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ヒトは,たとえ顕示的でないにせよ常に消滅と隣り合わせである。これを死や絶滅を左右する「マクロな極限」とすれば,日々の生存に関わる社会行動を規定する,何某かの変化への気づき,すなわち「ミクロな極限」が社会にはある。この両者が常に連関し合いながら社会の在り方を決定づける。人類社会の進化に迫る学際共同研究の最終形。
足立 薫(あだち かおる)
京都産業大学現代社会学部准教授
1968年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『人間性の起源と進化』(共著,昭和堂,2003年),『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年).
伊藤詞子(いとう のりこ)
京都大学野生動物研究センター・アフリカ地域研究資料センター研究員
1971年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『インタラクションの接続と境界』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research(共編著,Cambridge University Press,2015年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年),『ものの人類学2』(共著,京都大学学術出版会,2019年)など.
内堀基光(うちぼり もとみつ)
一橋大学名誉教授,放送大学名誉教授
1948年生まれ.オーストラリア国立大学太平洋地域研究所博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『人類学研究――環境問題の文化人類学』(共編著,放送大学教育振興会,2010年),『「ひと学」への招待』(放送大学教育振興会,2012年),『人類文化の現在――人類学研究』(共編著,放送大学教育振興会,2016年)など.
大村敬一(おおむら けいいち)
放送大学教授
1966年生まれ.早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了,博士(文学).
主な著書に,Self and Other Images of Hunter-Gatherers(共編著,National Museum of Ethnology,2002年),『文化人類学研究――先住民の世界』(共編著,放送大学教育振興会,2005年),『極北と森林の記憶――イヌイットと北西海岸インディアンのアート』(昭和堂,2009年),『グーバリゼーションの人類学――争いと和解の諸相』(共編著,放送大学教育振興会,2011年),『カナダ・イヌイトの民族誌――日常的実践のダイナミクス』(大阪大学出版会,2013年),『宇宙人類学の挑戦――人類の未来を問う』(共編著,昭和堂,2014年),The World Multiple: The Quotidian Politics of Knowing and Generating Entangled Worlds(共編著,Routledge,2018年)など.
春日直樹(かすが なおき)
大阪大学名誉教授,一橋大学名誉教授
1953年生まれ.大阪大学大学院人間科学研究科博士課程退学,博士(人間科学).
主な著書に,『太宰治を人類学者が読む――アレゴリーとしての文化』(新曜社,1998)『太平洋のラスプーチン――ヴィチ・カンバニの歴史人類学』(世界思想社,2001年),『〈遅れ〉の思考――ポストモダンを生きる』(東京大学出版会,2007年),『人類学で世界をみる――医療・生活・政治・経済』(編著,ミネルヴァ書房,2008年),『現実批判の人類学』(編著,世界思想社,2011年),『科学と文化をつなぐ――アナロジーという思考様式』(編著,東京大学出版会,2016年)など.
河合香吏(かわい かおり)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1961年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『野の医療――牧畜民チャムスの身体世界』(東京大学出版会,1998年),『集団――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2009年),『ものの人類学』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2013年),『他者――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2016年),『ものの人類学2』(共編著,京都大学学術出版会,2019年)など.
北村光二(きたむら こうじ)
岡山大学名誉教授
1949年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.
主な著書に,『人間性の起源と進化』(共編著,昭和堂,2003年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『動物と出会うⅡ――心と社会の生成』(ナカニシヤ出版,2015年),『遊牧の思想――人類学がみる激動のアフリカ』(共著,昭和堂,2019年)など.
黒田末寿(くろだ すえひさ)
滋賀県立大学名誉教授
1947念生まれ.京都大学理学研究科満期退学,理学博士.
主な著書に,『人類進化再考――社会生成の考古学』(以文社1999年),『自然学の未来――自然との共感』(弘文堂2002年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年).『科学と文化をつなぐ――アナロジーという思考様式』(共著,東京大学出版会,2016年),『ものの人類学 2』(共著,京都大学学術出版会,2019年)など.
杉山祐子(すぎやま ゆうこ)
弘前大学人文社会科学部教授
1958年生まれ.筑波大学歴史人類学研究科単位取得退学.博士(地域研究).
主な著書に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共著,京都大学学術出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『地方都市とローカリティー』(共著,弘前大学出版会,2016年)など.
スプレイグ,デイビッド(David Sprague)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構専門員
1958年生まれ.エール大学人類学 Ph.D.
主な著書に,Primates Face to Face: Human and Non-Human Primate Interconnections and Conservation(共著,Cambridge University Press,2002年),『サルの生涯,ヒトの生涯』(京都大学学術出版会,2004年),The Macaque Connection(共著,Springer,2012年),『人間活動と生態系』(共著,共立出版,2015年)
曽我 亨(そが とおる)
弘前大学人文社会科学部教授
1964年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『シベリアとアフリカの遊牧民』(共著,東北大学出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年),『遊牧の思想』(共編著,昭和堂,2019年)など.
