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豊かな自然と世界有数の農業生産を誇り,大都市からも近く,いまはクルーズ観光が人気のメコンデルタ。しかしここは20世紀最大の動乱の舞台でもある。いくつもの国家が,統計・分類,文書化,マッピング,暴力を用いてこの地域の人々を捕捉しようとした。しかし,そうすればするほど動乱が拡大する。民族的混淆,流動する人・モノ・情報,闇市や徴兵忌避の寺院等々,デルタ社会の生態歴史文化的特徴のなか「国家の介入しにくい空間」が如何に作られるのか,そのメカニズムを詳細な民族誌で解き明かす。
第25回(2021年度) 国際開発研究 大来賞
第38回 大平正芳記念賞
第43回 アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞
第49回 澁澤賞
ICAS書籍賞2023日本語部門
第38回 大平正芳記念賞
第43回 アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞
第49回 澁澤賞
ICAS書籍賞2023日本語部門
『東南アジア研究』第59巻第2号、343-346頁、評者:小島敬裕氏
https://kyoto-seas.org/wp-content/uploads/2022/01/590204_Bookreview.pdf
早瀬晋三書評ブログ 2021年4月8日
http://shayase88.livedoor.blog/archives/2021-04-08.html
『アジア経済』Vol.63 No.3(2022.9)93-95頁、第43回アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞について 受賞講評:倉沢愛子氏
『アジア・アフリカ地域研究』2022年 第22-1号、118-122頁、評者:今村真央氏
https://kyoto-seas.org/wp-content/uploads/2022/01/590204_Bookreview.pdf
早瀬晋三書評ブログ 2021年4月8日
http://shayase88.livedoor.blog/archives/2021-04-08.html
『アジア経済』Vol.63 No.3(2022.9)93-95頁、第43回アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞について 受賞講評:倉沢愛子氏
『アジア・アフリカ地域研究』2022年 第22-1号、118-122頁、評者:今村真央氏
下條尚志(しもじょう ひさし)
1984年 東京都生まれ。
2007年 慶應義塾大学経済学部卒。
2015年 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程研究指導認定退学。
博士(地域研究)。
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員(2015〜2016年),京都大学東南アジア地域研究研究所機関研究員(2016〜2017年)を経て,2017年より静岡県立大学大学院国際関係学研究科助教。
1984年 東京都生まれ。
2007年 慶應義塾大学経済学部卒。
2015年 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程研究指導認定退学。
博士(地域研究)。
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員(2015〜2016年),京都大学東南アジア地域研究研究所機関研究員(2016〜2017年)を経て,2017年より静岡県立大学大学院国際関係学研究科助教。
口絵
序論
序章 国家の「余白」——メコンデルタ 生き残りの社会史
1 国家の「余白」と人々の生き残り策
2 ソクチャン省フータン社の地域的特徴
3 フィールドワークとオーラル・ヒストリー
4 本書の構成
第1章 生き残り策から問い直す動乱
1 モーラル・エコノミーとベトナム南部
2 多民族社会とその歴史の捉え方
3 国家の介入しにくい空間
4 国境を越えた移動
5 社会国家関係の再検討
第2章 混淆的な多民族社会
1 統計ではみえない「混血」の人々
2 多民族社会の地域性
3 地域社会の混淆性
4 民族をめぐる自他認識
5 人々にとっての民族
第1部 国家の周縁から「余白」ヘ
第3章 紛争と移動——多民族社会の生成
1 国家の周縁部としての地域形成
2 植民地化以降の移民と開発
3 脱植民地化過程の動乱
4 民族間紛争の捉え方
第4章 脱植民地化過程における言語・仏教・帰属
1 仏領期末期のフータン社とカンボジア
2 南ベトナム政府期初期のフータン社とカンボジア
3 帰属問題の表出
