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ヨーロッパ近代文明を概観し、その誕生の様相を全体として跡づけることは、通例の歴史記述では至難であるが、それを可能にした文化資料がある。巨大な覇権国家スペインから独立を勝ち取ったオランダの「黄金世紀=17世紀」がもたらした、ユニークで豊かな絵画作品群である。市民絵画ともいうべき特異な流派が描く風景画・静物画・肖像画・生活風俗画から、来たるべきヨーロッパ近代文明の開放的な諸相が垣間見られる。
『日本経済新聞』2015.8.2付朝刊「読書面」、評者:川北稔氏
『図書新聞』2015.11.7付、評者:植田隆氏
『歴史と地理 世界史の研究245』(2015.11)、65頁、評者:真柴晶彦氏
『史學雜誌』第125編第11号、106-107頁、評者:深谷訓子氏
『図書新聞』2015.11.7付、評者:植田隆氏
『歴史と地理 世界史の研究245』(2015.11)、65頁、評者:真柴晶彦氏
『史學雜誌』第125編第11号、106-107頁、評者:深谷訓子氏
樺山 紘一(かばやま こういち)
印刷博物館館長。東京大学名誉教授。専門は、西洋中世史(フランス中世史)、西洋文化史。
1941年東京都生まれ。1965年東京大学文学部卒業、1968年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1969年京都大学人文科学研究所助手。1976年東京大学助教授、1990年東京大学教授、2001年退官。この間、文学部長(1997年4月〜1999年3月)、史学会理事長(1999年6月〜2001年5月)を歴任。2001年国立西洋美術館館長を経て、2005年10月より現職。2005年紫綬褒章受章。
東京大学在学中は、日本における西洋史学研究について、その文明史的な存在意義を主張して西洋中世史研究の「中興の祖」とされる堀米庸三の下でフランス中世史を学ぶ。12世紀中葉からの北フランスに勃興した大聖堂などの宗教建築様式で知られる「ゴシック」を生み出した中世思想をテーマとして研究者歴を刻む。次第にその後、研究領域を西洋文化史全般へと移行させていったことから、おのずと対象とする時代も拡張されて近世・近代にもおよぶ。風土や町、身体や美術、とりわけ絵画などを題材とすることにより、斬新な視点から西洋史の読み取りに挑戦していく。こうした新しい歴史記述の試みは、その平明な記述とあいまって、研究者だけでなく多くの一般読者にも支持されている。
主な著書/『ゴシック世界の思想像』(岩波書店)、『ルネサンス周航』(青土社)、『カタロニアへの眼 歴史・社会・文化』(刀水書房)、『西洋学事始』(日本評論社)、『歴史のなかのからだ』(筑摩書房)、『異境の発見』(東京大学出版会)、『ルネサンスと地中海』(中央公論社)、『肖像画は歴史を語る』(新潮社)、『地中海—人と町の肖像』(岩波書店)、『旅の博物誌』(千倉書房)、『歴史家たちのユートピアへ』(刀水書房)他、単著、共著、共編著、訳書など多数。
印刷博物館館長。東京大学名誉教授。専門は、西洋中世史(フランス中世史)、西洋文化史。
1941年東京都生まれ。1965年東京大学文学部卒業、1968年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1969年京都大学人文科学研究所助手。1976年東京大学助教授、1990年東京大学教授、2001年退官。この間、文学部長(1997年4月〜1999年3月)、史学会理事長(1999年6月〜2001年5月)を歴任。2001年国立西洋美術館館長を経て、2005年10月より現職。2005年紫綬褒章受章。
東京大学在学中は、日本における西洋史学研究について、その文明史的な存在意義を主張して西洋中世史研究の「中興の祖」とされる堀米庸三の下でフランス中世史を学ぶ。12世紀中葉からの北フランスに勃興した大聖堂などの宗教建築様式で知られる「ゴシック」を生み出した中世思想をテーマとして研究者歴を刻む。次第にその後、研究領域を西洋文化史全般へと移行させていったことから、おのずと対象とする時代も拡張されて近世・近代にもおよぶ。風土や町、身体や美術、とりわけ絵画などを題材とすることにより、斬新な視点から西洋史の読み取りに挑戦していく。こうした新しい歴史記述の試みは、その平明な記述とあいまって、研究者だけでなく多くの一般読者にも支持されている。
主な著書/『ゴシック世界の思想像』(岩波書店)、『ルネサンス周航』(青土社)、『カタロニアへの眼 歴史・社会・文化』(刀水書房)、『西洋学事始』(日本評論社)、『歴史のなかのからだ』(筑摩書房)、『異境の発見』(東京大学出版会)、『ルネサンスと地中海』(中央公論社)、『肖像画は歴史を語る』(新潮社)、『地中海—人と町の肖像』(岩波書店)、『旅の博物誌』(千倉書房)、『歴史家たちのユートピアへ』(刀水書房)他、単著、共著、共編著、訳書など多数。
