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環境マインドで未来を拓け

いのちをまもる工学の60年

「環境工学への誘い」刊行委員会 編

A5並製, 342 pages

ISBN: 9784814001774

pub. date: 08/18

  • Price : JPY 2,000 (with tax: JPY 2,200)
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推薦

◉山極壽一氏(京都大学総長)推薦
「環境××学」というような,環境の文字を冠した研究が流行する昨今,自分たちこそ体を張って<環境マインド>を育んできたと自負する人たちがいます。かつての衛生工学の流れをくむ,環境工学者たちです。文字通り「生を衛る」(いのちをまもる)学問として誕生し,時には,危険な物質を垂れ流す者たちと身を張って闘いながら,安全・安心な社会基盤を作ってきた人々です。中でも京都大学の環境工学は,大気・水問題から放射能汚染まで,すべての環境問題を扱える,唯一無二の研究・教育システムを作り上げました。机上で,評論家的に環境を論じるのではない,現場で問題と格闘し解決の術を探ってきた科学者たちの心意気を,この本から掴んでください。

書評

『水道産業新聞』2018.8.23付 記事

プロフィール

松井 三郎(まつい さぶろう)
京都大学名誉教授,専門は環境微量汚染物質制御,地球環境学(1966年卒)

笠原 三紀夫(かさはら みきお)
京都大学名誉教授,専門は大気環境科学,エアロゾル学,エネルギー環境学(1966年卒)

森澤 眞輔(もりさわ しんすけ)
京都大学名誉教授,専門は環境リスク工学,放射線衛生工学,土壌・地下水環境管理(1969年卒)

津野 洋(つの ひろし)
京都大学名誉教授,専門は水質工学(1970年卒)

松岡 譲(まつおか ゆずる)
京都大学名誉教授,専門は環境システム工学(1973年卒)

伊藤 禎彦(いとう さだひこ)
京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 環境システム工学講座 都市衛生工学分野教授,専門は水供給システム,水質衛生(1984年卒)

高岡 昌輝(たかおか まさき)
京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 環境デザイン工学講座 教授,専門は廃棄物処理・処分・管理,(1991年卒)

目次

環境工学に若い力を ─ 刊行にあたって

第1部
座談会 産・官・学それぞれの中での挑戦
〈環境マインド〉を育み,社会に実装する

環境工学は「不人気学問」か?
行政マンとして,難しいが社会に活かせる環境工学
環境工学という〈マーケット〉は確実に広い
問題への「予防接種」のように効いてくる環境工学
「終わった分野に何故?」という変化球で考える
公害国家からの脱却をリードした環境工学出身者
社会(マーケット)の要求と環境工学
「環境オリエンテッド」の中で,環境工学の特色を出す
現実の問題に,科学的根拠を持って向き合う力
「環境屋で生きるんだ」という意欲をどう集めるか
学部時代に基礎的トレーニングを積むことの大切さ

コラム 溶融
コラム 上下水道のアセットマネジメントと PPP/ PFI
コラム 水循環基本法

第2部
人は環境問題とどう闘ってきたか
環境工学の歴史と課題

はじめに─ 衛生(命を衛る)の思想
1 人類史の中で捉える環境工学の課題
1-1 産業革命による人の生の大変革
1-2 産業革命がもたらす環境変動
1-3 地球規模の環境問題と,それを解決する国際社会の取り組み
1-4 脱炭素革命のはじまりとSDGs達成に向けた課題― これからの地球環境問題と国際社会

ティータイム 日本のCO2排出量
コラム 社会・科学・地球環境政策の橋渡しをする環境システム学

2 日本の環境問題との闘い
2-1 日本における〈環境問題と政策〉の推移
2-2 大気汚染,騒音・悪臭の歴史
2-3 水質汚濁・土壌汚染
2-4 廃棄物
2-5 放射能汚染
2-6 地球規模での環境問題

コラム 膜ろ過
ティータイム 大気中のCO2濃度

3 京都大学衛生工学科の設立とその後の展開
3-1 衛生工学科の創設
3-2 学部教育プログラムの変遷
3-3 教育研究組織の変遷
3-4 大学院教育プログラムの変遷
3-5 社会的活動と卒業生の動向
3-6 国際化と国際協力

