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大都市に内在するリスクの下で,人々はいかに労働と生活を維持しているのか.格差構造の下,都市下層民にとっての「成功」とは何を意味するのか? 精緻化を極める開発経済理論が看過したリスクと格差に着目し,バンコクを舞台として,コミュニティに潜在する力を多彩なフレームワークとコミュニティ調査からヴィヴィッドに描き出す.
第28回大平正芳記念賞
大同生命地域研究奨励賞
大同生命地域研究奨励賞
『アジア・アフリカ地域研究』2011年 第11-1号、57-60頁、評者:小川さやか氏
『国際開発研究』Vo.20,No.2(2011年11月)、129-131頁、評者:受田宏之氏
『地域経済学研究』第23号(2012.1)、評者:山本圭一氏
『資本と地域』第8号(2012年3月)、57-58頁、評者:岩佐和幸氏
『国際開発研究』Vo.20,No.2(2011年11月)、129-131頁、評者:受田宏之氏
『地域経済学研究』第23号(2012.1)、評者:山本圭一氏
『資本と地域』第8号(2012年3月)、57-58頁、評者:岩佐和幸氏
遠藤 環(えんどう たまき)
埼玉大学経済学部専任講師
1975年 大阪府生まれ
1999年 京都大学法学部卒
2004年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学
日本学術振興会特別研究員(PD)(京都大学東南アジア研究所)
2007年 京都大学大学院経済学研究科より博士(経済学)取得
京都大学東南アジア研究所GCOE研究員(2007年)を経て,2008年より現職
埼玉大学経済学部専任講師
1975年 大阪府生まれ
1999年 京都大学法学部卒
2004年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学
日本学術振興会特別研究員(PD)(京都大学東南アジア研究所)
2007年 京都大学大学院経済学研究科より博士(経済学)取得
京都大学東南アジア研究所GCOE研究員(2007年)を経て,2008年より現職
はじめに
1 フィールド調査から「リスク」の自覚化へ
2 コミュニティ論の隆盛と疑義:マクロな視点から
3 グローバル化時代の都市研究へつなぐ:本書の目指すもの
第1章 都市下層民をどのように捉えるか
1 都市下層民とインフォーマル経済論
1.1 インフォーマル経済・都市・ダイナミズム
1.2 都市の内部構造を捉える視角
1.3 インフォーマル経済論と政策の展開
2 本書の分析視角:課題と方法
2.1 都市におけるリスクへの遭遇と対応
2.2 生存戦略の場と単位:個人,世帯,コミュニティ
2.3 ライフコース分析
2.4 都市下層内部の階層分析:職業階層の検討
3 階層分析の方法と内容:職業階層分析を通じて
3.1 職業階層の設置
3.2 職業経験と就業機会:動態的視点の導入
3.3 「上昇」「成功」をどう捉えるか
4 本書の舞台:バンコクという都市
5 本書の構成
第2章 バンコクにおける都市貧困政策
1 スラム・コミュニティの空間配置の変化とインフォーマル経済:「職業」と「居住」の葛藤
1.1 バンコクにおけるスラム・コミュニティ
1.2 スラムの現状と傾向
1.3 タイにおけるインフォーマル経済
1.4 コミュニティの就業構造の重層化と就業機会
2 バンコクにおける都市貧困政策の変遷とインフォーマル経済支援政策
2.1 スラム政策前史
2.2 社会経済的側面への注目
2.3 「インフォーマルセクター」支援政策の登場
2.4 タイにおける「インフォーマルセクター」の議論の特徴
3 「インフォーマルセクター」支援の具体的戦略と実績
3.1 都市貧困政策における「インフォーマルセクター」支援
3.2 「インフォーマルセクター」支援政策の実績:届かぬ支援
4 アジア経済危機とタクシン政権の誕生
4.1 タクシン政権とコミュニティ開発政策
4.2 タクシン政権と「制度外経済」支援政策
5 小括
5.1 1990年代までの「インフォーマルセクター」支援政策:政策の意図と二つのずれ
5.2 タクシン政権時の「制度外経済」支援政策と従来の政策の違い
第3章 調査コミュニティの概要と生活状況
1 フィールド調査の概要と方法
1.1 調査地の選定1
1.2 準備期間と質問表調査:本調査(第1段階)
1.3 火災への遭遇とリスク分析:本調査(第2段階)