竹ノ下祐二(たけのした ゆうじ)
中部学院大学看護リハビリテーション学部教授
1970年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『シリーズ21世紀の動物科学4 性と生殖』(共著,培風館,2007年),『セックスの人類学』(共編著,春風社,2009年),「他者――人類社会の進化』(共著,京都大学出版会,2016年),『正解は一つじゃない――子育てする動物たち』(共著,東京大学出版会,2019年)など.
田中雅一(たなか まさかず)
国際ファッション専門職大学教授.
1955年生まれ.ロンドン大学経済政治学院(LSE)博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『暴力の文化人類学』(編著,京都大学学術出版会,1998年),『女神――聖と性の人類学』(編著,平凡社,1998年),『供犠世界の変貌』(法蔵館,2002年),『癒しとイヤラシ エロスの文化人類学』(筑摩書房,2010年),『誘惑する文化人類学――コンタクト・ゾーンの世界へ』(世界思想社,2018年),『フェティシズム研究全3卷』(編著,京都大学学術出版会,2009-16年),『コンタクト・ゾーンの人文学 全4卷』(共編著,晃洋書房,2011-12年),『トラウマ研究 全2卷』(共編著,京都大学学術出版会,2018-19年)など.
寺嶋秀明(てらしま ひであき)
神戸学院大学人文学部教授
1951年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.
主な著書に,『共生の森』(東京大学出版会,1997年),『講座生態人類学7 エスノ・サイエンス』(共編著,京都大学学術出版会,2002年),『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『平等論――霊長類と人における社会と平等性の進化』(ナカニシヤ書店,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Social Learning and Innovation in Contemporary Hunter-Gatherers: Evolutionary and Ethnographic Perspectives(共編著,Springer-Japan, 2016年)など.
床呂郁哉(ところ いくや)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授.
1965年生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退.博士(学術).
著書に『越境――スールー海域世界から』(岩波書店,1999年).『「もの」の人類学』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『グローバリゼーションズ――人類学,歴史学,地域研究の視点から』(共編著,弘文堂,2012年),『東南アジアのイスラーム』(共編著,東京外国語大学出版会(2012年),『人はなぜフィールドに行くのか――フィールドワークへの誘い』(編著,東京外国語大学出版会,2015年),An Anthropology of Things(共編著,Kyoto University Press & rans Pacific Press,2018年)など.
中川尚史(なかがわ なおふみ)
京都大学大学院理学研究科教授
1960年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了.理学博士.
主な著書に,『サルの食卓――採食生態学入門』(平凡社,1994年),『食べる速さの生態学――サルたちの採食戦略』(京都大学学術出版会,1999年),『サバンナを駆けるサル――パタスモンキーの生態と社会』(京都大学学術出版会,2007年),The Japanese Macaques(共編著,Springer,2010年),『日本のサル学のあした――霊長類研究という「人間学」の可能性』(共編著,京都通信社,2012年),Monkeys, Apes, and Humans: Primatology in Japan(共著,Springer,2012年),『野生動物の行動観察法――実践日本の哺乳類学』(共著,東京大学出版会,2013年),『“ふつう”のサルが語るヒトの起源と進化』(ぷねうま舎,2015年),『日本のサル――哺乳類学としてのニホンザル研究』(共編著,東京大学出版会,2017年)など.
中村美知夫(なかむら みちお)
京都大学大学院理学研究科准教授
1971年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(理学).
主な著書に,『チンパンジー――ことばのない彼らが語ること』(中公新書,2009年),『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共編著,昭和堂,2010年),『「サル学」の系譜――人とチンパンジーの50年』(中公叢書,2015年)など.
西井凉子(にしい りょうこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1959年生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学.総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程中途退学.博士(文学).
主な書著に,『死をめぐる実践宗教――南タイのムスリム・仏教徒関係へのパースペクティヴ』(世界思想社,2001年),『社会空間の人類学――マテリアリティ・主体・モダニティ』(世界思想社,共編著,2006年),『時間の人類学――情動・自然・社会空間』(世界思想社,編著,2011年),『情動のエスノグラフィ――南タイの村で感じる*つながる*生きる』(京都大学学術出版会,2013年)など.
西江仁徳(にしえ ひとなる)
日本学術振興会特別研究員RPD・京都大学大学院理学研究科.
1976年生まれ,京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学,博士(理学).
主な著書に,『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research (共著,Cambridge University Press,2015年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年)など.
花村俊吉(はなむら しゅんきち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員
1980年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程研究指導認定退学,修士(理学).
主な著書に,『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『動物と出会うⅠ――出会いの相互行為』(共著,ナカニシヤ出版,2015年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research(共著,Cambridge University Press,2015年)など.
船曳建夫(ふなびき たけお)
東京大学名誉教授
1948年生まれ.ケンブリッジ大学大学院社会人類学博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『国民文化が生れる時』(共編著,リブロポート,1994年),『「日本人論」再考』(講談社学術文庫,2010年),Living Field(東京大学総合研究博物館,2012年)など.
