経済システムの崩壊とハイパーインフレを緊急に克服するという意味では，ネオリベラリズムは一部の地域，特に南米と東欧で一定の成功を示した。しかし，その重篤な副作用としての格差の拡大固定，民主主義の形骸化や人間的な社会関係の喪失は，強く批判されている。ネオリベラリズムとは世界史にとって何だったのか。現場から検証する。

【編者】
仙石　学（せんごく　まなぶ）　序章および第1章担当
1964年生　北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授
比較政治学，中東欧比較政治経済専攻
最近の業績は「動揺するヨーロッパ　—中東欧諸国はどこに活路を求めるのか？」村上勇介・帯谷知可編『融解と再創造の世界秩序』（青弓社，2016年），『ネオリベラリズムの実践現場　—中東欧・ロシアとラテンアメリカ』（村上勇介と共編）（京都大学学術出版会，2013年）他。

【執筆者】
小森宏美（こもり　ひろみ）　第2章担当
1969年生　早稲田大学教育・総合科学学術院教授
ロシア・東欧現代史専攻
最近の業績は，『パスポート学』（陳天璽他と共編著）（北海道大学出版会，2016年），『変動期ヨーロッパの社会科教育　—多様性と統合』（編著）（学文社，2016年）他。

中田瑞穂（なかだ　みずほ）　第3章担当
1968年生　明治学院大学国際学部教授
東中欧比較政治・比較政治史専攻
最近の業績は「チェコにおけるポスト社会主義のハイブリッド福祉レジーム」新川敏光編『福祉レジーム』（ミネルヴァ書房，2015年），『「農民と労働者の民主主義」　—戦間期チェコスロヴァキア政治史』（名古屋大学出版会，2012年）他。

横田正顕（よこた　まさあき）　第4章担当
1964年生　東北大学大学院法学研究科教授
比較政治，欧州政治史専攻
最近の業績は「南欧政治における代表と統合の背理　—欧州債務危機とデモクラシーの縮減」日本政治学会編『代表と統合の政治変容』（木鐸社，2015年），「危機の中のスペイン自治州国家　—再集権化とカタルーニャ独立問題」『法学（東北大学）』第80巻第1号（2016）他。

出岡直也（いづおか　なおや）　第5章担当
1959年生　慶應義塾大学法学部教授
ラテンアメリカ地域研究，政治学専攻
最近の業績は「参加型予算（ブラジル，ポルト・アレグレ市）」篠原一編『討議デモクラシーの挑戦　—ミニ・パブリックスが拓く新しい政治』（岩波書店，2012年），「協同セルフヘルプ型（「クラブ財型」）集合行為におけるコミットメントと忠誠　——　ラテンアメリカの事例から」日本政治学会編『政治における忠誠と倫理の理念化』（木鐸社，2011年）他。

村上勇介（むらかみ　ゆうすけ）　第6章担当
1964年生　京都大学東南アジア地域研究センター准教授
ラテンアメリカ地域研究，政治学専攻
最近の業績は『融解と再創造の世界秩序』（帯谷知可との共編）（青弓社，2016年），『21世紀ラテンアメリカの挑戦─ネオリベラリズムによる亀裂を超えて』（編著）（京都大学学術出版会，2015年），他。