Home > Book Detail Page

草の根の日タイ同盟

事件史から見る戦時下の日本人とタイ人

柿崎 一郎

A5上製, 608 pages

ISBN: 9784814003778

pub. date: 02/22

  • Price : JPY 6,200 (with tax: JPY 6,820)
  • In Stock
 
  • mixiチェック

内容

軍事同盟の歴史において,太平洋戦争中の日タイ同盟ほど奇妙なものはない。なにしろ,「敗戦国」であったはずのタイは,大したお咎めもないどころか,抗日勢力として認められたのだ。この二面外交についての研究はすでにある。しかし,では「味方であって味方でない」関係が,普通の人々――タイ民衆と現場の日本兵――の間では,どんな様相だったのか? タイ国立公文書館に保存される,日タイ間の事故,騒動,盗み,襲撃といった事件の膨大な記録を一つ一つひもとき,その地理的・時期的分布や背景,処分などを多角的に分析することで,いわば「我慢の同盟」であったその実相を生き生きと描き出す。

プロフィール

柿崎 一郎(かきざき いちろう)
横浜市立大学国際教養学部教授
1971年生まれ。1999年,東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。横浜市立大学国際文化学部専任講師,同助教授,同国際総合科学部准教授,同教授を経て,2019年より現職。博士(学術)。第17回大平正芳記念賞(『タイ経済と鉄道 1885~1935年』),第2回鉄道史学会住田奨励賞(『鉄道と道路の政治経済学 タイの交通政策と商品流通1935~1975年』),第40回交通図書賞(『都市交通のポリティクス バンコク1886~2012年』),第30回大同生命地域研究奨励賞を受賞。
主要著書 『タイ経済と鉄道 1885~1935年』(日本経済評論社,2000年),Laying the Tracks: The Thai Economy and its Railways 1885―1935 (Kyoto University Press,2005年),『鉄道と道路の政治経済学 タイの交通政策と商品流通1935~1975年』(京都大学学術出版会,2009年),『都市交通のポリティクス バンコク1886~2012年』(京都大学学術出版会,2014年),Trams, Buses, and Rails: The History of Urban Transport in Bangkok (Silkworm Books,2014年),『タイ鉄道と日本軍 鉄道の戦時動員の実像1941~1945年』(京都大学学術出版会,2018年),Scramble for Rails: Japanese Military Transport on Thai Railways during World War II(White Lotus, 2020年)など。

関連書・関連サイト

柿崎一郎著 タイ鉄道と日本軍

目次

図・表一覧

序章 日本兵とタイ人の関係
   第1節 戦地における兵と住民
   第2節 日本とタイの特殊な関係
   第3節 本書のねらいと概要
第1章 タイにおける日本軍
   第1節 日本軍の軍事行動
   第2節 日本軍の駐屯地
   第3節 日本人の訪問地
   第4節 バンコクの日本軍
   第5節 日本人の足跡
第2章 交通事故
   第1節 交通事故の概要
   第2節 サームロー事故
   第3節 自動車・電車事故
   第4節 二輪車・歩行者事故
   第5節 交通事故の背景
第3章 騒動
   第1節 騒動の概要
   第2節 酒酔い騒動
   第3節 サームロー・女性騒動
   第4節 暴行・恐喝
   第5節 騒動の背景
第4章 窃盗
   第1節 窃盗の概要
   第2節 電信・金属線の窃盗
   第3節 繊維・金属の窃盗
   第4節 車両・石油の窃盗
   第5節 窃盗の背景
第5章 強盗・襲撃
   第1節 強盗・襲撃の概要
   第2節 開戦時の衝突
   第3節 日本側による強盗・襲撃
   第4節 タイ側による強盗・襲撃
   第5節 強盗・襲撃の背景
第6章 検挙
   第1節 憲兵制度の確立
   第2節 検挙の概要
   第3節 窃盗・盗品入手容疑による検挙者
   第4節 抗日・扇動容疑による検挙者
   第5節 合同検挙の限界
終章 日タイ同盟の実像
   第1節 変化する関係
   第2節 抗日運動の影響
   第3節 我慢の同盟
   第4節 今後の課題

 附表
 引用資料
 引用文献
 引用ホームページ

あとがき

事項索引
人名索引
地名索引
このページの先頭へ