京都産業大学現代社会学部准教授
1968年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『人間性の起源と進化』(共著,昭和堂,2003年),『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年).
伊藤詞子(いとう のりこ)
京都大学野生動物研究センター・アフリカ地域研究資料センター研究員
1971年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『インタラクションの接続と境界』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research(共編著,Cambridge University Press,2015年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年),『ものの人類学2』(共著,京都大学学術出版会,2019年)など.
内堀基光(うちぼり もとみつ)
一橋大学名誉教授,放送大学名誉教授
1948年生まれ.オーストラリア国立大学太平洋地域研究所博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『人類学研究――環境問題の文化人類学』(共編著,放送大学教育振興会,2010年),『「ひと学」への招待』(放送大学教育振興会,2012年),『人類文化の現在――人類学研究』(共編著,放送大学教育振興会,2016年)など.
大村敬一(おおむら けいいち)
放送大学教授
1966年生まれ.早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了,博士(文学).
主な著書に,Self and Other Images of Hunter-Gatherers(共編著,National Museum of Ethnology,2002年),『文化人類学研究――先住民の世界』(共編著,放送大学教育振興会,2005年),『極北と森林の記憶――イヌイットと北西海岸インディアンのアート』(昭和堂,2009年),『グーバリゼーションの人類学――争いと和解の諸相』(共編著,放送大学教育振興会,2011年),『カナダ・イヌイトの民族誌――日常的実践のダイナミクス』(大阪大学出版会,2013年),『宇宙人類学の挑戦――人類の未来を問う』(共編著,昭和堂,2014年),The World Multiple: The Quotidian Politics of Knowing and Generating Entangled Worlds(共編著,Routledge,2018年)など.
春日直樹(かすが なおき)
大阪大学名誉教授,一橋大学名誉教授
1953年生まれ.大阪大学大学院人間科学研究科博士課程退学,博士(人間科学).
主な著書に,『太宰治を人類学者が読む――アレゴリーとしての文化』(新曜社,1998)『太平洋のラスプーチン――ヴィチ・カンバニの歴史人類学』(世界思想社,2001年),『〈遅れ〉の思考――ポストモダンを生きる』(東京大学出版会,2007年),『人類学で世界をみる――医療・生活・政治・経済』(編著,ミネルヴァ書房,2008年),『現実批判の人類学』(編著,世界思想社,2011年),『科学と文化をつなぐ――アナロジーという思考様式』(編著,東京大学出版会,2016年)など.
河合香吏(かわい かおり)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1961年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『野の医療――牧畜民チャムスの身体世界』(東京大学出版会,1998年),『集団――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2009年),『ものの人類学』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2013年),『他者――人類社会の進化』(編著,京都大学学術出版会,2016年),『ものの人類学2』(共編著,京都大学学術出版会,2019年)など.
北村光二(きたむら こうじ)
岡山大学名誉教授
1949年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.
主な著書に,『人間性の起源と進化』(共編著,昭和堂,2003年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『動物と出会うⅡ――心と社会の生成』(ナカニシヤ出版,2015年),『遊牧の思想――人類学がみる激動のアフリカ』(共著,昭和堂,2019年)など.
黒田末寿(くろだ すえひさ)
滋賀県立大学名誉教授
1947念生まれ.京都大学理学研究科満期退学,理学博士.
主な著書に,『人類進化再考――社会生成の考古学』(以文社1999年),『自然学の未来――自然との共感』(弘文堂2002年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年).『科学と文化をつなぐ――アナロジーという思考様式』(共著,東京大学出版会,2016年),『ものの人類学 2』(共著,京都大学学術出版会,2019年)など.
杉山祐子(すぎやま ゆうこ)
弘前大学人文社会科学部教授
1958年生まれ.筑波大学歴史人類学研究科単位取得退学.博士(地域研究).
主な著書に,『アフリカ地域研究と農村開発』(共著,京都大学学術出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『地方都市とローカリティー』(共著,弘前大学出版会,2016年)など.
スプレイグ,デイビッド(David Sprague)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構専門員
1958年生まれ.エール大学人類学 Ph.D.
主な著書に,Primates Face to Face: Human and Non-Human Primate Interconnections and Conservation(共著,Cambridge University Press,2002年),『サルの生涯,ヒトの生涯』(京都大学学術出版会,2004年),The Macaque Connection(共著,Springer,2012年),『人間活動と生態系』(共著,共立出版,2015年)
曽我 亨(そが とおる)
弘前大学人文社会科学部教授
1964年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『シベリアとアフリカの遊牧民』(共著,東北大学出版会,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年),『遊牧の思想』(共編著,昭和堂,2019年)など.
竹ノ下祐二(たけのした ゆうじ)
中部学院大学看護リハビリテーション学部教授
1970年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,博士(理学).
