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プリミエ・コレクション 74

蚕糸と現代中国

倪 卉

A5上製, 328 pages

ISBN: 9784814000210

pub. date: 03/16

  • Price : JPY 4,000 (with tax: JPY 4,400)
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内容

中国との交易路がシルクロードと呼ばれたように、蚕糸業は古くから中国の重要な産業であった。伝統的に江蘇省と浙江省で盛んであったが、近年になって、養蚕や製糸は広西自治区や雲南省で勃興してきた。計画経済から市場経済へ移行する経済環境の変化により,中国における養蚕業と製糸業の生産地域移動およびそのメカニズムを分析する。

プロフィール

倪 卉(に き,NI Hui)
立命館大学言語教育センター嘱託講師
1978年,中国北京市生まれ
京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学,博士(経済学) (京都大学,2012年)
2014年4月より現職
専門
経済学,農業経済,中国経済
主著
Ni Hui and Hisano S. (2014) “ Development of Contract Farming in Chinese Sericulture and the Silk Industry". Chapter 9 in: Louis Augustin-Jean and Bjorn Alpermann eds., The Political Economy of Agro-Food Markets in China: The Social Construction of the Markets in an Era of Globalization (Palgrave Macmillan, 2014) , 倪卉・屈達才「論現階段广西蚕業発展的策略」《广西蚕業》 (2013年第50卷第4期),倪卉「中国蚕糸業の展開と現状——浙江省と江蘇省の事例を中心に」『調査と研究』 (第35号,2007年10月)など。

目次

序 章 蚕糸業の縦糸と横糸——伝統と地域比較を探る
第一節 蚕糸業の経済学的論点
第二節 蚕糸業をめぐる先行研究
 一 日本蚕糸業の諸研究
 二 中国蚕糸業の諸研究
 三 アグリビジネス研究
 四 中国農業経済研究における龍頭企業と契約農業
第三節 養蚕地域への現地調査
第四節 本書の構成

第一章 中国における養蚕業および製糸業の発展
第一節 養蚕業の生産過程
 一 桑の栽培
 二 養蚕
第二節 繭と生糸の流通構造
 一 繭と生糸の生産と流通構造
 二 繭産品価格「双軌制」の開始
第三節 繭供給,製糸およびシルク製品
 一 中国糸綢公司の変遷とシルク産業政策
 二 糸綢公司撤廃後——繭市場の混乱と原料繭供給量の不安定
 三 生糸の生産准産証制度と製糸業の構造再編

第二章 養蚕業および製糸業の産地分布と産地移動
第一節 桑園
 一 1980年代から90年代まで
    ——桑園面積の四川,浙江,江蘇 3省への集中
 二 1990年代以降——生産中心の移動と分散した桑園の分布
第二節 養蚕と繭の産出
 一 蚕種の生産計画と配布
 二 生繭の生産
第三節 桑園,蚕種と繭の地域別生産性
 一 主要養蚕地繊の桑園単位面積当りの繭産出量
 二 蚕種1枚当りの繭生産量
第四節 製糸業およびシルク織物の生産分布
 一 各養蚕地域における製糸業の状況
 二 シルク織物産業の状況
第五節 産地移動と産地の形成
    ——浙江,江蘇,広西の産地状況をめぐって
 一 伝統産地
 二 新興産地

第三章 産地移動の原因とシルク製品貿易の影響
第一節 これまでの分析視角
 一 中国における養蚕の地理と経済環境
 二 政府関与と政策環境の変化
 三 異なる生産方式の形成と龍頭企業の牽引
 四 担い手としての農民組織の形成
第二節 シルク製品の国際貿易構造の変化による生産地域の移動
 一 シルク製品の貿易構造
 二 シルク製品貿易の政策動向
 三 中国貿易額の中でシルク製品輸出が占める割合が減少
 四 シルク製品の輸出品目の変化と輸出商品構造の多層化
 五 シルク貿易の品目別変化と輸出先の二元化
第三節 国内市場における市場の多様化とシルク消費量の増加
 一 国内シルク製品流通の規制緩和
 二 流通形態の多様化と大型販売センターの興隆