4 人々と南ベトナム国家の齟齬
5 クメール語・上座仏教世界の変化に対する反応
第2部 戦時下での生き残り
第5章 戦時国家による地域社会の再編
1 インドシナ戦争直後の地域状況
2 ジエム政権の政策理念
3 「荒地開拓」と「戦略村」
4 「耕す者に田を」と「緑の革命」
5 農村モデルの導入から合理的農民の創出へ
第6章 二つの政治権力の狭間で
1 解放戦線の戦略と地域社会
2 クメール系上座仏教徒と国家
3 国家の戦略と地域社会
第7章 戦時下における不可侵の秩序空間
1 安全な場所への逃避
2 国家の力が及びにくい寺院内秩序
3 兵カ・食糧不足
4 不可侵の秩序空間
第3部 社会主義改造下での生き残り
第8章 社会主義改造による地域社会の再編
1 社会主義改造の経緯
2 農業と商業の社会主義改造
3 宗教と民族の再編
第9章 社会主義改造下のローカルな秩序
1 農村における私生活領域
2 闇経済の生成
3 生存のために残された空間
第10章 生き残り策としての越境
1 難民としての越境
2 冷戦終結以降の越境
3 越境者の背景
4 「穴だらけ」の国境
第4部 過去を踏まえて現在を生きる人々
第11章 二一世紀のクメール人越境者とベトナム国家
1 帰属問題の顕在化
2 越境移動の制度化
3 モノとメディアの越境移動
4 不自由化する越境移動
第12章 混淆的な多民族社会における差異の認識
1 差異と変化をめぐる語り
2 妖術をめぐる他者認識
3 「小さな歴史」と「大きな歴史」のもつれあう場
終章 秩序が紡ぎ出される場としての「余白」
1 国家の「余白」が現れる場
2 混淆的な多民族社会からみえる歴史
3 国境を越えた世界の一部としての多民族社会
4 国家の介入しにくい空間での生き残り
5 揺れ動く政治的立場
6 近代国家の弱さとローカルな秩序の強さ
7 おわりに——国家の「余白」をめぐる再帰的な歴史に向けて
参考文献
あとがき
索 引
序論
序章 国家の「余白」——メコンデルタ 生き残りの社会史
1 国家の「余白」と人々の生き残り策
2 ソクチャン省フータン社の地域的特徴
3 フィールドワークとオーラル・ヒストリー
4 本書の構成
第1章 生き残り策から問い直す動乱
1 モーラル・エコノミーとベトナム南部
2 多民族社会とその歴史の捉え方
3 国家の介入しにくい空間
4 国境を越えた移動
5 社会国家関係の再検討
第2章 混淆的な多民族社会
1 統計ではみえない「混血」の人々
2 多民族社会の地域性
3 地域社会の混淆性
4 民族をめぐる自他認識
5 人々にとっての民族
第1部 国家の周縁から「余白」ヘ
第3章 紛争と移動——多民族社会の生成
1 国家の周縁部としての地域形成
2 植民地化以降の移民と開発
3 脱植民地化過程の動乱
4 民族間紛争の捉え方
第4章 脱植民地化過程における言語・仏教・帰属
1 仏領期末期のフータン社とカンボジア
2 南ベトナム政府期初期のフータン社とカンボジア
3 帰属問題の表出
4 人々と南ベトナム国家の齟齬
5 クメール語・上座仏教世界の変化に対する反応
第2部 戦時下での生き残り
第5章 戦時国家による地域社会の再編
1 インドシナ戦争直後の地域状況
2 ジエム政権の政策理念
3 「荒地開拓」と「戦略村」
4 「耕す者に田を」と「緑の革命」
5 農村モデルの導入から合理的農民の創出へ
第6章 二つの政治権力の狭間で
1 解放戦線の戦略と地域社会
2 クメール系上座仏教徒と国家
3 国家の戦略と地域社会
第7章 戦時下における不可侵の秩序空間
1 安全な場所への逃避
2 国家の力が及びにくい寺院内秩序
3 兵カ・食糧不足
4 不可侵の秩序空間
第3部 社会主義改造下での生き残り
第8章 社会主義改造による地域社会の再編
1 社会主義改造の経緯
2 農業と商業の社会主義改造
3 宗教と民族の再編
第9章 社会主義改造下のローカルな秩序
1 農村における私生活領域
2 闇経済の生成
3 生存のために残された空間
第10章 生き残り策としての越境
1 難民としての越境
2 冷戦終結以降の越境
3 越境者の背景
4 「穴だらけ」の国境
第4部 過去を踏まえて現在を生きる人々
第11章 二一世紀のクメール人越境者とベトナム国家
1 帰属問題の顕在化
2 越境移動の制度化
3 モノとメディアの越境移動
4 不自由化する越境移動
第12章 混淆的な多民族社会における差異の認識
1 差異と変化をめぐる語り
2 妖術をめぐる他者認識
3 「小さな歴史」と「大きな歴史」のもつれあう場
終章 秩序が紡ぎ出される場としての「余白」
1 国家の「余白」が現れる場
2 混淆的な多民族社会からみえる歴史
3 国境を越えた世界の一部としての多民族社会
4 国家の介入しにくい空間での生き残り
5 揺れ動く政治的立場
6 近代国家の弱さとローカルな秩序の強さ
7 おわりに——国家の「余白」をめぐる再帰的な歴史に向けて
参考文献
あとがき
索 引