ホーム > 書籍詳細ページ

地域研究叢書 23

カンボジア村落世界の再生

小林 知

菊上製・450頁

ISBN: 9784876989881

発行年月: 2011/02

  • 本体: 4,800円(税込 5,280円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

ポル・ポトらによる四年にわたる支配の中,それまでの社会が根底から完全に解体されたカンボジア.人類史上未曾有の激動の後,地域社会は,三〇年をかけてようやく再生しようとしている.歴史も制度も文書も,全く失われた中で,よりどころになったものは何なのか? 丹念な臨地調査によって,地域再生のメカニズムを明らかにした快著.

受賞

2011年度 大同生命地域研究奨励賞

書評

『東南アジア研究』第49巻2号、335-337頁、評者:高橋美和氏
『アジア・アフリカ地域研究』2011年第11-2号、217-220頁、評者:宮沢千尋氏

プロフィール

小林 知(こばやし さとる)

1972年 長野県生まれ
京都大学東南アジア研究所助教
東南アジア地域研究専攻
1996年 大阪外国語大学外国語学部(中国語科)卒業
2005年 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程を単位取得退学
2005年 日本学術振興会特別研究員(PD)
2007年より現職

共著書
『カンボジア新時代』(2004)アジア経済研究所.
People of Virtue: Reconfiguring Religion, Power and Moral Order in Cambodia Today. The Nordic Institute of Asian Studies. 2008.
『<境域>の実践宗教―大陸部東南アジア地域と宗教のトポロジー』(2009)京都大学学術出版会.
『新アジア仏教史04 スリランカ・東南アジア 静と動の仏教』(2011)佼成出版社.

目次

口  絵
凡  例

第1章 カンボジア農村社会研究の視角と方法
1―1 「ポル・ポト時代以後のカンボジア農村」という対象
1―2 フィールドワークの期間と方法
1―3 研究の背景
1―4 研究の視座
1―5 本書の構成
第2章 カンボジア社会と調査地域の概況
2―1 カンボジアの国土と現代史の素描
2―2 調査地域の自然環境
2―3 調査地の位置
2―4 サンコー区の概況
2―5 地域社会の基本構成

第1部 再生の歴史過程を読み解く

第3章 集落の形成,解体,再編
3―1 VL村
3―2 集落の形成―1930~70年―
3―3 集落の解体―1970~79年―
3―4 集落の再編―1979~2001年―
第4章 農地所有の編制過程
4―1 稲作と農地の現状
4―2 水田の開墾とポル・ポト時代の変化
4―3 ポル・ポト時代以後の農地所有の編制
4―4 所有農地の分析

第2部 地域生活の基盤を探る

第5章 生業活動と家計の実態
5―1 世帯と生計手段
5―2 生業としての稲作
5―3 稲作以外の生業活動
5―4 世帯の1ヶ月あたり現金消費支出
第6章 経済格差の再現
6―1 生業活動の時代変遷
6―2 世帯間の経済格差―VL村の場合―
6―3 村落間の経済格差

第3部 生活世界の動態に迫る

第7章 宗教実践の変化と民族的言辞
7―1 宗教実践の空間
7―2 宗教的観念と実践
7―3 職能者
7―4 生のサイクルと宗教実践
7―5 宗教実践の変化
7―6 宗教実践と民族的言辞―チェンとクマエ―
第8章 仏教実践の多様性と変容
8―1 カンボジア仏教の概況
8―2 仏教実践の多様性
8―3 仏教実践の多様性をめぐる現状
8―4 仏教実践の歴史的変化
8―5 実践の変化の広域的状況
第9章 寺院建造物の再建
9―1 1970~80年代の状況からの影響
9―2 ネットワーキングによる建設資金の獲得
9―3 SK寺とカタンサマキ
9―4 PA寺と新講堂の建設
9―5 復興する村落仏教
第10章 結 論
10―1 歴史過程
10―2 「カンボジア史の悲劇」再考
10―3 社会構造と生活世界の動態
10―4 2002年以後の地域社会

あとがき
参考文献
索  引
このページの先頭へ