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七三一部隊と大学

吉中 丈志 編

A5上製・568頁

ISBN: 9784814003914     お詫びと訂正(2022.4.7)PDF

発行年月: 2022/04

  • 本体: 3,600円(税込 3,960円
  • 在庫あり
 
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内容

七三一部隊創設者の石井四郎を筆頭に,大学が送り出したエリート研究者たちは細菌戦と毒ガス戦のために中国・ハルピンで人体実験を行った。彼らはなぜ易々と倫理を踏み越えたか? 戦後も医学界が一様に口を閉ざす中,本書は大学所蔵資料や米軍の記録から,巻き込まれただけではない組織の姿を浮き彫りにする。歴史と倫理に向き合う意味を問う。

書評

『京都民報』2022年5月29日付、評者:宗川吉汪氏
『しんぶん赤旗』2022年7月17日付、評者:山田朗氏
『週刊金曜日』2022年7月22日(1386号)、評者:渡辺周氏

プロフィール

編者:
吉中丈志(よしなか たけし)
公益社団法人京都保健会理事長,京都大学医学部臨床教授。京都大学医学部卒。主な著作に,『いのちの証言・二硫化炭素中毒――ラマツィーニ,現代によみがえれ』(かもが
わ出版,2016年),『ガイドライン外来診療2007――今日の診療のために』(共著,日経メディカル開発,2007年)などがある。

第Ⅰ部
楊彦君(Yan-Jun Yang)
侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館教授。「戦争と医学医療研究会」会員。侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館副館長,ハルビン市社会科学院731 問題国際研究センター主任・研究員を歴任。

譚汝謙(Yue-Him Tam)
マカレスター(Macalester)大学歴史学科教授。プリンストン(Princeton)大学PhD取得。第二次世界大戦史実維護連合会(サンフランシスコ)会長,ミネソタ州(Minnesota)五ケ大学連合(ACTC) 東亞研究委員会主席を歴任。

監訳者:西里扶甬子(にしさと ふゆこ) ジャーナリスト。
翻訳協力:木原正博(きはら まさひろ)京都大学名誉教授。
翻訳者:小泉きみ子(こいずみ きみこ)元関西福祉科学大学非常勤講師。

第Ⅱ部
山室信一(やまむろ しんいち)
京都大学名誉教授。東京大学法学部卒。

末永恵子(すえなが けいこ)
福島県立医科大学医学部人間科学講座講師。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。

小泉昭夫(こいずみ あきお)
公益法人京都保健会社会健康医学福祉研究所所長,京都大学名誉教授。

光山正雄(みつやま まさお)
京都大学名誉教授,日本医療研究開発機構プログラムオフィサー。

二至村菁(にしむら せい)
Sey Nishimura Research Translation and Editorial Services 主宰。元トロント大学科学技術史研究所客員研究員。トロント大学文理学部博士課程修了,Ph.D.

土屋貴志(つちや たかし)
大阪公立大学大学院文学研究科准教授。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。

平岡諦(ひらおか あきら)
大阪大学医学部卒。

磯野理(いその おさむ)
公益社団法人信和会,京都民医連あすかい病院神経内科・リハビリテーション科医長,京都大学医学部臨床教授。国立滋賀医科大学卒業。

南典男(みなみ のりお)
弁護士。東京大学法学部卒。

福田富夫(ふくだ とみお)
元法政大学大原社会問題研究所研究員。法政大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。

岡本晃明(おかもと てるあき)
京都新聞社編集委員,立命館大学生存学研究所客員協力研究員。関西学院大学卒業。

目次

はじめに
序章(吉中丈志)

第Ⅰ部
楊彦君・譚汝謙 著/西里扶甬子 監訳
『七三一部隊―― 悪魔の研究所,東洋のアウシュヴィッツ
中国における日本の細菌戦 1933-45』
 はじめに
 第1章 七三一部隊の創設,拡大,終焉
 第2章 石井四郎とその信奉者
 第3章 戦後,被害者家族から聞いた話
 第4章 人体実験――七三一部隊の医の倫理と医学犯罪
 第5章 細菌戦
 第6章 調査,隠蔽,取引
 第7章 旧跡の保護と七三一部隊罪証陳列館
 終章 東のハルビン,西のアウシュヴィッツ
  原注
  参考文献
  年表

第Ⅱ部
 総力戦体制化と満洲国そして石井部隊〈山室信一〉
 収奪された人体――満洲における医学と戦争〈末永恵子〉
 京都大学における戦時下医学研究
 ―― 科学研究費交付金に見る七三一部隊を含む戦争協力の実相〈小泉昭夫〉
 陸軍軍医学校防疫研究報告から見えてくるもの〈光山正雄〉
 七三一部隊からの帰還〈二至村菁〉
 今日の医学研究倫理の位置付けと成り立ち
 ――医学研究倫理を日本に真に根付かせるには〈土屋貴志〉
 今,医の倫理を問う意味〈平岡諦〉
 日本軍遺棄化学兵器被害
 ―― 中国チチハルの被害者実態調査と日中共同の医療支援〈磯野理〉
 なぜ,七三一部隊を振り返るのか
 ――戦後補償問題を通じて〈南典男〉
 ヤヌス国家イタリア――過去の隠滅と忘却の果てに〈福田富夫〉
 京都帝大医学部の人骨収集と体質〈岡本晃明〉

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執筆者・翻訳者一覧
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