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長く愛読されながら、学術的価値を疑問視されてきた『英雄伝』に、歴史・哲学・文学の分野から分析を加えた新研究。「伝記」という新たなジャンルを開拓し、旧来の形式を打ち破った、新たなプルタルコス像に迫る。
松原 俊文(まつばら としぶみ)[第1章]
早稲田大学、中央大学、東洋大学、法政大学大学院・非常勤講師。研究テーマ:ギリシア・ローマ歴史叙述史
主な業績
「ディオドロス『シチリア奴隷反乱記』の情報源」(『西洋古典学研究LI』、2003年)、「ローマ共和政偉人伝 De viris illustribus urbis Romae 解題・訳」(『地中海研究所紀要』4、2006年)、「『ローマ人の物語』――誰の物語?」(『西洋史論叢』31、2009年)、“Hornblower’s Thucydides”, Hyperboreus: Studia Classica 18, 2012; “Out of Many, One? An Aspect of the Public Rôle of Roman Historiography”, Kodai: Journal of Ancient History 16, 2015.
澤田 典子(さわだ のりこ)[第2章]
千葉大学教育学部教授。研究テーマ:マケドニア王国史、前4世紀のギリシア政治史
主な業績
『アテネ 最期の輝き』(岩波書店、2008年)、『アテネ民主政――命をかけた八人の政治家』(講談社、2010年)、『アレクサンドロス大王――今に生きつづける「偉大なる王」』(山川出版社、2013年)、“Social Customs and Institutions: Aspects of Macedonian Elite Society”, in: J. Roisman & I. Worthington (eds.), A Companion to Ancient Macedonia, Wiley-Blackwell, 2010; “Aeschines, Hyperides, Lycurgus”, in: G. Martin (ed.), The Oxford Handbook of Demosthenes, Oxford UP, 2018.
佐藤 昇(さとう のぼる)[編者、第3章]
神戸大学大学院人文学研究科准教授。研究テーマ:古代ギリシアの法と社会、修辞、歴史叙述
主な業績
『民主政アテナイの賄賂言説』(山川出版社、2008年)、『歴史の見方・考え方――大学で学ぶ「考える歴史」』(編著、山川出版社、2018年)、“‘Aristocracy’ and Athenian Diplomacy”, in: N. Fisher & H. van Wees(eds.), Aristocracy in Antiquity: Redefining Greek and Roman Elites, The Classical Press of Wales, 2015; “Use and Abuse of Legal Procedures to Impede the Legal Process”, in: C. Carey et al. (eds.), Use and Abuse of Law in the Athenian Courts, Brill, 2018.
近藤 智彦(こんどう ともひこ)[第4章]
北海道大学大学院文学研究科准教授。研究テーマ:古代ギリシア・ローマ哲学、西洋古典学
主な業績
「ヘレニズム哲学」(神崎繁・熊野純彦・鈴木泉編『西洋哲学史II――「知」の変貌・「信」の階梯』講談社,2011年)、「古代ギリシア・ローマの哲学における愛と結婚――プラトンからムソニウス・ルフスへ」(藤田尚志・宮野真生子編『愛・性・家族の哲学① 愛――結婚は愛のあかし?』ナカニシヤ出版、2016年)、“Plato against Plato? Carneades’ anti-Stoic strategy”, in: Y. Z. Liebersohn, I. Ludlam & A. Edelheit (eds.), For a Skeptical Peripatetic: Festschrift in Honour of John Glucker, Academia Verlag, 2017; “Stoic Happiness as Self-Activity”, in: A. Altobrando, T. Niikawa & R. Stone (eds.), The Realizations of the Self, Palgrave Macmillan, 2018.