主な著書に,『シリーズ21世紀の動物科学4 性と生殖』(共著,培風館,2007年),『セックスの人類学』(共編著,春風社,2009年),「他者――人類社会の進化』(共著,京都大学出版会,2016年),『正解は一つじゃない――子育てする動物たち』(共著,東京大学出版会,2019年)など.
田中雅一(たなか まさかず)
国際ファッション専門職大学教授.
1955年生まれ.ロンドン大学経済政治学院(LSE)博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『暴力の文化人類学』(編著,京都大学学術出版会,1998年),『女神――聖と性の人類学』(編著,平凡社,1998年),『供犠世界の変貌』(法蔵館,2002年),『癒しとイヤラシ エロスの文化人類学』(筑摩書房,2010年),『誘惑する文化人類学――コンタクト・ゾーンの世界へ』(世界思想社,2018年),『フェティシズム研究全3卷』(編著,京都大学学術出版会,2009-16年),『コンタクト・ゾーンの人文学 全4卷』(共編著,晃洋書房,2011-12年),『トラウマ研究 全2卷』(共編著,京都大学学術出版会,2018-19年)など.
寺嶋秀明(てらしま ひであき)
神戸学院大学人文学部教授
1951年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.
主な著書に,『共生の森』(東京大学出版会,1997年),『講座生態人類学7 エスノ・サイエンス』(共編著,京都大学学術出版会,2002年),『集団――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2009年),『平等論――霊長類と人における社会と平等性の進化』(ナカニシヤ書店,2011年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Social Learning and Innovation in Contemporary Hunter-Gatherers: Evolutionary and Ethnographic Perspectives(共編著,Springer-Japan, 2016年)など.
床呂郁哉(ところ いくや)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授.
1965年生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退.博士(学術).
著書に『越境――スールー海域世界から』(岩波書店,1999年).『「もの」の人類学』(共編著,京都大学学術出版会,2011年),『グローバリゼーションズ――人類学,歴史学,地域研究の視点から』(共編著,弘文堂,2012年),『東南アジアのイスラーム』(共編著,東京外国語大学出版会(2012年),『人はなぜフィールドに行くのか――フィールドワークへの誘い』(編著,東京外国語大学出版会,2015年),An Anthropology of Things(共編著,Kyoto University Press & rans Pacific Press,2018年)など.
中川尚史(なかがわ なおふみ)
京都大学大学院理学研究科教授
1960年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了.理学博士.
主な著書に,『サルの食卓――採食生態学入門』(平凡社,1994年),『食べる速さの生態学――サルたちの採食戦略』(京都大学学術出版会,1999年),『サバンナを駆けるサル――パタスモンキーの生態と社会』(京都大学学術出版会,2007年),The Japanese Macaques(共編著,Springer,2010年),『日本のサル学のあした――霊長類研究という「人間学」の可能性』(共編著,京都通信社,2012年),Monkeys, Apes, and Humans: Primatology in Japan(共著,Springer,2012年),『野生動物の行動観察法――実践日本の哺乳類学』(共著,東京大学出版会,2013年),『“ふつう”のサルが語るヒトの起源と進化』(ぷねうま舎,2015年),『日本のサル――哺乳類学としてのニホンザル研究』(共編著,東京大学出版会,2017年)など.
中村美知夫(なかむら みちお)
京都大学大学院理学研究科准教授
1971年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学,博士(理学).
主な著書に,『チンパンジー――ことばのない彼らが語ること』(中公新書,2009年),『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共編著,昭和堂,2010年),『「サル学」の系譜――人とチンパンジーの50年』(中公叢書,2015年)など.
西井凉子(にしい りょうこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
1959年生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学.総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程中途退学.博士(文学).
主な書著に,『死をめぐる実践宗教――南タイのムスリム・仏教徒関係へのパースペクティヴ』(世界思想社,2001年),『社会空間の人類学――マテリアリティ・主体・モダニティ』(世界思想社,共編著,2006年),『時間の人類学――情動・自然・社会空間』(世界思想社,編著,2011年),『情動のエスノグラフィ――南タイの村で感じる*つながる*生きる』(京都大学学術出版会,2013年)など.
西江仁徳(にしえ ひとなる)
日本学術振興会特別研究員RPD・京都大学大学院理学研究科.
1976年生まれ,京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学,博士(理学).
主な著書に,『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research (共著,Cambridge University Press,2015年),『他者――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2016年)など.
花村俊吉(はなむら しゅんきち)
京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員
1980年生まれ.京都大学大学院理学研究科博士課程研究指導認定退学,修士(理学).
主な著書に,『インタラクションの境界と接続――サル・人・会話研究から』(共著,昭和堂,2010年),『制度――人類社会の進化』(共著,京都大学学術出版会,2013年),『動物と出会うⅠ――出会いの相互行為』(共著,ナカニシヤ出版,2015年),Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research(共著,Cambridge University Press,2015年)など.
船曳建夫(ふなびき たけお)
東京大学名誉教授
1948年生まれ.ケンブリッジ大学大学院社会人類学博士課程修了,Ph.D.