第四章 伝統産地の興衰——江蘇省と浙江省
第一節 江浙両省における蚕糸業生産の概観
 一 養蚕業および製糸業の生産状況
 二 養蚕業および製糸業の生産と流通状況
第二節 伝統産地における養蚕減少の要因分析
 一 環境汚染による影響
 二 養蚕収益上の影響
 三 労働力不足による影響
 四 龍頭企業の影響
 五 政府の政策的影響

第五章 伝統産地の躊躇と養蚕地域間の葛藤
    ——インタビューの内容から見た浙江省湖州,海寧と江蘇省海安の事例
第一節 湖州市と湖州市指導站
 一 養蚕減少の状況——2005年インタビュー
 二 繭価の上下問題——2005年インタビュー
 三 養蚕減少がもたらした市場の変化——2009年インタビュー
 四 湖州指導站から見た農民組織と大規模交易市場
   ——2009年インタビュー
 五 湖州市の養蚕農民——朱氏
第二節 海寧市と無錫
 一 海寧概況
 二 海寧市指導站と蚕種場
 三 無錫指導站——伝統産地から見た養蚕業の減少と「東桑西移」
第三節 伝統産地にみられる新たな養蚕製糸の生産方式
    ——いわゆる「海安スタイル」の形成
 一 海安県の地理条件および養蚕状況
 二 江蘇省XY繭糸綢集団股,公司と海安県の蚕糸業
 三 海安県とXY公司の養蚕業への取り込み
 四 海安県養蚕業発展の限界が見えてきた
 五 海安県の養蚕農民の実態

第六章 新興産地——広西壮族自治区の事例
第一節 蚕糸コモディティーチェーンの各部分から見る広西蚕糸業の発展
 一 桑園面積の拡大
 二 蚕の飼育
第二節 繭の生産と流通
 一 繭の流通の構造と新興産地の特徴
 二 繭站の実態
 三 生繭の仲買人の存在
 四 広西大宗繭糸交易市場有限責任公司
第三節 生糸の生産と流通と龍頭企業
 一 製糸業の発展現状
 二 蚕業の産業化と龍頭企業
第四節 広西蚕糸業の発展要因と蚕糸業発展の影響
 一 広西の養蚕業に適した地理と気候条件
 二 換金作物としての優越性
 三 広西政府の奨励政策と技術研究開発部門としての指導站の役割
 四 龍頭企業のリーダ一機能の発揮と農民の再組織化の促進

第七章 指導站,企業,養蚕農民と農民合作社のインタビュー
    記録から見えるもの
第一節 広西蚕業技術指導総站
 一 指導站設立の経緯——2007年インタビュー
 二 広西の養蚕業が発展できた理由について——2007年インタビュー
 三 伝統養蚕地域と比べ,広西の強みがある
 四 広西の自由市場の評価,繭市場と生糸市場の関係
 五 伝統換金作物のサトウキビとの関係について
 六 広西の桑蚕協会について——2007年インタビュー
 七 広西蚕種協会などの組織についての指導站の見解,農民組織が長続きできるか?——2009 年インタビュー
 八 生産地域の移転と東桑西移をどう思うのか
   ——2009年インタビュー
第二節 南寧市横県と柳州市における龍頭企業の事例
 一 広西柳州市LF繭糸有限責任公司
 二 広西南寧市横県GH繭糸綢有限責任公司
第三節 合作社とその役割の検討——LX合作社の事例
一 合作社が設立される背景——養蚕と製糸規模の拡大
二 広西の養蚕農民組織
三 広西蚕糸業の生産流通構造と農民組織の形成
四 広西農民蚕桑専業合作社の事例

終章 伝統と新興の交錯
   ——産地間関係と中国蚕糸業の生産構造の再編
第一節 伝統産地と新興産地の並存
第二節 伝統産地の対策と動き
 一 「東桑西移」のもとで,安定を求める方向
 二 「東桑酉移」の対策としての「安定的発展」策
 三 農業生産責任制下の農民の再組織化
第三節 新興産地の対応
 一 広西の優位性
 二 広西の新たな動き
第四節 結びと今後の課題

付録
 付録地図
 付録表 現地調査一覧表
初出一覧
図表一覧
参考文献
あとがき——謝辞
事項・人名索引
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