木原 志乃(きはら しの)[編者、第5章]
國學院大學文学部哲学科教授。研究テーマ: 西洋古代哲学史、ギリシア医学思想史
主な業績
『流転のロゴス――ヘラクレイトスとギリシア医学』(昭和堂、2010年)、「エンペドクレスとアナクサゴラス」(神崎繁、熊野純彦、鈴木泉編『西洋哲学史Ⅰ――「ある」の衝撃からはじまる』(講談社、2011年)。翻訳は、ガレノス『ヒッポクラテスとプラトンの学説1』(共訳、京都大学学術出版会、2005年)、「気息について」(『魂について/自然学小論集』、アリストテレス全集7、岩波書店、2014年)。
瀬口 昌久(せぐち まさひさ)[第6章]
名古屋工業大学大学院工学研究科教授。研究テーマ:西洋古代哲学・工学倫理
主な業績
『魂と世界――プラトンの反二元論的世界像』(京都大学学術出版会、2002年)、『老年と正義――西洋古代思想にみる老年の哲学』(名古屋大学出版会、2011年)、「プルタルコスの指導者像と哲人統治の思想」(『西洋古典学研究LXIV』、2016年)。翻訳は、プルタルコス『モラリア1~2』(京都大学学術出版会、2001年、2008年)、アリストテレス『政治学、家政論』(共訳、アリストテレス全集17、岩波書店、2018年)。
中谷 彩一郎(なかたに さいいちろう)[第7章]
慶應義塾大学文学部准教授。研究テーマ:ローマ帝政下のギリシア文学とその受容
主な業績
“A Re-examination of Some Structural Problems in Achilles Tatius’ Leucippe and Clitophon”, Ancient Narrative 3, 2003; アキレウス・タティオス『レウキッペとクレイトポン』(訳・解説、京都大学学術出版会,2008年)、「フィレータースの物語」(大芝芳弘・小池登編『西洋古典学の明日へ』、知泉書館、2010年)、“The First Japanese Translation of Daphnis & Chloe”, in: Marília P. F. Pinheiro, D. Konstan & B. D. MacQueen (eds.), Cultural Crossroads in the Ancient Novel, De Gruyter, 2018.
勝又 泰洋(かつまた やすひろ)[第8章]
京都大学ほか非常勤講師。研究テーマ:第二次ソフィスト思潮(Second Sophistic)
主な業績
“Lucian’s Description of Herodotus in the Herodotus”(『文芸学研究』16、2012年)、「ピロストラトス『テュアナのアポッローニオス』における「ダミスが言うには」と「彼らが言うには」の表現」(『西洋古典学研究LXV』2017年)、“Narrator Interventions in Philostratus’ Apollonius”(『神話学研究』1、2017年)。
小池 登(こいけ のぼる)[編者、序章、第9章]
首都大学東京人文社会学部准教授。研究テーマ:西洋古典学、特にギリシア文学
主な業績
『ピンダロス祝勝歌研究』(知泉書館、2010年)、『西洋古典学の明日へ』(共編著、知泉書館、2010年)、「アイスキュロス『ペルサイ』93-101行の位置に関する文献学的考察」(『哲学誌』60、2018年)、「伝サッルスティウス『カエサル宛書簡一』」(訳・解説、『サッルスティウス関連小品集(翻訳・注・解説)』、慶應義塾大学言語文化研究所、2015年)。
早稲田大学、中央大学、東洋大学、法政大学大学院・非常勤講師。研究テーマ:ギリシア・ローマ歴史叙述史
主な業績
「ディオドロス『シチリア奴隷反乱記』の情報源」(『西洋古典学研究LI』、2003年)、「ローマ共和政偉人伝 De viris illustribus urbis Romae 解題・訳」(『地中海研究所紀要』4、2006年)、「『ローマ人の物語』――誰の物語?」(『西洋史論叢』31、2009年)、“Hornblower’s Thucydides”, Hyperboreus: Studia Classica 18, 2012; “Out of Many, One? An Aspect of the Public Rôle of Roman Historiography”, Kodai: Journal of Ancient History 16, 2015.
澤田 典子(さわだ のりこ)[第2章]
千葉大学教育学部教授。研究テーマ:マケドニア王国史、前4世紀のギリシア政治史
主な業績
『アテネ 最期の輝き』(岩波書店、2008年)、『アテネ民主政――命をかけた八人の政治家』(講談社、2010年)、『アレクサンドロス大王――今に生きつづける「偉大なる王」』(山川出版社、2013年)、“Social Customs and Institutions: Aspects of Macedonian Elite Society”, in: J. Roisman & I. Worthington (eds.), A Companion to Ancient Macedonia, Wiley-Blackwell, 2010; “Aeschines, Hyperides, Lycurgus”, in: G. Martin (ed.), The Oxford Handbook of Demosthenes, Oxford UP, 2018.