主な著書に,『国民文化が生れる時』(共編著,リブロポート,1994年),『「日本人論」再考』(講談社学術文庫,2010年),Living Field(東京大学総合研究博物館,2012年)など.
序章 生存・環境・極限
―― 人類社会の進化史的基盤を求めて[河合香吏]
1 絶滅と隣り合わせの生存――「極限」を問う問題意識1
2 変化への気づきと生き残り――「極限」を問う問題意識2
3 「なくなること」と極限・社会・文化
4 対象とアプローチの幅――「極限」を論じる多様な視角
5 極限概念の配置図(Ontology of concepts)
6 本書の構成
第1部 生きられる極限――自然と社会のあわい
第1章 極限としての〈いきおい〉
――移動する群れの社会性[足立 薫]
Keyword:移動 環境 いきおい ゆくえ 予期 非構造
1 移動からみた社会のかたち
2 移動する環境を捉える
3 移動の成り立ち
4 移動の極限と混群
5 極限を生きる――ニッチ,非構造,時間
第2章 社会の果てで
――現在という極限が生み出す世界[伊藤詞子]
Keyword:端=〈いま・ここ〉,不具合,不安定,不完全,環境(とりまくもの),離合集散,自然,チンパンジー
1 社会の果て
2 はじまりとおわりの今
3 今を変える
4 今は過去にしばられもする
5 いまが生み出すもの
第3章 極限のオントロギー
――イヌイトの生業システムと近代のシステムにみる人類の社会性の進化史的基盤[大村敬一]
Keyword:カナダ・イヌイト,生業システム,「大地」,近代,グローバル・ネットワーク
1 はじめに
2 イヌイトの生業活動の現実における極限
3 イヌイトの生業システム――世界を持続的に生成する装置
4 イヌイトの生業システムにおける極限
5 末期近代における極限――グローバル・ネットワーク拡張のエンジン
6 極限のオントロギー――人類の社会性の進化史的基盤
第4章 死亡率 生活史としての理解と生態学としての理解[D.スプレイグ]
Keyword:持続性、死亡率、人口学、生態学、生活史
1 はじめに
2 生態学と生活史理論における死亡率
3 r戦略とK戦略の生活史
4 ヒトはK戦略か,r戦略か?
5 人類にとっての環境収容力
6 狩猟採集民の生活と環境収容力
7 生活史理論と少子化
8 考察 生活史進化の行く末
第5章 人新世という極限[竹ノ下祐二]
Keyword:人新世,物語,ナラティヴ
1 人類の生存環境の極限
2 極限的環境としての人新世
3 人新世をもたらした人間の特性
4 世界の物語化と超越的視点
5 超越的視点の起源
6 人新世のパラドクスと未来志向性
7 物語の自走
8 極限としての人新世に関する二つの見方
第2部 作り出される極限1――社会環境と生存
第6章 チンパンジーの孤児の生存をめぐって
――「母親の不在」は極限的な社会環境か[中村美知夫]
Keyword:チンパンジー,孤児,母親の不在,アロケア,生活史
1 はじめに――ヒトに特別な生活史上の特徴?
2 ヒト特有な生活史特徴と関連する人類進化の議論
3 野生チンパンジーの孤児
4 野生チンパンジーのアロケア
5 終わりに
第7章 新入りメスがはぐれるとき
――チンパンジーの別れと再会からみたヒトの共存の様態とその「極」[花村俊吉]
Keyword:別れ方,別れの挨拶,再会を可能にする機序,同じ集団のメンバーであること,新入りメス/既住個体,プロセス志向・物語探索/ゴール指向・物語遂行
1 別れと再会からみた共存の様態
2 新入りメスと他個体の関係――既住メスとの差異・連続性
3 チンパンジーの別れと再会
4 集団のメンバーであり続けるかどうかの極
5 別れ方と再会を可能にする機序――ヒトとの比較
第8章 社会の特異点としての孤独化
――野生チンパンジーが孤独になるとき[西江仁徳]
Keyword:構造/非構造化,正則性/特異点,潜在性/現実化
1 生き物と極限
2 伊谷純一郎の構造/非構造
3 チンパンジー社会の離合集散の果て――集団からの離脱と長期単独生活
4 チンパンジーのオスの単独性
5 野生チンパンジーのオスが孤独になるとき
6 社会の特異点としての孤独化
第9章 牧畜民の遊動再考
――東アフリカ・ドドスの「極限」への対処をめぐって[河合香吏]
Keyword:東アフリカ牧畜民,家畜キャンプ移動,家畜の略奪,共同実践,記憶と予見
1 はじめに――遊動生活と「極限」状況
2 ドドスの遊動生活――分散居住と家畜キャンプの移動
3 キャンプ移動の契機
4 「敵」の存在様態
5 おわりに――記憶と予見と共同実践
第10章 「見えないもの」という極限から生きる世界を考える
――精霊と死者と放射能を手がかりに[西井凉子]