口 絵
はじめに ヨーロッパ近代文明の曙
序章 歴史のなかの一七世紀オランダ
1 はじめに
2 ヨーロッパ国際政治のなかで
3 政治・経済・社会の枠組
4 思想と芸術のステージで
5 描かれた黄金世紀の評価
第1章 自然の景観——人間が創った国土
1 オランダの土地と風土
2 気象と時間
3 静物と家畜
4 恵みと災いのあいだ
〈恵み〉 a 田畑と作物 b 園芸と果樹 c 牧畜 d 漁撈
〈災い〉 a 嵐と難破 b 洪水と高潮 c 火災
5 動物たちの驚異
a 博物学の領界 b 仮託された人間——猿 c 驚異の動物たち——鯨と象
d 禽獣のユートピア
第2章 社会の景観——フランス・ハルスの眼に映った
1 団体と集会のイメージ
2 社会景観というもの
3 治安と救護
4 都市と建築——広場と水路
5 国土と地図
第3章 日常の景観——暮らしの豊かさはどこから
1 祝祭と社交の季節
2 「ステーン風放縦」をめぐって
3 生活と風俗のかぎりない愉楽
4 学校、遊び、家庭、祈り
a 学校 b 遊び c 家庭 d 祈り
第4章 人間の探求——レンブラントの世紀の写像
1 はじめに——四つの視角から
2 〈解剖学講義〉と医学・科学
a アムステルダムの解剖学実習 b ライデン大学と医学
c オランダの光学と物理学 d デカルトの存在 e 出版文化の隆盛
3 人倫としての「ダナエ」のかなた
a 裸体の表現 b 裸婦像の倫理 c オランダの立ち位置
d グロティウスとアルミニウス
4 「モーゼと十戒の石版」と歴史
a 「十戒」の石版をめぐって b 主題としての旧約聖書
c アムステルダムのユダヤ人 d バタフィアという故郷
e スカリージェルの古代史
5 光のなかの肖像
a 最晩年の自画像 b カラヴァジョとフェルメールの光 c 光の科学と形而上学
第5章 異境の目撃——南アメリカからの贈物
1 「東インド」と「西インド」
2 ナッサウ伯のブラジル遠征
3 エクハウトの民族図誌
4 ポストのブラジル風景画
5 メーリアンの卓抜な好奇心
第6章 戦争と平和——ネーデルランドからウェストファリアへ
1 ブレダの戦い——ベラスケスとカロ
2 絵画のモデルとしての戦争
3 戦略と武器の革新
4 戦争の世紀の見取図
5 寛容の倫理、和解の理性
6 ウェストファリアの模索
あとがき
参考文献
図版一覧表
索 引
はじめに ヨーロッパ近代文明の曙
序章 歴史のなかの一七世紀オランダ
1 はじめに
2 ヨーロッパ国際政治のなかで
3 政治・経済・社会の枠組
4 思想と芸術のステージで
5 描かれた黄金世紀の評価
第1章 自然の景観——人間が創った国土
1 オランダの土地と風土
2 気象と時間
3 静物と家畜
4 恵みと災いのあいだ
〈恵み〉 a 田畑と作物 b 園芸と果樹 c 牧畜 d 漁撈
〈災い〉 a 嵐と難破 b 洪水と高潮 c 火災
5 動物たちの驚異
a 博物学の領界 b 仮託された人間——猿 c 驚異の動物たち——鯨と象
d 禽獣のユートピア
第2章 社会の景観——フランス・ハルスの眼に映った
1 団体と集会のイメージ
2 社会景観というもの
3 治安と救護
4 都市と建築——広場と水路
5 国土と地図
第3章 日常の景観——暮らしの豊かさはどこから
1 祝祭と社交の季節
2 「ステーン風放縦」をめぐって
3 生活と風俗のかぎりない愉楽
4 学校、遊び、家庭、祈り
a 学校 b 遊び c 家庭 d 祈り
第4章 人間の探求——レンブラントの世紀の写像
1 はじめに——四つの視角から
2 〈解剖学講義〉と医学・科学
a アムステルダムの解剖学実習 b ライデン大学と医学
c オランダの光学と物理学 d デカルトの存在 e 出版文化の隆盛
3 人倫としての「ダナエ」のかなた
a 裸体の表現 b 裸婦像の倫理 c オランダの立ち位置
d グロティウスとアルミニウス
4 「モーゼと十戒の石版」と歴史
a 「十戒」の石版をめぐって b 主題としての旧約聖書
c アムステルダムのユダヤ人 d バタフィアという故郷
e スカリージェルの古代史
5 光のなかの肖像
a 最晩年の自画像 b カラヴァジョとフェルメールの光 c 光の科学と形而上学
第5章 異境の目撃——南アメリカからの贈物
1 「東インド」と「西インド」
2 ナッサウ伯のブラジル遠征
3 エクハウトの民族図誌
4 ポストのブラジル風景画
5 メーリアンの卓抜な好奇心
第6章 戦争と平和——ネーデルランドからウェストファリアへ
1 ブレダの戦い——ベラスケスとカロ
2 絵画のモデルとしての戦争
3 戦略と武器の革新
4 戦争の世紀の見取図
5 寛容の倫理、和解の理性
6 ウェストファリアの模索
あとがき
参考文献
図版一覧表
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