者一覧
索引