第3部
Invitation from Pioneers
先達からの招待状

〈強制〉から生まれる新分野への挑戦 [末石 冨太郎]
大転換期に環境問題を研究する者の使命 ─ 弱者優先の技術開発と自然共生文明の創出 [内藤 正明]
世界の廃棄物処理の潮流 [田中 勝]
私の『環境学』講義 [稲場紀久雄]
私立大学での研究・教育に従事して [山田 淳]
エコトキシコロジーの世界へ [青山 勳]
将来世代に優しい社会・環境を [笠原 三紀夫]
初心忘れがたし [松井 三郎]
PC から離れてフィールドに出よう,通説も疑ってみよう,環境は変わる [海老瀬潜一]
生物工学のすすめ ─ 個人史から [塩谷 捨明]
変容する課題に惑わされない武器をもつ─ 多様な学問の知見という拠り所 [芝 定孝]
環境放射能安全研究に従事して [福井 正美]
衛生工学研究の真髄と本懐 [森澤 眞輔]
循環型社会研究の経験から再考する持続可能性─ 環境学の変遷と課題 [盛岡 通]
生命危機の総合的な把握と管理─ 私の研究史と水環境の将来 [河原 長美]
水質保全を担う環境工学 [津野 洋]
社会システム論としてみた環境問題と環境学の未来 [岡田 憲夫]
快適環境研究と途上国での技術実装─ 一卒業生の経験と若い力への期待 [河村 清史]
時を超えて人類に貢献する環境工学─ 断片的な研究の記憶から [小山 昭夫]
衛生工学の面白さに魅かれた人生 [松下 潤]
難しくて面白い環境技術の世界 [竺 文彦]
研究と技術を最適化する若い力への期待─ 水環境に関する水工学的アプローチの経験から [松尾 直規]
閃きと感動─ 渦の発生数研究に取り組んで [八木 俊策]
4大学を渡り歩いて [石川 宗孝]
工学のコアとしての環境工学 [松岡 譲]
これから環境学を学ぶ若い人たちへ─ 環境学を開発途上国で実践する [酒井 彰]
大きな責任と学問的妙味 [細井 由彦]
公害・環境問題の社会・経済性 [若井 郁次郎]
環境工学への誘い [市川 新]
リスクマインドが開く環境工学の明日 [内山 巌雄]
持続可能な環境の創成を担う [中西 弘]

第4部
研究室紹介
京都大学の環境工学の現在

循環型社会における,廃棄物の有効利用および適切な管理を目指して [環境デザイン工学講座]
環境からの健康リスクの低減を求めて [環境衛生学講座]
健全な水環境の保全と創造を目指して [環境システム工学講座 水環境工学分野]
ひとと環境の健康・安全を科学する [環境システム工学講座 環境リスク工学分野]
統合評価モデルを用いた地球環境シミュレーションと政策提言
[環境システム工学講座 大気・熱環境工学分野]
都市・地域への水供給問題を通じ,生を衛る「衛生」理念の実現へ向けて
[環境システム工学講座 都市衛生工学分野]
分子レベルから流域レベルまでの環境質管理を研究
[物質環境工学講座 環境質管理分野(流域圏総合環境質研究センター)]
環境質の向上と評価,環境汚染の防止と環境の修復のために
[物質環境工学講座 環境質予見分野(流域圏総合環境質研究センター)]
廃棄物から社会を視る,その知見を循環型社会形成へ
[物質環境工学講座 環境保全工学分野(環境科学センター)]
安全で安心な職場を支える新技術を探究する [物質環境工学講座 安全衛生工学分野(安全科学センター)]
放射能等の汚染物質の環境動態・安全評価・環境浄化の研究
[物質環境工学講座 放射能環境動態分野(複合原子力科学研究所)]
放射性廃棄物管理に関する工学的研究 [物質環境工学講座 放射性廃棄物管理分野(複合原子力科学研究所)]
水環境の保全・管理,物質の循環利用の促進,省エネルギー産業の構築
[地球環境学堂 地球親和技術学廊 環境調和型産業論]
大気環境科学と L C T に基づく人間活動の環境影響評価
[エネルギー科学研究科 エネルギー社会・環境科学専攻 エネルギー環境学分野]

〈環境マインド〉のルーツと京都の知の伝統─ あとがきに代えて

索引
編者略歴
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