佐藤 昇(さとう のぼる)[編者、第3章]
神戸大学大学院人文学研究科准教授。研究テーマ:古代ギリシアの法と社会、修辞、歴史叙述
主な業績
『民主政アテナイの賄賂言説』(山川出版社、2008年)、『歴史の見方・考え方――大学で学ぶ「考える歴史」』(編著、山川出版社、2018年)、“‘Aristocracy’ and Athenian Diplomacy”, in: N. Fisher & H. van Wees(eds.), Aristocracy in Antiquity: Redefining Greek and Roman Elites, The Classical Press of Wales, 2015; “Use and Abuse of Legal Procedures to Impede the Legal Process”, in: C. Carey et al. (eds.), Use and Abuse of Law in the Athenian Courts, Brill, 2018.
近藤 智彦(こんどう ともひこ)[第4章]
北海道大学大学院文学研究科准教授。研究テーマ:古代ギリシア・ローマ哲学、西洋古典学
主な業績
「ヘレニズム哲学」(神崎繁・熊野純彦・鈴木泉編『西洋哲学史II――「知」の変貌・「信」の階梯』講談社,2011年)、「古代ギリシア・ローマの哲学における愛と結婚――プラトンからムソニウス・ルフスへ」(藤田尚志・宮野真生子編『愛・性・家族の哲学① 愛――結婚は愛のあかし?』ナカニシヤ出版、2016年)、“Plato against Plato? Carneades’ anti-Stoic strategy”, in: Y. Z. Liebersohn, I. Ludlam & A. Edelheit (eds.), For a Skeptical Peripatetic: Festschrift in Honour of John Glucker, Academia Verlag, 2017; “Stoic Happiness as Self-Activity”, in: A. Altobrando, T. Niikawa & R. Stone (eds.), The Realizations of the Self, Palgrave Macmillan, 2018.
木原 志乃(きはら しの)[編者、第5章]
國學院大學文学部哲学科教授。研究テーマ: 西洋古代哲学史、ギリシア医学思想史
主な業績
『流転のロゴス――ヘラクレイトスとギリシア医学』(昭和堂、2010年)、「エンペドクレスとアナクサゴラス」(神崎繁、熊野純彦、鈴木泉編『西洋哲学史Ⅰ――「ある」の衝撃からはじまる』(講談社、2011年)。翻訳は、ガレノス『ヒッポクラテスとプラトンの学説1』(共訳、京都大学学術出版会、2005年)、「気息について」(『魂について/自然学小論集』、アリストテレス全集7、岩波書店、2014年)。
瀬口 昌久(せぐち まさひさ)[第6章]
名古屋工業大学大学院工学研究科教授。研究テーマ:西洋古代哲学・工学倫理
主な業績
『魂と世界――プラトンの反二元論的世界像』(京都大学学術出版会、2002年)、『老年と正義――西洋古代思想にみる老年の哲学』(名古屋大学出版会、2011年)、「プルタルコスの指導者像と哲人統治の思想」(『西洋古典学研究LXIV』、2016年)。翻訳は、プルタルコス『モラリア1~2』(京都大学学術出版会、2001年、2008年)、アリストテレス『政治学、家政論』(共訳、アリストテレス全集17、岩波書店、2018年)。
中谷 彩一郎(なかたに さいいちろう)[第7章]
慶應義塾大学文学部准教授。研究テーマ:ローマ帝政下のギリシア文学とその受容
主な業績
“A Re-examination of Some Structural Problems in Achilles Tatius’ Leucippe and Clitophon”, Ancient Narrative 3, 2003; アキレウス・タティオス『レウキッペとクレイトポン』(訳・解説、京都大学学術出版会,2008年)、「フィレータースの物語」(大芝芳弘・小池登編『西洋古典学の明日へ』、知泉書館、2010年)、“The First Japanese Translation of Daphnis & Chloe”, in: Marília P. F. Pinheiro, D. Konstan & B. D. MacQueen (eds.), Cultural Crossroads in the Ancient Novel, De Gruyter, 2018.