2 調査地の概要:2つのコミュニティ
2.1 都心コミュニティSの概要
2.2 元郊外コミュニティUの概要
3 出自と都市居住
4 調査地住民の生活水準
4.1 世帯の生活水準
4.2 耐久消費財の保有状況
5 コミュニティの歴史と成り立ち
5.1 都心コミュニティSの歴史
5.2 都心コミュニティSの火災の経緯と被災状況
5.3 元郊外コミュニティUの歴史
6 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々①:性別は男? それとも女?】
第4章 都市下層民と「職業」
1 職業階層分類
2 調査地における職業構成
3 職業階層別特徴と職業階層大分類
3.1 被雇用と自営業
3.2 職業階層大分類(被雇用・自営業)
4 ジェンダーと職業階層
5 職業の選択理由
6 就業機会と職業構成の変化
7 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々②:最貧層への扶助】
第5章 都市下層民と「居住」
1 コミュニティの日常風景
2 居住形態と同居の構成原理
3 居住空間としてのコミュニティ:住宅・住環境・コミュニティ内住宅市場
3.1 個々の住宅の建設過程と発展
3.2 コミュニティ内外の住宅賃貸市場
4 小括
【コラムシリーズ 都市の中で①:人々の都市内移動と都市空間】
第6章 リスクへの遭遇①:火災と住宅・コミュニティの再生
1 火災の影響:世帯厚生水準の変化
2 仮住まい・仮設住宅の確保:流出しない人々
3 仮住まい確保の動態的過程:自力建設と居住空間の整備
4 恒久住宅を巡って
4.1 「恒久住宅」再建案をめぐる対立
4.2 二つの住宅形態と選択理由
4.3 再建の長期化と恒久住宅への入居状況(2009年12月現在)
5 小括
【コラムシリーズ 都市の中で②:「コミュニティ開発」における葛藤と現実】
第7章 リスクへの遭遇②:火災に対する自営業者の対応と階層化
1 火災の職業への影響:自営業者への打撃
2 職業階層内の変化と階層間移動
3 自営業者の職業の再建過程
4 小括
第8章 リスクへの遭遇③:レイオフと女性労働者のライフコース
1 ライフコースの検討:インフォーマル経済従事者の増大
2 インフォーマル経済内部の階層性:異なる経路の選択条件
3 女性の資金確保と家計構造:個人と世帯のはざまで
4 インフォーマル経済従事者間における競争の激化
5 小括
【コラムシリーズ 都市の中で③:靴はどこまで旅をするのか:靴のバリューチェーン】
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々③:コミュニティの一美容師として生きて】
第9章 都市下層民の職業移動と階層移動:「上昇」の経路
1 自立性か安定性か:都市下層民の職業観
2 職業経路と職業階層:「上昇」の意味すること
3 「上昇」の経路と世代間移動
4 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々④:大学進学を目指す第2世代】
おわりに
1 都市下層民のリスク対応と階層性:居住の変化,職業の変化
2 世帯の戦略とコミュニティ:不安定性とともに生きる
3 都市を生き抜く人々,都市を作る人々:グローバル化のダイナミズムの中で
4 今後の課題
あとがき
Appendix
参考文献
索引
1 フィールド調査から「リスク」の自覚化へ
2 コミュニティ論の隆盛と疑義:マクロな視点から
3 グローバル化時代の都市研究へつなぐ:本書の目指すもの
第1章 都市下層民をどのように捉えるか
1 都市下層民とインフォーマル経済論
1.1 インフォーマル経済・都市・ダイナミズム
1.2 都市の内部構造を捉える視角
1.3 インフォーマル経済論と政策の展開
2 本書の分析視角:課題と方法
2.1 都市におけるリスクへの遭遇と対応
2.2 生存戦略の場と単位:個人,世帯,コミュニティ
2.3 ライフコース分析
2.4 都市下層内部の階層分析:職業階層の検討
3 階層分析の方法と内容:職業階層分析を通じて
3.1 職業階層の設置
3.2 職業経験と就業機会:動態的視点の導入
3.3 「上昇」「成功」をどう捉えるか
4 本書の舞台:バンコクという都市
5 本書の構成
第2章 バンコクにおける都市貧困政策
1 スラム・コミュニティの空間配置の変化とインフォーマル経済:「職業」と「居住」の葛藤
1.1 バンコクにおけるスラム・コミュニティ
1.2 スラムの現状と傾向