Keyword:見えないもの,予測と予期,精霊,死者,放射能,呪術と科学
1 「見えない」ものという極限
2 「予測」
3 「予期」
4 日常的実践における予測と予期――未来志向と現在志向
第11章 ハザード状況下における環境と生存に関する試論
――フィリピン南部ミンダナオ紛争と福島原発事故・放射能災害における極限状況の比較から[床呂郁哉]
Keyword:ハザード,ミンダナオ紛争,福島第一原発,放射能災害,自然的極限と社会的極限,例外状態,人新世
1 極限状況下の生存と環境をめぐって
2 フィリピン南部のミンダナオ紛争の事例
3 福島原発事故の事例から
4 まとめと考察――ふたつの極限とそのハイブリッド,人新世をめぐって
第3部 作り出される極限2――記憶と想像の力
第12章 自民族愛と他民族憎悪のあいだ[曽我 亨]
Keyword:文化進化論,利他行動,紛争,牧畜民
1 紛争のなか生きる
2 戦争への対処
3 極限から抜け出す
4 他集団への共感と憎悪
第13章 人口極限集団の生存戦略
――ムボトゥゴトゥ1976年[船曳建夫]
Keyword:生存戦略,人口減少,消滅,儀礼
1 人口とその内訳
2 土地の権利と儀礼の権利
3 伝統の売り買いと,新たな「伝統」の市場
4 結論――集団,家族,個人の戦略
第14章 相互行為システムのコミュニケーションと「社会」というコンテキスト
――「地域社会の消滅」という極限に向き合うコミュニケーションを手がかりに[北村光二]
Keyword:相互行為,社会,社会システム,協働のコミュニケーション,二重の選択
1 人間の社会・文化の進化
2 白石島における「協働のコミュニケーション」
3 島社会の存亡に関わる問題への対処
4 人類史における「社会の再生産(=存続)」という課題
5 「社会」はどこから来るのか?
第15章 極限としての亡失
――絶滅と消滅[内堀基光]
Keyword:実在の亡失,範疇の亡失,文化=生態的なニッチ,タタウ人,ネアンデルタール人
1 亡失の語り
2 ブキタンとタタウの場合
3 ネアンデルタール人の「絶滅」はどう語られるか
4 進化の語り方
5 亡失語りの意義
第16章 極限を生きる売春女性
――インド・ムンバイの調査から[田中雅一]
Keyword:売春,セックスワーク,デーヴァダーシー,ヒンドゥー教
1 カマティプラ
2 女性たちの語り
3 デーヴァダーシー
4 売春女性の絶望,顧客関係,家族関係
5 生殖と性的快楽の分離について
第17章 極限の必然――パプアニューギニアの成人式から考える[春日直樹]
Keyword:物質と精神,成人式,生殖力,呪術
1 成人式の過程
2 それぞれの立場からみた成人式
3 女の能力,男による統制
4 特別な女祭司
5 結
第4部 人類進化史に刻まれる極限
第18章 極限化する出産と誕生
――苦難の隘路の祝福[黒田末寿]
Keyword:産科のジレンマ,児頭骨盤不均衡,難産,助産介助,オキシトシン,ストレス耐性,LABOR仮説,Terminivore
1 人間は難産なのだろうか?
2 極限を食む Terminivore
3 出産と誕生の極限相
4 産科のジレンマ:極限化した出産
5 助産介助進化の仮説と無介助出産の歴史
6 霊長類に共有される産みの苦しみ
7 出産の危機に対する助産介助と医療
8 隘路通過の意義:LABOR仮説と産科のジレンマの読み直し
第19章 ヒト的な様態としての調理加工の共同と生存
――食が社会にひらかれるとき[杉山祐子]
Keyword:食,調理加工,共同,半自然環境,共食,女性,子ども,生存
1 料理仮説,人類史における食性の変化と環境
2 極相化する環境と変化――半自然環境の生成
3 現代のアフリカ農民における調理加工の共同――ベンバ農村の事例から
4 子どもたちの食と調理加工の共同
5 「外部化」された食を取り戻す人類史的意味
第20章 現生霊長類の群れが生存できる環境を推定するモデルからアルディピテクス・ラミダスの生息環境を探る[中川尚史]
Keyword:群れ,環境,活動時間割合,時間的制約,現生霊長類,化石人類
1 群れとしての生存と時間的制約というダンバーの発想
2 ヒヒの群れ生存の時間的制約モデル
3 群れ生存の時間的制約モデルを化石人類アウストラロピテクスへ適用する
4 改訂版私論――アルディピテクスの進化モデルとしてのサバンナモンキー
5 群れ生存の時間的制約モデルを化石人類アルディピテクスへ適用する
6 まとめにかえて
第21章 異なる人々との出会いと進化的・文化的スイングバイ[寺嶋秀明]
Keyword:サピエンス,交替劇,アフリカ熱帯雨林,狩猟採集民,通婚
1 旅のはじまり
2 アフリカ熱帯雨林の狩猟採集民と農耕民