勝又 泰洋(かつまた やすひろ)[第8章]
京都大学ほか非常勤講師。研究テーマ:第二次ソフィスト思潮(Second Sophistic)
主な業績
“Lucian’s Description of Herodotus in the Herodotus”(『文芸学研究』16、2012年)、「ピロストラトス『テュアナのアポッローニオス』における「ダミスが言うには」と「彼らが言うには」の表現」(『西洋古典学研究LXV』2017年)、“Narrator Interventions in Philostratus’ Apollonius”(『神話学研究』1、2017年)。
小池 登(こいけ のぼる)[編者、序章、第9章]
首都大学東京人文社会学部准教授。研究テーマ:西洋古典学、特にギリシア文学
主な業績
『ピンダロス祝勝歌研究』(知泉書館、2010年)、『西洋古典学の明日へ』(共編著、知泉書館、2010年)、「アイスキュロス『ペルサイ』93-101行の位置に関する文献学的考察」(『哲学誌』60、2018年)、「伝サッルスティウス『カエサル宛書簡一』」(訳・解説、『サッルスティウス関連小品集(翻訳・注・解説)』、慶應義塾大学言語文化研究所、2015年)。
序章(小池 登)
第1部 過去を語る、過去を作る
第1章 伝記と歴史の境界を越えて
――英雄伝というジャンルの誕生(松原俊文)
はじめに
第1節 伝記と歴史の境界
第2節 伝記の伝記
第3節 「対比列伝」の背景
おわりに
第2章 「英雄」アレクサンドロス
――人物像に込められた同時代の思いと後世への影響(澤田典子)
はじめに
第1節 シンボルとしての「アレクサンドロス」
1. ローマにおける「アレクサンドロス」
2. プルタルコスにとっての「アレクサンドロス」
第2節 プルタルコスの描く「アレクサンドロス」
第3節 プルタルコスの思い
第4節 プルタルコスの影響
1. アレクサンドロス
2. ピリッポス2世とオリュンピアス
おわりに
第3章 陶片追放と民衆の妬み
――情報源の利用と同時代への配慮(佐藤 昇)
はじめに
第1節 問題の所在――陶片追放と民衆の妬み
第2節 古典期ギリシア人の陶片追放理解
第3節 メガクレスの陶片追放とピンダロスの妬み
第4節 前4世紀、ヘレニズム時代のギリシア人著作家とプルタルコス
第5節 同時代への配慮
おわりに
第2部 伝記を綴る哲学者
第4章 〈受容〉する女性
――プルタルコスの女性論・結婚論の哲学的背景(近藤智彦)
はじめに
第1節 女性の徳と男性の徳
第2節 女性的なるもの
第3節 夫婦の愛情
おわりに
第5章 可知と不可知のはざま
――自然の不可思議現象と知的探究のはじまり(木原志乃)
はじめに
第1節 『英雄伝』で語られる自然の不可思議現象
第2節 『モラリア』で語られるナフサ現象
――目から流出する光線の自然学
第3節 自然現象の驚きから始まる原因探究
――『モラリア』(及び『英雄伝』)に通底する哲学的態度
おわりに
第6章 実践的な生と伝記の執筆
――『英雄伝』の指導者像と哲人統治の思想(瀬口昌久)
はじめに
第1節 政治的生と哲学的生
第2節 中期プラトン主義者としてのプルタルコス
第3節 哲人統治の思想は放棄されているのか
――『モラリア』と哲人統治思想
第4節 『英雄伝』と哲人統治の思想
1. 『ヌマ伝』と『キケロ伝』における哲人統治の実現
2. 『ディオン伝』――実現できなかった哲人統治
おわりに――実践倫理と哲人統治思想
第3部 表現技法の模索
第7章 対比の技法を探る
――「比較シュンクリシス」の独自性と効果(中谷彩一郎)
はじめに
第1節 『英雄伝』の構成
第2節 デモステネスとキケロ
第3節 テセウスとロムルス
第4節 ペリクレスとファビウス・マクシムス
第5節 デメトリオスとアントニウス
第6節 コリオラヌスとアルキビアデス
第7節 「比較シュンクリシス」の役割
おわりに