1.3 タイにおけるインフォーマル経済
1.4 コミュニティの就業構造の重層化と就業機会
2 バンコクにおける都市貧困政策の変遷とインフォーマル経済支援政策
2.1 スラム政策前史
2.2 社会経済的側面への注目
2.3 「インフォーマルセクター」支援政策の登場
2.4 タイにおける「インフォーマルセクター」の議論の特徴
3 「インフォーマルセクター」支援の具体的戦略と実績
3.1 都市貧困政策における「インフォーマルセクター」支援
3.2 「インフォーマルセクター」支援政策の実績:届かぬ支援
4 アジア経済危機とタクシン政権の誕生
4.1 タクシン政権とコミュニティ開発政策
4.2 タクシン政権と「制度外経済」支援政策
5 小括
5.1 1990年代までの「インフォーマルセクター」支援政策:政策の意図と二つのずれ
5.2 タクシン政権時の「制度外経済」支援政策と従来の政策の違い
第3章 調査コミュニティの概要と生活状況
1 フィールド調査の概要と方法
1.1 調査地の選定1
1.2 準備期間と質問表調査:本調査(第1段階)
1.3 火災への遭遇とリスク分析:本調査(第2段階)
2 調査地の概要:2つのコミュニティ
2.1 都心コミュニティSの概要
2.2 元郊外コミュニティUの概要
3 出自と都市居住
4 調査地住民の生活水準
4.1 世帯の生活水準
4.2 耐久消費財の保有状況
5 コミュニティの歴史と成り立ち
5.1 都心コミュニティSの歴史
5.2 都心コミュニティSの火災の経緯と被災状況
5.3 元郊外コミュニティUの歴史
6 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々①:性別は男? それとも女?】
第4章 都市下層民と「職業」
1 職業階層分類
2 調査地における職業構成
3 職業階層別特徴と職業階層大分類
3.1 被雇用と自営業
3.2 職業階層大分類(被雇用・自営業)
4 ジェンダーと職業階層
5 職業の選択理由
6 就業機会と職業構成の変化
7 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々②:最貧層への扶助】
第5章 都市下層民と「居住」
1 コミュニティの日常風景
2 居住形態と同居の構成原理
3 居住空間としてのコミュニティ:住宅・住環境・コミュニティ内住宅市場
3.1 個々の住宅の建設過程と発展
3.2 コミュニティ内外の住宅賃貸市場
4 小括
【コラムシリーズ 都市の中で①:人々の都市内移動と都市空間】
第6章 リスクへの遭遇①:火災と住宅・コミュニティの再生
1 火災の影響:世帯厚生水準の変化
2 仮住まい・仮設住宅の確保:流出しない人々
3 仮住まい確保の動態的過程:自力建設と居住空間の整備
4 恒久住宅を巡って
4.1 「恒久住宅」再建案をめぐる対立
4.2 二つの住宅形態と選択理由
4.3 再建の長期化と恒久住宅への入居状況(2009年12月現在)
5 小括
【コラムシリーズ 都市の中で②:「コミュニティ開発」における葛藤と現実】
第7章 リスクへの遭遇②:火災に対する自営業者の対応と階層化
1 火災の職業への影響:自営業者への打撃
2 職業階層内の変化と階層間移動
3 自営業者の職業の再建過程
4 小括
第8章 リスクへの遭遇③:レイオフと女性労働者のライフコース
1 ライフコースの検討:インフォーマル経済従事者の増大
2 インフォーマル経済内部の階層性:異なる経路の選択条件
3 女性の資金確保と家計構造:個人と世帯のはざまで
4 インフォーマル経済従事者間における競争の激化
5 小括
【コラムシリーズ 都市の中で③:靴はどこまで旅をするのか:靴のバリューチェーン】
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々③:コミュニティの一美容師として生きて】
第9章 都市下層民の職業移動と階層移動:「上昇」の経路
1 自立性か安定性か:都市下層民の職業観
2 職業経路と職業階層:「上昇」の意味すること
3 「上昇」の経路と世代間移動
4 小括
【コラムシリーズ 調査地で出会った人々④:大学進学を目指す第2世代】
おわりに
1 都市下層民のリスク対応と階層性:居住の変化,職業の変化
2 世帯の戦略とコミュニティ:不安定性とともに生きる
3 都市を生き抜く人々,都市を作る人々:グローバル化のダイナミズムの中で
4 今後の課題
あとがき
Appendix
参考文献
索引