3 共に生きられる世界
4 出会いと別れ――新天地へのスイングバイ
あとがき[河合香吏]
索 引
著者紹介
―― 人類社会の進化史的基盤を求めて[河合香吏]
1 絶滅と隣り合わせの生存――「極限」を問う問題意識1
2 変化への気づきと生き残り――「極限」を問う問題意識2
3 「なくなること」と極限・社会・文化
4 対象とアプローチの幅――「極限」を論じる多様な視角
5 極限概念の配置図(Ontology of concepts)
6 本書の構成
第1部 生きられる極限――自然と社会のあわい
第1章 極限としての〈いきおい〉
――移動する群れの社会性[足立 薫]
Keyword:移動 環境 いきおい ゆくえ 予期 非構造
1 移動からみた社会のかたち
2 移動する環境を捉える
3 移動の成り立ち
4 移動の極限と混群
5 極限を生きる――ニッチ,非構造,時間
第2章 社会の果てで
――現在という極限が生み出す世界[伊藤詞子]
Keyword:端=〈いま・ここ〉,不具合,不安定,不完全,環境(とりまくもの),離合集散,自然,チンパンジー
1 社会の果て
2 はじまりとおわりの今
3 今を変える
4 今は過去にしばられもする
5 いまが生み出すもの
第3章 極限のオントロギー
――イヌイトの生業システムと近代のシステムにみる人類の社会性の進化史的基盤[大村敬一]
Keyword:カナダ・イヌイト,生業システム,「大地」,近代,グローバル・ネットワーク
1 はじめに
2 イヌイトの生業活動の現実における極限
3 イヌイトの生業システム――世界を持続的に生成する装置
4 イヌイトの生業システムにおける極限
5 末期近代における極限――グローバル・ネットワーク拡張のエンジン
6 極限のオントロギー――人類の社会性の進化史的基盤
第4章 死亡率 生活史としての理解と生態学としての理解[D.スプレイグ]
Keyword:持続性、死亡率、人口学、生態学、生活史
1 はじめに
2 生態学と生活史理論における死亡率
3 r戦略とK戦略の生活史
4 ヒトはK戦略か,r戦略か?
5 人類にとっての環境収容力
6 狩猟採集民の生活と環境収容力
7 生活史理論と少子化
8 考察 生活史進化の行く末
第5章 人新世という極限[竹ノ下祐二]
Keyword:人新世,物語,ナラティヴ
1 人類の生存環境の極限
2 極限的環境としての人新世
3 人新世をもたらした人間の特性
4 世界の物語化と超越的視点
5 超越的視点の起源
6 人新世のパラドクスと未来志向性
7 物語の自走
8 極限としての人新世に関する二つの見方
第2部 作り出される極限1――社会環境と生存
第6章 チンパンジーの孤児の生存をめぐって
――「母親の不在」は極限的な社会環境か[中村美知夫]
Keyword:チンパンジー,孤児,母親の不在,アロケア,生活史
1 はじめに――ヒトに特別な生活史上の特徴?
2 ヒト特有な生活史特徴と関連する人類進化の議論
3 野生チンパンジーの孤児
4 野生チンパンジーのアロケア
5 終わりに
第7章 新入りメスがはぐれるとき
――チンパンジーの別れと再会からみたヒトの共存の様態とその「極」[花村俊吉]
Keyword:別れ方,別れの挨拶,再会を可能にする機序,同じ集団のメンバーであること,新入りメス/既住個体,プロセス志向・物語探索/ゴール指向・物語遂行
1 別れと再会からみた共存の様態
2 新入りメスと他個体の関係――既住メスとの差異・連続性
3 チンパンジーの別れと再会
4 集団のメンバーであり続けるかどうかの極
5 別れ方と再会を可能にする機序――ヒトとの比較
第8章 社会の特異点としての孤独化
――野生チンパンジーが孤独になるとき[西江仁徳]
Keyword:構造/非構造化,正則性/特異点,潜在性/現実化
1 生き物と極限
2 伊谷純一郎の構造/非構造
3 チンパンジー社会の離合集散の果て――集団からの離脱と長期単独生活
4 チンパンジーのオスの単独性
5 野生チンパンジーのオスが孤独になるとき
6 社会の特異点としての孤独化
第9章 牧畜民の遊動再考
――東アフリカ・ドドスの「極限」への対処をめぐって[河合香吏]
Keyword:東アフリカ牧畜民,家畜キャンプ移動,家畜の略奪,共同実践,記憶と予見
1 はじめに――遊動生活と「極限」状況
2 ドドスの遊動生活――分散居住と家畜キャンプの移動
3 キャンプ移動の契機
4 「敵」の存在様態
5 おわりに――記憶と予見と共同実践
第10章 「見えないもの」という極限から生きる世界を考える
――精霊と死者と放射能を手がかりに[西井凉子]
Keyword:見えないもの,予測と予期,精霊,死者,放射能,呪術と科学
1 「見えない」ものという極限