第8章 語り手の自己呈示と読み手の形成
――読者を引き込む語りの仕掛け(勝又泰洋)
はじめに
第1節 低姿勢な語り手
第2節 「教師」および「生徒」としての語り手
第3節 語りの相手としてのセネキオ
第4節 語り手による読み手への要求
第5節 積極的な読み手
おわりに
第9章 『英雄伝』の発表順序
――循環する相互参照が伝えるもの(小池 登)
はじめに
第1節 問題の概要
第2節 同時出版の可能性
第3節 改訂挿入の可能性
第4節 得られる見取り図と今後の展望
おわりに
付・『英雄伝』の自己言及一覧
あとがき
索引(固有名詞・事項・出典箇所)
第1部 過去を語る、過去を作る
第1章 伝記と歴史の境界を越えて
――英雄伝というジャンルの誕生(松原俊文)
はじめに
第1節 伝記と歴史の境界
第2節 伝記の伝記
第3節 「対比列伝」の背景
おわりに
第2章 「英雄」アレクサンドロス
――人物像に込められた同時代の思いと後世への影響(澤田典子)
はじめに
第1節 シンボルとしての「アレクサンドロス」
1. ローマにおける「アレクサンドロス」
2. プルタルコスにとっての「アレクサンドロス」
第2節 プルタルコスの描く「アレクサンドロス」
第3節 プルタルコスの思い
第4節 プルタルコスの影響
1. アレクサンドロス
2. ピリッポス2世とオリュンピアス
おわりに
第3章 陶片追放と民衆の妬み
――情報源の利用と同時代への配慮(佐藤 昇)
はじめに
第1節 問題の所在――陶片追放と民衆の妬み
第2節 古典期ギリシア人の陶片追放理解
第3節 メガクレスの陶片追放とピンダロスの妬み
第4節 前4世紀、ヘレニズム時代のギリシア人著作家とプルタルコス
第5節 同時代への配慮
おわりに
第2部 伝記を綴る哲学者
第4章 〈受容〉する女性
――プルタルコスの女性論・結婚論の哲学的背景(近藤智彦)
はじめに
第1節 女性の徳と男性の徳
第2節 女性的なるもの
第3節 夫婦の愛情
おわりに
第5章 可知と不可知のはざま
――自然の不可思議現象と知的探究のはじまり(木原志乃)
はじめに
第1節 『英雄伝』で語られる自然の不可思議現象
第2節 『モラリア』で語られるナフサ現象
――目から流出する光線の自然学
第3節 自然現象の驚きから始まる原因探究
――『モラリア』(及び『英雄伝』)に通底する哲学的態度
おわりに
第6章 実践的な生と伝記の執筆
――『英雄伝』の指導者像と哲人統治の思想(瀬口昌久)
はじめに
第1節 政治的生と哲学的生
第2節 中期プラトン主義者としてのプルタルコス
第3節 哲人統治の思想は放棄されているのか
――『モラリア』と哲人統治思想
第4節 『英雄伝』と哲人統治の思想
1. 『ヌマ伝』と『キケロ伝』における哲人統治の実現
2. 『ディオン伝』――実現できなかった哲人統治
おわりに――実践倫理と哲人統治思想
第3部 表現技法の模索
第7章 対比の技法を探る
――「比較シュンクリシス」の独自性と効果(中谷彩一郎)
はじめに
第1節 『英雄伝』の構成
第2節 デモステネスとキケロ
第3節 テセウスとロムルス
第4節 ペリクレスとファビウス・マクシムス
第5節 デメトリオスとアントニウス
第6節 コリオラヌスとアルキビアデス
第7節 「比較シュンクリシス」の役割
おわりに
第8章 語り手の自己呈示と読み手の形成
――読者を引き込む語りの仕掛け(勝又泰洋)
はじめに
第1節 低姿勢な語り手
第2節 「教師」および「生徒」としての語り手
第3節 語りの相手としてのセネキオ
第4節 語り手による読み手への要求
第5節 積極的な読み手
おわりに
第9章 『英雄伝』の発表順序
――循環する相互参照が伝えるもの(小池 登)
はじめに
第1節 問題の概要
第2節 同時出版の可能性
第3節 改訂挿入の可能性
第4節 得られる見取り図と今後の展望
おわりに
付・『英雄伝』の自己言及一覧
あとがき
索引(固有名詞・事項・出典箇所)