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学術選書 051

オアシス農業起源論

古川 久雄

四六並製・394頁

ISBN: 9784876988518

発行年月: 2011/03

  • 本体: 1,800円(税込 1,980円
  • 在庫あり
 
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内容

「農業はどこで始まり、どのように広がったのか?」農業起源に関する最近の考えは独立発生説が強まっている。筆者は広域フィールド・ワークでモノ・人・景観に直接触れながら、農業の形の変異と地理的分布を鳥瞰して独立発生説を退ける。本書はその着想と検証の成果である。穀物農業は西アジアのオアシスにおいて小区画灌漑地の集約的農法に起源し、根栽農業はマレーシア熱帯の熱帯林での半栽培に起源して、汎世界的に伝播と適応放散を果たしたという農業の二元論を展開している。

プロフィール

古川 久雄(ふるかわ ひさお)

1940年神戸生まれ。1963年京都大学農学部農芸化学科卒業。1968年京都大学大学院農学研究科中退、京都大学農学部助手、1978年京都大学東南アジア研究センター助教授、1988年同教授、1998年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科教授。2003年退職。京都大学農学博士、同名誉教授。現在、NPO 法人平和環境もやいネット理事長。

 著書:『インドネシアの低湿地』(1992年勁草書房)、『中国先史・古代農耕関係資料集成』(渡部武と共編著、1993年京都大学東南アジア研究センター)、Coastal Wetlands of Indonesia: Environment, Subsistence and Exploitation, Kyoto University Press, 1994、『事典東南アジア:風土・生態・環境』(共編著、1997年弘文堂)、『植民地支配と環境破壊』(2001年弘文堂)、Ecological Destruction, Health, and Development: Advancing Asian Paradigms, co-edited, Kyoto University Press- Trans Pacific Press, 2004。
『民族生態—從金沙江到紅河』(尹紹亭と共編著、2003年雲南教育出版社)。

 訳書:『中国農業史』(フランチェスカ・ブレイ著、2007年京都大学学術出版会)、『ホーチミン・ルート従軍記』(レ・カオ・ダイ著、2009年岩波書店)。

目次

はじめに

第1章……発  端
 1 マダガスカルの大草原で
  牧民/かけ流し傾斜田/大規模蹄耕/水路連結ピット水田
 2 小区画灌漑畑とミニ水田
  ナイル河谷/ナイルの賜物/弥生・古墳時代のミニ水田/タパヌリのミニ水田
  デカン高原/ジャイプール
 3 仮説誕生
  オアシスだ!/環境適応と伝播

第2章……オアシス灌漑農業
 1 ファータイル・クレセント
  完新世の乾燥化/ナトゥーフ文化/イェリコ/湧水がかりの川池
  湧水トンネル/ワジ井戸/バンド灌漑/イラン高原--乾燥ステップとオアシス
  カナート/管井戸灌漑/河川灌漑/ジャルモ/アナトリア高原
  チャタル・ヒュック
 2 メソポタミア平原
  デルタ/チョガ・マミ/アブ・フレイヤとマリ
 3 技術と法
  灌漑耕地の原型を考える/耕作教科書/ハンムラビ法典/エンキ神話--豊かさと秩序
  ラピスラズリ・ロード
 4 伝播

第3章……南アジアへの伝播
 1 オアシス農業の移動
  メヘルガル/ハラッパ期の耕作
 2 新たな栽培化
  インドのイネ/アワ・キビ
 3 デカンでの展開
  サバンナ気候/溜池と管井戸灌漑/畜力利用の精耕細作/西岸湿潤地帯
 4 スリランカの省力農業
  乾燥地帯/湿潤地帯

第4章……東アジアへの伝播
 1 アワ・キビの東遷
  オアシス・ルート/チベット高原/草原の道
 2 アワ・キビ栽培の進展
  東北中国の遺跡/耕作法/華北の遺跡
 3 稲の栽培化
  淮河流域の舞陽賈湖遺跡/長江中流〓水の遺跡/長江中流江漢平野の遺跡
 4 稲作の拡大
  湿地展開--河姆渡遺跡/草鞋山のピット水田/耕作法について/良渚文化
  散播と移植

第5章……熱帯島嶼の農業系譜
 1 根栽農業
  マレーシア熱帯/作 物
 2 ニューギニア本島
  中央高地のイモ畑/セピック河流域のヤムイモ、サゴ、市
 3 西太平洋の島々
  トロブリアンド島のイモ栽培と儀礼/「戻り来たれ」/トンガのイモ栽培/漁
  ラピタ土器とマンガアシ土器
 4 穀物農業の伝播
  東インドネシア/スンバ島の農業と系譜/イフガオの棚田/ジャワ・バリ--異人降臨
  サワーと祭祀

おわりに
〔注(引用文献)〕
索 引
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