2 「予測」
3 「予期」
4 日常的実践における予測と予期――未来志向と現在志向
第11章 ハザード状況下における環境と生存に関する試論
――フィリピン南部ミンダナオ紛争と福島原発事故・放射能災害における極限状況の比較から[床呂郁哉]
Keyword:ハザード,ミンダナオ紛争,福島第一原発,放射能災害,自然的極限と社会的極限,例外状態,人新世
1 極限状況下の生存と環境をめぐって
2 フィリピン南部のミンダナオ紛争の事例
3 福島原発事故の事例から
4 まとめと考察――ふたつの極限とそのハイブリッド,人新世をめぐって
第3部 作り出される極限2――記憶と想像の力
第12章 自民族愛と他民族憎悪のあいだ[曽我 亨]
Keyword:文化進化論,利他行動,紛争,牧畜民
1 紛争のなか生きる
2 戦争への対処
3 極限から抜け出す
4 他集団への共感と憎悪
第13章 人口極限集団の生存戦略
――ムボトゥゴトゥ1976年[船曳建夫]
Keyword:生存戦略,人口減少,消滅,儀礼
1 人口とその内訳
2 土地の権利と儀礼の権利
3 伝統の売り買いと,新たな「伝統」の市場
4 結論――集団,家族,個人の戦略
第14章 相互行為システムのコミュニケーションと「社会」というコンテキスト
――「地域社会の消滅」という極限に向き合うコミュニケーションを手がかりに[北村光二]
Keyword:相互行為,社会,社会システム,協働のコミュニケーション,二重の選択
1 人間の社会・文化の進化
2 白石島における「協働のコミュニケーション」
3 島社会の存亡に関わる問題への対処
4 人類史における「社会の再生産(=存続)」という課題
5 「社会」はどこから来るのか?
第15章 極限としての亡失
――絶滅と消滅[内堀基光]
Keyword:実在の亡失,範疇の亡失,文化=生態的なニッチ,タタウ人,ネアンデルタール人
1 亡失の語り
2 ブキタンとタタウの場合
3 ネアンデルタール人の「絶滅」はどう語られるか
4 進化の語り方
5 亡失語りの意義
第16章 極限を生きる売春女性
――インド・ムンバイの調査から[田中雅一]
Keyword:売春,セックスワーク,デーヴァダーシー,ヒンドゥー教
1 カマティプラ
2 女性たちの語り
3 デーヴァダーシー
4 売春女性の絶望,顧客関係,家族関係
5 生殖と性的快楽の分離について
第17章 極限の必然――パプアニューギニアの成人式から考える[春日直樹]
Keyword:物質と精神,成人式,生殖力,呪術
1 成人式の過程
2 それぞれの立場からみた成人式
3 女の能力,男による統制
4 特別な女祭司
5 結
第4部 人類進化史に刻まれる極限
第18章 極限化する出産と誕生
――苦難の隘路の祝福[黒田末寿]
Keyword:産科のジレンマ,児頭骨盤不均衡,難産,助産介助,オキシトシン,ストレス耐性,LABOR仮説,Terminivore
1 人間は難産なのだろうか?
2 極限を食む Terminivore
3 出産と誕生の極限相
4 産科のジレンマ:極限化した出産
5 助産介助進化の仮説と無介助出産の歴史
6 霊長類に共有される産みの苦しみ
7 出産の危機に対する助産介助と医療
8 隘路通過の意義:LABOR仮説と産科のジレンマの読み直し
第19章 ヒト的な様態としての調理加工の共同と生存
――食が社会にひらかれるとき[杉山祐子]
Keyword:食,調理加工,共同,半自然環境,共食,女性,子ども,生存
1 料理仮説,人類史における食性の変化と環境
2 極相化する環境と変化――半自然環境の生成
3 現代のアフリカ農民における調理加工の共同――ベンバ農村の事例から
4 子どもたちの食と調理加工の共同
5 「外部化」された食を取り戻す人類史的意味
第20章 現生霊長類の群れが生存できる環境を推定するモデルからアルディピテクス・ラミダスの生息環境を探る[中川尚史]
Keyword:群れ,環境,活動時間割合,時間的制約,現生霊長類,化石人類
1 群れとしての生存と時間的制約というダンバーの発想
2 ヒヒの群れ生存の時間的制約モデル
3 群れ生存の時間的制約モデルを化石人類アウストラロピテクスへ適用する
4 改訂版私論――アルディピテクスの進化モデルとしてのサバンナモンキー
5 群れ生存の時間的制約モデルを化石人類アルディピテクスへ適用する
6 まとめにかえて
第21章 異なる人々との出会いと進化的・文化的スイングバイ[寺嶋秀明]
Keyword:サピエンス,交替劇,アフリカ熱帯雨林,狩猟採集民,通婚
1 旅のはじまり
2 アフリカ熱帯雨林の狩猟採集民と農耕民
3 共に生きられる世界
4 出会いと別れ――新天地へのスイングバイ
あとがき[河合香吏]
索 引
著者紹介